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技術士 二次試験対策 森林部門 令和6年度 必須科目 Ⅰ 予想問題「GX 推進」

令和5年度 森林・林業白書より抜粋画像 論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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森林・林業白書

今回ご紹介する論文は、森林部門 令和6年度 必須科目 Ⅰ 予想問題「GX 推進」になります。森林部門都市うことで、林野庁のホームページで情報を漁っていましたら、令和6年6月4日に令和5年度森林・林業白書が発表されていました(林野庁の記事はコチラ)。
※トップの画像は「令和5年度 森林・林業白書」より抜粋したものです。

白書の内容を確認してみると、特集のテーマは「花粉と森林」となんとも森林っぽいなぁと感心しつつも、その下に示されているトピックスたちが時事を把握する上で、非常に参考になるものでした。

  • 国民一人一人が、森を支える。森林環境税~森林環境税の課税開始と森林環境譲与税の取組状況~
  • 合法伐採木材等をさらに広げるクリーンウッド法の改正
  • 地域一体で取り組む「デジタル林業戦略拠点」がスタート
  • G7広島サミットにおいて持続可能な森林経営・木材利用に言及
  • 令和6年能登半島地震による山地災害等への対応

また、このトピックに加え、以下の章立てが興味深いものになっています。

(第1章)森林の整備・保全
森林経営管理制度の取組事例、J-クレジット制度を活用した森林づくりの拡大、森林における生物多様性の保全等について記述

(第3章)木材需給・利用と木材産業
中高層建築物等での木材利用の拡大、木材産業の競争力強化に向けた取組等について記述

これらはGXの問題提起・解決策のキーワードとして、様々使えそうです。ぜひ、関心のあるキーワードは、ご一読いただければと思います。様々なカードを増やして、応用力を高めていきましょう。

論文

課題

(1) 森林・林業・木材分野におけるGX 推進の課題
1) 人工林管理の採算性改善
 日本の人工林では、林業採算性が低いために管理が行われずに荒廃し、CO2 吸収源機能が低下している。林業採算性が低いのは、主として木材価格の下落が原因であるが、その他には造林作業のコストの高さや収益確保に時間を要するといったこともある人工林整備を進めてCO2 吸収源機能を強化する観点から人工林管理の採算性改善が課題である。


① 林業の話と人工林の話が、混在しており分かりづらいのです。また、現況と問題点も整理が必要です。課題の構成は、現状→問題点→必要性→結論の順で述べると上手にまとめることができます。→「我が国の林業は、採算性の悪化、森林所有者の施業意欲の低下など、長期的に停滞している。この停滞は、木材価格の下落、造林コストの増加、及び収益確保に時間を要することなどを要因としている。このため、施業放棄森林が増加し、森林が持つCO2吸収源機能が低下している。」

② 観点は視点や立場なので、端的に示した方が良いと思います。また、観点というより解決策のようになっています。この内容は、必要性してしまいましょう。さらに、課題を踏まえると観点は、コスト面といったところでしょうか。加えて、結論の前には「よって」、「したがって」といった接続詞を記述し、これから結論を書きますよという意思表示をすると読みやすくなります。→「このような状況の中、・・・強化する必要がある。よって、」

③ 管理はそもそも採算性という概念はないので、違和感があります。シンプルに「林業採算性の確保が課題」としてはいかがでしょうか。


2) 中高層建築物の木造設計者育成
 中高層建築物への木材利用は、木造率が高い低層建築物の着工数が減少していることから必要である。しかし、中高層建築物の木造率は1 % 程度である。原因は、特に中高層建築物の木造設計者の不足にある都市部では、木材の主な用途である建築物においてカーボンニュートラルへの貢献が求められる観点から、中高層建築物の木造設計者育成が課題である。


④ 「も」は、ある事柄を挙げ、同様の事柄が他にある場合に用いますが、同様の内容が前述されていませんので、違和感があります。

⑤ ①と同様、課題の構成は、現状→問題点→必要性→結論の順で述べると上手にまとめることができます。また、中高層に木造が採用されないのは、コンクリートや鉄骨の建築物と比べて耐震性や耐火性が劣るからではないでしょうか。

⑥ ②と同様、長いです。⑤の問題点を無視し課題設定が正しいと仮定した場合、観点は人材面ではないでしょうか。

⑦ ⑤のとおり、課題設定に疑義があります。


3) 林地残材の効率的な確保
 木質バイオマス発電の需要は増加しており、燃料材の安定確保のために林地残材の活用が求められているしかし、林地残材は広い森林内に分散して収集が難しいことやかさばってしまうために運送が非効率的となることが原因で、30% 程度しか活用されていない一般木材の燃料材の大量確保が難しい観点から、林地残材の効率的な確保が課題である。


⑧ 再生可能エネルギーの活用が求められていることは理解できますが、木質バイオマス発電といった特定の電源の需要が伸びているのでしょうか(根拠がある場合は無視してください)。特定電源の需要からアプローチするのではなく、国内の森林資源は充実しているにものの、林地残材の利用は未だ3割程度と低水準といったアプローチに変えてはいかがでしょうか。

⑨ 集積や運搬のしにくさに加え、需要地(発電施設)が遠いことも加え、安定供給のための体制構築(サプライチェーン)といった仕組み(体制)を問題視してはいかがでしょうか(観点の前振り)。

⑩ 観点が例にもれず長く、観点というより問題点にみえます。また、課題については、前段の説明においては輸送を問題視しているように見ます。→「仕組み(体制)面の観点から、燃料生産から流通のサプライチェーンの最適化が課題」

解決策

(2) 最重要課題と解決策
 今後気候変動による災害増加が予想されるが、荒廃した人工林は災害に対して脆弱であるために、人工林管理の採算性改善が最重要課題であると考えた


⑪ 理由はもっと端的に述べると良いでしょう(スペース確保)。また、「以下に解決策を述べる」を追記しましょう。→「森林の適正な管理は防災機能の強化にも貢献するため、「・・・・」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる」


1) エリートツリーの植栽による下刈り費用低減
 人工林管理では、下刈りの費用が全体の約30% を占めている。そのために、樹高成長が早く下刈りが早期に不要となる造林品種が求められている
 そこで、再造林においてエリートツリーの植栽を行い、下刈り費用低減を図ることを提案する。エリートツリーは、従来の品種と比較して樹高成長量が優れている特徴があり、下刈りが早期に不要となる下刈り費用の低減は、人工林管理全体の費用を大きく低減させるために、採算性が改善する


⑫ 解決策では、背景や必要性は最小限にとどめ、やることをしっかりと記述すべきです。また、品種が求められていると締めくくられており、エリートツリーの開発が解決策なのかなと感じました。しかし、内容はエリートツリーを使うことになっています。少々ミスマッチにみえます。

⑬ これは、最初の文で述べており、重複しています。

⑭ 採算性を高めるための対策を書いているわけですから、この効果は記載不要と考えます。このように、長句している記述が目立ちます。これらをすべて削除すると、エリートツリーを植栽しますだけになってしまうので、冒頭にあるようにエリートツリーの開発や普及と言った側面も説明し他方が良いと考えます。


2) 早生樹の植栽による短伐期施業の実施
 造林作業の採算性を改善させるためには、短伐期施業により早期に収益を確保する必要がある。そこで、早生樹の植栽により短伐期施業を図ることを提案する。早生樹は成長が早く、20 ~ 30 年程度で主伐を行うことができるために、短伐期施業を実現し、早期に収益を確保することができる。また、早生樹の1 つであるセンダンは一般の広葉樹に比べてCO2 吸収量が多いために、吸収源機能強化にもつながる。林業における早期収益確保の実現は、再造林への意欲向上につながり、人工林管理が進む


⑮ 作業の採算性ではなく、生産性ではないでしょうか(その結果として林業採算性が向上)。

⑯ 早生樹の説明をするより、具体例を充実させた方が良いと思います。例えば、植栽試験に取り組む、スギ・ヒノキ等の従来の造林樹種以外にも選択肢を広げるための周知を図る、産学官で連携して早生樹の普及を図るなど、使う提案だけでなくどのように広めるかと言った視点も加えてはいかがでしょうか。

⑰ ⑭同様です。特筆すべき効果(波及効果)である「再造林への意欲向上につながる」で完結してはどうでしょうか。

リスク

(3) 新たに生じうるリスクとそれへの対策
1) 新たに生じうるリスクについて
 解決策の実施により、主伐・再造林が進んだ場合には、エリートツリーや早生樹の苗木が需要に対して不足するリスクが考えられる。苗木が確保できない場合には、植栽が行われなくなることで再造林が停滞してしまうが、苗木生産事業者だけで対応するのは難しい。

2) 対策
 対策としては、苗木増産技術の開発により苗木生産事業者を支援することを提案する。具体的には、採種園等の造成を進めて原種苗木の増産を行うことや苗木生産事業者への技術指導を行うことがある


⑱ 誰が支援するのですか。主語を明確にしましょう。

⑲ これも⑱同様、誰が行う行動なのか分かりません。

⑳ これも主語が無いのと、文末が冗長的です。端的に「・・・を行う」とした方が良いですね。

要点・留意点

(4) 技術者としての倫理、社会の持続可能性
1) 技術者としての倫理
 エリートツリーや早生樹には生育適地があり、全ての土地で生育が良好にはならない。しかし、採算性改善のために無理に植栽することは、不成績造林地を発生させて土砂災害等を誘発し、国民の生命財産を脅かす。そのために、生育適地を無視して植栽を行わない


㉑ 要点なのか留意点なのか判然としません。聞かれていることに的確に答えるために、文末は「・・・行わないことに留意する」または「・・・行わないことが要点である」と明確にしましょう。さらに、留意点が限定的過ぎるように感じます。もっと幅広い視点での記述が望まれます。


2) 社会の持続可能性
 SDGS 目標15 実現のためには、森林環境を保全する必要がある。そのためには、過剰伐採や盗伐によって森林環境が悪化しないことが大事である違法木材が流通・利用されないようにするためには、クリーンウッド法や森林認証制度を活用していく。 以上


㉒ これも㉑と同様です。大事なことではなく、要点・留意点を書きましょう。

㉓ これが業務上の要点・留意点なのか疑義があります。

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