求められている都市構造を理解しよう
【 技術士 二次試験対策 】
都市も“健康診断”の時代へ
最近は寒い日が続き、体調を崩してしまった方も多いのではないでしょうか。かく言う私も、忘年会の疲れが出たのか少し風邪気味です。体調を崩すと、普段は意識しない“健康のありがたみ”が身にしみますよね。実は、都市も同じように体調を崩していると言えます。気候変動や超高齢化社会といった“病原体”にじわじわと侵されつつあり、放っておけば症状は悪化する一方です。
立地適正化計画は、人口減少時代の都市をどう元気に保つかという、いわば“都市の健康管理ツール”として誕生しました。制度開始から10年が経ち、国は次のステージに向けた方向性を示しています。今後のキーワードは、「作る計画から、育てる計画へ」です。都市も人間と同じで、一度計画を立てたからといって健康が保証されるわけではありません。むしろ、定期的なチェックと改善が欠かせないのです。
その象徴が、国が推進する「まちづくりの健康診断」です。人口動態、都市機能の集積状況、公共交通の利用状況、誘導区域の実績などを定期的に分析し、必要に応じて計画を見直します。これまでの都市計画は“作って満足”になりがちでしたが、今後は“毎年の健康診断を欠かさない優等生”のように、継続的な改善が求められます。都市も生活習慣病にならないよう気をつけなければいけません。
また、広域連携の重要性も増しています。住民の生活圏は行政界を軽々と越えていきますから、都市機能の配置や公共交通ネットワークも広域的に考える必要があります。立地適正化計画も、市町村単位のパズルから、広域のジグソーパズルへと進化していくのです。
もちろん、計画を運用するためには人材も欠かせません。都市計画の専門人材は全国的に不足しており、特に小規模自治体では職員の負担が大きくなりがちです。国は今後、研修や外部専門家の活用支援などを通じて、人材面でのサポートを強化する方針です。都市の未来を守るには、計画だけでなく、それを支える“人”の育成も重要なのです。
ということで、みなさん!技術士を取得して、都市の救世主になりましょう。
立地適正化関連の選択科目Ⅱー1
この時期は、知識を蓄える時期と言っても良いでしょう。多くの人はたくさんの経験を持っていると思いますが、断片的な情報であったり、偏った知識であったりと試験に向けては、一定の補強と知識の体系化が不可欠です。よって、今回の添削LIVEは、選択科目Ⅱー1をたくさんお届けいたします。それでは、早速論文を見ていきましょう。
立地適正化計画-作成主体、都市機能-居住誘導の内容
立地適正化計画を展開する上での計画作成主体と都市機能・居住誘導の制度を述べよ
1.立地適正化計画の作成主体
立地適正化計画は、住民に最も身近でありまちづくりの中核的な担い手である市町村が作成する。
複数の市町村で構成されている広域都市計画区域の場合は、当該区域の構成市町村が共同・連携して立地適正化計画を作成する。その場合、都道府県が広域の見地からの調整を図る。
2 都市機能誘導区域について
都市機能誘導区域は、居住誘導区域内で設定される。医療・福祉・商業等の都市機能を、都市の中心拠点や生活拠点に誘導して集約することにより、これらのサービスの提供が図られるよう定める。
一定のエリアと誘導したい機能、当該エリア内において講じられる支援措置を事前に立地適正化計画に明示する。
3 居住誘導区域について
居住誘導区域は、一定のエリアにおいて、人口密度を維持し、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるように居住を誘導すべき区域である。
そのため、居住誘導区域は、都市全体における人口や土地利用、交通や財政、災害リスクの現状及び将来の見通しを勘案しつつ、地域における公共投資や公共公益施設の維持運営などの都市経営が効率的に行われるよう定める。 以上
立地適正化 制度
立地適正化計画の各誘導区域内外における市街化の適正化に資する制度を述べよ
1 都市機能誘導区域内
(1)特定用途誘導地区
都市機能誘導区域内に特定用途誘導地区を定め、誘導施設に限定し容積率や用途規制の緩和を行い、誘導施設を有する建築物の立地を誘導する。例えば、老朽化した医療施設等の建替え、増築や新築の際に容積率や用途規制の緩和を適用する。
2 居住誘導区域内
(1)都市計画・景観計画の提案制度
従来の提案制度に加え、民間事業者等(居住誘導区域内に20戸以上の住宅を整備する者)は、良好な居住環境のための地区計画を提案することができる。
(2)居住環境向上用途誘導地区
居住誘導区域内に居住環境向上用途誘導地区を定め、居住環境向上施設に限定して容積率や用途規制を行い、日常生活に必要な施設の立地を誘導する。
3 居住誘導区域外
(1)居住調整地域
居住誘導地域外(市街化調整区域を除く)で、居住調整地域を指定し、宅地開発を抑制するため、開発を原則禁止する。
(2)特定用途制限地域
非線引き白地地域に特定用途制限地域を指定し、市街化を促進する大規模集客施設の立地制限や、住宅の無秩序な立地を制限する。 以上
集約型都市構造の背景等
集約型都市構造の推進の背景と立地適正化計画の目的と手法を述べよ
1 集約型都市構造の推進の背景
高度成長期に都市部への人口集中が進み、市街地が拡散した。近年では、長期的な人口減少によって、市街地の低密度化(都市のスポンジ化)が進行している。
また一定の人口密度に支えられた各種の都市機能の維持が困難となっている。
そのため、市街地を中心とした居住を集積するとともに、市街地に商業業務、医療、福祉の都市機能の集約立地を進める必要がある。
2 立地適正化計画の目的
立地適正化計画は、市町村マスタープランの高度化版である。居住や都市を支える都市機能の誘導によるコンパクトなまちづくりを進める。また、地域公共交通の連携により、拠点を結ぶネットワークを構築する。この2つに取組みにより、コンパクトプラスネットワークのまちづくりを進めることが目的である。
3 立地適正化計画の内容
市街化区域内に、一定の人口密度を維持する居住誘導区域と、医療・福祉等生活に必要な都市機能を誘導する都市機能誘導区域を設定する。この区域に特定用途誘導地区を指定し、建物用途の規制緩和策などにより、人や施設の集約を図る。また地域公共交通計画を策定し、拠点を結ぶ公共交通ネットワークの最適化により、移動の利便性を高め、人口減少下における都市の再生と維持を目指す①。 以上
① 小見出しには立地適正化計画の内容とあります。また、問題文には「手法を述べよ」とあります。題意に即してないですね。防災指針の説明がないので、これを述べてはいかがでしょうか。

