PR

技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度 必須科目Ⅰ 予想問題 「持続可能な観光」

論文添削
PR
PR

添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

PR

グリーンインフラの市場における経済価値に関する研究会

本日、5月28日(火)に「第4回グリーンインフラの市場における経済価値に関する研究会」が開催されました。まだ、第4回の資料は公開されていませんが、前回の資料などに目を通すと大変興味深い内容が示されていました(国交省のページはコチラ)。

グリーンインフラが今後の社会問題を解決する上で、いかに有効であるかはこれまでいくつもの資料や主張が物語っています。重要性は理解できますが、経済林や公共事業以外で緑化や緑地を進めていくことについてはイメージが湧きません。

何と言っても、緑や緑地(経済林除く)は儲からないじゃないですか。いくら社会貢献だ、CSRだといっても利益を生まない事業には限界があります。もちろん、公共は公益性重視ですから、社会に求められることは積極的に行っていくわけですが、財政がひっ迫している中でこれまた活動には限界があります。

このような、問題に真正面から議論しているのが、「グリーンインフラの市場における経済価値に関する研究会」というわけです。「緑化は儲からないという仕組みを変えてやる~」という気概が好きですね。国が示す活動内容は、『新たな「グリーンインフラ推進戦略2023」(R5.9)やTNFD等の世界的潮流を踏まえ、グリーンインフラの効果や関連する評価の仕組み等について体系的に整理・市場分析を行い、市場における民間投資の促進に向けて幅広く議論、検討を行う。』とされています。

論点は、次の3つが示されています。

  1. グリーンインフラの市場における経済メリット(経済価値)について、どのように現状を分析・評価できるか。今後、どのような切り口での市場分析が効果的と考えられるか。
  2. グリーンインフラに関わる様々な認証制度の特徴や活用状況等を踏まえ、グリーンインフラに取り組む経済メリットを可視化し、市場に内部化していくために、国はどのような環境整備に取り組む必要があるか。
  3. 企業がグリーンインフラの取組を進めていくにあたっては、グリーンボンド等を活用した資金調達のしやすさが重要と考えられる。そのために、国はどのような環境整備に取り組む必要があるか。

簡単に言うと、「どうやって緑の価値を決める?」、「緑は儲かりまっせってどうやって伝える?」、「緑増やす人はお金を集めやすくするぞ!」に果敢挑戦する取り組みに見えます。地域レベルで、考える機会はあっても、国全体でこの仕組みを考えていくというのも、何とも大変なお仕事です。

これら3つの仕組みが整えば、30by30やカーボンニュートラルもグッと現実性が増すという者です。今後の議論に注目していきましょう。

論文

今回の論文は、建設部門 令和6年度 必須科目Ⅰ 予想問題 「持続可能な観光」です。みんさんは、GWはどこかへ出かけましたかね。最近の観光地は、様々な事柄にストリーや背景を与えて新たなコンテンツに仕立てるという傾向が顕著です。観光の捉え方も多様化しており、ニッチな価値にスポットライトを当てれば立派な観光スポットになるようです。観光の進化は面白いですね。私の感想はここまでにして、早速「持続可能な観光」を見てみましょう。

問題

ポストコロナを見据え、持続可能な観光の推進は我が国が取り組むべき喫緊の課題の一つである。
持続可能な観光の促進に向けた受け入れ環境整備においては、自然環境・文化等の地域資源の保全・活用を推進し、地域と旅行者の双方がメリットを享受できることが望まれる。
このように、観光立国として稼ぐ力を養うとともに、地域における経済と社会の好循環を実現することを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)建設分野における持続可能な観光を実現するにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じうる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

課題

1 多面的な観点と課題
(1)いかに持続的な観光地域を実現するか
 人口減少が進む中、コロナ感染症の影響もあり観光を目的とした交流人口が減少した。
 観光は、学習・社会貢献・地域交流の機会であり、同時に交流人口の拡大につながり、活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を可能にする
 よって活力面の観点からいかに持続的な観光地域を実現するかが課題である。


① これらの機会に関する説明がないので、それぞれ説得力に欠けます。

② 冒頭の「減少した」という現状とのつながりがなく、背景にまとまりがありません。「減少した」という事実があるなら、減少した場合の悪影響を述べ問題を提起すると良いでしょう。

③ どのような立場なのか分かりません。

④ これは、問題そのものです。持続可能な観光を実現するための課題を書くのですよ。


(2)いかに財政難の中で対応するか
 少子高齢化に加え、労働人口の減少による税収不足社会保障費の増大により財政難が続く
 そのため観光にかかる予算が確保できず十分な対応ができないことが懸念される。
 よってコスト面の観点からいかに財政難の中で観光環境整備を行うかが課題である。


⑥ 税収不足とは何を言いたいのでしょうか。歳出に対して、支出が足りないということですかね。そうであるなら、税収不足との表現は適切でないですね。また、税収は増加しています。

⑦ 社会保障費のみが歳出増の原因であるように見えます。一要因に過ぎません。

⑧ この表現ですと全く予算化できないように見えてしまいます。十分でないといった表現にしましょう。

⑨ 抽象的で問題が明確になっていません。

⑩ 環境整備が必要な背景がなく、唐突感があります。

⑪ 全体的にまとまりがなく、バラバラな印象を受けます。前後の文脈(つながり)を意識して書きましょう。例えば、観光客減少(起 現状)→客が減ると地域活力が喪失(承 持続可能性を示唆)→客を増やすためにはニーズにあった環境を提供(転 課題を誘導する必要性)→持続可能性の観点から環境整備が課題(結 結論)といった流れ(起承転結)を作ると文脈が通ります。


(3)いかに少ない人数で観光対応を行うか
 少子高齢化により、観光における人材不足は深刻さを増す。特に観光産業のデジタル化の遅れに象徴される生産性の低さや人材不足といった構造的課題 が、コロナ禍で一層顕在化した。
 よって人材面の観点からいかに少ない人数で観光対応を行うかが課題である。


⑫ 生産性の低さや人材不足は問題点です。課題とは、目標と現状とのギャップである問題を解決するために、具体的にとる行動のことです。また、構造的といった表現も違和感があります。観光産業の仕組みが起因している問題ではないのではないでしょうか。

⑬ 指摘の問題点は、コロナという要因は関係ないのではありませんか。

⑭ 対応とはなんですか。抽象的で、課題が明確になっていません

解決策

2 最も重要な課題
 地域社会・経済に好循環をもたらす効果が最も高いのは(1)であるため、(1)の「いかに持続的な観光地域を実現するか」を最も重要な課題に選定し以下に解決策を述べる。


⑮ 「効果が最も高い」と「最も重要な」は類似していますので、「・・・好循環をもたらすため」としてはいかがでしょうか。ただし、前述の指摘の通り、課題設定が不適切です。

  •  解決策も添削しますが、課題設定が適切でないことを認識したうえで、ご確認ください。

3 解決策
(1)良好な景観の形成
 優れた景観を観光資源として、保全・活用を図るため、その景観を保有する地域の景観計画を策定する
 同計画に基づき、重要文化的景観等の景観の構成要素となる物件の修理・修景が可能となる。また屋外広告物の安全対策や違反広告物の是正対策を行う。


⑯ 冗長的です。→「観光資源となる優れた景観を保全・活用するため、景観計画を策定する。」

⑰ これも分かりづらい表現です。景観の景観要素となっており重複しています。また、可能性ではなくやることを書きましょう。→「重要文化的景観を構成する自然や建築物等の修景を進める。」

⑱ 見出しにある良好な景観形成に資する取り組みにしましょう。


(2)まちなかの回遊性の向上
 まちなかの回遊性を向上させるため、「居心地が良く歩きたくなる」空間の形成を図る。
 具体的には、まちなかウォーカブル推進事業を導入し、道路空間を再構築して、歩行者空間や自転車空間を確保する。あわせて、歩行者利便増進道路制度によるオープンテラスやマルシェを行い、観光地の魅力を向上させる。


⑲ 補助事業名を記載するのではなく、その内容(車中心から人中心の空間に転換するまちなかの歩ける範囲の区域において、街路の広場化や公共空間の芝生化、沿道施設の1階部分の開放など、既存ストックの修復・利活用に関する取組)を書きましょう。

⑳ 「賑わいのある道路空間」の さらなる普及に向けて ~歩行者利便増進道路制度の創設~歩行者利便増進道路(道路法改正案)と滞在快適性等向上区域(都市再生特別措置法改正案)を併用することで、官民一体で取り組む「居心地が良く歩きたくなる」空間の創出を促進」とありますので、滞在快適性等向上区域を設定することについても触れると良いと思います。


(3)観光地域づくりのための体制整備
 地域のあらゆる資源を観光に活用するため、商工業関係者や文化財管理者など、地域の多様な関係者を巻き込んだ体制:観光地域づくり法人(DMO)を構築する。体制を構築することにより、マナー違反や混雑などの住民との課題や地域の課題取り組みことができる。


㉑ 観光地域づくり法人は、観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協同しながら、観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。よって、関係者を巻き込んだ体制という表現は不適切だと思います。DMOは関係者との調整を行う役割です。

㉒ 一括りにして地域課題で良いのではないでしょうか。

㉓ →「取り組む」

リスク

3 波及効果及び懸念事項
(1)波及効果
 地域住民が、身の回りにある資源を観光資源として認識することができ、観光を通じて住民が自らの地域に誇りと愛着を感じることができる。


㉔ 令和5年度は、波及効果を問われていません。

㉕ 主語は変わっていないので不要。


(2)懸念事項及びその対応
 観光地への旅行者が増加すると、自然災害時における被災リスクの増加が懸念される。この対応としては、多言語による適切な情報発信等をウェブサイトやSNSで行う。


㉖ 旅行者が増えても、リスクは変わらないのではありませんか。被災対象者が増えるということですか。また、対応策が多言語化なので、インバウンドのみが対象になっています。

要点・留意点

4 業務として遂行するに当たっての留意点
(1)技術者倫理の観点
 業務にあたっては、解決策で述べた施策に合わせて、誠実かつ十分な知識を持って公衆の安全、健康および福利に努めることに留意する。常に「公衆(国民)」の幸福を大前提に業務を行う必要がある。
(2)社会の持続可能性の観点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保し、将来にわたって安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。
 また建設現場での活動は、常にエネルギーを大量消費する。解決策で示す施策により快適性や回遊性を向上させ、広範な視点を持って可能な限りCO2発生の少ない建設分野の工法を進めていく必要がある。  以上


㉗ 建設現場と関係のない話です。文脈を大切にしましょう。

タイトルとURLをコピーしました