添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
最強教材を使いこなせ
技術士二次試験の対策で最も多くの受験者がつまずくのは、「対策が浅い」「技術名の羅列になる」「目的が書けない」という構造的な弱点です。しかし、第6期国土交通省技術基本計画には、
国が今後10年で何を課題とし、どの方向に技術を使うのかが体系的に整理されています(計画の掲載ページはコチラ)。
つまり、技術士試験で問われる「課題の本質を捉え、技術的に妥当な対策を示す」という能力を鍛えるための“答えの方向性”がすべて書かれているのです。計画を読み解くと、技術士答案に必要な対策の軸は次の3つに集約されます。
- DXによる生産性向上(デジタル基盤整備・データ連携・自動化)
- 持続可能な社会資本管理(老朽化対策・維持管理の高度化)
- 人材・組織の強靭化(技術継承・地域格差の是正・研修体系の整備)
技術士試験で問われる対策は、この3つのどれかに紐づきます。これは、本当に試験対策の核心です。肝に銘じて、練習するとよいでしょう。もう一度言います。これらはメチャクチャ重要です。
計画が強調しているのは、建設産業が直面する構造的な制約をどのように乗り越えるかという視点です。人口減少による労働力不足、老朽化インフラの増加、気候変動の激甚化、さらには地域間格差の拡大といった課題は、残念ながら一つの技術で華麗に解決できるような“便利ボタン”ではありません。
むしろ、デジタル技術の活用や維持管理体系の転換、人材育成の仕組み化といった複数の取り組みを、まるで料理の材料を組み合わせるように丁寧に重ねていく必要があります。技術士試験では、この複合性を理解し、課題と対策を筋道立てて結びつける力が求められます。
令和8年度の受験者が特に意識すべきなのは、DXが単なる効率化の道具ではなく、業務プロセスそのものを作り替えるための“土台”であるという点です。BIM/CIM、点群データ、AI解析、ICT施工といった技術は、それぞれを単体で語るとどうしても“技術紹介コーナー”で終わってしまいます。
しかし国が求めているのは、これらを組み合わせてデータを中心に据えた新しい業務体系を構築することであり、技術士試験でもまさにその視点が問われます。つまり、技術名を並べるのではなく、「なぜその技術が必要なのか」「どの課題を解決するのか」を論理的に説明することが重要になります。
また、維持管理分野では、従来の近接目視中心の点検から、予防保全型の維持管理体系への転換が求められています。老朽化インフラが増える一方で、点検量の増大と技術者不足が同時に進むため、従来の方法ではどうしても持続性が確保できません。
ここでも、AI解析やデジタルツインといった技術は“点検を楽にする便利ツール”ではなく、“維持管理体系そのものを変えるための基盤”として位置づける必要があります。技術士試験では、この視点を持って課題と対策を記述できるかどうかが、大きな評価の分かれ目になります。
さらに、近年の試験で顕著なのが、人材や組織に関する記述の重要性です。DX人材の不足、地域間格差、自治体の技術職員減少といった課題は、国の政策でも繰り返し指摘されており、試験でも頻出テーマとなっています。
ここで求められるのは、「研修を行う」「人材を育成する」といった表面的な対策ではなく、研修体系の整備やオンライン教材の活用、専門部署の設置、外部人材との連携といった“仕組みとしての対策”です。技術士は個人の努力だけでなく、組織や社会の仕組みを設計する立場ですので、この視点が欠けるとどうしても評価が伸びにくくなります。
令和8年度の試験対策として最も重要なのは、これらの政策動向を踏まえつつ、課題の背景・構造・影響を明確にし、対策を技術的・制度的・組織的に整理して記述する力を身につけることです。技術名を並べるのではなく、課題の本質を捉え、技術を“目的達成のための手段”として位置づける。これができれば、どの分野の問題にも対応できる“普遍的な答案構造”が身につきます。
Ⅱー1「持続可能な復興対策」とⅡー2「景観計画案の作成」
本日の添削LIVEは、令和8年度 建設部門 都市及び地方計画の選択科目Ⅱ(復元論文)を一挙にお届けします。Ⅱー1ですが、災害関係ですので万国共通の重要テーマです。さらに、Ⅱー2は景観計画の策定です。景観計画は、ぱっと見デザイン関係なんだから一定の主観が許されると思いがちですが、ガチガチの法定手続きなので、知識をしっかり持っていないと書けません。私は景観工学を勉強していたこともありますが、技術士試験なら避けると思います…ということで、早速論文を見ていきましょう。
「持続可能な復興対策」
課題①:いかに複合災害に対応するか
大規模地震後に豪雨などが発生した場合。復興途中の被災地では二次的な被害が発生する。このように、被災後に後発する災害に対しても、耐えうる強靭なまちづくりが重要となる①。
① まず文末が「重要となる」としており、問題が求めている課題が何なのか分かりません。問いに対して的確に解答しましょう。さらに、選択科目なのでもっと都市及び地方計画の技術者としての課題を書くべきです。「強靭なまちづくり」では(選択科目の)技術課題として抽象的過ぎます。しかも、強靭なまちづくりでは、単なる災害対応に見えます。もっと、複合災害という特性に沿った課題設定が必要です。
そもそも、題意は「復興対策を実施するに当たり」です。これでは一般的な防災対策に見えます。論点がズレており、的確な解答と言えないと思います。
解決策①:グリーンインフラのビルトイン
緑の機能を活かした防災対策を行うため、グリーンインフラのビルトインを推進する②。例えば、浸水想定地域では、雨水・貯留機能を具備した都市公園を整備する。雨水の一時的な抑制により、浸水被害を軽減させる。火災の延焼防止機能といった効果も得られる。
② これも「政策的な方針」ではなく「都市計画的に何を、どのように、どの段階で実装するか」を示す必要があります。加えて、なぜこれが複合災害への対策なのかも不明です。単発の防災対策と何ら変わりがなく、複合災害への対応に見えません。さらに復興の視点もありません(具体例も同様)。(復興の視点ではありませんが)グリーンインフラなら、多重防御型の都市基盤再構築といった具合に複合災害にきちんと接続させる必要があります。
課題②:いかに広域連携を図るか
大規模災害の被災後では、行政機能がマヒする場合がある。そのため、自治体間の連携による避難体制の確保が不可欠である③。
③ 文末については①と同様。また、これも都市・地方計画の専門性が弱く、行政機能ではなく都市機能を語るべきではありませんか。都市・地方計画の専門家として求められるのは、「空間計画」「土地利用」「広域交通」「避難圏域」「都市基盤の相互補完」といった“空間的・計画的な広域連携”です。
解決策②:オープンデータ化の推進
施設の構造や修繕状況をデータ化し、オープンデータ化する。地域プラットフォームを通じて近隣自治体が把握できることにより、迅速な復興を実現する④。
④ 課題同様、都市・地方計画の専門性が弱く、行政情報化の話に寄りすぎています。都市計画としては、“どの都市基盤情報を、どの広域計画に活かすか”まで踏み込む必要があります。
また、「オープンデータ化」と「地域プラットフォーム」は本来つながる概念ですが、この文章では両者の関係性が示されていないため、脈絡がなくオープンデータ化するのか、地域プラットフォームを作りたいのかよく分かりません。
課題③;いかに強靭な都市構造を構築するか⑤
都市と居住機能の集約による、インフラの選択と集中について記載
⑤ まちづくりと都市構造と使っている言葉は違うものの、最初の課題と重複していませんか。
地域防災計画と立地適正化計画及び地域公共交通計画を連動させた、まちづくりを推進する。⑥
⑥ これも復興対策とどう関係しているのか全く分かりません。
「景観計画案の作成」
1.事前に調査すべき事項とその内容
(1)上位・関連計画の調査
自治体の総合計画や都市マス等から、観光や商業等に関する計画を調査①し、景観施策に関する方針を把握する。景観形成に係る具体的な拠点やゾーン、軸が設定されている場合は、設計意図や関連する事業を確認する。これらから、目指す都市の将来像を確認し、現計画との整合性を調査する。
① 等は入っていますが、「観光・商業計画」に偏りすぎで、制度的調査が抜けているように見えます(計画例示も同様に不足気味)。
(2)重点地区の調査
現計画による人流の把握を行うため、観光入込客数や滞在時間の変化を調査する。また、来訪者の景観に関する意見や改善要望の収集を行う②。これらの情報から、対象地区の景観状況に関する現状を把握し景観施策の重要度や緊急度が高い地区の抽出により、重点地区の追加を検討する。③
② これも観点が不足しています。景観資源の集積、景観阻害要因の存在、歴史的価値、まちづくり施策との連動、住民意向などです。この解答は「人流データ」中心で、景観計画としては論点がずれているように感じます(手引き沿った記述が求められます。以下同様)。また、手引きでは、住民意識調査は「景観形成の方向性を決める重要要素」とされています。これでは「来訪者の意見収集」に偏っており、住民・事業者の意識調査が欠落していると思います。
③ 調査項目に景観資源の調査がなく、景観計画の根幹に係る項目がないです。
2.業務手順および留意点、工夫点④
(1)検討体制
計画案を策定するための検討体制を構築する。構成メンバーはまちづくり関連部局を中心に、景観審議会等による有識者や、地元産業⑤や住民などとし、多角的な意見がでるよう⑥、工夫を行う。
④ 業務手順の中に計画の最も重要な部分と言える「理念・方針・目標像」がありません。これらの方針設定がないまま、施策検討することはできません。また、取り組みがうまくいっていないのですから、景観形成基準(建築物・広告物・工作物等)の検討も抜けているのは問題です。さらに致命的なのは、景観計画区域、景観形成の方針、景観形成基準、景観協定などの記載がありません。景観計画は、法廷手続きです。景観法に基づく計画としての必須要素が抜けているため、技術士試験の論文としては大きな減点対象となります。
⑤ メンバーの例になっていません。→「地元産業団体」
⑥ 主語は計画策定者ですよね。自分が意見するのではなく、意見を得るための工夫ではありませんか。
(2)施策の評価
現計画の施策の評価を行う。実施できた施策については効果を検証し、実施できなかった施策⑦についてはその理由や改善点を把握することに留意する。
⑦ 問題文には「取組は進めているものの」とあるので実施しているのではありませんか。この条件を踏まえると、「十分に機能していない施策」ではありませんか。
(3)重点地区の追加の検討
前述の調査結果に基づき、重点地区案を作成する。既存の緑地等に対しては、特別緑地保全区域⑧の指定を並行して検討する等、地域の魅力を高める⑨工夫を行う。
⑧ →「特別緑地保全地区」
⑨ 特別緑地保全地区は「魅力を高める」ための制度ではなく、既存の良好な緑地・景観資源を保全する制度であり、制度と目的がズレています。
(4)実施施策および主体の決定
実施施策及び実施主体⑩を決定する。実施にあたっては、条例改正の必要性を検討することに留意⑪する。
⑩ 決めてはダメというわけではありませんが、実施主体の決定は“実施段階のマネジメント”であって、計画策定の必須項目ではないと思います。
⑪ 「必要性を検討する」だけでは弱く、手引きの意図を十分に満たしていません。正しくは景観計画と既存条例の整合性を確保する、必要に応じて条例改正や運用改善を行うといったことではありませんか。
(5)景観重要公共施設の活用の検討
地域のシンボルとなり得る公共空間の活用を検討する。工夫点として、建物と道路を一体的に捉え⑫、相乗効果を発揮する景観を創出する。
⑫ これは「デザインの工夫」であり、制度の工夫ではありません。手引きでは、景観形成に寄与する公共施設を指定、指定の考え方、管理者との調整などが示されています。
(6)実施スケジュール及び計画案の公表
計画案の実施スケジュールを作成したうえで、計画案を公表する。公表にあたり、自治体のHPやSNSを活用し、広く意見を募るなど多角的な視点⑬を盛り込むなどの工夫行う。
⑬ 多角的は、行政や専門家が複数の角度から検討するときに使う言葉です。これは意見を出す側の視点なので幅の広さを表す方が良いでしょう。→「多様な視点」
3.業務を効率的、効果的に進めるための関係者
(1)ステークホルダー⑭
庁内部局、都道府県、観光協会、住民、公共交通事業者、まちづくり支援団体、社会福祉協議会等
(2)調整方策
景観法に基づく景観審議会において、現地視察を実施し現状を踏まえた議論を行う⑮。住民には情報提供だけでなく、検討段階からWS等を通じて意見交換を行い、計画に住民意見を反映できるよう調整⑯する。以上
⑭ 問題は「関係者との調整方策について述べよ。」となっています。「ステークホルダー」は利害関係者であり、景観計画の文脈では、利害関係者=関係者ではありません。問題に対し、的確に解答しましょう。
⑮ 検討プロセスにおいては、審議会だけでなく検討体制を整えるとしています。不整合に見えます。また、現場を見て議論するも一般論を脱しておらず、技術的提案としては弱いです。合意形成プロセスの設計をあらかじめ行う、行政内部の横断的連携を図る、など技術的提案をしましょう。
⑯ 聞かれていることは「調整方策」なので、方策を深堀しましょう。例えば、景観協定の活用、3D都市モデルの活用による見える化、など実行手段を明確にしないと選択科目の求める技術的示唆が不十分となります。

