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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度選択科目Ⅲ 予想問題 「流域治水プロジェクト2.0」完成

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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問題の理解と的確な解答

合格レベルの論文を書くためには、問題を正しく理解することが何よりも重要です。これは、ゴールへ向かってスタートラインに立つことと同じです。ゴールを見誤るとあらぬ方向に走り出してしまいます。当然、ゴールのテープを切ることはできないでしょう。

何を聞かれているのかを理解することは、そんなに難しいことではないと感じる人は多いです。だって、日本語は読めますもん。そうなんです。これが、問題の理解を軽視する背景です。この背景が私たちを油断させ、あらぬ方向へ導く悪魔の手招きなのです。

例えば、令和4年度出題のDXの問題では、「・・・DXを進めるにあたり、・・・それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ」とあります。これを読んで、「DXの課題ね」と安直に捉えると痛い目を見ます。

例えば、DXという単語から勝手にイメージを膨らませ、なぜだかDXに関連した課題と捉えてしまう人が結構います。ミスを犯す解答者の思考を見てみますと、「デジタル技術・・・そうだ!生産性を上げると国交省の資料に書いてあったぞ、これを課題にすれば点数とれそうだぞ」と言った具合にDXの関連知識を引っ張り出し、課題に紐づけようとします。

その結果、「いかに生産性を高めるかが課題」と設定してしまうのです。良く考えてください。生産性を高めるのは、DXの効果であって、DXを進めるための課題ではないですよね。キーワードの連想ゲームで導き出された課題は危険です。連想するのはDXを進めるという部分に着眼点を置かないといけません。

もう一つのパターンは、問題の言い換えに過ぎない課題設定です。これも良くやってしまいがちなミスです。例えば、先のDXの問題で「いかにデジタル技術を活用するかが課題」という解答です。DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変えていくことですので、DXを進めることが課題と言っているようなものです。ご覧のとおり、問題と同じじゃんとなってしまいます。

そのほかにも、留意点を述べよといわれているのに、「・・・に配慮すべきである」、「・・・が重要である」と答えてしまう方も結構います。伝えたいことに差はないのかもしれませんが、的確に答えるという意味では、「・・・が留意点である」と言った具合に問われていることを明確に答えるスタイルが望まれます。

このように、一見して気が付きにくい表現も、問題を良く読むと何かずれてるなというものが結構あります。防ぐためには、問題を正しく理解するに尽きるのですが、書き始めると記述に夢中になり問題の意図を忘れてしまいます。よって、このミスを防ぐためには、一つの項目を書き終えたら問題を見返し、「ズレてないよね」と自問すると良いでしょう。

論文

さて、本日の投稿論文は、建設部門 河川、砂防及び海岸・海洋 令和6年度選択科目Ⅲ 予想問題 「流域治水プロジェクト2.0」になります。河川分野は当然のごとく重要なテーマですが、あらゆる関係者が取り組む治水ですので、必須科目やまちづくりといった観点からも重要なテーマと言えます。今回は指摘をしていますが、これを修正すれば完成と言った質に仕上がっています(前回の論文はコチラ)。それでは、早速論文を見てみましょう。

課題

1.多面的な観点からの課題と内容

(1)いかに事前防災を加速化させるか
 自然災害が激甚化・頻発化する中、5か年加速化対策により一定の効果を発揮している。一方、対策が必要な箇所が多く残っていることに加え、気候変動による水害リスクの増大が予想されている。このため、継続的な防災・減災対策を実施し、流域の安全度を向上させていくことが強く求められている。よって、強靱化の観点から、事前防災の加速化が課題である。


①「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」と正式名称を書いた方が良いでしょう。また、事前防災の加速化が課題としているにもかかわらず、これまでの取組みで効果があるという記述の必要性がありますかね。論調としては、まだまだ対策は十分でないといった形が望まれます。無くても理解できますし、課題の必要性を説明すれば良いのではないでしょうか。→「近年、自然災害が激甚化・頻発化している。しかし、災害対策が・・・」

② この内容では、対策が必要ですよというだけになっています。課題は、事前防災の加速化です。この課題につなげるためには、事後対策の不経済性や被害拡大の影響、早急な対応が必要な状況など「事前」・「加速」といった主張を補強する必要性を説明しましょう。


(2)いかにリスクコミュニケーションを促進するか
 広大な流域で治水対策への理解を得ることや円滑な事業を実施するには、多様な関係者間でのリスクコミュニケーションが不可欠である。このため、災害リスクや治水対策効果を可視化することで、治水への理解や関係者間の連携強化を図ることが重要である。よって、体制面の観点から、リスクコミュニケーションの促進が課題である。

(3)いかに災害リスクを自分事化として捉えるか
 自然災害は全国各地で毎年のように発生し、多くの犠牲者が生じている。一方、自らのリスクが高まった際でもその事象が自分事化されないことにより、的確な行動変容につながっていない。このため、災害リスクを知り、自分事として考え、さらに意識に働きかけて実際に行動に移せる社会づくりが必要である。よって、仕組み面の観点から、災害リスクの自分事化が課題である。


③ 好みの問題かもしれませんが、自分事化という表現より、当事者意識を高めるとの表現の方が広く一般に受け入れやすいと思います。→「いかに当事者意識を高めるか」

④ 一つ一つが漠然としており、どのような状況なのか理解しづらいです。また、「一方」という接続詞は、2つあるものの1つとして対比させたいときに使います。この内容は、犠牲者を生じさせている要因を説明しているのではありませんか。よって、「これは、・・・といったことが一つの要因と考えられる」といった表現がふさわしいと考えます。「リスクが高まった時」とは、「その事象」とは、「的確な行動変容」とはといった部分を具体化すべきです。→「これは、災害に対する当事者意識が欠如しているため、実際に被災した場合に的確な避難行動がとれないといったことが一つの要因と考えられる」

⑤ それぞれの主語が不明確です。知る、考えるといった行動は住民?、意識に働きかける、移せるのは行政?ですかね。この場合、一文中の主語が変わっており、誰が何をするのか分からず混乱します。行政の行動を指すのであれば、知らせ、考えさせといった促進を示す表現にすべきでしょう。また、意識変革を促す行為が社会づくりであるか疑義があります。→「災害リスクを知らせ、自分事として考えさせ、さらに意識に働きかけて、災害時に的確に行動できるよう促すことが」

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 国民の生命・財産を守るために最も効果が期待できることから、(1)いかに事前防災を加速化するかを最も重要な課題として選定し、以下に解決策を述べる。


⑥ より良いという視点になりますが、「最も効果が期待できる」と「最も重要」という表現は類似していることから、例えば「公衆の安全確保に直結するため」といったように表現が重複しないよう工夫すると良いと思います(公衆の安全は最優先すべきとの記載のある技術士倫理綱領の表現を引用しています)。


(1)   ハイブリッドダムの取組みの促進
 気候変動への適応に対応するため、洪水調節と水力発電の機能を強化させたハイブリッドダムの取組みを促進する。具体的には、雨量やダムの流入量予測し、降雨が予測されない場合は、貯水位を上昇させ、水力発電の容量を増強する。一方、まとまった降雨が予測される場合は、事前放流を行い、貯水位を低下させ治水容量を増大させる。このように天候に応じて貯水量を柔軟に変動させる。


⑦ 重複表現です。「気候変動に適応するため」、「対応するため」どちらかにしましょう。

⑧ →「を」

⑨ 発電の容量を増強との表現は、分かりづらいです。→「発電量を増加させる」


(2)粘り強い河川堤防の整備
 越水が生じた場合でも、避難するための時間の確保や浸水面積の減少を図るため、粘り強い河川堤防の整備を促進する。粘り強い構造は、表面被覆型及び自立型に分類される。表面被覆型は、土堤法面にシートやコンクリートブロック等の被覆材料を設置することで耐久性を向上させる。一方、自立型は、鋼材やコンクリート構造等によるコア部だけで自立する構造で、越水に対する性能を確保する。なお、自立型は、市街地や重要施設に近接する堤防で、用地取得が極めて困難な場合に築造される


⑩ 技術的な内容で素晴らしいのですが、ここは解決策を書くところです。粘り強い堤防の説明になってしまっています。やることとして表現しましょう。→「具体的には、土堤法面に・・・向上させる。また、市街地や重要施設に近接する堤防で用地取得が困難な場合には、鋼材やコンクリート構造等によるコア部だけで自立する構造とする。」


(3)流域治水型砂防事業
①土砂・洪水氾濫対策
 発生・被害ポテンシャル調査により選定した土砂・洪水氾濫のリスクが高い流域を対象に、土砂・洪水氾濫対策計画を策定する。策定にあたっては、河床変動計算や氾濫解析等の数値シミュレーションによって、被害予測とそれを防ぐための砂防施設配置の検討を行う。遊紗地等の効率的な施設を配備することで、砂防施設の集約、早期の効果発現を図る。
②流域流木対策
 流域全体の流木被害を防止・軽減するため、砂防・林野部局が連携した流域流木対策を促進する。具体的には、流木発生ポテンシャル調査を実施し、流木発生の抑制や流木の捕捉・処理に係る統一の計画を策定する。この計画に基づき、森林整備や治山施設による流木発生の抑制、透過型砂防堰堤等による流木の捕捉を、砂防・治山部局が連携して一体的に実施する。これにより、事業費の縮減と事業期間の短縮が図られ、早期の安全確保が可能となる。

リスク

3.新たなリスクと対応策
 上記解決策が進行することで、流域住民の避難に対する意識が低下するというリスクが発生する。 対応策として、警戒避難体制の構築支援を行う。具体的には、避難訓練、防災啓発の活動支援やマイタイムラインの策定支援を行う。以上  

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