添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
ついに出ました最強の参考書
2025年6月24日に「令和7年版国土交通白書」が公表されました(国土交通白書はコチラ)。様々な資料がある中、やはり国土交通白書は最重要資料と言えるでしょう。もちろん、この重要性を認識し、白書に目を通す人は多いと思います。しかし、多くの人が目にしていたのは、当然令和6年度版ですが、今回公表された令和7年度版こそが、 技術士 二次試験対策 の最強資料となります。
令和7年度の試験作成と白書作成の時期はほぼ同じであり、着目点は当然類似することになります。まずは一読をお勧めしたいのですが、みなさんはそれどころではないと思います。よって、新しい白書にはどのようなことが書かれていて、どのような特徴があるのかご紹介します。
令和7年度の国土交通白書(2025年版)は、「みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して」をテーマに、人口減少・高齢化が進行する中での国土交通分野の課題と展望を示しています。いつもどおり、主に2部構成(3部は資料)になっています。それぞれ要約すると以下の通りになります。
第I部:みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して
→ 労働力不足や「2024年問題」などに直面する中、生活に不可欠なサービス(交通・物流・建設等)の持続的提供に向けた課題と対応策を整理。
第II部:国土交通分野における取り組みと今後の展望
→ 省人化・省力化技術の導入、担い手確保、制度見直しなどの政策展開を紹介。
バイアスがかかっているかもしれませんが、特徴は一目瞭然です。ザ・労働力不足と言えると思います。あとは、その対策として、「2024年問題」への対応、省人化・省力化技術の導入、担い手確保、といったトピックが続きます。
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
- 担い手不足とサービス維持
特にバス・物流・建設分野での人手不足が深刻化しており、地域生活の基盤維持が大きなテーマとなっています。 - 2024年問題
働き方改革に伴う労働時間制限が物流や建設業に与える影響を分析し、対応策として賃上げや生産性向上、業務の効率化の必要性を述べています。 - 省人化・省力化技術
自動運転、ドローン、BIM/CIM、スマート建機などの導入による生産性向上と人材確保の両立を目指しています。 - 分野横断
交通・建設・観光・防災などの分野を超えた情報共有と連携による課題解決を述べています。 - 国民意識の反映
サービス縮小に対する不安や、担い手確保への期待など、国民の声を政策に反映しましょうといったことが述べられています。
さらに、これまでとの違いを考察してみますと、従来のインフラ整備中心から、維持・運営・人材確保重視へと重点施策が移行していることがうかがえます。さらに、単なる行政主導ではなく、住民・企業・自治体が連携する地域マネジメントの重要性が打ち出されており、人手不足の対応としての体制作りが注目されます。
加えて注目したいのが、私が大好きなGX(脱炭素)やデジタル化が、すべての分野で触れられています。解決策としてこれらを述べると高得点ゲットという流れが出来上がっています。これまで、重要としてきたトピックが、白書にも掲載されており、重要性が裏付けされた形です。
さあ、これまでご紹介してきたトピックはおおむね国土交通白書と整合していますので、これまで示してきた予想問題4つを完全マスターすれば、必須科目は安心といえます。確信も持てましたので、あとはやるかやらないかです。残り時間はわずかですが、悔いが残らないよう精一杯頑張りましょう。
「労働力不足×維持管理」
本日お届けする添削LIVEは、前述の労働力不足をテーマとした白書の内容を踏まえると、大本命と言える予想問題「労働力不足×維持管理」をお届けします(問題はコチラ)。推敲に推敲を重ね、合格水準にある論文が完成しておりますので、みなさんの参考になると思います。自分の論文と比較して、さらなる推敲を重ねてみてはいかがでしょうか。それでは、早速論文を見ていきましょう。
「労働力不足×維持管理」チェックバック②
(1)インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1)労働環境の改善
建設業は、他産業に比べて若手や女性に人気がなく、人材不足が深刻である①。これは、労働時間が他産業の平均に比べて約250時間長いことや、3Kのイメージが浸透していること等が原因である②。老朽化インフラの増加に対応するためには、建設業に少ない若手や女性、新たな労働力として外国人や定年退職後の高齢者等、多様な人材を確保する必要がある③。よって、人材面の観点から、労働環境の改善が課題である。
① 「人気」ですと主観的な印象を与えてしまいます。また、ずっと人材不足といった状況説明もあると良いと思います。→「建設業は、他の産業と比較して若年層や女性の就業率が低く、慢性的な人材不足に直面している」
② また、他産業の相対評価になっています。単純に250時間が長いで良いと思います。また、構成は、現状→問題点→必要性→結論の順で書くと順を追った説明になります。よって、①と②を入れ替えた方が良いと思います。→「建設業は、労働時間が約250時間長いことなどから、3Kのイメージが定着している。そのため、他の産業と比較して若年層や女性の就業率が低く、慢性的な人材不足に直面している」
③ ちょっと長いですね。もう少し端的に表現しましょう。また、対応することと多様性の関係が直接的につながらないので、人材不足の解消を一つ挟むと良いと思います。さらに、不足だけでなく人材活用という視点もあると良いと思います。→「老朽化が進むインフラへの対応には、建設業の担い手不足の解消が不可欠であり、多様な人材の確保と活用が求められる」
2)ICT・AI等の新技術の活用
建設から50年を経過する施設の割合は、今後加速度的に増加する。例えば、道路橋は現在が約37%、20年後は約75%になる。このように急激に増加する老朽化インフラを維持管理するためには、人力による維持管理ではなく、ロボットやデジタルデータ等を活用しして効率化を図る必要がある④。よって、生産性の観点から、ICT・AI等の新技術の活用が課題である。
④ 維持管理が連続しています。→「人力に依存した従来の方法ではなく」
「活用しして」となっています。また、ロボットやデータは性質が違うので、表現を工夫しましょう。→「ロボット技術やデジタルデータの活用による効率化が不可欠である」
3)地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開
措置が必要なインフラは、全国の市町村等に広範囲に分布しており、その種類も多種多様である。維持管理を担う人員と予算が限られているため、従来の施設毎の対応では、老朽化インフラの増加に対応できない。そこで、一連のインフラを群としてとらえ、総合的かつ多角的に対応する必要がある。よって、仕組みの観点から、地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開が課題である。
(2)最重要課題と解決策
最重要課題は、「ICT・AI等の新技術の活用」である。理由は、効率的な維持管理技術の構築は、人材確保や仕組みづくりの骨格にもなることから⑤、波及効果が大きいと考えたためである。以下に解決策を示す。
⑤ 骨格になるとの表現がよく分かりません。「・・にも有効であることから・・・」とかですかね。
1)情報収集・状況把握の段階
点検の効率化と損傷個所の見落とし等のヒューマンエラーを防止するため⑤、カメラ画像とAIを組み合わせた損傷判定を行う。例えば、アーチダムの堤体点検では、ダムの下流面や監査路内を、高解像度カメラを搭載したUAVで撮影し、漏水や亀裂等の変状をAIで自動検知する。検知精度を高めるために、常設のCCTVで取得した大量のダムの映像を機械学習させ、降雨や日射の影響を補正する。また、UAVでレーザースキャナ測量を行い、ダムの3D点群モデルを作成する⑥。このモデルに、UAVで撮影した位置情報付きの画像データを取り込むことで、点検結果の見える化や、点検報告書の自動作成を図る。
⑤ 点検の効率化がどこにかかっているのか分かりません。エラーは防止、効率化は図るものです。→「点検の効率化を図るとともに、損傷個所の見落とし等のヒューマンエラーを防止するため」
⑥ 測量で得られるのは点群データ、点群データで作成されるのは3Dモデルではありませんか。→「ダムの点群データを取得し3Dモデルを作成する」
2)情報の統合・維持管理計画立案の段階
点検データを共有し、維持管理計画を効率的に策定するために、データプラットフォーム(DPF)を構築する⑦。例えば、国土地理院地図をベースにしたGISプラットフォームに、各施設の竣工記録、点検記録、補修記録等のデータを重ね合わせて閲覧できるようにする⑧。更に、BIツールを活用し、点検記録や計測データを集計・分析して、余寿命評価やLCCを算出し、その結果もDPFに統合する。これにより、従来よりも客観性に富んだ維持管理計画を立案する⑨。
⑦ 手段と目的がごちゃごちゃになっています。→「維持管理計画を効率的に策定するために、点検データを共有するためのデータプラットフォーム(DPF)を構築する」
⑧ データを重ね合わせるという表現に違和感があります。→「データを統合し、視覚的に重ね合わせて閲覧できるようにする」
⑨ 目的は「維持管理計画を効率的に策定するため」ではないのですか。目的が変わっているように見えますし、DPFによって計画策定がどのように効率化されるのかもよく分かりません。
3)維持作業の段階
作業を自動化するために、GNSSと3D点群データを活用し、車両の自動運転を実現する⑩。例えば、寒冷地の道路の維持で必要になる除雪作業や凍結防止剤の散布作業では、電柱や柵等の障害物の情報を取り込んだ3D点群データに基づき⑪、車両を自動走行させる。更に、車載カメラの映像を画像鮮明化装置で鮮明化し⑫、視界不良時の除雪作業の安全性を向上する。これにより、従来は安全確保のために2名体制で実施していた作業を1名体制にし、省人化を図る。
⑩ GNSSと3D点群データを活用するシステムでは「自律走行」の方が適切だと思います。
⑪ 情報を取り込んだ3D点群データとありますが、取り込むとは何に取り込むのですか。処理プロセスが不明です。障害物情報を統合した3D点群データとしてしまえば、どんな処理か明確になると思います。
⑫ 表現が重複気味ですし、画像鮮明化装置もよく分かりません。「画像鮮明化処理により補正し」が言いたいことですかね。
(3)新たに生じるリスクと対策
デジタルデータが増えることにより、ハッキング等による情報漏洩リスクが高まる。外部からの不正アクセスに対しては、データの暗号化による対策⑬を行う。内部からの持ち出しに対しては、権限者以外はアクセスできないようにするアクセス権管理を行う⑭。
⑬ TLS/SSLなどの通信保護もあると良いと思います(スペースがあれば)。
⑭ 持ち出しというと全部に制限をかけてしまうように見えます。対策すべきは、不正な持ち出しではないでしょうか。また、アクセスできないようにアクセス権管理は似たような説明が借り換えされています。対策を具体化すると良いと思います。→「内部の不正な持ち出しには、アクセス権を厳密に管理し、操作履歴を監視することで対策する」
(4)業務遂行における要件・留意点
倫理の観点では公益の確保、持続性の観点では環境負荷の低減が要件である。業務の各段階で、これらを意識することに留意する。 以上
「労働力不足×維持管理」完成
(1)インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1)労働環境の改善
建設業は、総労働時間が約2000時間と長いこと等から、3Kのイメージが定着している。このため、若年層や女性の就業率が低く、慢性的な人材不足に直面している。増加する老朽化インフラへの対応には、担い手不足の解消が不可欠であり、多様な人材の確保と活用が求められる。よって、人材面の観点から、労働環境の改善が課題である。
2)ICT・AI等の新技術の活用
建設から50年を経過する施設の割合は、今後加速度的に増加する。道路橋では、現在が約37%に対し、20年後は約75%になる。このように、急激に増加する老朽化インフラを維持管理するには、人力による従来の手法ではなく、ロボット技術やデジタルデータの活用による効率化が不可欠である。よって、生産性の観点から、ICT・AI等の新技術の活用が課題である。
3)地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開
措置が必要なインフラは、全国の市町村等に広範囲に分布しており、その種類も多種多様である。維持管理を担う人員と予算が限られているため、従来の施設毎の対応では、老朽化インフラの増加に対応できない。そこで、一連のインフラを群としてとらえ、総合的かつ多角的に対応する必要がある。よって、仕組みの観点から、地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開が課題である。
(2)最重要課題と解決策
最重要課題は、「ICT・AI等の新技術の活用」である。理由は、効率的な維持管理技術の構築は、人材確保や仕組みづくりにも有効と考えたからである。
1)情報収集・状況把握の段階
点検の効率化を図るとともに、損傷個所の見落とし等のヒューマンエラーを防止するため、カメラ画像とAIを組み合わせた損傷判定を行う。例えば、アーチダムの堤体点検では、ダムの下流面や監査路内を、高解像度カメラを搭載したUAVで撮影し、漏水や亀裂等の変状をAIで自動検知する。検知精度を高めるために、常設のCCTVで取得した大量のダムの映像を機械学習させ、降雨や日射の影響を補正したうえで、補修の必要性を判定する。また、UAVでレーザースキャナ測量を行い、ダムの点群データを取得し、3Dモデルを作成する。このモデルに、UAVで撮影した位置情報付きの画像データを取り込むことで、結果の可視化や報告書の自動作成を実現し、業務の効率化を図る。
2)情報の統合・維持管理計画策定の段階
維持管理計画を効率的に策定するために、点検データを共有するデータプラットフォーム(DPF)を構築する。例えば、点検データの検索時間を削減するために、GISプラットフォームに、各施設の竣工記録、点検記録、補修記録等のデータを統合し、視覚的に重ね合わせて閲覧できるようにする。更に、構築したDPFを発注者と点検業者、設計業者、施工業者等の受注者間で共有し、各専門業者の知見を反映することで、質の高い維持管理計画を効率的に策定する。
3)維持作業の段階
作業を自動化するために、GNSSと3D点群データを活用し、車両の自動走行を実現する。例えば、寒冷地の道路の維持に必要な除雪作業や凍結防止剤の散布作業では、電柱や柵等の障害物情報を統合した3D点群データを活用し、車両の走行ルートを自動制御する。更に、車載カメラの映像を画像鮮明化装置で補正し、視界不良時の除雪作業の安全性を向上させる。これにより、従来は安全確保のために2名体制で実施していた作業を1名体制にし、省人化を図る。
(3)新たに生じるリスクと対策
デジタルデータが増えることにより、ハッキング等による情報漏洩リスクが高まる。外部からの不正アクセスには、データの暗号化や、SSL/TLSによる通信保護等の対策を行う。内部からの不正持ち出しには、アクセス権の管理や、操作ログの監視等の対策を行う。
(4)業務遂行における要件・留意点
倫理の観点では公益の確保、持続性の観点では環境負荷の低減が要件である。業務の各段階で、これらを意識することに留意する。 以上