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技術士 二次試験対策 【 添削LIVE 】建設部門 令和5年度選択科目Ⅲ 空家対策

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

最近、嬉しいことに投稿が増えてきました!筆記試験の結果が判明し決意を新たにする人、自分も技術士に挑戦してみようと考える人などが増えた結果ですかね。試験資格を目標に勉強することは素晴らしいことですが、技術士は取得してからも勉強し続けなければなりません。そういう意味では、私もみなさんの投稿を通じて勉強させてもらっていると感じています。

投稿論文を拝読させていただくと、知らなかったことや、ハッとする考えを目にすることがあります。投稿者の見識に感心すると共に、自分の勉強不足を痛感することもあります。しかし、勉強は苦しいものではなく、楽しいものです。物事は捉え方次第ですので、どうぞ楽しんで取り組まれることをお勧めします。

私の楽しみ方は、この表現は美しく書けたなぁ、この用語は技術力高め~などハードル低めの評価で自己肯定をしながら取り組みました。また、私のケースは、幸いなことにたくさんの技術士たちが論文を添削してくれたので、もっと良い論文を書くぞ!とモチベーションが常に高く維持できたことが要因と分析しています。

みなさんもどうぞ私をギャフンと言わせてやるぞという意気込みで投稿してみてはいかがでしょうか。基本は、辛辣な指摘ばかりが目立ちますが、良いところもしっかりと発見しながら添削できればと考えています。

さて、今回の論文は、令和5年度建設部門の選択科目Ⅲで出題された「空家対策」です。ニュースでよく目にする「ゴミ屋敷」、あれです。空き家だからと言って必ずしもゴミで溢れているわけではないですが、人が住んでないので見てくれが悪いですよね。これから、人口減少が加速する中、もっと大きな社会問題になること間違いなしですね。ボロボロの家屋が立ち並ぶ、すっかすっかの都市、やっぱり良いイメージではありません。

では、投稿者はどのようなアプローチで対策を提案しているのか、早速みてみましょう。


(1)空き家対策の取り組むべき課題
①課題:コンパクトシティの実現
 スポンジ化対策の観点から、都市がスポンジ化すると都市のインフラが有効活用されないだけでなく、防災上、火災が発生した時等に火災が延焼しやすくなり防災上の問題が発生する問題がある。コンパクトシティの実現をすると都市のスポンジ化が緩和され、インフラメンテナンスの効率が向上する。コンパクトシティの実現が課題である。

① 観点から書くスタイルなんですね!一概に否定するものではありませんが、課題の書き方としては、課題と捉えた要因や背景を前段に書いたうえで、観点を添えた結論(課題)を書くというスタイルがオーソドックスで書きやすいと思います。
STEP1:課題の背景 → STEP2観点 → STEP3課題 の順に書くと伝わりやすいと思います。
また、「観点とは、観察・考察する立場。見地。見かた。」とあります。スポンジ化対策まで書いてしまうと観点と言うより課題になっちゃってます。コンパクトシティの実現を課題設定するなら、都市構造の観点とかですかね。
② スポンジ化とインフラの有効活用に因果関係があるのか疑義があります。スポンジ化しているということは、都市が低密度化しているからインフラが使われないとの理論ですかね?そうであれば、ここをしっかり説明すべきです。「スポンジ化すると都市の魅力が低下し、更に低密度化が進む。都市が低密度化するとインフラの維持管理が非効率的になる」この仕組みを説明しないと飛躍しすぎて理解できないと思います。
③ スポンジ化=空き家の認識ですかね?スポンジ化は、低未利用な土地利用を原因とするものなので、駐車場や更地なんかも含まれます。これらの用途の場合、オープンスペースなので、主張とは逆に延焼遮断帯になっちゃいますよね。おそらく、空き家の場合は延焼を引き起こす可能性がありますし、空き地でも不法投棄等で燃えやすい廃棄物等が集積する可能性もありますので、このような状況を想定されていると思います。そうであるなら説明が足りないように感じます。あるいは、空き家を対象にした方が良いですね。
④ 「コンパクトシティの実現をすると」→「コンパクトシティを実現すると」
⑤ インフラメンテナンスは、論点ではないので効果として書く必要はありません(何を主張したいのかはっきりしなくなってしまいます)。

②課題:施設管理者の設定
 所有者特定の観点から空き家や低未利用地が都市において問題化するのは、管理者が不在であり、放置されて土地家屋が荒廃していくことが問題である適切に管理者を設定することにより、空き家や低未利用地の管理管理者を設定する援助をする電力会社の支払い記録から土地所有者の特定をする制度があり、利用することで土地所有者を特定できる。土地管理者の設定が課題である。

⑥ ①と同様に、所有者特定も課題ですよね。内容からするに、制度面の観点とかですかね。
⑦ 主語述語がおかしいです。「問題化するのは、・・・問題である」となっています。例えば、「空き家や低未利用地の問題点は、・・・荒廃していくことである。」ですかね。
⑧ これも構文がおかしいです。「管理者を設定することにより、・・・管理を設定する援助をする。」になっています。手段と結果となるべきところが、手段と手段になっちゃってますね。言いたいことは2つあり、一つ目は「管理者を設定することにより、荒廃を防ぐ。」、2つ目は「適切な管理を促すため、管理者設定に必要な支援を行う。」ですかね。
「管理管理者」→「施設(土地)管理者」
⑨ この制度は知りませんでしたが、根拠となる制度名はしっかりと記載した方が良いと思います(所有者不明土地法のこと?)。
⑩ 前述では、「管理者の設定を援助」とありますが、この部分の記述は土地所有者の特定支援に関することになってます。ここで言いたい課題は、特定支援なのか、管理者の設定支援なのか判然としません。小見出しや結論からするに後者だと思いますので、⑧の例示が適切でないということになります。

③課題:景観保全の推進
 都市景観の観点から、空き家や低未利用地が増加すると手入れをされていないことにより、都市の景観が大きく損なわれることになる問題がある。都市の空き家や低未利用地を適切に緑地公園などに置き換えることで都市の景観を向上させることができるようになる。景観保全が課題である。

⑪ 一般論として都市景観は観点になりうると考えますが、この文章では課題が景観保全なので観点と課題が重複しているように見えます。景観の保全を課題にするなら、都市環境の観点とかですかね。加えて、根本的な問題として、景観保全は、空き家対策を行った結果としての効果なので、課題として疑義があります。つまり、景観対策をすると空き家が減るわけではなく、空き家が減ることで景観が保全されるのではないでしょうか。手段と結果が逆です。
⑫ これも構文がおかしいです。手入れされないことによる結果を書かなければいけませんので、文末が「問題がある」としてはいけません。「・・・問題が発生する。」または、「・・・損なわれる。」前者はながったらしいので、後者がお勧めですね。
⑬ 文末が冗長的です。
「向上させることができるようになる。」→「向上させることができる。」
ここは課題を書くところなので、解決策を書く必要はありません。

(2)最も重要な課題
スポンジ化対策が最も重要な課題である。なぜなら都市が空白になることになり、インフラ整備に大きな税出費が必要になる。空き家の増加が見込まれる地方都市の中心市街地において都市がスポンジ化することは行政サービスの低水準化につながるため重要である。

⑭ ①の課題は、コンパクトシティの実現では?
⑮ 空き家対策なのに何でコストや行政サービスの水準を理由にしているのだろうという疑問を抱きます。この場合ですと「空き家対策に効果を発現すると共に、
・・・多数の波及効果(副次効果)が期待できるから」まで書く必要があります。

②解決策:土地区画整理事業
 空き家や低未利用地の増加が見込まれる地方都市の中心市街地において、土地の高度利用を進めながら土地の利用手法の再編を行う土地区画整理事業が有効である空き家や低未利用地は不動産相続等で受け継いだ不整形であり使い道がない土地である。そのため土地区画整理事業で利用しやすい形状に再編することで活用しやすくなる

⑯ ⑭に引っ張られて、解決策がスポンジ化対策になってますね。書くべきは、コンパクトシティを実現するための方法を書くべきです。
⑰ 高度利用を進めながらではなく、高度利用を図るために区画整理するのではありませんか。さらに、問題の条件として地方の中心市街とあるので、市街地再開発のほうがより良いですかね。さらに言うとスポンジ化対策に特化するなら、「敷地整序型土地区画整理事業」が最もふさわしいと考えます。
⑱ 空き地や低未利用地が、なぜ不整形と断定できるのでしょうか(相続のくだりも必要ないと思います)。
⑲ 解決策なので現象を書くのではなく、やることを書きましょう。よって、文末は「土地活用を促す。」などにすべきです。

③解決策:都市公園の創出
 空き家や低未利用地を活用する手法として、都市公園として再整備することが有効である。前述した土地区画整理事業と組み合わせることで空き家や低未利用地を都市公園として整備することができる。Park-Pfi等の制度と組み合わせることで民間の経営能力を活用し収益性を高めることができる。

⑳ ⑯と同様。
㉑ 公的負担を前提とした都市公園の整備では、技術力を示唆する観点からすると弱いと思います。加えて、「再整備」との表現も違和感があります。再整備なので、既存公園の整備になってしまいます。再整備するのか、低未利用地を使って新設するのかどっち?となってしまいます。民有地を活用するのですから、市民緑地認定制度や立地誘導促進施設協定(コモンズ協定)などの施策が良いと思います。
㉒ 土地区画整理事業ならば、公共減歩で都市公園は設置されますし、そもそも換地するので空き家や低未利用地がそのまま残ることも考えにくいです。よって、土地区画整理で低未利用地を都市公園として整備することができるとの表現はふさわしくありません。
㉓ 収益性を高めるとありますが、公園は公共施設ですので収益はもともとありません。Park-PFIは、公園内に収益施設を設置し、その利益の一部を管理に回すというスキームです。よって、「収益性を高める」というよりも、「公園の魅力を高める」ですかね。そもそも、Park-PFIが突然出てきて、スポンジ化対策(本当はコンパクトシティの実現)にどのように関係しているのか分かりません。

④解決策:マッチングサイトの活用
 空き家バンク等、マッチングサイトを活用して空き家や低未利用地を活用したい人と売却したい人をマッチングすることで利用機会を増大させる。

㉔ ⑯と同様。

(3)懸念事項と対策
①上記の対策を全て行っても更なる空き家や低未利用地の増加がある可能性がある

㉕ 理由がないので「何で?」となってしまいます。また、新たな懸念事項を書くことが題意ですので、新たなという視点がありません。そもそも、これを言ってしまったら、これまで説明してきた解決策を自分自身で否定しているのと同じです。

②コンパクト・プラス・ネットワーク
 空き家や低未利用地が増加すると、都市のインフラ整備を行う際に居住実体のない施設に対するサービスを実施することになり、経済効率的ではない。スポンジ化した都市の構造を再編するにはコンパクトシティ計画に基づいたコンパクト・プラス・ネットワークの実現が求められる。手法としては、都市機能誘導施設である商業施設や福祉施設、行政施設等を居住誘導区域内に配置を行いコンパクトシティの構築を誘導する。コンパクトにまとめた居住誘導区域を公共交通軸で結ぶことによりコンパクト・プラス・ネットワークの形成を促すことができる。コンパクトシティの実現をするにあたっては立地適正化計画との整合が求められる。災害危険地域より居住エリアを集約する手法と併せて計画することで実行性を高めることができる

㉖ ⑯のとおり、コンパクトシティの実現は、解決策で書くべき内容です。懸念事項に理由が書いていないので、対策として適切かどうか判断ができません。
㉗ 立地適正化計画のことですかね?技術的示唆の観点から、施策名は正確に書きましょう。
㉘ 都市機能誘導区域ではありませんか?
㉙ ④と同様。立地適正化計画でコンパクトシティを実現させるわけですから、ここは「ネットワークの検討」ですかね?
㉚ 「災害危険地域」→「災害ハザードエリア」
ゴメンナサイ言いたいことが何かわかりません。災害ハザードエリアへの居住立地を防ぐということですかね?集約とあるので、災害ハザードエリアに住居エリアを集約するようにも見えてしまいます(もちろんダメです)。計画は何を指しているのか分かりません。実効性を高めるとありますが、何を実行するのかも不明です。

③建物の用途変更
 空き家を民泊施設に変更する等活用方法を考慮する。アフターコロナの現状ではインバウンド景気再浮上しており、民間宿泊施設の需要は高まっている。そのため用途地域による建築制限を緩和して空き家を民間宿泊施設にコンバージョンすることで有効活用することができる。  以上

㉛ 「考慮」→「検討」
㉜ 「景気」→「需要」
㉝ 「再浮上しており」→「再び高まっており」
㉞ 「需要が高まっている」→「供給が必要である」
㉟ 技術力示唆の観点から、緩和手法を例示すべきです(地区計画、特定用途誘導地区など)。

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