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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度選択科目Ⅲ 予想問題 「生産性の向上」

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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モビリティサービスの進化

「ライドシェア」のサービスが4月8日から都内でスタートしましたね。シェアモビリティは、カーシェアリングから広がり、シェアサイクル、電動キックボードシェアと様々なサービスが提供されています。そして、最後の砦、自家用車のシェアサービスが開始です。

低炭素社会の実現、高齢者の移動支援などの観点から注目されるグリーンスローモビリティ、物流のモーダルシフト、交通DXと交通GX、MaaSなど生産性、持続可能性、利便性を高める公共交通のリ・デザイン・・・などなど、交通政策が熱いです!

交通政策は、専門科目の道路よりなので必須科目のテーマそのものにはなりにくいです。コンパクト・プラス・ネットワークを推進する上でも、重要なんですけどねぇ・・・もちろん、解決策には使えるのですがね。やっぱり、必須科目でいうと交通問題の一つの背景となっている労働力不足に関する問題点が問われることになりそうです。

次世代モビリティ

交通政策審議会 交通体系分科会 地域公共交通部会 最終とりまとめ~地域公共交通の「リ・デザイン」の実現に向けた新たな制度的枠組み等に関する基本的な考え方~に記載されているコラムには、次世代モビリティが紹介されています(地域公共交通の「リ・デザイン」はコチラ)。

【自走式ロープウェイ】
自走式ロープウェイは、ロープウェイ、電気自動車、モノレールを組み合わせた交通システムです。最近では、横浜で都市型循環式ロープウェイが運行され話題になりましたが、残念ながら自走式ではありません。横浜からもっと西にある秦野市で、調査検討が進められています。

【モビリティスクーター】
モビリティスクーターは、電動・低速・1 人乗りのモビリティです。よく、おじいちゃんたちが乗ってる動く車いすのカッコいいバージョンですね。ヨーロッパなどでは、高齢者を中心に普及しているようです。

【空飛ぶクルマ】
空飛ぶクルマは、説明不要ですよね。早く実現しないかなぁ・・・2025 年の大阪・関西万博で飛行の開始を目指しているようです。いろいろな問題が取りざたされていますが、技術者の端くれとしては万博いきたーい。

論文

本日お届けする論文は、建設部門鋼構造及びコンクリートの選択科目Ⅲの予想問題です。テーマは「生産性の向上」を取り上げています。上記の交通政策も、労働力不足を背景に生産性の向上が求められています。このように、生産性の向上は分野を問わず、共通のタスクと言えます。きっと、みなさんに役立つ情報が潜んでいると思います。それでは、早速論文をみていきましょう。

問題文

ー前文省略ー
官民研究開発投資拡大プログラムでは、ターゲット領域の一つに「革新的建設・インフラ維持管理、革新的防災・減災技術」がある。これらを踏まえ以下の問いに答えよ。

(1)建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させるため、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

課題

1.建設現場の生産性向上の課題
(1)人材の確保・育成(人材)
 現在建設業就業者数は500万人弱でビーク時から約30%減少している。また、若者の建設離れや生産年齢の高齢化が進行し、従来のOJT(職場内訓練)依存では人材育成、技術継承が困難な状況である。人材の観点から人材の確保・育成が課題である


① 生産年齢は高齢化しません。生産年齢とは、15歳~65歳の人を指します。→「就業者の高齢化」

② 依存という表現に違和感があります。→「OJTのみでは」

③ まず観点ですが、「人材の観点から人材の確保」では観点と課題が同じに見えます。また、背景では、人材育成・技術継承が問題視されているので、人材育成のみで良いと思います。人材確保も書くのであれば、人材不足の問題点の追記および観点の変更が必要です。これらの修正を行った場合でも、疑問が残ります。人材確保は、生産性を向上させるための課題なのでしょか。人材不足は生産性を向上させるための背景だと考えます。また、人材育成も革新的技術を教育するなら理解できますが、技術継承が目的の研修では、これまた生産性を向上させる課題にはふさわしくないと思います。おそらく題意の生産性を労働力の確保と考え違いしているのではありませんか。生産性とは、「投入量(労働力)」に対する「産出量(出来高)」の割合です。ここでの課題設定は、「投入量」を増やすための課題になっています。
課題設定を見直しましょう。


(2)働き方改革の促進(労働環境)
 建設業は労働集約型で労働力に依存しており給与待遇や社会保険等の就労環境が悪く3K(きつい、汚い、危険)の状況である。全産業と比べ、建設現場の労働災害は約2倍の死傷事故率の危険な作業を伴い、労働者の減少の要因となっている。新3K(給与、休暇、希望)に取り組む必要がある。労働環境の観点から働き方改革の促進が課題である


④ 同じような説明が続いています。どちらかで良いでしょう。また、文章の前半と後半がつながっていません。順接ではなく、逆接表現でつなぐと良いでしょう。→「建設業は労働集約型であるにもかかわらず、」または「建設業は労働力に依存しているが」

⑤ 就労環境というと働く場所の環境が悪いように見えます。例示とミスマッチです。ここは、就労環境ではなく「雇用条件」としてはいかがでしょうか。

⑥ これも、前段では雇用条件を例示していますが、後段では就労環境を説明しています。混在しているので、分けて書いた方が良いでしょう。→「・・・依存しているが、給与待遇や社会保険等の雇用条件は悪い。また、職場環境も、きつい、汚い、危険(3K)といった状況である。」

⑦ 接続詞が欲しいですね。→「このような状況から」

⑧ ここも、接続詞がほしいです。他も同様。→「よって」、「したがって」

⑨ ③と同様、課題設定を見直しましょう。


(3)新技術の活用(技術)
 現場の急速な高齢化と若者離れが深刻であり、担い手不足の中、限られた人材で生産性を向上する必要がある。そこで、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能) 等の新技術の導入を促進する技術の観点から新技術の活用が課題である。


⑩ 生産性を向上させるための課題を答えるにあたり、生産性向上の必要性を説明する必要があるのでしょうか。

⑪ 解決策になっています。課題の項目では、必要性や重要性といった表現にとどめておきましょう。

⑫ 技術の観点から新技術の活用が課題となっており、観点と課題が同じに見えます。観点を技術にするのであれば、課題はもう少し具体化させると良いでしょう。→「技術面の観点から、建設業のデジタル化(DX)が課題」

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 最も重要な課題は「新技術の活用」であると考える今後も人材不足は深刻な問題であり、頻発・激甚化する災害や社会資本の老朽化等の問題がある。建設業は国民の安全・安心を確保する重要な役割を担っており、これらの問題を新技術の活用により解決する必要がある。以下に解決策を示す。


⑬ 文末が冗長的です。→「である」または「と考える」

⑭ 課題の背景や問題点は、最初の課題項目で述べるべきです。ここで述べるべきは、最も重要と考えた理由です。

⑮ 以下に示されている解決策は、鋼構造・コンクリート技術者としての観点が少ないと思います。必須科目Ⅰならば、これで良いのですが、専門科目であることを考慮し、もっと専門科目の視点に寄せた方が良いですね。


(1)i-Constructionの推進
 国土交通省は「i-Construction」を導入し、建設現場の生産性の向上を目指している①「ICT技術の全面的な活用」、②「規格の標準化」、③「施工時期の平準化」という内容のトップランナー施策によるインフラ施設の整備や管理により建設現場の生産性向上を推進する。また、「CIM」による3次元データを全工程間(調査~維持管理)で共有することにより、維持管理時の確認や手戻り防止等の効果がある


(2)インフラデータプラットフォームの活用
 インフラ施設の維持管理情報は紙資料で保管している自治体も多い。古い施設だとデータが存在しないこともある。インフラメンテナンスサイクルで得た膨大なデータを統一した様式で電子データ化し集約するPRISMを活用し国や各自治体、大学、企業間で横断的に利活用し、インフラメンテナンスの高度化を目指す。


⑲ 主語が情報なので、受け身になります。また、主語述語の関係もおかしいです。→「多くの自治体において、インフラ施設の維持管理情報は紙資料で保管されている」

⑳ 論文なので口語調は避けましょう。→「・・・の場合」

㉑ 読点がなく、読みづらいです。この場合は、将来のデータ管理もあるので、集約ではなく集積とした方が良いと思います。→「インフラメンテナンスサイクルで得た膨大なデータを電子データ化し、統一した様式で集積する」

㉒ 『PRISMとは、平成28年12月に取りまとめられた「科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブ」に基づき平成30 年度に創設された内閣府主導の制度で、高い民間研究開発投資誘発効果が見込まれる領域に各府省庁の研究開発施策を誘導し、官民の研究開発投資の拡大、財政支出の効率化等を目的としている。』と定義されています。ここでのPRISMは、プラットフォームであるような説明になっています。また、後述にある「利活用」も何を利活用するのかをしっかり書きましょう。


(3)防災情報共有システムの活用
 H30の西日本豪雨やR2年の熊本7月豪雨等、風水害による被害は近年頻発化・激甚化している。各省・自治体連携により災害情報をリアルタイムで共有・利活用する仕組を構築する。災害時の適切な避難行動を促し、防災・減災活動を効果的に実施する。




㉓ ここは、解決策を書くところなので、このリアルタイムで情報を共有・利活用できる仕組みをもっと具体的に書きましょう。解決策の基本構成は、①解決策の目的→②やること→③具体例→④特筆すべき効果となります。以下の記事を参照してください。
https://gijutushi-index.com/2483/


新たなリスク

(1)波及効果
 新技術を活用することにより生産性が向上する他、一連の情報が集約されるため、災害対策やインフラの維持管理において効率化・高度化が期待できる。また、これらの技術は発展途中の同じ問題を持つ海外諸国に対して、技術提供が可能となり我が国の持続可能な発展につながる。


㉔ 令和5年度では、波及効果は問われなくなっています。

㉕ 「生産性が向上する他」とあるので、生産性の向上以外の効果を書くべきですが、効率化はここでいう生産性とほぼ同義ではありませんか。

㉖ 持続可能な発展との表現は、環境的な側面がないこのケースでは多少違和感があります。経済的な発展程度にしておいた方が良いでしょう。


(2)新たな懸案事項と対応策
[懸案事項と対応策①]コストの増大
 ICT技術は新しい分野・技術であるため、実績も少なく、計画と結果がともなわない場合がある。対応策としてi-Construction―コンソーシアムにより、産学官協力のもと新技術の開発等の情報を公開し、更なる技術開発を行い、費用対効果を上げるPFI 、コンセッション等により民間活力を利用し、新技術の普及とコストダウンを促す


㉗ 懸念事項と解決策が2つ示されていますが、スペースを使いすぎている感じがします。一つに絞って、技術力が最も示せる解決策をもっと充実させましょう。

㉘ 計画した成果が得られないということを言いたいのですよね。→「計画した成果が得られない場合がる」
また、これは解決策を講じた結果新たに生じる懸念なのか疑義があります。もともと新技術に内在するものではありませんか。

㉙ 計画した成果が得られない状況を解決する手段が、なぜ情報公開や更なる技術開発なのですか。その因果関係を説明しましょう。さらに、その結果が費用対効果の向上になっています。懸念事項は費用対効果が小さいことではなく、計画したとおりの成果が得られないことですよ。対応策になっていません。

㉚ ㉙と同様。

※この項目は適切な解答になっていませんので、見直しましょう。


[懸案事項と対応策②]技術者レベルの低下
 ICT等の新技術が普及し、機械化や自動化が進むと技術者自身が考える機会が減少し、土木技術レベル低下が懸念される。対策としては、国が支援するi-Construction研修や土木技術講習会等で必要なスキルを習得する技術者は新技術の習得のみでなく、建設業に必要な技術や知識、情報について向上心を持ち自己研鑽に努める。-以上-


㉛ 「・・・し、・・・し、」と連続しており、読みづらいです。→「・・・し、・・・することから、」

㉜ この主語は、「対策としては」ですが、習得するのは現場の技術者ですよね。主語述語の関係がおかしいです。また、ここで書くべきことは、対応策なので「習得できる環境を整備する」などとしてはいかがでしょうか。

㉝ ここは解決策を書くところです。自己研鑽に努める環境を提供することや、この意識向上のために何をすべきかを書くべきです。

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