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技術士 二次試験対策 令和6年度 電気電子部門 必須科目Ⅰ 「技術の進展と普及」 解説

論文添削
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令和6年度 電気電子部門 選択科目Ⅰ 解説

【 技術士 二次試験対策 】

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電気電子部門 選択科目Ⅰ 解説

電気電子部門の必須科目も解説して欲しいとのリクエストがありましたので、添削LIVEに先駆けて、解説から行っていきたいと思います。今回判明した電気電子部門の問題は、「技術の進展と普及」でした。この問題は、条件が非常に多く、この条件に合わせて解答しなければならなく、とても難しい問題との印象を持ちました。

また、新しい技術、成熟した技術、技術の進展と普及といったように、非常に抽象的な表現が並んでいます。そういう意味では、幅広く解答できるとも言えなくはないのですが、正直その出題意図を掴むのに難儀します。さらに、前述の条件があることによって解答は絞らざるを得ないという厄介さです。

そんな激ムズ問題を早速分析、解説していきましょう。

問題文

 本問は、電気電子分野における技術の進展と普及の問題について問うものである。新しい技術(手法も含む)を取り入れる場合と、成熟した技術(いわゆる枯れた技術)を使い続ける場合とを比較して、どのような技術得失を判断して本業の技術の導入戦略に取り組むべきか、企業規模の大小の違いによる側面を踏まえてどのように本業を発展させていけばよいか、これらの解決策と将来像についての道筋を示すことが求められている。以下の設問に技術面で解答せよ。(人事、政策などは含まない。)

(1)電気電子分野の技術者としての立場で、技術の進展と普及について、下線部のキーワードに基づいて、多面的に異なる観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を説明せよ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。

(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題うぃ1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その技術課題に対する電気電子分野関連における解決策を3つ、新しい技術並びに成熟した技術の具体名とともに、専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(2)で示した解決策の実施において、技術者としての倫理、社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。

解説

リード文

本問は、電気電子分野における技術の進展と普及の問題について問うものである。

この問題は、めずらしい構成となっていますね。なんと、最初に問題の要旨が記載されています。良く見るパターンは、現状や社会問題を説明するものが多いです。しかし、冒頭に要旨を持ってくるなんて、どういう意図なのでしょうか。

それは、後述の内容をみると分かるのですが、非常に抽象的で何を問われているのか分かりづらいのです。その結果、最初にこういう問題ですよと説明しておく必要があったからと推測します。この推測が正しいとするなら、この問題は非常に理解が難しく、当然解答を的確に示すことも困難を極めるものということになります。

電気電子部門は、このような抽象的表現で問うことが多いですね。とにもかくにも難問と言えます。

新しい技術(手法も含む)を取り入れる場合と、成熟した技術(いわゆる枯れた技術)を使い続ける場合とを比較して、

まず出てくるのが、新しい技術です。出ました抽象的表現!何なんだよ新しい技術って!?幅広すぎる???新しいの定義って主観でいいのか?と疑問が止まりません。

一方、成熟した技術は抽象的な表現であるものの、括弧書きによってかなりイメージしやすいです。「いわゆる枯れた技術」とあり、酷い表現をしています。さびれた技術、陳腐化した技術、古めかしい技術といった意味に言い換えられます。成熟だけですとポジティブにも捉えられますが、ここでの意味は完全にネガティブな表現となっています。ここが最初のチェックポイントです。

そして、最後に「比較して」とあります。この新しい技術と成熟した技術を比較する視点を持てという条件ともいえる表現に注意が必要です。この視点を意識して解答する必要がありそうです。

どのような技術得失を判断して本業の技術の導入戦略に取り組むべきか、企業規模の大小の違いによる側面を踏まえてどのように本業を発展させていけばよいか、これらの解決策と将来像についての道筋を示すことが求められている。

さあ、ここから条件ラッシュが始まります。この下線部がキーワードとなり、これに基づいて設問に答える必要があります。さらに、文全体としては、2つの問題点が示されており、この問題の解決策を示すことが求められているとしています。

まずは、問題点の内容を正しく理解することが必要です。1つ目の問題点は「技術のメリット・デメリットを踏まえ、どうやって技術を導入していくか」、2つ目の問題点は「企業規模の違いによる影響を踏まえ、どうやって技術を発展していくか」です。さらに、新しい技術成熟した技術の比較を通して、これらの解決策の道筋を示すという主張が問題の背景となっています。

これらを理解するには、この2つの問題点を具体的にイメージする必要があります。新しい技術は、費用はかかるが生産性が上がる。一方、成熟技術のままだと、コストはかからないが生産性も上がらない。このように、1つ目の問題点は、費用対効果をイメージすると分かりやすいと思います。

2つ目は、企業規模ですから資金面、体制面に大きな違いがあることから、当然大企業は新しい技術を導入しやすく、その効果から企業自体はドンドン発展していきます。しかし、技術の普及は、裾野にまで届かないので社会全体で見れば、限定的な効果に留まってしまいます。社会全体が、新しい技術の恩恵を享受できる仕組みといったイメージでしょうか。

ここまでイメージを膨らませて、ようやく理解できるこれらの内容は実は背景や条件に過ぎず、この問題解決の道筋を示すことが問いではないのです。非常にややこしいですし、紛らわしい問題です。ここで最初の記述に戻りますが、聞かれていることはあくまで「技術の進展と普及」について問われていることを思い出しましょう。

問(1)

(1)電気電子分野の技術者としての立場で、技術の進展と普及について下線部キーワードに基づいて、多面的に異なる観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を説明せよ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。

前項のとおり、「技術の進展と普及についての課題」が問われている内容になります。背景で混乱し、題意を外していませんか。全員要チェックです。

次なるポイントは、「キーワードに基づいて課題を抽出しろ」という条件です。キーワードは①技術得失、②企業規模、③道筋の3つです。ただし、すべてに触れる必要があるのか、一つだけでも良いのか判然としません。そうなると、リスクを回避するためには、すべての条件に触れる必要があります。過去の電気電子分野の問題には、観点があらかじめ示されているパターンがあります。つまり、これもそれと同じ類の問題と言えます。

そのように解釈した場合、このキーワードをそのまま観点とする戦法が効果的に感じます。例えば、次のような設定が想定されます。
① 技術得失の観点から、新しい技術の費用対効果(または効果の最大化)が課題
② 企業規模の観点から、新しい技術の導入のしやすさが課題
③ 道筋の観点から、新しい技術の周知が課題
このように、キーワードからイメージできる課題を設定すると題意に的確にかいとうできるものと推察します。

問(2)

(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題うぃ1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その技術課題に対する電気電子分野関連における解決策を3つ、新しい技術並びに成熟した技術の具体名とともに専門技術用語を交えて示せ。

電気電子分野の問題には、「理由を書け」と具体的に明記されています。これも、チェックポイントですね。みなさんの論文には、理由が書いてありますか?理由は、「最も重要」の言い換えにならないように注意が必要です。「すぐに効果が出る」、「安全性が高まる」など課題の目的そのものではなく、時間や波及効果といった他の要素から理由を持ってくることが望まれます。

次のハイライトは、「新しい技術並びに成熟した技術の具体名とともに」とあります。この条件を満たすことが解決策を書く上での最大のポイントと言えます。しかも、「並びに」とあるので、ANDです(問題文のくせに「並びに」の使い方間違えていますね)。両方の具体名が必要になります。

最後にとどめです。「専門用語を交えろ」とあります。一般論ではダメですよとくぎを刺されています。本当に難しい問題です。

問(3)~(4)

(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

これは、ほぼ今まで通りですね。ただ、注意点は2つです。懸念事項は、①解決策に関連していること、②将来的なものであることとすべきということです。最初からあるリスクや、解決策とあまり関係のないリスクは、適切とは言えません。ご自身の論文がどのような表現になっているのか要チェックです。

(4)前問(2)で示した解決策の実施において、技術者としての倫理、社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。

これも、いつもどおりです。お決まりの文句でも書いておけばOKです。

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