PR

技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ   予想問題 「観光立国の復活」

論文添削
PR
PR

添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

PR

観光の注目度

令和5年度の出題予想を行った際、私は観光立国を一押ししていました(令和5年度予想はコチラ)。2番手は、GXと予想し結果、双方とも盛大に外した苦い記憶があります。ちなみに、3位防災、4位インフラメンテナンスと予想しており、なんとか面目躍如となりました(良かった…)。

令和6年度予想においても、観光は依然有力と考えています。新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月8日から5類になりました。時事的にもバッチリです。国の施策においても、ワーケーション、インフラ・ガーデン・エコツーリズムなど様々なツアー造成が提案されています。

先日お届けした予算から見る令和6年度出題傾向においても、必須科目にふさわしいテーマであることをお伝えしたところです(出題傾向はコチラ)。予算も529億円を計上し、1.6倍とジャンプアップしています。さらに、令和5年3月に観光立国推進基本計画が閣議決定されています。

このような状況を踏まえると、観光は去年より注目度は上がっていると言えます。働き方改革が強いインパクトを持っていますが、昨年のツートップ「GX」、「観光」も重要なテーマと言えます。当然、練習論文は、全員作成すべきです!

観光立国推進基本計画

では、論文はどのような視点で記述すればよいのでしょうか。そのヒントは、先に紹介しました「観光立国推進基本計画」にあります。この計画の期間は、3年間と非常に短いスパンで設定されています。まさに、短期集中型の取組みで、観光のV字回復を狙ったものですね。

この計画は、観光の質的向上を象徴する「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の3つをキーワードに、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大の3つの戦略に取り組むこととしています。

主な施策は、3つの戦略ごとに以下の内容が示されています。

持続可能な観光地域づくり
■観光地・観光産業の再生・高付加価値化
■観光DX、観光人材の育成・確保
■持続可能な観光地域づくりのための体制整備等

インバウンド回復
■コンテンツ整備、受入環境整備
■高付加価値なインバウンドの誘致
■アウトバウンド・国際相互交流の促進

国内交流拡大
■国内需要喚起
■ワーケーション、第2のふるさとづくり
■国内旅行需要の平準化

これさえ把握できていれば、もう骨子のイメージはバッチリですよね。これらを活用して、早速論文を書いて見ましょう。

論文

ということで、一足先に観光に注目した投稿者がおり、論文を投稿いただいております。さらに、自らリアル予想問題まで作成するといった力の入れようです。このような積極姿勢は、着実に実力を養うことになると思います。それでは、張り切って見てみましょう。

問題

 我が国において、人口が減り、少子高齢化が進む中、交流人口・関係人口の拡大は地域の活力の維持・発展に不可欠である。我が国には、国内外の観光旅行者を魅了する素晴らしい「自然、気候、文化、食」が揃っており、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」という。)によってもこれらの魅力は失われていない。ウィズコロナ・ポストコロナにおいても、観光を通じた国内外との交流人口の拡大の重要性に変わりはなく、観光は今後とも成長戦略の柱、地域活性化の切り札である。
 また、コロナ禍を経た旅行需要の変化に目を転じると、世界の旅行者の約 71%がサステナブルな旅行に関心がり、世界的に「持続可能な観光」への関心が高まっている。今後の我が国の観光の復活に向けては、以上のようなコロナによる変化やコロナ前からの課題を踏まえ、単なるコロナ前への復旧ではなく、コロナ前とは少し違った、持続可能な形での復活を図ることが求められる。
 このような状況下、持続可能な形での観光立国の復活を推進するための方策について、以下の問に答えよ。

(1)持続可能な観光地域づくりを進めるにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するにあたり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

課題

1.多面的な観点と課題
(1)いかに地域一体の観光地づくりを推進するか
 コロナ禍により衰退した観光業の回復を図るためには、観光地の面的な再生や高付加価値化を推進することが重要である。そのため、様々なステークホルダーによって観光地の魅力を磨き上げ、持続的な地域活性化に繋げていくことが求められる。よって、体制面の観点から地域一体の観光地づくりが課題である。

(2)いかにインバウンドの回復を行うか
 国際社会でのSDGsの浸透で、多様性を重視した観光活動が求められている。そのため、インバウンドの多様なニーズに対応し、我が国特有の文化等を踏まえたインクルーシブ観光の推進が重要である。よって、多様性の観点から、インバウンドの回復が課題である。

① 包摂性という視点で述べるのであれば、「人種、文化、宗教などの違いにかかわらず、誰しもが楽しめるインクルーシブ観光」としてはいかがでしょうか。

② 背景を踏まえると「への対応」の方が的確だと考えます。

(3)いかに省力化して取り組むか
 これまでの観光業は、付加価値を人的労働によって生み出す労働集約型の生産体制である。しかし、生産年齢人口の減少を迎える中、限られた人材で取り組むためには、DX技術等を活用した効率的な生産体制の構築が求められる。よって、人材面の観点からいかに省力化するかが課題である。

③ 人材面の観点としていますが、背景は体制面の観点が目立ちます。
→「労働集約型産業である」
→「観光のDX化が求められている」

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 観光地を核とした地域活性化により地方創生も達成できるため、「いかに地域一体の観光地づくりを推進するか」を最重要課題とし、以下に解決策を述べる。

④ 波及効果を理由とするのであれば、「地域活性化」または「地方創生」のどちらかで良いでしょう。

(1)官民連携
①公共交通サービスの機能拡充
 交通事業者や観光施設が提供するサービスのワンストップ化を図るため、観光型MaaSを導入する。例えば、顔認証デジタルパスにより観光施設や交通機関での一連の手続きをシームレスにする。DX化の進みが遅い中小事業者等では、導入に必要なリソースが限られる場合もあるため、自治体が補助制度の活用を促進する等、官民の一体的な取り組みを推進する

⑤ 大見出しは官民連携になっていますが、行政の関与が不明です。

⑥ 補助は誰が行うのか分かりません。自治体は促進だけですか。この体制が一体的なのか疑義があります。例えば、行政は交通結節機能を強化するなど相乗効果がイメージできる例示が望まれます。

②Park-PFi
 地域連携により、にぎわい創出や観光における回遊性向上を図るため、Park-PFIを推進する。整備計画の策定にあたり、WS等を通じて公園運営に対する地元参画を促す。また、市民ニーズを反映し易いDB方式を活用する。さらに、公園の取り組みや課題等について地元住民と共有し合う公園協議会を組成し、地元と一体化した公園運営を推進する

⑦ P-PFIの推進がなぜ回遊性向上につながるのか分かりません。また、「地域連携により」と手段が示されていますが、その具体的な手段はP-PFIとなっています。地域連携とP-PFIの関係性も分かりません。

⑧ P-PFIとは、飲食店、売店等の公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から生ずる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募により選定する「公募設置管理制度」のことです。住民参加スキームではありません。

⑨ P-PFIは、⑧に示したスキームになります。DB方式は、設計と施工を性能発注するPPP方式であり、P-PFI方式とは異なる手法です。

⑩ これは、都市公園法の協議会を指しているものと思われますが、P-PFIとの関連が不明です。都市公園の柔軟な管理運営を述べたいのであれば、官民連携ではなく市民協働で述べるべき内容ですね。

(2)市民協働
 行政や民間企業に依存せず、地域が自らの力よる観光地づくりを推進するため、観光DMOを組成する。組成にあたっては、一次・二次産業等のノウハウも取り入れる等、地域資源を活かしたコンテンツ造成を行える実行力のあるDMOを形成する。このような取り組みを通じて、シビックプライドの醸成を図り、持続的な観光地づくりを実現する。

⑪ DMOとは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。このようなDMOの役割を踏まえると、この目的は違和感があります(また、独自でやっては協働にならないです)。

⑫ 「組成に当たっては、・・・DMOを形成する」になっています。ねじれていますね。→「体制とする」または「構成とする」

⑬ 全体として、なぜDMOが市民協働なのか不明です。行政と市民との協働を手法として提案しているのであれば、DMOがこの市民協働にどのような効果をもたらすのか、それぞれの関係性がどうなっているのか説明すべきです。

(3)付加価値の創出
①景観まちづくり
 観光活動と親和性の高い空間を創出し、観光地の魅力を向上させる。例えば、歴史的資源が豊富なまちでは古民家を宿泊施設として再生し、歴史都市を暮らすように旅行できる拠点を提供する。また、無電柱化の推進により歴史的街並みを保全する。併せて、景観協定の締結により地元と協働した景観保全を推進する

⑭ 魅力向上は目的です。ここは、解決策なので、やることを記述した方が良いですね。つまり、目的とやることを入れ替えた方が分かりやすいと思います。→「観光地の魅力を向上させるため、観光活動と親和性の高い空間を創出する」
また、小見出しは景観まちづくりとしていますが、景観と言えなくもないですが、必ずしも景観に限った話ではないですね。

⑮ これも、景観なのか疑義があります。

⑯ この例示は、とても良いと考えます。なぜなら、この課題の観点は体制面だからです。一体性には景観も含むと考えますが、体制面の観点から外れてしまいます。よって、ここで書くべきは、どのような体制で良好な景観を形成するかを書くべきです。無電柱化も占用企業者や地元の協力体制を書くべきですし、古民家活用も同様です(景観と関連するか疑問ですが…)。

②地域資源の活用
 地域に潜在する観光資源を活用し、地域活性化を図る。例えば、産業や生活の基盤施設を巡るインフラツーリズムを実施する。実施にあたり、自治体だけでなく観光協会や民間事業者等と連携したコンテンツの造成を図ることで持続的なツーリズムを実現する。

⑰ 論点がズレています。目的は、持続可能な観光地域づくりであり、その課題としては地域が一体となって観光地をつくることです。地域活性化を図ることではありません。観点や課題を踏まえると、「地域住民や企業と地域資源を掘り起こし、その特徴を生かしたツアー造成をする」ではありませんか。

⑱ インフラを観光資源として活用する背景を書かないと、唐突感があります。これは、ただの社会資本であるインフラを上手に活用して観光資源に変えるといった説明が必要です。

⑲ まどろっこしいです。→「コンテンツを造成することで」

⑳ 持続的なツーリズムとは何が言いたいのか分かりません。また、誰と誰が連携するのか分かりません。さらに、関係者と連携してコンテンツを造成するとなぜ持続的なツーリズムになるのですか。説明不足です。

3.新たなリスクと対応策
 観光地の魅力が向上することで、オーバーツーリズムが発生するリスクがある。対応策として、人流データから通行量等を分析し、混雑具合のリアルタイム情報を提供する。時間や場所の分散化を図ることで、他の観光地への誘客といった波及効果も生じる。

4.必要な要件と留意点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。  以上

タイトルとURLをコピーしました