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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度 選択科目Ⅲ 予想問題 「デジタル技術を活用した防災・減災」

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【 技術士 二次試験対策 】

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防災・減災プロジェクト

本日お届けする論文は、建設部門 令和6年度 河川砂防及び海岸・海洋 選択科目Ⅲ 予想問題 「デジタル技術を活用した防災・減災」になります。令和5年度の必須科目で巨大地震が出題されましたが、地震災害は能登半島地震をはじめ、多くの災害が今なお続いています。これらの状況を踏まえると、選択科目で防災・減災関連の出題が想定されます。さらに、投稿者は、この防災・減災に、生産性向上などで注目されるデジタル技術を絡めて、想定問題を作成されています。とても良い視点ですよね。

この論文に関連して紹介したい国の取組みは、防災・減災プロジェクトです(国交省のページはコチラ)。国交省では、国土交通省として総力を挙げて防災・減災に取り組むべく、令和2年1月に「国土交通省 防災・減災対策本部」を設置し、令和2年7月に「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」として施策をとりまとめています。

令和5年度のプロジェクトテーマの一つとして、「デジタル等の新技術を活用した防災施策の推進」が示されています。まさに、今回の投稿いただいたテーマと合致していますので、論文とともにチェックして見てください。主な内容は、以下の通りです。

〇被害状況の把握の冗長化・迅速化等を図るため、新型ドローンの活用、AIによるカメラ画像の自動判読・浸水範囲等の自動抽出ツールの実装など、デジタル技術の積極的な活用について検討を行う。

〇三次元点群データによる面的な地形状況の把握、ドローン・AI等の技術の活用により維持管理の高度化等を図り防災力の向上を図る。

〇レーザプロファイラなど、高度化された点検手法により災害リスクを可視化し、優先箇所を選定するなどリスクアセスメントを推進する。

〇3D都市モデルを活用したリスクコミュニケーションやイノベーションを創出するため、ツールの開発・実装や自治体向け研修等を推進する。

いろいろ、応用できそうな取り組みですね。それでは、早速論文を見てみましょう。

論文

問題

(1)デジタル技術を活用して防災・減災、国土強靱化の取組みを推進するに当たり、
技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、
その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても生じうるリスクとそれへの対策について専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

課題

1.デジタル技術を踏まえた防災・減災の課題
(1)防災デジタルに関わる人材の育成
 激甚化・頻発化する自然災害に対し、防災・減災、国土強靱化の施策を効率的に進めるためには、デジタル技術の活用が不可欠である。このため、防災・減災のDX化を促進し、ITリテラシーを備えた人材を育成していく必要がある。よって、人材面の観点から、防災デジテルに関わる人材の育成が課題である。


① いきなり「不可欠である」という主張をするより、不可欠であることを共感してもらう必要があります。よって、文章構成を現状→問題点→必要性→結論の順で書くと良いでしょう。

② DX化を促進することで、人材育成を図っていくように見えます。人材育成が手段で、その結果がDX化誰図るのではないでしょうか。また、ITリテラシーを備えた人材を育成する必要はないと思います。ITリテラシーを備えた人材を確保するために教育するのではないでしょうか。

③ 人材面の観点から人材育成ですとちょっと重複気味ですね。

④ 上記を踏まえて再構築すると、例えば次のようになります。
→「生産年齢人口が減少し続ける中、自然災害は激甚化・頻発化している。この労働力の低下により、防災・減災、国土強靱化の実現が難しくなっている。このため、デジタル技術を活用し生産性を向上させることが急務であり、ITリテラシーを備えた人材の確保が必要である。よって、人材面の観点から、防災関連従事者のデジタル技術習得が課題である。」


(2)復旧の迅速化
 災害発生時には、通信、交通、水道、電気など様々なインフラが破壊され利用できなくなる。被災者が元の生活に戻れるよう早期の復旧作業が必要である。しかし、災害時は自治体職員も多くの対応に追われ、復旧作業を行う人員が不足する。このため、デジタル技術を活用し、職員間の情報共有や作業の効率化を図り、早期復旧を実現することが重要である。よって、しなやかさの観点から、復旧の迅速化が課題である。


⑤ 前述にもしなやかさを示唆する説明がなく、観点が何を言いたいのか良く分かりません。前述の内容を踏まえると「体制面の観点から、デジタル技術の活用を前提とした事前復興準備が課題」といった課題設定はいかがでしょうか。※この項目の構成はGOODです。


(3)防災情報の高度化
 災害時はインフラが十分に機能せず、避難情報や被害状況といった重要な情報の伝達が困難になる可能性がある。それにより避難が遅れたり、危険な場所に近づき更なる被害拡大を招くおそれがある。このため、デジタル技術を活用し、迅速かつ正確に防災情報を提供・共有することが重要である。よって、技術面の観点から、防災情報の高度化が課題である。


⑥ 「・・・たり」は連続して用います。また。口語調なので、「や」でつないだ方が良いと思います。→「非難の遅れや」

⑦ 前述の内容を踏まえると、情報提供の迅速化・多様化といった視点も必要ではないでしょうか。

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 公衆の安全確保に直結することから、「(3)防災情報の高度化」を最も重要な課題として選定し、以下に解決策を述べる。

(1)   防災気象情報の高度化
 地域の防災対応や住民の早期避難に資するため、線状降水帯や台風等の予測精度を高度化する。具体的には、人工衛星による観測の強化、最新のスーパーコンピュータシステムの強化、デジタルテストベッドの活用によって気象予測精度を向上させる。これにより、事前の防災体制の構築やハイブリッドダムにおける事前放流やダムの高度な運用を実現する


⑧ 河川砂防の選択科目Ⅲなので、予測精度を高める方法論は、これぞというものに限定し、予測精度の高度化と事前の防災体制の構築(具体性に欠けます)との関係性や、ダム運用についての説明に力点を置くべきです。


(2)リスク情報の可視化
 リスクコミュニケーションを促進するため、災害リスクや治水対策効果を可視化する。具体的には、3D都市モデル(PLATEAU)や流域治水デジタルテストベッドを活用し、仮想空間に洪水等の浸水エリアを再現し、3D化によるリスク情報を可視化する。また、避難行動のシミュレーションを実施し、時系列ごとに浸水リスクを考慮した避難経路をわかりやすく可視化する。これにより、住民の避難行動の変容を促進する。


⑨ エリアですと2次元のマップで足りてしまうので、水害の状況を再現ですかね。また、「3D化によるリスク情報を可視化」という表現も分かりづらいです。3D化と可視化という用語を両方使いたい気持ちは分かりますが、知識の豊富さを示すより、分かりやすさにプライオリティを置くことを意識した方が良いと思います。→「・・・活用し、仮想空間に洪水の状況(浸水範囲、浸水深、浸水速度、被害状況など)を分かりやすく再現する。」


(3)ワンコイン浸水センサの活用
 堤防の越水や決壊、浸水状況を速やかに把握し、迅速な災害対応や地域への情報発信を行うため、ワンコイン浸水センサを設置する。具体的には、堤防や流域内の現地に設置されたセンサと受信機からなるシステムで、リアルタイムで浸水範囲や浸水深を把握することができる。これにより、住居や車両の浸水被害への保険金支払い等、迅速な対応が可能となる。


⑩ このような効果はあると思いますが、冒頭の目的とずれています。波及効果として書いているならば、その旨をかくべきでしょう。しかし、保険の話より建設部門の技術者としてもっと書くべきことがあるはずです。例えば、ワンコインセンサのメリット・特徴、冒頭にある災害対応や情報発信など情報把握後の対応について述べるといったことが考えられます(建設技術者として優れていることをアピールする意識が大切です)。


(4)AI技術の活用
 迅速な災害対応に資する情報を有効活用するため、AI技術を活用する。具体的には、SNSを介して収集した防災情報をリアルタイムで共有する防災チャットボットを導入する。また、土砂災害時のヘリ撮影画像や衛星画像のデータとAI技術を活用し、被災範囲等を即時に判読するシステムを導入する。さらに、避難指示発令に必要な防災情報を迅速に抽出し、地区単位でリスク指標を表示するシステムを導入する。これにより、災害時の警戒避難の支援や人手不足の解消を図る


⑪ AI技術の活用が分かりづらいですね。「AIがリアルタイムで分類を行い、その被害情報を地図上にマッピングする、push型の情報提供をする」といった仕組みを説明するとよいでしょう。

⑫ 当たり前なので、不要。

⑫ 解消はちょっと言い過ぎに感じます。また、これも波及効果である旨を示した方が良いですね。→「・・・支援が図られるとともに、災害対応の省力化といった波及効果も生じる。」

リスク

3.新たなリスクと対応策
 デジタル技術に依存することにより、防災・減災分野での技術開発や現場対応力・判断力が低下する。これにより、災害対応や維持管理に支障が生じ、人命に関わる災害が起こるリスクが発生する
 対応策としては、VR・MRによる技術者育成システムや現場実務経験機会の確保、OJT(職場内研修)の実施、新たな資格制度等、建設技術者の育成制度を導入する。 以上


⑬ 「技術開発・・・が低下する」開発が低下という表現に違和感があることに加え、依存するとなぜ開発されなく名乗るかと言った因果関係も不明です。さらに、解決策に開発促進に関する記述もありません。

⑭ 維持管理に関する記述はこれまでになく、唐突感があることと、なぜ維持管理に支障が生じるのかも分かりません。

⑮ 災害が起こるリスクは、何をやろうと変わらないのではありませんか。ここで言いたいのは、被害ではありませんか。また、「被害が起こるリスクが発生する」との表現は冗長的です。→「人命に関わる被害となるリスクがある。」

⑯ より一層という主旨の方が的確だと思います。→「充実を図る」

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