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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ 予想問題 「首都直下型地震」 & 文脈の作り方②

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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文脈づくり②

添削していて、やはり気になるのが文脈です。選択科目Ⅱは、知識を問う問題なのであまり文脈を気にせず必要なことを漏れなく書くことの方が重要です。一方、必須科目と選択科目Ⅲは文脈が重要となります。以前の投稿では、課題における文脈の作り方を解説しましたが、本日は解決策の書き方を見ていきましょう(以前の投稿はコチラ)。

課題における文脈は、現状→問題点→必要性→結論という型にはめてしまえば、誰でも簡単に筋道の通った文章になります。では、解決策については、どのような構成が望まれるのでしょうか。解決策は、いたってシンプルな構成です。

なぜシンプルになるかというと、解決策を占める内容のほとんどは、具体例であるべきだからです。これも何度か申し上げていますが、大事な要点なのでしつこく何度も言います。技術力は、「具体例で示せ」ということを肝に銘じましょう。具体例がないと、一般論で終わってしまう可能性がかなり高いです。

よって、畳みかけるように具体例をバンバン書く、これが解決策の必勝法です。文脈はどうするのということに戻りましょう。文脈は、目的→やること(一般論)→具体例→特筆すべき効果(なくても可)が基本形となります。

この時の注意点は、「目的+やること」は1~2行程度にまとめます。これは、具体例にスペースを割くために、端的にまとめ上げることが求められるからです。書き方は、いたってシンプル「○○するため、△△を行う」となります。

あとは、これでもかというぐらいに最新事例、専門用語、詳細情報などを駆使して具体例を書き上げます。ここが、合否を分けるといっても過言ではありません。ここに全力投球です。そのためには、これを書くための知識が必要になります。基本は、選択科目Ⅱー1で取り組むキーワード学習の成果をぶつけるのが良いでしょう。

さあ、ご自身の書いた論文に具体例がどれだけ示されているか、再度チェックしましょう。足りなければ、今からすぐに追記・遂行することをお勧めします!

論文

本日のご紹介する論文は、建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ 予想問題 「首都直下型地震」になります。令和5年度には、巨大地震が出題されましたので、2年連続はないだろうと考えがちですが、能登半島地震を踏まえると注目度は高いです。災害関係は、あらゆるところで出題されるポテンシャルを秘めていますので、論文を用意しておくに越したことはありません。では、早速論文を見てみましょう。

問題

(1)防災減災において首都直下型地震などの大規模地震対策の強化を進めるにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

課題

1 多面的な観点と課題
(1)いかに大規模地震対策への強化を図るか
 首都直下地震や南海トラフ地震は今後30年間の間に70%の確率で発生するとされており、甚大な被害が想定される。未曾有の被害をもたらした関東大震災から100年が経過しているが、いまだに大規模地震災害時に著しく危険な市街地が存在しており、引き続き整備改善が必要である。
 よって技術面の観点からいかに大規模地震対策への強化を図るかが課題である。


① 課題は問われている内容そのものです。「料理をおいしく作るための課題は?」と聞かれて「おいしく作ることです」と答えているのと一緒です。課題を見直しましょう。


(2)いかに財政難の中で地震対策を行うか
 少子高齢化に加え、労働人口の減少による税収不足社会保障費の増大により財政難が続く。地震対策に対する予算が確保できず災害時に十分な対応が取れないことが懸念される。 よってコスト面の観点からいかに財政難の中で地震対策を行うかが課題である。


② 税収不足とは何を言いたいのでしょうか。歳出に対して、支出が足りないということですかね。そうであるなら、税収不足との表現は適切でないですね。また、税収は増加しています。

③ 社会保障費のみが歳出増の原因であるように見えます。一要因に過ぎません。

④ この表現ですと全く予算化できないように見えてしまいます。十分でないといった表現にしましょう。

⑤ 防災の予算と災害発生時の予算を同じように説明していますが、異なるものですので正確ではありません。発災時に必要な予算は、補正予算等で可及的速やかに措置されるものと理解しています。


(3)いかに少ない人数で地震対策を実施するか。
 少子高齢化により、今後の技術者不足は深刻さを増す。特に地方自治体では技術者の数に対して社会資本ストックの数が多い。そのため人手不足で十分な地震対策ができない状況にある
 よって人材面の観点からいかに少ない人数で地震対策を実施するかが課題である。

解決策

2 最も重要な課題
 地震対策は、待ったなしであり、ハード対策を迅速に進めるのが重要であるため、(1)の「いかに大規模地震対策への強化を図るか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。


⑥ これは題意です。課題設定とともに見直しましょう。

  •  解決策も添削しますが、課題設定が適切でないことを認識したうえで、ご確認ください。

3 解決策
(1)密集市街地の改善整備
 地震を原因とした大規模な市街地火災に対応するため、道路や公園の整備、老朽建築物等の除却・建替え等のハード対策を進める。また一層の安全性を確保するため、防災設備の設置や防災マップの作成等のソフト対策を促進する


⑦ 一般論を脱していません。それぞれ、どうやって進めるのか、火災に対応する整備とは何かといった内容を書かないと技術的な説明と言えません。

⑧ 防災設備や防災マップとはどのようなものなのか分かりません。また、設備の設置がなぜソフト施策なのですか。総じて、⑦と同様技術的な記述が欠けています。


(2)住宅・建築物等の耐震化
 住宅・建築物の耐震化を進めるため、建築物の耐震診断義務付けや耐震診断調査への支援を実施する。


⑨ これも同じですね。支援とは何を行うのですか。また、耐震診断調査と耐震診断に違いがあるのですか。同じなら耐震診断(←調査も含んでいるのでは?)で良いと思います。また、診断後の措置がありませんが、これには支援が不要と考えているのでしょうか。


(3)道路橋の耐震補強
災害時の救急救命活動や復旧支援活動を支えるため、緊急輸送道路上の橋梁について、耐震補強を行う。落橋・倒壊を防止する対策に加え、被災後速やかに緊急車両の通行を確保できる補強を実施する。


⑩ これも同じですね。落橋防止対策とは、通行を確保できる補強とはといった内容を具体的に書きましょう。


(4)無電柱化の推進
 災害時における道路の機能を事前に確保するため、関係省庁、電線管理者、地方公共団体が連携して、無電柱化を推進する。特に緊急輸送道路の既設電柱について、優先順位を決めて早期に占用制限開始する


⑪ 災害対策ですので、事前に行うのは当然です。不要。

⑫ 推進する方法を具体的に書きましょう。

⑬ 優先順位の決め方を記載すると良いでしょう。


(5)大規模地震リスクを踏まえた土砂災害対策
 地震を誘因とした、土砂災害ハザードに対応するため、居住誘導区域等、将来的に居住を継続する地域と大規模地震リスク、土砂災害警戒区域等を重ね合わせることにより、防災まちづくり上の重要箇所を抽出し、土砂災害に対し、重点的な施設整備を行う


⑭ 解決策として、提案されているのは重点的な施設整備です。まず、施設整備とは何かを明確にする必要があります。そのうえで、重点的とはどういうことなのかも具体化する必要があります。これらの説明すべきことがなく、重要箇所の抽出方法のみがかなりのスペースを費やし説明されています。説明の力入れどころがズレているように感じます。

リスク

3 新たに発生するリスク
 地震に対するハード対策が進んでくると、ハザードの位置が変化し、従来の避難行動が適用できないリスクが発生する。この対応策としては、整備に伴ってハザードマップを点検し、避難行動を変化させるなどのPDCAサイクルによってマップの見直しを行う。


⑮ PDCAは業務改善手法です。このケースには当てはまらないのではないでしょうか。

要点・留意点

4 業務として遂行するに当たり必要となる要件
(1)技術者倫理の観点
 業務にあたっては、解決策で述べ地震対策に合わせて誠実かつ十分な知識を持って公衆の安全、健康および福利に努めることに留意する常に「公衆(国民)」の幸福を大前提に業務を行う必要がある


⑯ これは何を意図しているのでしょうか。「業務にあたっては」と同じ意味ですかね。そうであれば不要です。

⑰ どんな場面で留意するのかといった内容がなく、業務との関連性が不明で唐突感もあります。

⑱ 必要性ではなく、要点・留意点を書きましょう。国民の幸福とは、公衆の安全、健康および福利と同義ではありませんか。同じことを繰り返し述べているように見えます。


(2)社会の持続可能性の観点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保し、将来にわたって安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。また建設現場での活動は常にエネルギーを大量消費する。解決策で示す対策により耐震性を向上させ、広範な視点を持って可能な限りCO2発生の少ない建設分野の工法を進めていく必要がある。      以上


⑲ 耐震性とCO2の関係性が不明であり、脈絡がありません。また、建設分野の工法とは何ですか。単純に、「工法」で良いと思います。

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