添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
本日の添削LIVE(過去の添削論文はコチラ)は、電気電子部門の必須科目Ⅰ「EVが普及した社会」です。電子電気部門は、門外漢なので色々なサイトを見ながら、添削を行います。調べてみると結構面白く、未来の夢溢れる技術をたくさん知ることができます。今回のテーマであるEVは、すでに社会に認知され、走行している姿も多く目にします。実際、所有されている方もいるのではないでしょうか。
環境面で言えば、EVは走行時のCO2排出量はゼロですが、製造時のCO2排出量はガソリン車の2倍と言われています。よって、製造から廃棄までのライフサイクルで見るとEVが本当の意味でCO2削減につながっているのかとの議論もあるようです。技術士の問題ではありませんが、多様な観点で物を見る必要がありますね。技術者は、情報収集をしっかり行い、自分自身でしっかり考えることが重要です。
完全に脱線しますが、自分自身でしっかり考えるで思いだしました。以前読んだ「人生を面白くする本物の教養」は、示唆に富んだ良書です。本書は、ライフネット生命の創業者である出口治明氏が、本物の教養とは何なのかを切り口に人の生き方についての考えを記したものです。その考えの一つに、「自分の頭で考えられることが教養である」と述べています。技術士を目指す皆さんに通じるところが沢山あり、勉強のモチベーションが格段に上がります。勉強を始めるウォームアップとして、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。平たく言うと、とにかくクッソおもしろいです。
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さあ、話を論文に戻しましょう。EVについて色々書きましたが、出題はEVが普及した社会におけるインフラ技術の課題を問うものです。果たして、EV社会に求められるインフラ技術とは一体どのようなものなのでしょうか。都市基盤整備を担う建設部門の技術者としても、興味を引くテーマです。
早速、論文を見てみましょう。
1.EVが普及した社会におけるインフラ技術の課題
1.1充電インフラ環境の強靭化
EVが普及したモビリティ社会において、充電インフラは必須である。また、インフラ環境を①しっかりしていないと、電欠となり、交通事故や大渋滞を発生させる可能性がある。
そのため、インフラ環境の観点から充電インフラ環境②を強靭化③することが課題である。
① 「を」→「が」
② 観点と課題が類似しています。おそらく、技術基盤としてのインフラと、都市基盤としてのインフラが混在しているので、区別がつかず同じことを言っているように見えます。
③ 強靭化というと強くしなやかな状態を表しますので、防災をイメージしてしまいます。文意からするにイノベーション等ではありませんか。
1.2EV用二次電池の更なる改良
EVのモータ駆動用の二次電池は、現状主にリチウムイオン電池(LIB)が利用されている。しかし、LIBの電解質は可燃性の有機化合物を使用しているため、発火リスクを保有している。発火してしまうと、車体が炎上し人命をおびやかし、公共の安全を損なうリスクがある。
そのため、安全の観点から発火リスクの小さいEV用二次電池の更なる改良が課題である。
1.33Rに基づいたLIBの活用
EVが普及したモビリティ社会に伴い、LIBも大量生産されている。LIBの推定寿命は10〜15年のため、そのタイミングで大量のLIBが廃棄される。これは、限りある地球環境④を有効活用できておらず、モビリティ社会を継続する⑤には改善が必要である。
そのため、地球環境の観点から3R(リデュース、リユース、リサイクル)に基づいたLIB⑥の活用が課題である。また、これを達成することよりSDGs「つくる責任つかう責任」に貢献することができる。
④ 「地球環境」→「資源」
⑤ 「モビリティ社会を継続する」→「持続可能な社会を実現する」
⑥ 正確には「廃棄LIB」ですかね
2.最も重要と考える課題と理由
「充電インフラ環境の強靭化」が、最も重要な課題と考える。なぜなら、充電インフラ環境の強靭化により、モビリティ社会を継続できるから⑦である。
⑦ モビリティ社会の継続とは何なのか分からないです。また、3つめの課題であるLIBの活用において、「モビリティ社会を継続するには」と表現されてます。よって、この理由だと、3つ目の課題が最も重要ということになりませんか。
2.1全個体電池による航続距離の延伸
LIBには発火リスクが伴っているため、冷却装置を積載している。この冷却装置は、重量があるため燃費が悪く、航続距離が短い理由の一つとなっている。
そのため、EV用二次電池を全個体電池とすることで冷却装置を無くし、車体を軽量化させる。その結果、充電スタンド数を削減可能となり、保守メンテナンス⑧性も向上しインフラ環境の強靭化⑨へ貢献できる。
⑧ 重複しています(保守=メンテンス)。
⑨ ③と同じ。加えて、充電スタンドの削減や保守性の向上と強靭化との関係が良く分かりません。
2.2ワイヤレス電力伝送の導入
現状のEVモビリティ社会においては、電源供給方法を充電スタンドによる充電で想定されている。そのためには、多くの充電スタンドが必要である⑩。これに伴い、送配電線や制御盤も必要となり、保守対象設備が膨大となり、停電し電源供給不可能となるリスクも存在する。
そのため、ワイヤレス電力伝送によるEVへの電源供給を提案する。ワイヤレス電力伝送を日本全国で展開できれば、どこでも充電できることや保守設備(充電スタンド、送配電線)が減少するため、保守性が向上する。⑪
⑩ 分かりづらい表現です。接続詞「そのためには」もおかしいです。「現状、EVの電源供給は、充電スタンドで行われている。EVが普及した社会では、より多くの充電スタンドが必要である。」ではないでしょうか。
⑪ ワイヤレス伝送の必要性は理解できますが、インフラ環境の強靭化という課題と関係性が判然としません(停電リスクの回避ですかね?)。
2.3強靭な5G網の構築
充電スタンドにおける電子マネー決済や、充電状況や渋滞状況の見える化・共有化⑫のために、5G網の構築が必要である。また、渋滞予測の観点から、ITS(高度交通情報システム)との連携も必要である。
そのため、5G網構築により、広域で安定な通信環境を提供する⑬。また、5Gが繋がりにくい地域エリアにおいては、スポット5G導入により対応可能⑭である。
⑫ 大容量、高速通信を必要とする要因が弱い気がします。
⑬ 「安定な」→「安定した」。5Gは、大容量・高速・多数同時接続などが効果ではないでしょうか。よって、広域で安定したとの効果は違和感があります。
⑭ 何に対応するのか分かりません。
3.新たに生じうるリスクとそれへの対策
3.1 新たに生じうるリスク
解決策(ワイヤレス電力伝送、5G構築等)により、設備数が増加するため⑮、故障確率が上がる。
⑮ ワイヤレス伝送は、充電スタンドの増加を防ぎ保守対象設備が膨大となることを防ぐために導入するのではないのですか。矛盾しているように見えます。
3.2それへの対策
各設備にはセンサー(温度、湿度、振動等)を設け、リモートモニタリングにて常時監視する。そして、異常傾向監視による保守を実施することで⑯、故障を未然に防ぐ。保守体制を構築しておくことも大切である。
⑯ 前段の内容と重複しています。
4.業務遂行における必要な要件
4.1技術者としての倫理
公共の安全を最優先する。人命をおびやかす危険な設備を構築しないように配慮する。
4.2社会の持続可能性
解決策に用いる機器は3RやLCCに配慮し、SDGs「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献する。
以上