試験対策のバイブルが公表
【 技術士 二次試験対策 】
第1部に注目
令和6年6月28日に「令和6年版国土交通白書」が公表されました(白書はコチラ)。技術士受験生は、一度はこの白書に目を通すのではないでしょうか。それくらい大切な資料ということです。その最新版が、この度公表されたので、早速見てみることにしましょう。
国土交通省白書は、2部構成となっています。第2部は、例年構成は変わらず各分野の取り組み状況を報告する形をとっています。注目すべきは第1部の記載事項です。国土交通省が特に力を入れている取組みが紹介されています。令和5年度の国土交通学所の場合は、「デジタル化で変わる暮らしと社会」といったテーマでした。
令和6年度のテーマは、「人口減少と国土交通行政」です。人口減少、人口減少です。2回も言ってしまいました。つまり、これまで出る出るいっていた働き方改革、生産性の向上、担い手確保といった出題テーマはますますきな臭いと言えます。もう盤石といっていいのではないでしょうか。
しかも、「令和6年版国土交通白書」の副題は、~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~です。これは、何を意味しているのでしょうか。「持続可能な暮らしと社会の実現」ですよ。持続可能で思い浮かべるのは...そうです!脱炭素社会!!つまりGX!!!あーもう、これまでの分析とピッタリ整合しています。
報道発表では、次のように述べています。
「今回の白書は、深刻な少子高齢化と人口減少に直面している我が国の現状を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとしました。人口減少の影響を最小限に抑えるため、防災、まちづくり、公共交通、物流、インフラなど、国土交通分野における施策の方向性を示した上で、今後の「持続可能で豊かな社会像」を展望しています。」
やっぱり、この2つが大注目であることが令和6年度白書からも裏付けされています。
記載の内容は、以下のとおりとなっています。
第I部 持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦
第1章 人口減少と国土交通行政
第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して
第2章 国土交通分野における取組みと今後の展望
第1節 国土交通分野の現状と方向性
第2節 望ましい将来への展望
特集 令和6年能登半島地震への対応
令和6年能登半島地震について、国土交通省の対応を紹介
第II部 国土交通行政の動向
国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告
やはり気になるのは、第一部ですね。概要を中心にチェックしていきましょう。
第一部
第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
第1節では、担い手不足の深刻化が懸念される中、これらの問題を解決する取り組みとして次の2つが示されています。
(新技術の活用による省人化・省力化)
人口減少による労働力の減少が見込まれる中では、新技術の活用により省人化・省力化を図り、生産性を向上させていくことが重要である。
(例)インフラ施設の保守・点検業務におけるドローンの活用、移動・物流サービスにおける自動運転技術の活用
(イノベーションの創出)
生産性を飛躍的に向上させるためには、従来の枠組みにとらわれないイノベーションの創出も重要である。また、先進的な技術やアイデアを強みに新しいビジネスを創り出すスタートアップへの支援や産学官連携の推進等、イノベーションの創出につながる取組みを加速化させることが重要である。
やっぱり、キーワードは生産性の向上ですね。それを実現するための手段として、イノベーションの創出が挙げられています。また、個人的に興味深かったのは、コラムにある「3Dプリンタ技術による住宅建築の省人化・省力化」です。もう、私にとっての未来です。
その他にも、将来の生産年齢人口の減少に対する取り組み、高齢社会と地域活力の維持に向けた取り組みに関する事項に触れています。主なトピックは以下の通りです。
将来の生産年齢人口の減少
①男女共に子育てしやすい就業環境の整備
(女性の柔軟な働き方の推進)
(男性の育児休業取得の推進)
(就労を支援する保育環境の整備)
②子育てしやすいまちづくり
(子育てしやすい居住環境・住環境の整備)
(習い事等への子どもの移動手段の確保)
(安全・安心に過ごせる公園の整備)
高齢社会と地域活力の維持
(生活サービスを維持する地域づくり)
(関係人口の創出・拡大)
(インフラ維持管理の効率化)
(賑わいの創出による地域活性化)
第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して
第2節は、海外と比較して日本の危機的な状況を説明しています。その内容は、次の通りであり、これまでの状況をおさらいしているといったところでしょうか。
「少子高齢化・人口減少が進展する中、未来につながる変革と持続可能で豊かな社会の実現に向けて、担い手不足を補う労働力の確保や生産性の向上、出生率の向上に向けた就業・子育て環境の改善、賑わいの創出や関係人口の創出・拡大による地域の持続性確保が求められる。」
第2部
第2部は、いつも通りといった感じです。目次と主な記載内容だけ、掲載しておきますので、ご自身の論文で活用できそうなところをチェックすると良いでしょう。特に、キーワード学習で、最新情報を確認するのに役立ちそうです。また、解決策の具体例などを補強するのにも使えます。全部読み込むのは、メチャクチャ時間がかかりますので、今年度受験生は上手に白書を活用すると良いと思います。
第1章 時代の要請にこたえた国土交通行政の展開
→国土政策や取り組みの概要
第2章 観光立国の実現と美しい国づくり
→観光に関する取り組み
第3章 地域活性化の推進
→地域活性化(コンパクトシティ、移動手段確保、民間開発)に関する取り組み
第4章 心地よい生活空間の創生
→居住、自転車・歩行者空間、交通に関する取り組み
第5章 競争力のある経済社会の構築
→交通ネットワーク、物流、産業活性化に関する取り組み
第 6 章 安全・安心社会の構築
→ユニバーサルデザイン、災害に関する取り組み
第 7 章 美しく良好な環境の保全と創造
→環境に関する取り組み
第8章 戦略的国際展開と国際貢献の強化
→インフラシステムの海外展開に関する取り組み
第9章 DX 及び技術研究開発の推進
→デジタル技術の活用に関する取り組み
キーワード分析などは、また来年度の受験準備でやります!今はとにかく、キーワード学習や解決策の記述に役立てましょう。時間は有限です。今年度受験生は、深追い厳禁、確認程度にしておくと良いと思います。