添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
都市計画基本問題小委員会の議論がアツイ
令和7年2月6日に第27回都市計画基本問題小委員会が開催されました。議事録は、まだ公表されていませんが、「都市行政をめぐる最近の状況について」という資料が試験対策資料として、とても参考になります。特に、都市及び地方計画で受験する人たちは必見です。
まず、都市計画基本問題小委員会ってなんなのから確認していきましょう。都市計画基本問題小委員会は、今日の都市計画基本問題について、社会経済情勢の変化により顕在化したもの、従来から構造的に生じているものを洗い出し、その解決に向けて講ずべき施策の方向性を幅広く検討する組織です。
なぜこの委員会の資料が重要になるのかは、上記の設置目的を見れば一目瞭然です。問題になりやすい社会問題の解決に向けた議論がなされるからです。技術士試験も当然のごとく、社会問題の解決に関する出題がほとんどですから、試験問題を議論していることと類似していると言えるでしょう。
まず、紹介されているのが、次の2点です。活動の経緯や、都市計画関連の最新トピックといった主旨でしょうか。
- 都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ
~多様な価値観や社会の変化を包摂するまちづくりを目指して~
(2023年4月14日) - 都市緑地法等の一部を改正する法律
(2024年5月29日公布、11月8日施行)
多様な価値観や社会の変化を包摂するまちづくりには、GX、コンパクト・プラス・ネットワーク、エリマネなどの取組みが記載されています。一方、都市緑地法の改正では、令和6年12月20日に国が緑の基本方針を策定していますので、ここら辺の紹介もあったのではないでしょうか。

さて、ここからが本番です。資料には、最近の動向など様々な情報提供をしていますが、大事なのは最後に記載されている「議論のテーマ」です。これこそ国が、現時点で考えている課題と捉えることができます。すなわち、問題になりやすいテーマと言い換えることもできます。
- 人口減少・少子高齢化が進む中で、「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」に
向け、持続性や活力のある都市再生・地方創生はどのように取り組むべきか。 - 都道府県や市町村間の連携等、広域的な視点でのまちづくりをどのように考えるべきか。
- 気候変動による自然災害の頻発化・激甚化や大規模地震の切迫に備え、持続可能で
レジリエントなまちづくりをどのように実現すべきか。 - 自動運転等の新技術に対応した都市施設・空間の形成について、どのようなまちづくりを
検討していくべきか。 - 緑地の確保や居心地が良く歩きたくなる歩行者中心の空間作り等、Well-Being の向上
や人中心のまちづくりに向けて必要な取組はどのようなものが考えられるか。 - 歴史・文化・景観等の地域資源を活かしたまちづくりを深化するために、どのような取組が
必要か。
特に必須科目Ⅰ、都市及び地方計画の選択科目Ⅲの予想問題を作るのに最適です。また、これら周辺の知識を勉強すれば、効率的に進めることができるでしょう。あてどなく、知識を広げても頭に入ってきません。このような、根底にある問題を理解することで、施策や制度の主旨を理解でき、論理だった文章を作成することも容易になります。
どうですか、そのまま予想問題を作れそうな内容です。ぜひ、みなさんも想像を膨らませ、予想問題を作成してみてはいかがでしょうか。問題を作ること自体も勉強になりますので、お勧めしています。その作成した予想問題をみんなで共有し、全員で合格しちゃいましょう。
論文
本日の添削LIVEは、選択科目Ⅱー1をたっぷりお届けします。Ⅱー1は、文章の構成云々は気にせず、必要なことを漏れなく書けばOKです。記述のテクニックはないものの、知識がないと全く歯が立ちません。私は、この問題が一番恐ろしかったですね。ただし、4問も出題されるので、どれか一つくらいは知っているものが出るでしょう。このヒット率を高めるために、少しづつ知識を増やしていきましょう。それでは、早速論文を見ていきましょう。
都市機能誘導区域及び居住誘導区域
都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画における都市機能誘導区域及び居住誘導区域についてそれぞれ以下の内容を説明せよ
(1)区域の設定の考え方
(2)土地利用誘導の方法
1 区域の設定の考え方
(1)居住誘導区域の設定の考え方
国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口をもとに、長期的な地区別人口見通しを考慮する。いたずらに広く設定するべきではないことに留意する。主要な公共交通路線等を介した中心拠点地区へのアクセス性を考慮する。災害等に対する安全性を考慮する。中心拠点のとの公共交通の利便性について考慮する①。
① 下線部の最初の文と最後の文は、同じことを述べていませんか。また、肝心の区域内の人口密度水準を確保することによる生活サービス施設の持続性についても触れた方がよいでしょう。
(2)都市機能誘導区域の設定の考え方
中心となる駅、バス停や公共施設から徒歩、自転車で容易に回遊することが可能で、かつ、公共交通施設、都市機能施設、公共施設の配置、土地利用の実態等に照らし、地域としての一体性を有している区域とする。
・主要駅や役場等が位置する中心拠点の周辺の区域に加え、合併前の旧市町村の役場が位置していたところなど従来から生活拠点となる都市機能が存在し中心拠点と交通網で結ばれた地域拠点の周辺の区域②
② なぜいきなり箇条書きにするのでしょうか。また、この区域が何なのかの説明がありません。
(2)土地利用の誘導の方法③
①都市機能誘導区域における特定用途誘導地区の指定
特定用途誘導地区を指定し、病院などを対象に容積率の緩和を行い、都市機能の誘導を図る。
②居住調整区域の指定
市街化調整区域と同様の規制内容を有する居住調整区域を指定し居住誘導区域への居住誘導を図る。④
以上
③ 設定の考え方と誘導の方法がの文量のバランスが悪いです。半々くらいを目安に書いてはどうでしょうか。
④ それぞれ、もう一つ、二つ誘導方策がほしいところです。
道路機能を発揮させる建築規制
市街地における道路は建築物との関係において単に通行の場であるのみならず建築物の利用、災害時の避難路、消防活動の場、建築物などの日照、採光、痛風などの確保など安全で良好な環境の市街地を形成するうえで極めて重要な機能を果たしている。
こうした道路の機能が発揮できるよう建築基準法に定められている周辺の道路の状況によって建築物やその敷地に課せられる規制を2つあげ、それぞれの特徴を説明せよ
1 道路斜線制限
道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線から一定の範囲において当該敷地の上空に向かって、一定の勾配の斜線を引き①、これにより建築物の高さを制限する。用途地域の内、住居系、住居専用地域は1:1.5、その他の用途地域は1:1.25②である。③
2 北側斜線制限④
北側の隣地の日当たりを考慮し、南からの日照の確保のため、建築物の高さを制限する。
北側隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=北側斜線)の範囲内で建築物を建築する。⑤ 以上
① 「一定の」という表現が多用されており、具体性に欠けます。
② 何と何の比なのか分かりません。
③ 特徴が記述されていません。
④ 道路機能を発揮できる制限ではないと思います。
⑤ 内容云々より、文量が圧倒的に足りません。原則、問題用紙はすべて使い切ることを心掛けましょう。
都市公園リノベーション協定
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(令和2年法律第43号)における、都市再生整備計画に定める滞在快適性向上区域内の都市公園のリノベーションを促進する公園施設設置管理協定制度(以下「都市公園リノベーション協定制度」という。)と、都市公園法(昭和31年法律第79号)に基づくP-PFI制度について、比較した場合の特徴を述べるともに、制度の活用による期待される効果を説明せよ。
(1) 特徴
比較と特徴として、以下の2点があげられる。
1点目は、制度趣旨である。P-PFIは、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質向上や利便性向上を図るため民間投資の誘導による整備を行う制度である。一方、当該制度はまちなかウォーカブル区域における「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の形成のため、公園利用者が利用する園路や広場等の特定公園施設の整備を一体的に行う制度である。
2点目は、選定方法である。P-PFIは、特定公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募により選定する。一方、当該制度は公募ではなく、まちなかウォーカブル区域と一体的に公園施設の整備を行う事業者に限定され、都市再生整備計画案を公告・縦覧することで選定手続きが完了する。①
① 記述内容に指摘はないのですが、特徴である「都市公園を新設するための整備事業を対象としていない」ことの記述があると良いと思います(リノベーションですからね)。
(2)活用により期待される効果
①まちづくりとの相乗効果
歩行者滞在空間や商業施設等と一体的に都市公園を整備することにより、周辺環境と調和した区画整理事業②の実施が可能となる。
② なぜ急に区画整理事業の話になるのでしょうか。
②エリアマネジメントの効率化
都市公園単体で採算が厳しい場合③でも、区域内の複数事業を包括してマネジメントすることで、採算性の高い事業が低い事業を補完したり、事業効果を相乗的に高めるような運営が可能となる④。 以上
③ 都市公園は、公共施設ですから採算は度外視です。これは、公園内に設置される民間の収益施設を指しているのですかね。そうであるならば、説明不足です。
④ このパラグラフの問題点は、主語がないことですね。また、「・・・たり」は繰り返して使います。
再エネ地区制度
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)」において、新たに創設された建築物再生可能エネルギー利用促進区域について、概要と適用される措置を説明せよ。
(1) 概要
本制度では、太陽光パネル等の再エネ設備の設置促進を図ることが必要である区域について、市町村が促進計画を作成することができる。促進計画には、再エネ利用促進区域の位置や設置を促進する設備の種類、建築基準法の特例適用要件に関する事項等を定める。設定された区域では、促進計画の内容に適合する建築物に対して、特例許可が適用される。
(2)適用される措置
①市町村の努力義務
再エネ利用設備設置を促進するため、建築主に対し設置について①、情報提供や助言、その他の設置の動機付けとなる支援に努めることが求められる②。
① 冒頭に「再エネ利用設備設置を促進するため」とあること、後述にも「その他の設置の動機付け」とあるので、不要だと思います。
② 誰に求められるのですか。
②建築主の努力義務
促進エリア③内で建築物の建築を行う場合、建築物への再エネ利用設備の設置に努めることが求められる④。
③ 統一しましょう。→「再エネ利用促進区域」
④ 誰に求められるのですか。
③建築士の説明義務
建築主から説明を要しない旨の意思の表明があった場合を除き、当該建築物⑤へ設置することができる再エネ利用設備に係る一定の事項⑥について、建築主に対する説明義務が課せられる⑦。
⑤ どの建築物ですか。
⑥ 抽象的です。
⑦ 誰に課せられるのですか。
④形態規制の合理化
特例適用要件に適合する建築物⑧について、建築基準法における容積率や建ぺい率、高度地区内における建築物高さ等⑨が特例許可の対象となる。 以上
⑧ 要件が分かりません。例示が必要と考えます。
⑨ 一方は法律、一方は地域地区とバラバラです。単純に、容積率、建ぺい率、及び建築物高さなど建築基準法の形態規制としてはどうでしょうか。