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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ   予想問題 「二地域居住」完成

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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地域交通の確保

本日の添削LIVEは、二地域居住の完成版をお届けします。本論文でも触れていますが、地域公共交通の確保は、社会資本として欠くことができない重要な要素です。しかし、コロナ禍の影響を受け、経営が逼迫している状況が続いています。また、昨今の人手不足、2024年問題と運転手の確保もままなりません。

そんな状況の中、地域の移動手段を確保する新たな取り組みとして、ライドシェアの検討が進められています。昨年11月には、岸田首相が「都市部を含めライドシェアの喫緊の課題への対応策の議論を加速してほしい」と述べています。

また、2024年3月19日に国土交通大臣の記者発表において、ライドシェアの視察に関する視察報告と意気込みが語られています。大臣は、加賀市でのライドシェア視察の報告とともに、「地域交通の担い手不足や移動の足の不足解消は喫緊の課題であり、こうした取組により、利用者の移動ニーズに対応した交通サービスをしっかり確保していきたい」と述べています。

このように地域交通の確保は、大きな社会問題として広く認識されています。このようなテーマは、技術士の二次試験においても重要な要素となるのは間違いないでしょう。直接、問題になることも十分想定されますし、課題設定や解決策にも大いに役立つと思います。

ライドシェア

さて、注目されているライドシェアについて、改めて確認しておきましょう。ライドシェアは、簡単にいうと車の相乗りサービスです。自分の車を用いて、旅客を輸送するという昔でいう「白タク」行為です。似ている用語として、カーシェアがありますが、カーシェアは車を貸し出すサービスであるのに対し、ライドシェアはドライーバーと利用者を結びつけるマッチングサービスといった違いがあります。

車を所有している誰しもが、移動サービスを提供できるということもあり、地域交通の移動サービスを確保する上で有効と言えます。しかし、このような自家用有償運送事業そのものは、福祉タクシーといったような名称で以前から取り組まれています。

ライドシェアは、道路運送法の78条に触れてしまうので、運行できないとされてきましたが、今後、タクシーが不足する地域・時期・時間帯におけるタクシー不足状態を、道路運送法第78条第3号の「公共の福祉のためやむを得ない場合」であるとして、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること(自家用車活用事業)を可能とする許可を行っていく予定となっています。

道路運送法
第七十八条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
 公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。

国は、本年4月から、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や、一般ドライバーを活用する新たな運送サービスである「自家用車活用事業」を開始することとしています。パブリックコメントの実施もすでに完了しており、あとは実施を待つのみという状況です。

私も昔(十数年前)、相乗り型のオンデマンドタクシーを計画したことがありますが、相乗りサービスへの抵抗感は非常に高く、あまりうまくいかなかったです。最近は、シェアリングエコノミーが盛大に普及しているので、若い人を中心にその抵抗感は薄れていると思います。しかし、実際困っているのは、抵抗感が強いであろう高齢者なので、果たしてどのような結果になるのか注目です。

論文

今回投稿いただいた論文は、チェックバックになります(以前の投稿は、コチラ)。前回の時点ですでに一定水準が満たされていたので、今回で完成となります。みなさんも、構成や文脈と言った部分は参考になると思いますので、要チェックです。

問題

 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、急速にテレワークが普及した。東京の企業に勤めたまま地方に移住しテレワークを行う「転職なき移住」など、個人個人の価値観に応じた暮らし方・働き方の選択可能性を高め、住む場所に縛られない新たな暮 らし方・働き方が浸透してきている。
 このような変化を捉えて地方への人の流れを生み、地域の担い手の確保や消費等の需要創出、新たなビジネスや後継者の確保、雇用創出、関係人口の創出・拡大等に繋げていく必要がある。また、多様なライフスタイルの実現は、ウェルビーイングの向上、新たな暮らし方、新たな働き方の実現、 新たな学びの機会の創出といった効果も期待される。
 分散型国づくりや持続可能な地域活性化を実現するため、二地域居住は極めて有効な手段である。このことを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)二地域居住を推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

完成論文

1.多面的な課題
(1)いかに居住を促す環境の整備を推進するか
 コロナ禍以降、テレワーク等の普及で場所に囚われない働き方が認知され、都市部から地方への移住に関心が集まっている。しかし、都市機能が充実する都市部と比べ地方では生活サービス水準が低く、移住のハードルとなっている。そのため、一定の生活サービス水準を確保することが重要である。よって、都市づくりの観点から居住を促す環境の整備が課題である。

(2)いかに柔軟な働き方を実現するか
 近年、個人や企業では労働に求める価値観が変化するとともに、ライフスタイルも多様化している。このような状況変化に対応し、Well-Beingの実現や新たなビジネスを創出することが今後重要となる。よって、多様性の観点から柔軟な働き方の実現が課題である。

(3)いかにソーシャルキャピタルの形成を図るか
 移住・二地域居住者等の地域コミュニティへの参加は、地域活性化に繋がることが期待される。しかし、地域によっては移住者に対する寛容性が低く、地域トラブルに発展する可能性もある。よって、包摂性の観点からソーシャルキャピタルの形成が課題である。

2.最も重要な課題と解決策
 良好な居住環境の整備は移住の訴求力に直結すると考えるため「いかに居住を促す環境の整備を推進するか」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。

(1)住まいの確保
 空き屋の流動性を高め、移住者の住まいとして活用するため空き家バンクを構築する。構築にあたり、物件の位置情報に加えて、ハザードや生活支援情報等をラップさせた物件情報を提供する。居住の創出にあたっては、クラインガルテンを整備する等地域の魅力を付加する。また、暮らしが体験できるお試し居住環境を用意し、移住の前段階における支援も実施する。

(2)生活を支える都市基盤整備
①都市機能の誘導
 生活サービスが確保された市街地を形成するため、不足する施設を誘導する。具体的には、立地適正化計画を策定し都市機能誘導区域を定めた上で特定用途誘導地区を指定する。容積率及び用途制限の緩和により、誘導施設の立地を促進する。地域内に点在する公共施設については、集約・複合化により多機能化することで、施設間の相乗効果を創出し利便性向上を図る。
②公共交通ネットワークの再構築
 集約された都市機能へのアクセシビリティを確保するため、地域公共交通計画を策定し、拠点間を結ぶように公共交通ネットワークを再構築する。移動にはAIオンデマンド交通等を導入し、柔軟な移動を実現する。また、MaaSを導入し目的地への移動に伴う手続きをシームレスにすることで、効率的かつストレスの無い移動を実現させる。

(3)地域の魅力を最大限化
 テレワーク等の浸透により、自由に職場環境を選択できる一方で、住民登録等の問題があり就学環境は依然として制限されている。そのため、区域外就学制度を活用したデュアルスクールを推進する。推進にあたり、地域が有する自然や文化等の魅力を最大限に活かした教育環境を整備する。例えば、空き教室や廃校により遊休化している既存ストックを教育スペースとして利用し、ネイチャー学習を実施する。地域の魅力を活用した上で、制限のない教育環境を創出する。これにより、家族単位での二地域居住を促進する。

3.新たなリスクと対応策
 地域の魅力が向上することで、開発圧力が高まる。そのことによるスプロール化現象の発生等、自然生態系への悪影響が懸念される。
 対応策として、居住調整区域設定する自然生態系を保全すべき区域に制限を設けることにより、市街地が無秩序に拡散していくことを防止する。さらに、立地適正化計画の実行力が高まり、将来のインフラ投資の抑制といった波及効果も生じる。

4.必要な要件と留意点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。  以上

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