添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
早くも選択科目が投稿
今回の論文投稿は、都市及び地方計画の選択科目Ⅱー1になります。テーマは、景観関連事業を3つの論文にて提出いただいております。景観は、令和元年度以降出題されていないので、観光などと絡めて出題される可能性がありますよね。
選択科目Ⅱー1は、知識を問う問題なので論文を作成すること自体は、他の論文に比べて容易です。練習論文の内容は、とどのつまり国の資料からのコピペでOKです。ただし、その性質上、出題の内容が分からないと全く記述できない厄介な問題です。つまり、予想さえ当たってしまえば、簡単に解くことができます。
このことから、選択科目Ⅱー1はキーワードをたくさん用意するといった対策になります。キーワードは、その意味を理解するだけでなく、特徴や類似制度の相違点といった形で整理する必要があります。これらの整理を行った上で、予想問題を作成します。
予想問題をどれだけ用意できるかが、選択科目Ⅱー1の突破に直結します。予想問題の作り方については、過去問の用語を変えることから始めるといいと思います。例えば、令和5年度に出題された問題を見てみましょう(過去問はコチラ)。
総合都市交通体系調査のうち都市交通実態調査について、全国の年において実施される代表的な手法を1つ挙げ、その概要を述べるとともに、近年の社会状況により生じつつある課題を複数の観点から説明せよ。
このような形で出題されています。ここで重要なのは、背景などは無視して聞かれていることを参考にすます。この問題で聞かれているのは、「概要」、「課題」、「複数の観点」です。よって、市街地整備に変えると「代表的な市街地整備手法を一つ挙げ、その概要を述べるとともに、課題を複数の観点から説明せよ。」となります。
どうですか?簡単にできますよね。そのほかにも過去問にはいくつかのパターンがあるので、キーワードにあった問題を引用すると良いでしょう。
論文
今回投稿いただいた景観3兄弟は、「景観屋外広告物」、「景観景観改善推進事業」、「景観制度・支援」になります。それでは、それぞれどのような論文になっているのか、早速見ていきましょう。
景観屋外広告物
問題:屋外広告物の定義と法規制を述べよ。
1 屋外広告物の定義①
常時又は一定の期間継続し屋外で、公衆に表示されるもので以下のもの
(1)看板、立看板、はり紙及びはり札
(2)広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの
(3)(1)、(2)に類するもの
① 選択科目は知識が問われます。屋外広告物法の第二条では、『「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。』とあります。内容は、合致しておりますので問題ありません。あとは、スペースの問題と箇条書きに対する評価がどうなるかといったところです。箇条書きのリスクを回避するのであれば、条文のままで良いでしょう。また、上記のままであっても、主語(屋外広告物とは)は書きましょう。
2 屋外広告物の法規制
(1)屋外広告物法に基づき各自治体が定める屋外広告物条例(規制・取り締まり)
景観行政団体である市町村、歴史まちづくり法に基づく計画認定都市及びまちなかウォーカブル区域を設定した市町村も、都道府県と協議の上、屋外広告物条例を定め必要な規制を行うことができる②。
② 問われていることは法規制とありますので、法を根拠にした規制内容を書くのではありませんか。つまり、文中にある「必要な規制」を具体に説明すべきです。条例ですので一律に解答できませんが、規制できる主な内容を例示するなどで説明してはいかがでしょうか。
(2)景観法
景観計画における制限
(3)都市計画法
地区計画による制限
(4)建築基準法
屋外広告物には防火措置として、不燃材料の使用が義務付けられている
(5)文化財保護法
伝統的建造物保存地区における規制
(6)自然公園法
特別地域、普通地域の規制 ③ 以上
③ (2)以降は、単に法律を並べているだけに見えます。②のとおり、規制できる内容を書きましょう。各種計画における規制内容、地域・地区設定を行うとどのような規制があるのか説明しましょう。また、①のとおり、箇条書きはリスクがありますので、(1)と同様に文章で記述した方が良いと思います(表現方法の統一の観点からも文章表現が望ましいです)。
景観景観改善推進事業
問題:景観改善推進事業の概要を述べよ。
1 景観改善推進事業の目的
「集約型都市」を目指し、景観計画を策定・改定する市区町村に対する総合的な支援を行う。
景観計画区域内の重点的な規制(届出対象行為・景観形成基準)が定められている地区で景観規制上、既存不適格となる建築物等への是正措置に対する支援を行う。
これらにより歴史的なまちなみや自然景観など地域の個性や特性を活かした景観形成を図り、質の高い景観まちづくりを推進する。
2 対象事業
(1)景観計画策定・改定に要する経費
(2)景観計画策定・改定にあたっての外部専門家登用やコーディネート活動に要する経費
(3)重点地区内の景観規制上既存不適格となる建築物等への是正措置に要する経費
3 補助対象者
歴史まちづくり法に基づく歴史的風致維持向上計画など景観に関連のある計画を定めている市区町村
4 補助率
2の(1)、(2)に関する経費・・1/3
2の(3)に関する経費・・・・・・1/3
なお立地適正化計画策定または策定に向けた具体的取組を開始・公表している市区町は2の(1)(2)に関する経費は1/2に嵩上げ。 以上
内容に関する指摘は、ありません。
ただし、令和元年度以降、補助メニューの内容が問われたことはありません。出題の傾向としては、補助制度というより、良好な景観形成を進めるうえでの制度、仕組みを問われるケースが多いです。具体的には、「景観法に基づく取り組みを実施主体ごとに示せ」、「景観農業振興地域整備計画の概要と意義を述べよ(ちょっと農業部門っぽいですかね)」といった形式になると想定されます。
景観制度・支援
問題:都市の景観を整備するための制度・支援制度を述べよ。
1 景観を整備するための制度
(1)景観地区(都市計画法)①
・都市計画の地域地区として市町村が決定
・建築物の形態意匠(景観法認定で担保)高さ壁面後退(建築確認で担保)などの規制が可能②
・罰則規定があり、良好な景観形成の担保
① 箇条書きは屋外広告物の指摘同様、リスクがあります。述べよとあるので、文章で説明すべきと考えます。
② 小見出しに都市計画法とあるので、景観法や建築基準法(建築確認)の記述があることに違和感があります。都市計画法で景観地区を定めることを示しているのだと思いますが、制限は他の法令により担保されるのでそこを説明しないと混乱を招きます。また、景観計画と景観地区の違いが明確になる記述が求められます。
(2)景観計画(景観法)
・景観行政団体(主に市町村)が作成
・景観計画区域内で良好な景観形成を図るため行為の制限の基準(景観形成基準)を定める。③
・景観形成基準は、建築物又は工作物の形態又は色彩その他の意匠の制限。
・建築物は届出・勧告による緩い規制・誘導
・形態意匠については条例で変更命令可能。④
③ 箇条書きにするのであれば、体言止め(原則、句点不要)
④ 条例で変更可能なのは工作物ではないでしょうか。建築物は、都市計画法で制限を定めるのではありませんか(下図参照:国交省HPより)。
2 景観活動に関する支援措置⑤
(1)景観改善推進事業
景観計画を策定・改定する市町村に対し、総合的な支援を行う。景観計画区域内の重点的な規制(届け出対象行為、景観形成基準)が定められている地区は、景観規制上、既存不適合となる建築物への是正措置に対する支援を行う。
(2)景観形成整備事業⑥
景観計画区域の景観重要建造物に対し、その建造物の意匠を保存するため建物の補修、改修を支援。建造物にあった周辺の緑地等の修景整備を行う。 以上
⑤ 令和元年度以降、補助メニューの内容が問われたことはありません。
⑥ 景観形成整備事業というメニューは確認できませんでした。景観形成総合支援事業であるならば、廃止されています。