各種整理手法で体系化・構造化
【 技術士 二次試験対策 】
キーワードの整理整頓手法
前回の記事(前回の記事はコチラ)では、令和8年度予算からキーワードや政策の傾向を抽出しました。しかし、抽出した情報をそのまま放置してしまうと、活用の場がなく“宝の持ち腐れ”になりがちです。大切なのは、その先にある情報整理のプロセスです。
整理に当たっては様々な手法が存在し、それらを上手に使って構造化します。これにより、知識が記憶として定着し、さらに応用力として使いこなせるレベルへと昇華していきます。情報を整理する習慣こそが、技術士試験に必要な思考力を鍛える最短ルートなのです。
技術士二次試験では、「複雑な情報を整理し、論理的に構造化して説明する力」が問われます。そこで役立つのが、マインドマップ、ロジックツリー、MECEという三つの思考整理法です。まずマインドマップは、中心テーマから放射状に関連情報を広げていくことで、頭の中の知識を“見える化”し、全体像を直感的につかむのに適しています。論文テーマの背景や関連要素を漏れなく拾う段階で特に力を発揮します。
一方、ロジックツリーは「課題→原因→解決策」や「背景→課題→効果」といった因果関係を階層的に整理する手法で、論文の骨格を作る際に非常に有効です(試験当日の骨子づくりもコレ)。技術士試験で求められる“論理の一貫性”を自然に生み出せる点が大きな強みです。
そしてMECE(ミーシー)は、情報を「漏れなく・ダブりなく」分類するフレームワークで、論文の章立てやキーワード整理に使うと、構造が美しく整い、読み手にとって理解しやすい文章になります。
これら三つの整理法は、思考の広がり(マインドマップ)、論理の流れ(ロジックツリー)、構造の整合性(MECE)という異なる役割を持ち、組み合わせることで技術士試験に必要な“構造化力”が飛躍的に高まります。まさに、合格答案を作るための三種の神器と言える存在です。
建設部門のキーワードを参考に以下に例示を示しますので、自分なりの整理整頓にお役立てください(暗記じゃなくて、自分自身で作成することに意味がありますので要注意)。
マインドマップ
- 建設部門の論文構成にお役立ち
→「社会的要請 → 技術課題 → 解決策 → 技術士の責務」の流れが自然に作れる。 - 口頭試験で“どこから聞かれても返せる”構造
→ 例えば「老朽化対策」を聞かれても、「維持管理」「リスク」「DX」「責務」へ自在にリンクできる。 - 構造化の相性抜群
→ 枝同士の関係性が明確で、論理展開が美しくなる。
【建設技術者としての責務】
├─ 公衆の安全確保
│ ├─ 災害対応(地域の守り手)
│ ├─ 適正な施工管理
│ └─ 信頼性の高いインフラ提供
├─ 品質確保
│ ├─ 品確法の趣旨(品質・適正価格・適正工期)
│ ├─ 労務費の基準遵守(中央建設業審議会)
│ └─ 技術基準・契約約款の遵守
└─ 倫理・説明責任
├─ 公正性・透明性
└─ 発注者・住民への説明責任
【社会的要請(国の政策)】
├─ 持続可能な建設業の実現
│ ├─ 処遇改善(技能者の賃金確保)
│ ├─ 適正な価格転嫁(資材高騰対応)
│ └─ 不当に低い請負代金の禁止
├─ 働き方改革
│ ├─ 週休2日(4週8休)
│ ├─ 適正工期の設定
│ └─ 長時間労働の是正
├─ インフラ老朽化対策
│ ├─ 点検・診断の高度化
│ ├─ 予防保全
│ └─ 更新・延命化
└─ 防災・減災/レジリエンス
├─ 浸水・土砂災害対策
├─ 耐震・耐風
└─ 事前復興
【建設DX(国交省の重点施策)】
├─ ICT施工(i-Construction)
│ ├─ ドローン・TS・3D計測
│ ├─ ICT建機
│ └─ 出来形・品質のデジタル化
├─ BIM/CIMの原則適用
├─ データ利活用(AI・IoT)
└─ 電子申請・電子契約(JCIP)
【建設プロジェクトマネジメント】
├─ QCDSE管理
├─ リスクマネジメント
│ ├─ 施工リスク
│ ├─ 自然災害リスク
│ └─ 社会的リスク(合意形成)
├─ ステークホルダー分析
└─ 合意形成
├─ 住民説明
├─ 関係機関連携
└─ トラブル予防
【専門技術(建設部門コア)】
├─ 設計(構造・地盤・水理)
├─ 施工(計画・安全・品質)
├─ 維持管理(点検・診断・補修)
└─ グリーンインフラ・環境配慮
【統合的視点】
├─ SDGs/ESG
├─ 地域活性化(防災・交通・観光)
├─ コスト縮減と価値創造
└─ スマートインフラ
ロジックツリー
- 論文の構成そのもの(骨子作成と同等)
→「課題 → 解決策 → 効果」の因果関係が明確。 - 技術士らしい“俯瞰力”が出る
→ 社会的要請 → 技術課題 → 技術的対応 → 社会的価値、という構造が美しい。 - 国の政策(建設業法改正・DX・働き方改革)と整合
→ 最新の審議会資料の方向性と完全に一致。 - 口頭試験でも説明しやすい
→ どの枝から聞かれても論理的に返せる。
【社会的要請】
├─ インフラ老朽化
├─ 防災・減災/レジリエンス強化
├─ 働き方改革(週休2日・適正工期)
├─ 担い手確保(処遇改善・労務費の基準)
├─ 価格転嫁の適正化(資材高騰)
├─ GX(脱炭素・環境配慮)
└─ DX(建設DX・電子化)
① 課題(Problem)
社会的要請を受けて現場で顕在化する“技術課題”を整理。
【課題】
├─ 品質確保の難しさ
│ ├─ 老朽化進行
│ └─ 技術者不足
├─ 工期逼迫
│ ├─ 働き方改革への対応
│ └─ 合理的な施工計画不足 ├─ コスト増大
│ ├─ 資材高騰
│ └─ 適正価格転嫁の遅れ
├─ 安全確保の課題
│ ├─ 災害リスク増大
│ └─ 施工安全の確保
├─ 合意形成の難航
│ ├─ 住民理解不足
│ └─ 関係機関連携の不足
└─ 維持管理の非効率
├─ 点検・診断の負担増
└─ 予防保全の遅れ
② 解決策(Solution)
課題に対して技術士として実施すべき“技術的対応”を整理。
【解決策】
├─ DX活用
│ ├─ ICT施工(ドローン・3D計測・ICT建機)
│ ├─ BIM/CIM(原則適用)
│ └─ AI・IoTによるモニタリング
├─ 維持管理の高度化
│ ├─ 点検・診断の効率化
│ ├─ 予防保全の推進
│ └─ 補修・更新の最適化
├─ 施工計画の高度化
│ ├─ 工期の適正化
│ ├─ 安全管理の強化
│ └─ 品質管理の標準化
├─ コスト管理の改善
│ ├─ 適正価格転嫁
│ ├─ 労務費の基準遵守
│ └─ LCC(ライフサイクルコスト)最適化
├─ 合意形成の強化
│ ├─ 住民説明の充実
│ └─ 関係機関連携の強化
└─ 環境配慮
├─ グリーンインフラ
└─ LCA・脱炭素設計
③ 効果(Outcome)
解決策を実施した結果として得られる“価値”を整理。
【効果】
├─ 品質向上
│ ├─ 基準遵守の徹底
│ └─ 出来形・材料品質の安定
├─ 生産性向上
│ ├─ ICT施工による効率化
│ └─ 工期短縮
├─ コスト縮減
│ ├─ LCC最適化
│ └─ 予防保全による長寿命化
├─ 安全性向上
│ ├─ 災害リスク低減
│ └─ 施工安全の確保
├─ 環境負荷低減
│ ├─ 脱炭素化
│ └─ 自然共生
└─ 社会的価値向上
├─ 地域活性化
└─ インフラ信頼性向上
MECE分類
文章スタイルに合わせて、「背景 → 課題 → 解決策 → 効果 → 責務」の流れに完全に対応するように分類しています。
- 重複なし(MECE)
- 論文構成にそのまま使える
- 国の政策(建設業法改正・DX・働き方改革)と整合
- 建設部門の本質(安全・品質・環境・維持管理)を網羅
① 社会的要請(国の政策・制度)
建設技術者が取り組むべき“外部環境”を MECE で整理。
- インフラ老朽化
- 防災・減災/レジリエンス
- 働き方改革(週休2日、適正工期)
- 担い手確保(処遇改善、労務費の基準)
- 価格転嫁の適正化(資材高騰対応)
- GX(脱炭素、LCA、環境配慮)
- DX(建設DX、電子契約、電子申請)
- 地域の守り手としての建設業強化
→ 論文の「背景」部分で使うキーワード群
② 技術課題(建設プロジェクトで顕在化する問題)
文章スタイルに合わせて、「背景 → 課題 → 解決策 → 効果 → 責務」の流れに完全に対応するように分類しています。
- 重複なし(MECE)
- どの場面で何を使うかが明確に
- 建設部門の本質(安全・品質・環境・維持管理)を網羅
社会的要請を受けて現場で発生する“課題”を MECE で整理。
- 品質確保(基準遵守、出来形・材料品質)
- 工期の逼迫(適正工期の確保)
- コスト(価格転嫁、予算制約)
- 安全(施工安全、災害リスク)
- 合意形成(住民対応、関係機関連携)
- 維持管理の高度化(点検・診断の効率化)
- 人材不足(技能者・技術者の確保)
→ 論文の「課題整理」部分で使うキーワード群
③ 技術的解決策(How:技術士としての対応)
課題に対して“技術的にどう解決するか”を MECE で整理。
- ICT施工(ドローン、TS、3D計測、ICT建機)
- BIM/CIM(原則適用)
- モニタリング・AI診断
- 予防保全(点検・診断の高度化)
- 施工計画の高度化(安全・品質・工期)
- グリーンインフラ・環境配慮設計
- 電子契約・電子申請(JCIP)
- 標準化・マニュアル整備
→ 論文の「解決策」部分で使うキーワード群
④ 期待される効果(成果・価値創造)
解決策を実施した結果として得られる“効果”を MECE で整理。
- 品質向上
- 生産性向上
- コスト縮減(LCC最適化)
- 工期短縮
- 安全性向上
- 環境負荷低減
- レジリエンス強化
- 地域活性化(観光、防災、交通)
→ 論文の「効果」部分で使うキーワード群
⑤ 技術士としての責務(倫理・説明責任)
技術士試験で必ず問われる“責務”を MECE で整理。
- 公衆の安全確保
- 品質確保(品確法の趣旨)
- 説明責任(住民・発注者)
- 公正性・透明性
- 継続研鑽(CPD)
- ステークホルダー対応
- 災害対応(地域の守り手)
→ 論文の「技術士としての姿勢」部分で使うキーワード群

