添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
選択科目Ⅱにおける作文上の注意点②
本年、最初の添削LIVEは、選択科目Ⅱー1、Ⅱー2をお届けします。選択科目Ⅱは、専門科目についての記述になるので、知識は十分に備わっていると思います。普段の業務に関する事柄多く、仕事の延長線上にある問題と言えます。
その反面、分かったつもりでいると大きなミスにつながります。聞きなれた用語は、自分自身のオリジナルの解釈になっていませんか。理解に不足は、ありませんか。普段使い慣れているが故の見落としが、潜んでいることが往々にしてあります。
この試験勉強を機に、改めて専門用語の確認をしてみましょう。定義や特徴は、国のホームページに記載されている事項が正解と心得てください。様々な解釈や広義の定義がある用語もありますので、国ではどう定義しているのかといった視点が必要になります。
専門家でありますので、用語の使用ミスはかなり恥ずかしいです…専門家は、専門用語の使い方に責任が伴います。あやふやな理解は、最も忌避すべきことです。徹底的に調べ、深い理解のもと使用することが肝要です。
また、資料を見るときは、サラッと文字面をさらうのではなく、理解しながら読むことを意識しましょう。目的が試験合格なので、どうしても必要な情報を最低限取得したいという気持ちになりがちですが、用語の理解だけでなくその周辺の知識も一緒に理解すべきでしょう。
これらの行動により、用語の理解が深まるとともに、応用力が高まり幅広い問題に対応できるようになります。また、今行っている勉強は、技術士になるためのものです。技術士は、専門家としての能力が備わっている人という目で周囲から見られます。その時に、専門用語の説明が浅薄であったときは、一挙に信頼を失うことになります。
今だけを考えるのではなく、将来技術士になった自分のための勉強をすることが大切なのです。
論文
本日の投稿論文は、建設部門 都市及び地方計画の選択科目Ⅱー1、Ⅱー2なります(以前の添削はコチラ)。今回は、2回目のチェックバックになりますので、質も上がってきてます。しかし、今時期は妥協せず、自分の足りないところを見定めながら徹底的に遂行するのが得策です。それでは、早速論文をみてみましょう。
PFI事業の特徴チェックバック②
(1)PFI事業と従来型の公共事業の比較と特徴
比較と特徴として、次の3点があげられる。
1点目は、財源である。従来型の公共事業の財源はすべて公的資金であるのに対し、PFI事業の財源は民間資金を活用する。
2点目は、運営である。従来型の事業では、安定して公共サービス提供ができる一方、PFI事業では民間のノウハウや、創意工夫による効率的・効果的な公共サービスの提供ができる。
3点目は、リスク負担である。従来型では、公共セクターが全リスクを負担するが、PFI事業ではリスクを最も効率よく管理することができる者が当該リスクを分担する。
(2)PFI事業により期待される効果
①コスト削減
民間事業者の資金とノウハウを活用することで、イニシャルコストや運営コストの削減が期待できる。
②効率性の向上
市場競争原理により、効率的な社会資本整備が可能である。また、設計から運営まで一元的に管理することで、事業全体のリスク管理も効率的に行える。
③経済の活性化①
従来の公共事業を民間に委ねることや、他の収益事業と組み合わせて事業を行うことで、民間に対して新たな事業機会をもたらことができる。② 以上
① 従来方式であっても、仕様発注されるので、社会に投下される公共資金は、そんなに変わらないのではありませんか。民間資本を活用するので、短期的に見れば小さいとも言えます。
② PFIの効果は、主に3つです。記載にある「コスト」、「効率性」に加え、一般的には「サービス」です。社会資本の効率的整備のほか、同じコストで質の高いサービスが得られること、または同じ質で安くできることがメリットです。
小規模な土地区画整理事業チェックバック②
1. 調査、検討すべき事項とその内容
(1)上位・関連計画の調査
自治体の総合計画等から、都市の目指す方針を把握する。また、立地適正化計画等の関連計画から都市機能の誘導方針を確認する。これらの計画に位置付けられている都市機能が本事業で誘導できるか検討する。
(2)区画整理手法の検討
都市計画基礎調査等から、既成市街地での宅地の位置や低未利用地①を把握する。また、インフラ整備状況を把握するため、都市基盤の整備状況を確認する②。これらから、対象区域に適する集約換地や敷地整序型土地区画整備事業等の区画整理手法を検討する。
① 低未利用地は何を把握するのですか。宅地と同じなら、「や」の位置がおかしいですね。→「既成市街地での宅地や低未利用地の位置を把握する。
② 前段と後段は同じことを述べています。
(3)権利関係の把握
事業の対象となりうるエリアでの、空き家や空き地等の権利者を確認する。また、土地の登記情報から土地所有者の数や登記簿の状況を把握する③。これらの情報を基に、所有者不明土地の有無や位置④を確認する。
③ 登記情報から登記簿の状況を把握とはいったいどのような行動なのでしょうか。手段と結果が同じに見えます。登記簿の状況とは何か(面積、所有権以外の権利など)を明確にしましょう。
④ 登記情報を確認する段階では、その位置は把握されているのではありませんか。また、見出しは、権利関係の把握になっています。
②施工区域及び誘導施設整備区の設定
土地区画整理事業の施行区域や誘導施設整備区を設定する。設定に際しては、移転補償物件は必要不可欠な物件のみを対象とする等、事業区域を最小限となるような工夫を行う⑥。
⑥ 構文がおかしいです。また、工夫というより留意点ではないでしょうか。→「最小限の事業区域となるよう留意する」
③目指すべき都市の方針の検討
前述の課題や上位・関連計画を踏まえ、土地区画整理事業を通じた目指すべき都市の方針⑦を検討する。
⑦ 目指すべき都市の方針は、上位計画に示されているのではありませんか。都市というと大風呂敷すぎるので、ここでは「土地利用・誘導施設の方針」程度のレベル感で良いのではないでしょうか。
④地元との合意形成及び施策の立案
まちづくりの方針⑧や事業に内容について、地元との合意形成を図り、土地区画整理事業の手法⑨を決定する。⑩
⑧ 都市の方針?ゆれていますね。同じ意味なら、統一しないと混乱を招きます。
⑨ 事業手法の決定プロセスは、地元との合意形成だけなのはいささか説明不足に感じます。
⑩ ここにこそ、合意形成を円滑化する方法として「見える化」を提案すべきではないでしょうか。
⑤実施主体の選定
土地区画整理事業の実施主体を設定する⑪。民間開発の機運が高まっている場合は、一体的整備を検討する等、地域の実情に合わせた事業となるよう留意する。
⑪ 主体は、手法とセットではありませんか。
⑥費用便益の分析及びスケジュールの設定
社会経済的な側面から事業の妥当性を評価するため、地価関数等を用いて費用便益分析を行う⑫。また、実施までのスケジュールを設定する。空洞化が進行する市街地等の地域特性を考慮する場合は、地価関数に公共施設までの距離を変数に加える等の工夫を行う。
⑫ 主体が誰だか分かりませんが、社会経済的な妥当性を評価するのはなぜですか。小さな区画整理は、スポンジ化対策や誘導施設整備が目的であり、社会的意義を判断する必要があるのでしょうか。そもそも、公共施設投資がない場合もありますし、事業計画上の均衡がとれてればよいような気もします。いずれにせよ、費用便益分析を行う目的が釈然としません。
3.調整方策
関係者との調整は、客観的な情報に基づき実施する。
小規模な土地区画整理事業では、都市計画決定を必要としないことから、住民に対しては、⑬住民に対しては、一方的な情報提供ではなく、懇談会やワークショップを通じて双方向かつ具体的に調整する。以上
⑬ 不要。また、地元、住民と表現がゆれています。⑧のとおり、統一しましょう。