キーワード を見つけて習得しよう!
技術士 の 2次試験 で論文を書き進めるにあたっては、国が進めている施策に関連する キーワード を用いる必要があります。 キーワード は、国土交通白書や各種委員会の資料から探します。
現状、どのような施策に力点が置かれているのか、制度の内容はどうなっているのか、先導的な技術はどのようなものがあるのかなど、理解しながら キーワードを見つけることが有効です。
ただ キーワードを暗記するだけでは、論文作成時に間違った使い方をするケースがあります。他方で、単語をしっかり理解していると、本番で キーワードを忘れてしまっても、 キーワードが持つ理念や仕組みを用いて、論文が書き進められるというメリットもあります。
したがって、ここに示す キーワードを参考にしていただくとともに、ご自身でも必ずどのような内容なのか確認することを強くお勧めします。また、キーワードの使い方などは、論文データを参考にしていただければと思います。
デジタル関連 キーワード
【スマートシティー】
計画や整備、管理や運営などのマネジメントを通して全体最適を図る持続可能な都市または地区。ICTなどの新技術や民間データを活用し、都市や地域が抱える様々な課題を解決する。新たな価値も創出する。移動や物流、防災、観光、エネルギーなど、対象とする分野は多岐にわたる。Society5.0の実現の場と定義されることもある。具体的なサービスとして、MaaS、ビッグデータの活用、センシング技術によるインフラ監視、情報プラットフォーム構築による防災、カメラによる人流分析・防犯など。
【Society5.0】
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する。人々の暮らしやすさや豊かさを実現することを目的としている。これまでの情報社会では、人がサイバー空間に存在するクラウドサービス(データベース)にインターネットを経由してアクセスして、情報やデータを入手し、分析を行ってきた。Society5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に蓄積され、このビッグデータを人工知能(AI)が解析し、その結果がロボットなどを通じて人間にフィードバックされる。
【MaaS】
MaaSとは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通機関やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスである。観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する貴重な移動となる。
【i-Construction】
i-Constructionとは、土工事・コンクリート工をメインとして、測量・設計・管理に至るすべてのプロセスにおいて、情報化を前提とした新基準のことをいう。具体的には、3Dマシンコントロールをはじめとした情報化施工や、3次元モデルを使った測量・設計や施工を行うCIM、そしてドローンを用いた構造物の点検などを統合したものをいう。
【CIM】
コンストラクション・インフォメーション・モデリングといい、建築分野でひろまりつつあるBIMの概念を土木工事において活用するもの。よって、CIMにおいてもICTインフラが大きな基盤となっており、土木工事における様々な情報を共有化し活用しようという取り組み。特に地形や土木構造物そしてそれらの属性情報を持つ3次元モデルを活かした企画・設計が多く、今後施工段階での導入が期待されている。
【DX】
○行政・暮らし・・・電子申請システム、データ連携基盤(都市OS)、遠隔・非接触化、河川氾濫予測、センシング技術(センサー)
○ロボット・AI・・・無人化、自立施工、パワーアシストスーツ、画像から変状を自動検出、モーションセンサーによる研修
○働き方改革・・・人工衛星・ドローンによる被災情報収集、道路のデータプラットフォーム、画像解析、3次元測量、ドローン活用
【都市OS】
都市OSとは、都市にあるエネルギーや交通機関をはじめ、医療、金融、通信、教育などの膨大なデータを集積・分析し、それらを活用するために自治体や企業、研究機関などが連携するためのプラットフォームのことをいう。
【PLATEAU】
PLATEAUは、国土交通省が主導する3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発。さらに、誰もが自由に都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションを創出。
環境関連 キーワード
【グリーンスローモビリティ】
電動でかつ時速20km未満で公道を走る4人乗り以上のパブリックモビリティをいう。活用の場面は、地域住民の移動手段、観光向けモビリティ、短距離トリップ、地域ブランディングなど。効果としては、地球温暖化対策、地域公共交通の確保、高齢化社会への対応、観光振興など。
【30by30目標】
2030 年までに生物多様性の損失を止め、 反転させるネイチャーポジティブの実現に向け、2030 年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標のこと。
【生態系サービス】
食料・水等の供給サービスや景観等の文化的サービスなど。
【グリーンインフラ】
社会資本整備、土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の 生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土 づくりや地域づくりを進める取組。
【NbS】
Nature-based Solutions の略。社会、経済、環境課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福 及び生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然又は改変された生態系の保護、保全、回復、持 続可能な利用、管理のための行動のこと。
【ネイチャーポジティブ】
用語に関する厳密な定義は定まっていないが、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」という基本認識は一致しており、「G7 2030 年自然協約」や、昆明・モント リオール生物多様性枠組においてその考え方が掲げられている。
【OECM】
Other effective area-based conservation measure の略。保護地域以外の地理的に画定された地域 で、付随する生態系の機能とサービス、適切な場合、文化的・精神的・社会経済的・その他地域関 連の価値とともに、生物多様性の域内保全にとって肯定的な長期の成果を継続的に達成する方法で 統治・管理されているもの。
【Eco-DRR】
Ecosystem-based Disaster Risk Reduction の略。自然災害に対して脆弱な土地の開発や利用を避 け災害への暴露を回避するとともに、防災・減災など生態系が有する多様な機能を活かして社会の 脆弱性を低減すること。
【エコツーリズム】
地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や 大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み。
【ブルーカーボン生態系】
海洋生態系に取り込まれた炭素であるブルーカーボンを隔離・貯留する、海草藻場、海藻藻場、湿 地・干潟、マングローブ林等の海洋生態系のこと。
維持管理関連 キーワード
【アセットマネジメント】
道路や橋梁などの公共施設について、将来的な損傷・劣化等を予測・把握し、最も費用対効果の高い維持管理を行う考え方。具体的には、施設が壊れてから修理するのではなく、敵的に維持管理して施設を長持ちさせるといった考え。
【ストックマネジメント】
ストックマネジメントとは、機能診断、劣化予測を経て、適切な対策工法のシナリオを策定し、LCCの低減効果が高い保全対策方法の計画を策定する一連の技術体系をいう。ストックマネジメントに加え、リスクマネジメント、地域資源管理を行うものをアセットマネジメントとなる。
災害関連 キーワード
【災害区域】
レッドゾーン・・・土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域
イエローゾーン・・・浸水想定区域、土砂災害警戒区域、都市洪水想定区域
【南海トラフ地震】
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として概ね100から150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震(1944昭和東南海地震)。
【霞堤】
霞堤は、連続する堤ではなく、あらかじめ間に切れ目を入れた不連続の堤防。堤内地(住宅地側)からの排水が容易、氾濫した水を速やかに川に戻せる。
【二線堤】
本堤後背の堤内地に築造される堤防のこと。控え堤、二番堤ともいう。本堤が破堤した場合に、洪水氾濫の拡大を防ぎ被害を最小限にとどめる。
【輪中堤】
ある区域を洪水氾濫から守るため、その優位を囲むように造られた堤防。
【災害ハザードエリア】
ここでは、住宅等の建築や開発行為等の規制がある災害レッドゾーン(災害危険区域等)と、建築 や開発行為等の規制はないものの区域内の警戒避難体制の整備等を求める災害イエローゾーン(浸水想定区域等)を指す。
【粘り強い河川堤防】
越水が生じた場合でも、避難のための時間を確保する、浸水面積を減少させるなどにより、被害をできるだけ軽減する河川堤防。越水に対して「粘り強い河川堤防」の実現にあたっては、①既存の堤防の性能を毀損しないこと、②越水した場合でも決壊までの時間を少しでも長くする粘り強い性能を付加すること。
【貯留機能保全地域】
都市浸水の拡大を抑制する効用があると認められる地域。貯留機能保全区域として指定した場合に、当該土地に係る固定資産税等について、指定後3年間、課税標準を2/3~5/6の範囲内で市町村の条例で定める割合とする特例措置あり。
【ハイブリッドダム】
ハイブリッドダムは、最新の気象予測技術や土木技術を活用し、天候に応じた貯水量の柔軟かつ高度な運用を実現することによって、治水容量と発電容量の増強を図るもの。
【田んぼダム】
排水口への堰板の設置等による流出抑制によって下流域の湛水被害リスクを低減。
【ワンコイン浸水センサ】
小型、長寿命かつ低コストで、堤防や流域内に多数の設置が可能なワンコイン浸水センサを製造、設置し、それらからの情報を収集する仕組みの構築。
【MIZBEステーション】
河川防災ステーション(MIZBEステーション)は、災害時に緊急復旧活動や水防活動を迅速に行うための拠点となる施設。災害時と平時両面の機能を併せ持つMIZBEステーションは、水防関係者や住民などあらゆる関係者に活用されることで「流域治水」推進の起点となり、また地域の賑わいの核として地域活性化を推進。
産業関連 キーワード
【6次産業化】
農林漁業者が農畜産物・水産物の生産(1 次産業)だけでなく、食品加工(2 次産業)、流通・販売 (3 次産業)を総合的かつ一体的に取り組み、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組。
【農福連携】
障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組。
【農地中間管理機構】
農地中間管理機構は、2014 年度より各都道府県に 1 つ設置された農地の中間的受け皿機関(農地 バンク)。リタイアする農業者の農地や地域内で分散・錯綜して利用されている農地を借受け、必要 な場合は基盤整備等の条件整備を行って、担い手(大規模家族経営・法人経営・集落営農等)にま とまりのある形で農地を貸付ける。
【農村型地域運営組織(農村RMO)】
複数の集落の機能を補完して、農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せて、生活支援等の 地域コミュニティの維持に資する取組を行う組織。
【森林由来J-クレジット】
省エネルギー設備の導入や再エネの利用による CO2等の排出削減量や、適切な森林管理による CO2 等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
【針広混交林】
針葉樹と広葉樹が混じり合った森林。
【森林経営管理制度】
森林所有者自ら経営管理が実施できない森林について、市町村が森林の経営管理の委託を受け、林 業経営に適した森林は一定の要件を満たす民間事業者に再委託するとともに、林業経営に適さない 森林は市町村が公的に管理する制度。
【改質リグニン】
リグニンは木材の約 3 割を占める主要成分の一つであり、「改質リグニン」は、国産スギを原料と して、それに含まれるリグニンを改質した、耐熱性等の機能と加工性を併せ持つ素材。化石資源由 来プラスチック等の代替に資する木質系新素材として、自動車の内外装品など様々な利用が期待さ れている。
都市づくり関連 キーワード
【居住環境向上用途誘導地区】
市町村が、都市計画において、居住誘導区域内に「居住環境向上用途誘導地区」を定めることにより、病院、店舗棟の日常生活に必要な施設(生活利便施設)について、容積率、用途制限の緩和を可能とすることで、これらの施設の立地を促進。
【跡地等管理区域・跡地等管理指針】
立地適正化計画に跡地等管理区域を設定し、跡地等の管理や地域住民の利用に必要な施設の整備についての指針を定めることにより、空き地等の適切な利用・管理を促進し、良好な居住環境の確保を図る。所有者自ら跡地を適正に管理することが困難な場合、市町村等は跡地等管理等区域内で所有者等と管理協定を締結して、当該跡地等の管理を行うことができる。
【特定用途誘導地区】
特定用途誘導地区は、立地適正化計画で定める都市機能誘導区域内に指定され、地区内の建築物の要路、容積率、高さの最高限度について、通常の用途地域とは異なる緩和措置が定められている。
【駐車場配置適正化区域】
駐車場配置適正化区域は、都市機能誘導区域内にあって、医療施設、福祉施設、商業施設等の誘導・集積に伴い、自動車流入の集中とともに、高齢者、買い物客等の往来が予測され、駐車場へ向かう自動車と歩行者との錯綜と生じる恐れが高いエリアを設定し、駐車場を適正に配置するための施策を講じ、道路交通の混雑・輻輳を避ける。
【居住調整区域】
居住調整区域とは、都市再生を図るため、宅地化を抑制すべき区域として都市計画で定める区域。居住誘導区域外(市街化調整区域を除く)で区域を定め、都市計画決定できる。居住調整地域を市街化調整区域とみなして、一定規模以上の住宅開発を開発許可対象化。
【成果連動型民間委託契約PFS(ペイフォーサクセス)】
成果連動型民間委託契約方式による事業とは、地方公共団体等が民間事業者に委託等する事業のうち、解決を目指す行政課題に対応した成果指標を設定し、支払額を当該成果指標の改善状況に連動させる契約方式により実施する事業。
【都市農地の保全・活用】
生産緑地地区の一律500㎡の面積要件を300㎡まで引き下げ可能。生産緑地地区内で直売所、農家レストラン棟の設置が可能。特定生産緑地制度が創出され、買取申し出期間の10年延伸が可能(税制優遇の延伸)。新たな用途地域として、田園住居地域を創設。
【田園住居地域】
住宅と農地が混在し、両者が調和して、良好な居住環境と営農環境を形成している地域を、あるべき市街地像として都市計画に位置付け、開発や建築規制を通じてその実現を図るため、居住系用途地域といて、田園居住地域が創設された。活用エリアのイメージとして、第一種低層住居専用地域など住宅地の中に農地が多く存在し、営農環境と住環境の調和を図るエリア。立地適正化計画における居住誘導区域外で、農地開発やスプロール化を抑制し、良好な住環境を維持するエリア。
【市民緑地認定制度】
民有地を地域住民の利用に供する緑地として設置・管理する者が、設置管理計画を策定し、市町村長の認定を受けて、一定期間当該緑地を設置・管理・運営・活用する制度。認定基準は、面積300㎡以上、緑化率20%以上、設置管理機関5年以上である。みどり法人が設置管理する認定市民緑地のうち条件を満たすと税制優遇を受けられる(R5.3.31まで)。
【低未利用土地権利設定等促進計画】
低未利用地の地権者と利用希望者とを、行政が所有者の探索も含め能動的にコーディネートの上、土地、建物の利用のために必要となる権利設定等に関する計画を市町村が作成し、一括で権利設定(登記)を行う。
【立地誘導促進施設協定】
地域コミュニティが公共性を発揮し、住民の幅広いニーズに対応した必要な施設を一体的に整備・管理。協定を締結した後に地権者になったものにも効力を及ぼす「継承効」を付与。取り組みを広げるため、市町村長が周辺地権者に参加を働きかけるよう、協定締結者が市町村長に要請できる仕組みを合わせて措置。
【オープンスペースの活用】
グリーンインフラとしての効果を戦略的に高める。ウォーカブルな空間とオープンスペースを組み合わせてネットワーク化。オープンスペースの柔軟な活用。災害時の活用。多様なオープンスペースの活用。コロナ対策(運動不足・ストレス緩和・テレワークの場所など)。
【重要土地等調査法】
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律のこと。
【地域循環共生圏(ローカルSDGs事業)】
地域資源を活用して環境・経済・社会を良くしていく事業(ローカル SDGs 事業)を生み出し続けることで地域課題を解決し続け、自立した地域をつくるとともに、地域の個性を活かして地域同 士が支え合うネットワークを形成する「自立・分散型社会」を示す考え方。
【関係人口】
「定住人口」でもなく、観光で訪れる単なる「交流人口」でもない、特定の地域に継続的に多様な 形で関わる人。