添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
合格発表近づく
早いもので、すっかり秋らしい陽気になってきました。異常なほどの暑さも収束に向かっており、もう今年も2か月ちょっとで終わろうとしています。指をこまねいているとあっという間に人生が終わってしまいます。
このような憂いは、ご覧いただいている皆様には縁遠い話です。技術士取得という具体的な目標に向かって努力しているのですからね。資格取得に思い悩んでいる人は、自分のできることを少しずつでも良いのでチャレンジすることをお勧めします。
さて、チャレンジ真っ最中の皆様は、いよいよ10月下旬に突入です。つまり、合格発表ウイークを迎えます。今週から順次結果通知が発送されるのではないでしょうか。さあ、会社から帰宅したら毎日ポストを確認する日々の始まりです。
筆記試験に向けた努力・積み重ねは、相当なものだと思料いたします。そんなすべての皆様には、ぜひ合格を手にしてもらいたいものです。また、論文添削をさせていただいた方々は、特に身近な存在として合格を願ってやみません。
来年は、おそらく受験制度が大幅に変更になる周期なので、是が非でも今年度筆記試験をパスしたいですよね。もう一回最初から勉強し直さなければいけないので、そもそも胆力のいる話ですが、さらに制度変更ともなると新たな対策が必要ですので苦労が目に見えます。
そんなことを考えると、余計に緊張が高まります。加えて、筆記をパスしても口頭試験もありますし、落ち着かない日々は続きます。物事は捉え方によって、楽しくもなり、不快にもなります。どうぞ、この緊張を楽しみましょう。
吉報をお待ちしております。
論文
今回の添削LIVEは、制度改正対策 選択科目Ⅱー1祭り開催⑦ 旧制度特集その2と題して、たくさんの論文をお届けします。前回に引き続き、旧制度の選択科目Ⅱー1になります。選択科目Ⅱー1の出題傾向は、大きく変わっておらず用語の説明を求めるものです。今の時期は、じっかり基礎固めを行うつもりで、多くの取組みを理解することに努めましょう。それでは、早速論文を見ていきましょう。
建築物の規制誘導(H26)
問題:建築物を規制・誘導する次の仕組みについて、それぞれの概要を述べよ。
(1)建築協定
(2)都市再生特別地区
(3)総合設計制度
1 建築協定
建築基準法に規定され、建築物の形態・意匠や壁面の後退位置の制限などについて土地所有者や建築物所有者により締結するものである。協定は、民民同士の契約行為であり、建築基準法による審査対象ではないため、協定の内容を守らない者への対抗措置は民事裁判による①。住宅地の造成事業者が一人協定を締結後、建築協定による良好な住宅地として分譲するケースもあるため、地区計画に切り替える地区も存在する。
① 一行目で「建築基準法に規定され」とありますが、ここでは「建築基準法の審査対象ではないため」とあり矛盾しているように見えます。問題にもあるように、協定の仕組みをしっかり説明するべきだと思います。文全体につながりがなく、バラバラに見えます。
2 都市再生特別地区
都市再生特別地区とは、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る必要がある区域である。既存の用途地域等に基づく用途、容積率等の規制を適用除外とした上で、自由度の高い計画を定めることができる。都道府県が都市計画の手続を経て決定する。また提案制度により都市開発事業者による提案が可能である。
3 総合設計制度
建築基準法の制度であり、500m2以上の敷地で敷地内に一定割合以上の空地を有する建築物について、計画を総合的に判断し、敷地内に歩行者が日常自由に通行又は利用できる空地(公開空地)を設けるなどにより、市街地の環境の整備改善に資すると認められる場合に、特定行政庁の許可により、容積率制限や斜線制限、絶対高さ制限を緩和する②。 以上
② 一文が長すぎます。主語を明確にした上で、文を分けた方が良いでしょう。
都市計画法に基づく制度(H27)
問題:都市計画法に基づく次の制度について、それぞれの概要を述べよ。
(1)都市計画の決定等の提案(都市計画の提案制度)
(2)地区計画
1 都市計画の提案制度
地域のまちづくりに対する取り組みを、都市計画行政に取り込み、地域住民の都市計画に対する能動的な参加を促す①。
提案者は、土地所有者などの他,まちづくりNPOまちづくり協議会など、地域の実情に応じて条例で定める②。
提案するには、提案内容が以下の3つの条件に合致することが必要である。
①0.5ha以上の一体的な区域であること③。
②都市計画に関する法令の基準に適合していること④。
③土地所有者の2/3以上の同意があること。
① 主語がなく、参加を促すのは誰なのか分かりません。また、提案制度の概要なのですから、これが背景なのか、目的なのか、効果なのか明確にした方がよいでしょう。
② 「提案者は、・・・定める」になっています。「提案者を定める」または「定められる」ですね。
③ 都市計画運用指針には、「都市計画決定権者は、特に必要があると認められるときは、条例で、区域又は提案に 係る都市計画の種類を限り、0.1ヘクタール以上0.5ヘクタール未満の範囲内で、 提案に係る規模を別に定めることができることとされている」とあります。
④ 都市計画運用指針には、「都市計画の素案の内容は、法第13条その他の法令の規定に基づく都市計画に関する基準に適合するものであることとされている」とあります。
2 地区計画
既存の他の都市計画を前提に、ある一定のまとまりを持った「地区」を対象に、その地区の実情に合ったよりきめ細かい規制を行うことができる。指定された用途地域の規制を、強化、緩和することができ⑤、各街区⑥の整備及び保全を図ることができる。また市町村の条例で定めるところにより、地域住民から市町村に対し、地区計画の案の申し出ができる。
地区計画の内容は以下のとおりである。⑦
①地区計画の方針:目標、地区の整備、開発及び保全の方針
②地区整備計画:地区施設の配置規模、建築物等の規制、樹林地等の保全 以上
⑤ 冒頭には「既存の他の都市計画を前提に」とありますが、後段では、規制を強化・緩和できるとあります。説明不足で、一見して矛盾しているように見えます。
⑥ 地区の保全ではなく街区の整備・保全になっています。どちらなのか、なぜいきなり街区の話をするのか脈絡がなく混乱します。
⑦ 単語を並べるだけでなく、それぞれがどのような内容なのか説明すべきと考えます。
建築物の規制誘導(H29)
問題:建築物の規制・誘導等を行う次の制度について、それぞれの概要を述べよ。
(1)景観地区
(2)特定⽤途誘導地区
(3)⼀団地の総合的設計制度(建築基準法第86条第1項)
1 景観地区
都市計画区域内又は準都市計画区域内の市街地の良好な景観の形成を図るために、都市計画において、建築物の形態意匠に関する制限を定め①、必要に応じて建築物の高さ、壁面の位置、敷地面積の最低限度を定める②。景観地区内は、建築物の建築等をしようとする者は、あらかじめその計画について市町村長の認定を受ける必要がある。罰則規定があり、良好な景観形成の実行性が担保される③。
① →「定めるとともに」
② 主語がなく、誰が定めるのか、何の説明なのか分かりません。また、景観地区内における制限であることを明記しましょう。また、景観地区の説明もした方が良いと思います。
③ 何に対する罰則なのか分かりません。
2 特定用途誘導地区
都市機能誘導区域内に、特定用途誘導地区を定めることにより誘導施設を有する建築物について容積率・用途制限等の緩和を行う④。
例えば、老朽化した医療施設等の建替え、増築や新築の際に本制度を活用することが想定される⑤。
④ これも主語がなく、誰が行うのか、何の説明なのか分かりません。概要なら、「・・・地区である」、「・・・地区は、・・・である」といった具合に、説明しているものが何なのか明確にしましょう。
⑤ これも説明不足です。なぜ医療施設なのか、なぜ活用が想定されるのか全く分かりません。
3 一団地の総合設計制度
複数敷地により構成される一団の土地の区域内で、複数の建築物を建築する場合や既存建築物の存在を前提とした合理的な設計により、安全上・防火上・衛生上支障がないと特定行政庁が認めるものについては、それら複数の建築物が同一敷地内にあるものと見なして、容積率、建ぺい率、高さ規制等の建築規制を適用することができる。⑥ 以上
⑥ 制度の目的もあると良いと思います。
建築物の規制誘導(H30)
問題:良好な景観形成に資する建築物の規制・誘導⼿法としての次の3つの制度について、それぞれの概要を述べよ。
(1)景観計画
(2)地区計画
(3)建築協定
(1)景観計画
景観行政団体(主に市町村)が作成する。景観計画区域内において良好な景観形成を図るため行為の制限の基準(景観形成基準)を定める。
景観形成基準には建築物又は工作物①の形態又は色彩その他の意匠の制限がある。建築物は届出・勧告による緩い規制・誘導であり、形態意匠については条例で変更命令可能である。
① 問題は建築物に関することを聞いているので、不要。
(2)地区計画
地区計画は、地区の住民が主体となり、将来のまちの在り方について定め、市町村が都市計画決定する。
地区計画の中の地区整備計画に、建築物又は工作物②の高さや壁面の位置、敷地面積の最低限度などを都市計画に定め建築基準法による積極的な規制を行う。
建築制限は建築条例で建築確認対象となるが形態意匠は指導監督③までである。
② 問題は建築物に関することを聞いているので、不要。
③ 届出・勧告ではありませんか。
(3)建築協定
建築基準法に規定され、建築物の形態・意匠や壁面の後退位置の制限などについて土地所有者や建築物所有者の同意により締結するものである。
協定は、民民同士の契約行為であり、建築基準法による審査対象ではないため、協定の内容を守らない者への対抗措置は民事裁判による④。 以上
① 一行目で「建築基準法に規定され」とありますが、ここでは「建築基準法の審査対象ではないため」とあり矛盾しているように見えます。問題にもあるように、協定の仕組みをしっかり説明するべきだと思います。文全体につながりがなく、バラバラに見えます。
建築物の規制誘導(R1)
問題:建築物の規制誘導を図る次の制度について土地の高度利用、都市機能の増進を図るうえで考え方の違いに留意しつつ、それぞれの特徴及び概要を述べよ
(1)高度利用地区
(2)再開発促進区(都計法12の5第3項、建基法68-3)
1 高度利用地区
(1)特徴
都市計画法に基づく地域地区である。土地が細分化され、公共施設整備が不十分な地区を①高度利用を図るときに適用する。②
① →「の」
② 特徴を明確にするために「・・・が特徴である」、「特徴は・・・である」といった表現が望まれます(概要に見えます)。※以下同じ。
(2)概要
建築物の敷地等の統合の促進、小規模建築物の建築の抑制、敷地内の有効な空地の確保により土地の高度利用と都市機能の更新を図る③。
建築面積の最低限度等を定めるとともに、建ペイ率の低減の程度等に応じて容積率制限の緩和等を行う④。
③ 特徴の記述内容と同じようなことを述べているように見えます。
④ 都市計画運用指針には、次の記載があります。「容積率の最高限度は、指定容積率を基準にして、交通施設及び供給処理施設の 容量や周辺地域に対する環境上の影響等を勘案して過大にならない範囲で、建蔽 率の制限の強化、壁面の位置の制限、広場等の設置等により、敷地内に有効な空地を確保した場合に、その程度に応じて、容積率の最高限度を割増して定めることが望ましい。また、屋上緑化、相当程度の高さ及び樹容を有する樹木の植栽、 地域冷暖房施設の設置等の総合的な環境負荷の低減に資する取組又は避難施設、 避難路、雨水貯留浸透施設等の整備等の都市の水災害対策に資する取組を評価し、容積率の最高限度を割増すことも考えられる。」よって、等はありますが建ぺい率に限定しているような記述に違和感があります。
2 再開発等促進区
(1)特徴
都市計画法に基づく地区計画である。まとまった規模を有する低・未利用地(工場や鉄道操車場の跡地)の土地利用転換を図り、建築物と公共施設の整備を一体的かつ総合的に計画する。
(2)概要
土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図る⑤。
地区計画に再開発等促進区を定め、地区内の公共施設の整備と併せて、建築物の用途、容積率等の制限を緩和して良好なプロジェクトを誘導する。⑥ 以上
⑤ 都市計画運用指針にある「都市環境の整備・改善及び良好な地域社会の形成に寄与しつつ、」というフレーズを追記した方がよいと思います。
⑥ 最初の段落(結果)と最後の段落(手段)は入れ替えた方が読みやすくなると思います。