添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
単に知識を並べるだけはNG
技術士第二次試験の論文は、単に知識を並べるだけでは評価されません。問われているのは、技術者としての思考をどれだけ構造化し、再現性のある形で提示できるかという点です。多くの受験生が苦戦する理由は、知識不足ではなく、文章の構造が技術士レベルに達していないことにあります。
まず解決策のパラグラフにおいて重要なのは、課題・目的・解決策の階層を混同しないことです。課題のパラグラフは、目的→やること(解決策)→具体例という構成をお勧めしています。しかし多くの答案では、目的が課題の言い換えになってしまい、解決策固有の目的になっています。
課題は現状の問題点、目的はその解決策を実行する理由、解決策は目的を達成するための具体的な方法です。目的は「なぜその方法を採るのか」を説明するものであり、課題の再説明ではありません。この階層を正しく整理するだけで、論文の論理性は大きく向上します。
次に、方法論を書く姿勢が欠かせません。技術士論文で評価されるのは、「何をするか」だけではなく「どうやって行うか」も必要です。要因の列挙や評価指数の例示だけでは、知識の羅列に過ぎません。
必要なのは、要因を抽出する基準や手順、評価指数を設定するプロセス、センサーを配置する理由と方法といった、再現可能なプロセスの提示です。技術士は技術を体系化し、他者に伝えられる専門家であるため、方法論の提示は必須と言えます。
また、選定理由を書くことも重要です。どの要因を選ぶのか、なぜその指数を採用するのか、どの位置にセンサーを配置するのかといった判断には、必ず根拠が必要です。理由が示されていない答案は、単なる思いつきの羅列に見えてしまいます。選定理由を書くことで、論文に技術者としての説得力が生まれます。
さらに、定量化の手順を書くことも欠かせません。多くの答案が陥るのは、定量化した後の話ばかり書いてしまうことです。試験で問われているのは、「どう定量化するか」という変換プロセスそのものです。変動要因を測定可能な物理量に置き換える方法や、評価指数をどのように設定するかといった手順を示すことで、技術士としての分析力を示すことができます。
新たな懸念事項についても注意が必要です。懸念事項は、解決策を実施した結果生じる“副作用”を書くべきであり、一般的なリスクやもともとあるリスクを書いてはいけません。副作用は、前述した解決策すべてに共通して生じるものを書くことも注意が必要です。
最後に、答案全体を一貫した因果関係で構成することが大切です。課題から原因を導き、原因に対応する解決策を提示し、その効果と副作用を示すという流れが一貫している答案は、読み手に強い説得力を与えます。技術士論文は、技術を論理的に構造化して説明する試験であることを忘れてはいけません。
これらの注意点を意識するだけで、答案の質は大きく変わります。今後、個別の答案をブラッシュアップする際にも、この視点を軸に据えることで、技術士として求められる論理性と構造性を確実に身につけられるはずです。
ということで、今回の添削LIVEは、完成まで一気に見ていきます(前回の添削はコチラ)。どうやって遂行するのか、どんな点に注意が必要なのか、意識しながら見ていただけると効果的にスキルアップが可能になります。お試しあれ~
チェックバック②生産プロセスのオートメーション化
1.課題
(1)施工プロセスを構成する各作業条件の定量化
コンクリートの品質は、材料特性のばらつきに加え、打込み速度や締固めなど施工条件の影響を受ける。これらの施工条件は技能労働者の経験に依存する部分が多く、締固め不足による充填不良や養生不良による強度不足などの施工誤差が発生する恐れがある。そのため、建設現場のオートメーション化を進めるためには、施工条件を数値データとして把握・管理することが必要である。よって、品質管理の観点から、施工プロセスを構成する各作業条件の定量化が課題である。
(2) データ連携基盤の整備
コンクリートの生産プロセスは、製造・施工・維持管理の段階ごとに管理主体が異なるうえ、記録されるデータ形式も統一されていない。そのため、構造物単位で情報が紐づかず、ライフサイクルを通じた品質評価やフィードバックが困難となっている。よって、仕組み面の観点から、データを統合しトレーサビリティを確保するデータ連携基盤の整備が課題である。
(3) センシング技術の高度化
コンクリートは粘塑性体であり、時間や施工条件により性状が変化する。しかし、施工機械は剛体材料を前提として設計されているため、変動への追従が難しい。建設現場のオートメーション化の実現には、性状変動を高精度に計測し、施工機械の制御に反映することが不可欠である。よって、技術面の観点から、材料特性に応じたセンシング技術の高度化が課題である。
2.最も重要な課題
施工プロセスを構成する各作業条件の定量化を最も重要な課題として、以下に解決策を述べる。理由は、他の課題においても把握すべき作業条件を定量化しなければ有効に機能しないためである。
1)変動要因の抽出
施工状態を数値化するため、品質に影響を与える作業条件を変動要因として抽出する①。例えば、圧送工程では、吐出量、配管長、配管曲がり数を抽出する。吐出量の増加はせん断速度を高め、塑性粘度の影響により圧力損失が増大する。また、配管長や曲がり数の増加は摩擦抵抗を増加させ、降伏応力が高い配合では閉塞リスクが高まる。打設工程では、打込み高さ、打設速度、打重ね時間を抽出する。打込み高さが大きい場合は材料分離が生じやすく、打設速度が速いと型枠側圧が増大する。さらに、打重ね時間が長いと先打ち部分の流動性が低下し、一体化不良を招く②。
① 「施工状態を数値化するため」が“課題そのもの”の説明になっています。行動の目的は、提示する解決策固有の目的にすべきです。本来は「どう抽出するか」「どう数値化するか」を書くべきです。例えば、「品質に影響を与える作業条件を体系的に抽出するため、各工程における材料挙動と機械的負荷の関係を整理し、品質変動の因果関係が明確な項目を選定する」と言った具合に、固有の目的に絞る、どうのように目的を達成するのかといった方法論を明示するといった点に注意しましょう。
② 例示が「抽出方法」ではなく「変動要因そのものの列挙」になっています。技術士答案では「方法論」を書くべきです。これらの要因の列挙は補足に留めるべきと考えます。また、抽出の基準・手順が書かれていないので、なぜその要因を選ぶのかが不明確です。例えば、①で示した例で言えば①過去の品質不良事例の分析、②材料特性と施工条件の相関解析、③施工機械の負荷履歴の評価を行い、品質変動との因果関係が確認できる項目を選定するといったながれになるのではないでしょうか。そのうえで、「例えば、圧送工程では、圧力損失に寄与する吐出量、配管長、曲がり数を、打設工程では、材料分離や側圧に影響する打込み高さ、打設速度、打重ね時間を候補とする」といった具合に要因列挙を補記すると論点がズレずに的確な解答になると思います。
2)評価指数の設定
抽出した変動要因③を客観的に評価するため、評価指数を設定する④。例えば、圧送工程では、圧送圧力および圧力損失勾配を評価指数とする。これにより、吐出量や配管条件の変化が管内流動抵抗に与える影響を把握できる。また、スランプフローやT500時間を併用することで、降伏応力および塑性粘度に起因する圧送性の変化を評価可能となる。打設工程では、型枠側圧、スランプフロー、材料分離状況を評価指数とする。これにより、打設速度や打込み条件が流動性、分離抵抗性、一体化性に及ぼす影響を定量的に把握できる⑤。
③ これを記述してしまうと、前項の解決策の続きを書いているようで、複数の(独立した)解決策に見えません。
④ 課題はプロセスの定量化なのに、この内容は定量化したあとの話になっています。これでは、課題にたいする的確な解決策と言えません。本来は「どう定量化するか」を書くべきではありませんか。「変動要因を測定可能な物理量に置き換える評価指数を設定する」といった具合に、「定量化後の話」ではなく「定量化のための手順」に変換する必要があります。
⑤ これも前項同様、例示が“評価指数の例”であって、“評価指数の設定方法”ではないです。技術士答案では「方法論」を書くべきです。また、なぜその指数を選ぶのかの理由が書かれていません。 圧送圧力・側圧などの選定根拠が必要です。
3)センシングによるデータの取得
評価指数を施工中に連続的に計測するため、各工程にセンサーを配置し、施工状態を客観的データとして把握するため、評価指数に対応する施工データをリアルタイムに取得・蓄積する⑥。例えば、圧送工程では配管に圧力センサーを設置し、吐出量データと組み合わせて圧力損失勾配を算定する。打設工程では型枠に側圧計を設置し、荷卸し時にはスランプフローやT500時間を測定する。これにより、打設速度や打込み条件に応じた施工状態を連続的に把握できる⑦。
⑥ 評価指数ではなく、変動要因となるデータを計測するのではありませんか。また、評価指数という流れで書くと、前項までの課題を含め、一連の流れに見えます。課題の独立性がありません。構文も、「するため・・・するため」と目的が並んでおり、適切ではありません。
⑦ 例示はあるものの、なぜそのデータを取るのか(一部記載あり)、どのようにセンサーを配置するのか、どのようにリアルタイム取得するのかという方法論がありません。
3.新たに生じる懸念事項と解決策
変動要因と評価指数、センシングデータの関係を正しく理解するためには、レオロジー特性、圧送性、センシング技術などのより高度な専門知識が必要である。そのため、十分な知識がないと異常値の意味を誤解し、適切な判断ができない⑧。解決策として、技術者に対して専門メーカーを交えた教育を実施し、数値と施工状態を結び付けて理解させる。また、判定基準や対応フローをマニュアル化し、誰でも一定水準で運用できるよう標準化する⑨。 以上
⑧ 3つの解決策による副作用になっておらず、もともと存在するリスクです。さらに言えば、知識がなければ使えないという指摘をしては、自身の提案した解決策が不十分だと自ら言っているようなものです。
⑨ 解決策も、構造的なものでなく、メーカーに教えてもらいという一般論になっています。マニュアル化にしても、ただマニュアルを作るでは専門性に欠けます。どのような点が高度で、どのようにマニュアル化するのか、一定水準とは何か、どうやって標準化するのかが不明確です。
完成 生産プロセスのオートメーション化
1.課題
(1)施工プロセスを構成する各作業条件の定量化
コンクリートの品質は、材料特性のばらつきに加え、打込み速度や締固めなど施工条件の影響を受ける。これらの施工条件は技能労働者の経験に依存する部分が多く、締固め不足による充填不良や養生不良による強度不足などの施工誤差が発生する恐れがある。そのため、建設現場のオートメーション化を進めるためには、施工条件を数値データとして把握・管理することが必要である。よって、品質管理の観点から、施工プロセスを構成する各作業条件の定量化が課題である。
(2) データ連携基盤の整備
コンクリートの生産プロセスは、製造・施工・維持管理の段階ごとに管理主体が異なるうえ、記録されるデータ形式も統一されていない。そのため、構造物単位で情報が紐づかず、ライフサイクルを通じた品質評価やフィードバックが困難となっている。よって、仕組み面の観点から、データを統合しトレーサビリティを確保するデータ連携基盤の整備が課題である。
(3) センシング技術の高度化
コンクリートは粘塑性体であり、時間や施工条件により性状が変化する。しかし、施工機械は剛体材料を前提として設計されているため、変動への追従が難しい。建設現場のオートメーション化の実現には、性状変動を高精度に計測し、施工機械の制御に反映することが不可欠である。よって、技術面の観点から、材料特性に応じたセンシング技術の高度化が課題である。
2.最も重要な課題
施工プロセスを構成する各作業条件の定量化を最も重要な課題として、以下に解決策を述べる。理由は、他の課題においても把握すべき作業条件を定量化しなければ有効に機能しないためである。
1)変動要因の抽出
施工における品質変動要因を把握するため、品質に影響を与える作業条件を体系的に整理し定量化する。具体的には、過去の品質不良事例から吐出量や打設速度等の作業条件を抽出し、材料のレオロジー特性(粘度・降伏応力等)と施工条件の関係を数値化して整理する。さらに、施工機械の負荷履歴(圧送圧力・吐出量等)を時系列で分析し、品質変動に寄与する支配的要因を明確化することで、施工管理の精度向上を図る。
2)評価指数の設定
施工時の状態変化を的確に把握し、品質確保に資する管理指標を構築するため、品質に影響を与える要因に対応した評価指標を設定する。例えば圧送工程では、管内流動抵抗の変化に伴う圧送性の変動に着目し、顕在化する圧力損失を評価指標とする。これは、配管延長や曲がり数、吐出量の増加により圧力損失が増大し、ポンプ負荷が上昇して閉塞に至る事例があるためである。さらに、取得した圧力損失と品質不良発生状況との相関を分析し、閉塞リスクが高まる圧力上昇量を閾値として設定することで、評価指標を管理指標として運用可能な形に整理する。
3)センシングによるデータの取得
施工中の状態を連続的に把握するため、センサー配置およびデータ取得方法を設定する。例えば圧送工程では、管内流動抵抗を代表する圧力を測定対象とし、ポンプ吐出口直後、配管中間部および曲がり部前後に圧力センサーを配置する。これにより、配管長に伴う摩擦損失および曲がり部における局所損失を区間ごとに把握し、圧力差から圧力損失を推定する手法を用いる。さらに、取得データは施工時間と紐付けて時系列で整理し、圧送性の変動傾向や異常兆候を把握するとともに、施工条件の調整に活用する。
3.新たに生じる懸念事項と解決策
評価指標やセンシングの導入により施工管理がデータ依存となり、取得データの信頼性が管理精度に直結する懸念が生じる。特に遅延や欠損が起きると実態と乖離した判断となるリスクがある。解決策として、センサー側にデータを一時保存するバッファリング機能を設け、送信失敗時には再送処理を行うことで、データ欠損を防止する。また、各データにタイムスタンプを付与し、再現可能とする。さらに、一定時間以上データ更新がない場合には異常として検知する監視機能を導入し、施工管理の信頼性を確保する。 以上

