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技術士 二次試験対策 経営工学部門 令和5年度 選択科目Ⅱー1 「グリーンプロジェクト」

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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やっぱりグリーン!

今回、ご投稿いただいた論文は、経営工学部門です。経営・・・畑違いすぎる・・・とビクビクしていましたが、テーマは「グリーンプロジェクト」です。これは、なじみがありそうです。ご投稿いただく方々は、「これなら添削できるのでは?」というところを突いてきます。

さて、グリーンプロジェクトですが、平たく言うと環境改善に貢献する事業を指します。環境省の資料では、「グリーンプロジェクトとは、環境改善効果がある事業であり、環境面からのネガティブな効果(環境負荷)がその環境改善効果と比べ過大にならないと評価されるものをいう。」とあります。差し引きした結果、改善効果が勝ればOKという代物です。

昨今のトレンドは、どの部門でもグリーン一色ですね。もう何度も紹介しています「都市計画基本問題小委員会中間とりまとめ~多様な価値観や社会の変化を包摂するまちづくりを目指して~」の一丁目一番地もまちづくりGXです。

また、公だけではなく、民間においてもグリーンに関する投資に期待が高まっています。国土交通省では、「民間投資による良質な都市緑地の確保に向けた評価のあり方検討会」が設置され、「中間とりまとめ」(令和5年6月)が発表されています。このとりまとめでは、民間投資の促進に向けて評価制度を構築することの重要性、当該制度の枠組みや評価の視点等が示されています。

問題は地球規模ですし、行政主導では立ち行きません。民間の積極的な活動と一体となって、全員がその責任を果たすことが求められますよね。

なんでESG投資!?

前述のように、昨今の世界に共通する社会問題を解決するためには、公的投資だけでなく、相当額の民間投資が必要になります。これまでの投資はリスクとリターンという2次元で評価されていましたが、これからの投資は社会に与えるインパクトも評価するという3次元的な考えが生まれています。これをインパクト投資と呼んでいます。

さらに、まちづくりGX関連資料によく登場するESG投資もこのインパクト投資の一つです。ESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点が社会的インパクトになります。

例えば、環境は省エネ・再エネに取り組んでいるか、社会であれば健康、災害、地域社会などに貢献しているか、ガバナンスであれば情報開示、ダイバーシティの実現に取り組んでいるかなどが投資家の評価視点になります。

投資家たちは、そんなお金にならないことを本当に評価してるのかという疑問もおありでしょう。利益を出すことに全振りするような個人投資家やヘッジファンドは怪しいですが、機関投資家たちはこのESG投資に着目しています。ちなみに、機関投資家とは、大量の資金を元手に金融商品を買う法人投資家の総称です(約170兆円を運用する日本の年金積立金管理運用独立行政法人などが有名な機関投資家です)。

この機関投資家がESG投資だという考えを持ち始めるとそれに引きずられるように個人投資家等も投資先を見始めます(機関投資家が莫大な資金を投下すれば株価は上がりますからね)。このESG投資の流れはすでに生まれており、昨今どの企業もSDGsだ、ESG経営だと言い始めたのはこうした投資家たちの動きに連動しています。

ESG投資や企業の環境関連の財務情報開示(TCFD/TNFD)など、環境分野への民間投資の機運が拡大している状況は、ご理解いただけたでしょうか。まちづくりGXにおいては、さらに民間投資を活用して、良質な都市の緑地を創出・保全するため、事業を客観的に評価する制度を創設を検討しています。

これ以上説明し始めると、本題の添削LIVEに行かないので、今日のお勉強はここまでにしましょう。

論文

さて、初挑戦の経営工学部門です。しかも、選択科目とは難儀な!テーマは、冒頭申し上げた通り「グリーンプロジェクト」です。どのような論文なのか早速見ていきましょう。

問題文

技術士 二次試験対策 経営工学部門 選択科目 グリーンプロジェクト 問題文

調査・検討すべき事項

(1) 調査、検討すべき事項とその内容
1) 社内資源の調査
 グリーンプロジェクトの構想策定の足がかりとして、社内でグリーンプロジェクトに応用できる技術および活用できる人的資源を調査する。
2) 事業対象の検討
 PEST分析とSWOT分析を用いて業界の立ち位置および自社の強み弱みを分析した上で、自社のグリーンプロジェクトの事業対象を検討する。
3) 費用対効果の検討
 グリーンプロジェクトを実行に移すために必要な投資費用と、期待できる効果・利益を算出し、事業として成り立つか検討する。
4) 協力会社の調査
 グリーンプロジェクトの事業を実現するにあたり、自社のリソースで不足する技術を補足できる協力会社を調査する。


① 記述の内容は、どんなケースにも当てはめることができるものです。グリーンプロジェクトを焦点化していません。題意に関する専門性が欠如しており、一般論を脱していないように感じます。また、記載の調査のみで構想が策定できるとは考えにくいです。例えば、資金調達にグリーンボンドの活用検討などが考えられます。この場合、環境省のグリーンファイナンスポータルにある追加手続きをみると、下図の箇条書きにある「調達資金の充当対象プロジェクトの範囲を検討」、「グリーンプロジェクト評価・選定プロセスの検討」、「見込まれる環境改善効果の算定」あたりが良さそうだと思います。

技術士 二次試験対策 グリーンボンド資料
グリーンファイナンスポータルより抜粋(クリックするとグリーンファイナンスポータルへ)

② 社内リソースの確認は、結局のところ次に出てくるSWOTに含まれませんか?

③ この分析結果がなぜ事業対象の検討につながるのか不明です。例えば、自社の強みが販売力であった場合、どのようにグリーンプロジェクトに関連付けするのですか。また、「グリーンプロジェクトとは、環境改善効果がある事業であり、環境面からのネガティブな効果(環境負荷)がその環境改善効果と比べ過大にならないと評価されるものをいう。」と地域環境保全対策費補助金交付規定に定義されており、対象範囲の検討においては、外的要因云々の前にグリーンプロジェクトに該当するか否かの評価が必要ではないでしょうか。

④ ここで書くべき内容は、構想策定に必要な調査・検討内容です。実施に必要な調査ではありません。


(2) プロジェクトを進める手順と留意点・工夫点1) プロジェクトキックオフ
 ①事業範囲、②スケジュール、③遂行組織、④予算を規定した事業実施計画書を策定後キックオフミーティングを開催する。留意点:事業計画に(1)の構想を確実に反映する。工夫点:初めて聞く関係者の理解が深まるよう平易な言葉で説明する


⑤ 問題には、基本構想に基づいてプロジェクトを進める手順とあります。プロジェクトを進めるうえで必要となるこれらの情報は、基本構想に定められていることが前提ではないでしょうか。この基本構想の内容が判然としない中、事業実施計画書を策定すべきか必要性を判断できません。

⑥ いきなりキックオフミーティングなる会議が開催されますが、誰が集まって何を目的とした会議体なのか分かりません。

⑦ ⑤のとおり留意点として疑義アリ。

⑧ ⑥のとおり、組織の構成も分からないので、工夫として妥当かどうか判断できません。


2) パイロットプロジェクトの実施および評価
 プロジェクトを最初から大規模で開始すると計画の修正が必要となった際に影響が大きいため、小規模のパイロットプロジェクトを実施し効果を検証する
留意点:効果の測定基準を予め決めておく
工夫点:次のステップである事業拡大に向けて前広に準備する


⑨ グリーンプロジェクトですから、ここをしっかり書きましょう。

⑩ この問題の特徴は、計画フェーズと実行フェーズに分かれており、前者は調査検討方法を、後者は手順を記述するよう求められています。一見、フェーズごとに違うことを書くのかと考えがちですが、これはすべて構想に関する記述だと考えます。前者は構想の調査検討手法、後者は構想の内容と捉えるべきではないでしょうか。つまり、これは実行フェーズの留意点ではなく計画フェーズの留意点ではありませんか。よって、この内容が必要だと考えた場合、(1)の検討事項として記載すべきです。

⑪ 抽象的でどのような行動なのか分かりません。


3) 事業拡大
 パイロットプロジェクト検証の結果を経営会議で報告し、承認を得た上で計画とおりに事業を拡大する
留意点:パイロットプロジェクトの反省点を改善する。
工夫点:関係者と密に情報共有し、早期に立ち上げる


⑫ 社内合意形成プロセスは必要ですか。論点が些末であるように感じます。

⑬ 関係者とは誰ですか。一体何を立ち上げるのですか。説明不足です。


(3) 関係者との調整方策
 本プロジェクトの関係者は経営層、社内関係事業部署、プロジェクトメンバー、協力会社であり、これらの関係者と調整を行う必要がある
1) 事業計画書の策定
 事業計画書の準備段階で、社内関係事業部署、プロジェクトメンバー、協力会社と作業分担・スケジュール・資源配分等について事前にすり合わせを行い、素案を確定する。この素案を経営者に説明し、意見を反映することで経営層との調整も行う。
2)
 週に一度のプロジェクト進捗会議を行い、問題点の早期発見および解決を行う。 以上


⑭ 調整の必要性を述べる必要はありません。この部分は不要。

⑮ 効率的・効果的調整方法を問われているので、このすり合わせ方法を具体的に書きましょう。  次の経営者の部分も同様。例えば、「事実に基づいた客観データを用いて計画の妥当性を説明する」といった具合になります。

⑯ 小見出しがありません。

⑰ なぜ週に一度なのですか?グリーンプロジェクトという事業は、一過性の短期プロジェクトではありません。このような高頻度で、効率的といえるのでしょうか。プロジェクト進捗会議も参加者が分からず、発見までならともかく解決までとなると意思決定が必要となるのではありませんか。

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