添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
続く不正
先日、社会において発生した不正事例を試験で問われることを紹介し、口頭試験対策として事例の把握が重要であることを述べました。この中で、自動車メーカー等による型式指定に係る不正行為や公益通報などについて紹介したところです。
これらの事例に加えて、昨今世間をにぎわしているのは、JR貨物の検査不整・データ改ざん問題です。貨物とは言え、輸送の安全性を軽視することは、技術者として許せません。どのような分野でも安全第一、国民の生命・財産を守ることは最重要のはずです。
安全大国日本は、雲散霧消となってしまったのでしょうか。企業コンプライアンスが声高に叫ばれている中での事件なので、法令順守意識の低下が広がっているのではないでしょうか。企業活動は利益を上げるとともに、社会に役立つ行動を旨としなければ、必ず先細るということを肝に銘じてもらいたいものです。
このような事件が増えれば、口頭試験でのネタが増えることにつながりますが、こう事件が続いてしまうのも「なんだかなぁ」という気分です。しかし、ここはしっかりと切り替えて、口頭試験にしっかり活用することを考えていきましょう。
事件の背景、なぜこのようなことが生じたのか、自分だったらどのようにしたかなど考察してみることが、そのまま口頭試験対策になります。不正事件に限らず、ただ漫然と情報を見るのではなく、自分自身の考えをもつことが大切です。このような思考を習慣づけると様々な活動に役立てることができますよ。ぜひ、お試しあれ。
論文
本日の添削LIVEは、選択科目Ⅱー1祭り第4段になります。祭りという時期でもないのですが、気候はまだまだ夏真っ盛りみたいです。秋はどこへやらですね。今年の春もあったにか、なかったのといった様子で、一気に暑くなったのが思い浮かびます。四季の風情がうしなわつつあるのも、気候変動の悪影響です。話が脱線しましたが、本日お届けする論文3本はすべて完成版になりますので、思う存分参考にしてください。それでは、早速論文を見ていきましょう。
居住環境用途誘導地区
問題:居住環境向上用途誘導地区の背景、概要、特徴、メリットを述べよ
1.背景
用途地域の第一種低層住居専用地域では、病院や小規模店舗等の建築ができない。またこれらの施設が建築可能な用途地域であっても、容積率制限が厳しく必要な床面積の確保が困難な場合がある。そのため全体の用途地域を変更せずに局所的な緩和策の導入が求められていた。
2.概要
居住環境向上用途誘導地区は、居住誘導区域内において、日用品の販売を主たる目的とする店舗や食堂又は喫茶店などの居住環境向上施設に限定して用途規制や容積率の緩和を行う。
また一方で、それ以外の建築物は従前通りの規制を適用し、居住環境向上施設を有する建築物の建築を誘導することを目的とする地域地区である。
3.特徴・メリット
居住環境向上用途誘導地区は、居住者の日常生活に必要な施設を必要な場所に誘導できることが本地区の最大の特徴であるため、以下のメリットがある。
・多様化する働き方や住まい方に対応したコワーキング施設の立地を誘導できる。
・小規模な病院や診療所の、医療設備の拡充や病床面積の増大等に伴う容積率の割増ができる。
・住宅地において、習い事教室、保育所等からなる複合施設の立地が誘導できる。
以上
駐車場配置適正化区域
問題:駐車場配置適正化区域の背景、概要、特徴、メリットを述べよ
1.背景
都市機能誘導区域の主要部は、高齢者を含む来訪者が安心して快適に移動できる空間形成が必要である。しかし医療施設・商業施設等の集積に伴い、流入交通量の増加や、多数の来街者が予想される。そのため自動車と歩行者との交錯による事故発生リスクへの対応が求められていた。
2.概要
駐車場配置適正化区域は、立地適正化計画内の医療・福祉・商業設の誘導・集積を図る区域に、路外駐車場の配置適正化と附置義務の駐車施設の集約化を図り、駐車場へ向かう自動車と歩行者の交差を少なくすることを目的とした区域である。
3.特徴 メリット
都市の機能を集約し、歩行者と車両の輻輳が見込まれる区域で、駐車場を適正に配置し、集約された都市中心部への交通量を低減できるのが特徴であり、以下のメリットがある。
(1)駐車場の出入口による歩道の分断箇所の減少により、安全・快適な歩行環境の創出が可能となる。
(2)都市中心部の自動車交通の減少により、バス等の公共交通機関の運行の円滑化が図られる。
(3)連続する街並みの形成及び土地の有効利用が図られる。
以上
低未利用土地権利設定等促進計画
問題:低未利用土地権利設定等促進計画が必要な背景及び概要、特徴とメリットを述べよ。
1 必要な背景
空き家や空き地等の低未利用土地は、地権者の利用動機が乏しく、小さく散在するため使い勝手が悪い。
よって、低未利用土地を解消するには、行政から地権者や地域住民へ、より能動的な情報提供や働きかけが求められていた。
2 概要
立地適正化計画の誘導区域を対象に、低未利用土地の地権者等と利用希望者とを、行政が所有者等の探索も含め、能動的にコーディネートの上、所有権にこだわらず、土地・建物の利用のために必要となる権利設定等(地上権、賃借権、使用貸借権の設定・移転、所有権の移転)に関する計画を市町村が作成し、市町村が、一括して管轄の法務局へ登記申請を行う。
3 特徴とメリット
低未利用土地権利設定等促進計画の特徴は、細分化された土地・建物の活用に向けた権利関係の整序に有効であることや、固定資産税情報を活用して所有者を探索できることが特徴としてあげられ、以下のメリットがある。
・個人同士の任意交渉による権利設定・移転に比べ、行政が関与するため、時間・手間を大幅に削減できる。
・小さく散在している土地を一団の土地にすることができるため、民間の投資意欲が高まる。
以上