添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
3連休に試験って
最近は、気温は35度を超えることも珍しくありません。現場作業は厳しさを増し、体力が奪われます。デスクワークでも室内と室外の温度差で体調を崩しがちです。私も1か月前に体調を崩しましたが、咳が未だにとまりません…
試験前なので、根を詰めて勉強しがちですが、最優先は体調管理です。無理は禁物です。特に夜更かし&寝不足は、体調を崩す要因です。勉強するなら早朝が良いですよ。脳の働きも朝の方が良いですし、体調をキープするのにも役立ちます。
さて、万全の体調管理を行ったうえで迎える試験は、なんと3連休です。総合技術監理部門を除く技術部門は令和7年7月21日(月・祝)になっています。海の日に試験って…最近は、この3連休で実施するのがもう定着しています。
この3連休は選挙もありますからねぇ。大忙しですよ本当に。祝日であれば、土日でたっぷり準備ができる利点はありますが、試験終わりの翌週3連休の方が、圧倒的開放感のもとで3連休を満喫できます。うーん、悩ましい、一長一短ですね。
地方自治体に勤務されている受験生は、選挙事務もあるでしょから、勉強もできません。何ともつらい、不平等な日程ですね。まあ、ここまで来ているみなさんは、そんな不平不満も抱かず、試験を楽しみにしている状況だと思います。
どんな状況であっても、選挙に行って、勉強して、楽しんで試験に臨みましょう。そんな前向きな皆さんに、勝利の女神は微笑むのでしょう!残りわずかです。全身全霊で、合格をもぎ取りましょう!
「鋼・コンクリート構造物におけるCO2削減」
本日の添削LIVEは、建設部門 鋼構造及びコンクリート 「鋼・コンクリート構造物におけるCO2削減」をお届けします(令和6年度選択科目Ⅲー2 過去問はコチラ)。コンクリートでもCO2を吸収する時代なんですね。この周辺の知識は、必須科目でも使えそうですので、鋼構造及びコンクリート以外の人も是非ご一読をお勧めします。完成まで、いい気に公開していきます。それでは、早速論文を見ていきましょう。
1.CO2削減を推進するうえでの課題
(1)CO2発生を抑制する材料の選定
コンクリート構造物を構築する際、主要材料にセメントが必要である①。セメント製造時には石灰石を分解する脱炭酸反応により、大量のCo2を排出する②。そのため、排出量の削減と排出したCO2を回収・固定化する技術の開発が進められている③。よって、材料面の観点④から、いかにCO2発生を抑制する材料を選定するかが課題である。
① さすがに当たり前なので、記述の必要性に疑義が生じます。
② ①と②を合体させたうえで、現状として端的に述べてしまいましょう。→「コンクリートの主要材料であるセメントは、製造時に石灰石を分解する脱炭酸反応により、大量のCO2を排出する。」
③ これも現状になっているので、必要性として記述すると説得力のある文章構成になると思います。現状→問題点→必要性→結論(観点、課題)といった構成が順を追った分かりやすい構成になります。よって、この文章に問題点を加えるとさらに良くなると思います。
→「これは建設業界全体のCO2排出量の大部分を占めていることから、材料の代替が進まなければカーボンニュートラルの実現は難しい(←問題点)。そのため、コンクリートの製造において、排出量の削減と排出したCO2の回収・固定化が求められている(←必要性)。」
④ 材料の観点から材料の選定では、観点と課題が重複しているように見えます。製造プロセスの観点としてはいかがでしょうか。
(2)施工の省力化
コンクリート構造物を構築する際、型枠工や足場、支保工など多くの仮設工事が必要である⑤。これらの運搬・設置・解体・撤去には揚重機械や運搬車両が稼働し、CO2の排出が避けられない。また、鉄筋組立やコンクリート打設、養生など、人の手に頼る作業も多い。そのため、関連する機器の運転により、さらにCO2が発生する⑥。よって、施工面の観点⑦から、いかに施工の省力を行うかが課題である。
⑤ このパラグラフでは、施工をフィーチャーしているので、構築ではなく施工の方が良いと思います。→「コンクリート構造物の施工には、型枠工や足場、支保工などの仮設工事が必要である」
⑥ これらは、まとめて問題として指摘し、前項と同様に必要性も欲しいところです。→「鉄筋組立やコンクリート打設、養生などの作業では多くの人手を要し、関連機器の運転によるCO₂排出も発生する。このため、作業負担を軽減しつつ、環境負荷の低減を図ることが求められる。」
⑦ これは、前述の観点と表現を統一すると良いと思います。→「施工プロセスの観点」
(3)構造物の長寿命化
高度経済成長期に建設された構造物は、建設から50年が経過し、更新時期を迎えている。構造物の解体や新設では大量のCO2が排出される。そのため、構造物の供用期間が長くなれば、ライフサイクルにおけるCO2削減につながる⑧。よって、維持管理面の観点から、いかに構造物の長寿命化を図るかが課題である。
⑧ コンクリート技術者としての視点に欠けています。一般論を脱するためには、耐久性向上のための適切な維持管理や補修技術などを踏み込んで書く必要があります。例えば、劣化要因の把握や予防保全まで突っ込んで書いた方が良いでしょう。必須科目Ⅰに比べ、必須科目Ⅲは技術的視点が不可欠になるため、必然的により詳細な課題設定になると思います(よって、解決策の記述が難しくなり、深い知見が必要になります。)。
2.最も重要な課題とその解決策
(1)最も重要な課題
コンクリートに関連するCo2発生量の9割はセメント製造時に排出される。よって、製造時のCO2発生抑制が急務であるため、「いかにCO2発生を抑制する材料を選定するか」を最も重要な課題と考え、以下にその解決策を述べる。
(2)解決策
1)低炭素型コンクリートの採用
コンクリート製造時におけるCO2を削減するため、セメントクリンカーの使用量を削減したコンクリートを採用する。具体的には、セメントクリンカーの一部をフライアッシュや高炉スラグ微粉末に置き換える⑨。これらの材料は産業副産物であるため、コンクリートに再利用することで、廃棄物量の削減によるCO2排出量削減効果もある⑩。
⑨ 技術をアピールするため、メカニズムや強度が高まることなどメリットの記述もあると良いと思います。例えば、「・・・置き換える。これらの材料は水和反応を促進し、長期的な強度発現にも寄与するため、環境負荷の低減と性能向上を両立できる」
⑩ 文脈が少々おかしいです。「コンクリートに再利用することで」は書かなくても理解できますので不要だと思います。これをなくすと端的な分かりやすい文になります。→「さらに、建設副産物を利用するため、廃棄物処理に伴うCO2を削減する効果もある」
2)製造時CO2固定型コンクリートの採用
セメント製造時に排出した⑪CO2を回収し再利用するため、CO2を吸着させた人工石灰石を生成する⑫。具体的には、セメント製造時に、排出した⑬CO2を回収し廃コンクリートより取り出したカルシウムに吸着させる⑭。そして、形成された炭酸塩をセメントの主原料である石灰石の代替品として使用する。これより、セメント製造時のCO2をコンクリートに固定化し、大気中に放出するCo2を削減する⑮。
⑪ →「された」
⑫ 目的と手段が分かりづらいです。→「人工石灰石を生成してCO₂の固定化を図る」
⑬ →「された」
⑬ これで、炭酸塩が形成されることを書かないと次の文とのつながりが分かりづらいです。
⑭ もっと端的に表現しましょう。また、廃コンクリートを再利用するのですから、ここもしっかり効果を説明した方がよいでしょう。→「吸着させ炭酸塩を形成する。これをセメントの主原料である石灰石の代替として活用し、CO₂の固定化と排出削減を図る。また、廃コンクリートの再利用により資源循環が促進されるため、さらなる環境負荷の低減にも寄与する。」
3)CO2由来材料使用型コンクリートの採用
骨材製造時にCO2を利用するため、CO2を吸着させた人工石灰石骨材を製造する。具体的には、骨材の核の周りに炭酸マグネシウムの層を造粒し、CO2を固定化する。この人工骨材をコンクリート骨材として使用することで、CO2を削減する。骨材はコンクリート中の体積に占める割合が大きい。そのため、CO2 が固定化できる量が大きく、効率的にCO2を削減できる⑮。
⑮ 前段は同じことを繰り返し説明しているように見えます。また、これも耐久性が向上するメリットがあると良いです。→「この人工骨材はコンクリート中の体積比が大きく、CO₂の固定化量を増加させることで、効率的な削減を実現する。さらに、骨材の特性を最適化することで、コンクリートの耐久性を向上させ、長期的な構造性能の維持を図る」
3.新たに生じる懸念事項と対策
(1)懸念事項:コストの増加
上記のコンクリートでは、原料代替やCO2の吸着・固定化プロセスにおいて、高価な混和材料や設備投資が必要である。そのため、コンクリートの製品単価が大きく上がってしまう⑯。
⑯ →「上がってしまうリスクが生じる」
(2)対策
公共土木工事への積極的な導入により、需要を創出しコストを削減する。土木分野では、建築分野と比較して制約が少ないため、幅広い製品の導入を行い易い⑰。さらに、インフラは全国各地に整備されていることから、相応の需要量を確保できる。また、使用実績を増やし、規制の見直しにつなげる。これより、民間土木工事や建築工事への導入を推進し、安定的な需要を確保し、さらなるコスト削減を図る。⑱ 以上
⑰ 土木分野でも規格化された設計が求められる場面があり、建築分野でも自由度の高い設計が可能な場合があります。
⑱ 全体として、言いたいことは何となくわかるのですが、もう少し論点を整理すべきでしょう。→「対応策として、公共土木工事への積極的な導入により需要を創出し、スケールメリットを活かしたコスト削減を図る。特に、標準化と規格化を進めることで、材料調達や施工プロセスの効率化を実現し製品単価の低減につなげる。」
「鋼・コンクリート構造物におけるCO2削減」 完成
1.CO2削減を推進するうえでの課題
(1)CO2発生を抑制する材料の選定
コンクリートの主要材料であるセメントは、製造時に石灰石を分解する脱炭酸反応により、大量のCO2を排出する。これは建設業界全体のCO2排出量の大部分を占めており、材料の代替が進まなければカーボンニュートラルの実現は難しい。そのため、コンクリートの製造において、排出量の削減と排出したCO2の回収・固定化が求められている。よって、製造プロセスの観点から、いかにCO2発生を抑制する材料を選定するかが課題である。
(2)施工の省力化
コンクリート構造物の施工には、型枠工や足場、支保工などの仮設工事が必要である。鉄筋組立やコンクリート打設、養生などの作業では多くの人手を要し、関連機器の運転によるCO₂排出も発生する。そのため、作業負担を軽減しつつ、環境負荷の低減を図ることが求められる。よって、施工プロセスの観点から、いかに施工の省力化を行うかが課題である。
(3)構造物の長寿命化
従来の事後保全による維持管理では、劣化進行により広範囲な断面修復や打替えが必要となり、施工時のCO₂排出や交通規制による間接的排出も増加する。これより、環境負荷と社会的コストが拡大する。このため、持続可能なインフラ運用には、予防保全への転換と劣化抑制が不可欠である。よって、維持管理プロセスの観点から、いかに構造物の長寿命化を図るかが課題である。
2.最も重要な課題とその解決策
(1)最も重要な課題
コンクリートに関連するCo2発生量の9割はセメント製造時に排出される。よって、製造時のCO2発生抑制が急務であるため、「いかにCO2発生を抑制する材料を選定するか」を最も重要な課題と考え、以下にその解決策を述べる。
(2)解決策
1)低炭素型コンクリートの採用
コンクリート製造時におけるCO2を削減するため、クリンカーの使用量を削減する。具体的には、クリンカーの一部をフライアッシュや高炉スラグ微粉末に置き換える。これらの材料はポゾラン反応や潜在水硬性により、長期的な強度発現に寄与するため、環境負荷低減と性能向上を両立できる。さらに、建設副産物を利用するため、廃棄物処理に伴うCO2削減効果もある。
2)製造時CO2固定型コンクリートの採用
CO2を回収し再利用するため、人工石灰石を生成してCO2の固定化を図る。具体的には、セメント製造時に排出されたCO2を回収し廃コンクリートより取り出した水酸化カルシウムと反応させて炭酸カルシウムを生成する。これをセメントの主原料である石灰石の代替として活用し、CO₂の固定化と排出削減を図る。また、廃コンクリートの再利用により資源循環が促進されるため、さらなる環境負荷の低減にも寄与する。
3)CO2由来材料使用型コンクリートの採用
骨材製造時にCO2を利用するため、CO2を吸着させた人工石灰石骨材を製造する。具体的には、骨材の核材に炭酸マグネシウムの層を造粒し、CO2を鉱物化することで固定化する。この人工骨材はコンクリート中の体積比が大きく、CO₂の固定化量を増加させることで、効率的な削減を実現する。さらに、骨材の物理的・化学的特性を最適化することで、コンクリートの耐久性を向上させ、長期的な構造性能の維持を図る。
3.新たに生じる懸念事項と対策
(1)懸念事項
上記のコンクリートでは、原料代替やCO2の吸着・固定化プロセスにおいて、高性能混和材の使用や専用設備の導入が必要となるため、初期コストが増加し、製品単価が上昇してしまうリスクが生じる。
(2)対策
公共土木工事への積極的な導入により市場規模を拡大し、スケールメリットを活かしたコスト削減を図る。また、設計・施工段階での標準化と規格化を進めることで、材料調達や施工の効率化を実現する。さらに、LCCの観点からは、耐久性向上による補修・更新頻度の低減が長期的なコスト削減を図る。 以上