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技術士 二次試験対策 今後の論点 & 必須科目Ⅰ「経済成長を実現する社会資本整備」解説

コラム
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2025必須科目Ⅰ徹底解説

【 技術士 二次試験対策 】

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今後の論点

前回記事では、建設業に関わる社会問題を正しく理解し、その解決策を模索することが重要と述べました(前回記事はコチラ)。そうなると、次なる疑問は「今後の社会問題をどうのように捉えたらよいのか?」といったことに思いが至りますよね。

また、解決策の模索を己一人で行うなんていうことは、現実的ではありません。自分自身で考えることは、とても大事ですし技術士しては取り組むべきものと考えますが、途方もない労力を試験勉強という目的で実施するには、さすがに効果的ではありません。

試験対策においては、国土交通省の審議会や委員会の資料・議論を見れば良いと思います(技術士はそのうえで、どのような行動をとるのかを考えましょう)。例えば、社会問題を考える上では、「第28回都市計画基本問題小委員会」の資料がとても役立ちます。

本小委員会では、以下の内容を中心に議論が進められており、すなわちこれらが現状の社会問題と言い換えても良いと思います。ちょっと早いですが、口頭試験対策や令和8年度の対策は、これらのテーマを重点的に実施すれな良いと思います。

  • 人口減少・少子高齢化が進む中で、「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」に向け、持続性や活力のある都市再生・地方創生はどのように取り組むべきか。
  • 気候変動による自然災害の頻発化・激甚化や大規模地震の切迫に備え、持続可能でレジリエントなまちづくりをどのように実現すべきか。
  • 緑地の確保や居心地が良く歩きたくなる歩行者中心の空間作り等、Well-Being の向上や人中心のまちづくりに向けて必要な取組はどのようなものが考えられるか。
  • 歴史・文化・景観等の地域資源を活かしたまちづくりを深化するために、どのような取組が必要か。
  • 都道府県や市町村間の連携等、広域的な視点でのまちづくりをどのように考えるべきか。
  • 自動運転等の新技術に対応した都市施設・空間の形成について、どのようなまちづくりを検討していくべきか。

試験対策もそうですが、情報が溢れる現代においては、いかに目的の情報にたどり着き、それを活用できるかが重要になります。生産性の向上を解答するのであれば、試験勉強においても生産性の向上を実践すべきでしょう。

今後、この小委員会の活動状況を追えば、中間報告やとりまとめといった形で、国の方針や政策も見えてきます。あるいは、筆記試験を突破できるみなさんの実力をもってすれば、すでに上記課題に対する問題はぼんやりと見えているのではないでしょうか。

必須科目Ⅰ「経済成長を実現する社会資本整備」解説

Ⅰー2 第5次社会資本整備重点計画では、3つの中長期的な目的として「国民の安全・安心の確保」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長の実現」が掲げられている。
 このうち「経済成長の実現」については、国際競争力強化等に資する社会資本の重点整備や地域の基幹産業の振興を支える基盤整備などの取組が進められ、近年は、観光の活性化、製造業等の国内回帰や配置・集積の見直し、DX・GX分野等の成長産業への構造転換などに対応する社会資本整備の重要性も増している。
 このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)経済成長の実現を目的として、我が国の国際競争力の強化や地域産業の振興に必要な社会資本整備を進めるに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。(※)
 なお、本設問における「技術課題」には、「経済成長の実現を目的とする社会資本整備」における制度上の課題も含まれるものとする。
(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。

(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から述べよ。

リード文

第5次社会資本整備重点計画では、3つの中長期的な目的として「国民の安全・安心の確保」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長の実現」が掲げられている。

最初に登場するのは、令和3年5月28日に閣議決定された「第5次社会資本整備重点計画」です。これを見て、「あっ無理…」と思った人は多いのではないでしょうか。私も、実際問題を見たときにコレ!?と思ってしまいました。だって、令和3年決定で、令和7年度までの計画ですよ…

しかし、触れられているのは、本計画に位置付けられている目的であり、これらは令和7年度予算で示された基本方針に類似しています。私も、「令和7年度リアル予想問題 究極の第4弾」で予算の基本方針を参考に予想問題を作成しました(予想問題はコチラ)。

まあ、この計画に基づいて予算編成も重点化される訳ですから、当たり前っちゃあ、当たり前ですよね。この計画に注目できなくても、どこかで必ず関連していますから、情報を多く持っている人はどんな問題が出ても落ち着いて解答できると思います。動揺するような背景ではありません。

このうち「経済成長の実現」については、国際競争力強化等に資する社会資本の重点整備や地域の基幹産業の振興を支える基盤整備などの取組が進められ、近年は、観光の活性化、製造業等の国内回帰や配置・集積の見直し、DX・GX分野等の成長産業への構造転換などに対応する社会資本整備の重要性も増している。

この一文は、長いですね。様々な情報が押し込められていますが、要旨は冒頭にあるように経済成長です。先に、示した目的のうち、経済成長に関することを聞きますよ!と言っています。この経済成長を進めるための手立てが、たくさん例示されているという構成です。

まず、取り組みとしては、大きく二つの視点が述べられています。「国際競争力強化」と「地域産業の振興」です。解答に際しては、この2つのどちらかの視点が必要になります。後者については、リアル予想問題「地域活性化×持続的な経済成長」とほぼ同じであり、ドンピシャです。練習した人は、バッチリ解けると思います。

後述にあるのは、上記二つの視点に関する具体例です。「観光」、「製造業の国内回帰」、「DX・GX」といった取り組みです。「持続可能な建設業」と同様に、課題設定に際しては、これらの内容から、一歩踏み込んだものにする必要があります。

各設問

(1)経済成長の実現を目的として、我が国の国際競争力の強化や地域産業の振興に必要な社会資本整備を進めるに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。(※)
 なお、本設問における「技術課題」には、「経済成長の実現を目的とする社会資本整備」における制度上の課題も含まれるものとする。
(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。

最初は、リード文にある内容をまとめたものが示されています。つまりは、「我が国の国際競争力の強化や地域産業の振興に必要な社会資本整備を進めるための課題」といった題意になります。課題の参考は、すでにたくさんの例示がされているので、これらを活用して書くと良いでしょう。

ただし、課題設定に当たっては、前回も指摘したように技術課題とありますので、建設部門に関わる技術的な記述が不可欠です。技術的な視点は、「国際競争力強化」と「地域産業の振興」に関する政策を書くと良いでしょう。

また、この問題にも、最大の特徴である「なお」書きあります。しかし、「持続可能な建設業」のように複数の視点はなく、「制度上」という観点しかありません。せっかくですから、1つの観点として記述すると良いでしょう。

例えば、GXを課題とする場合であれば、制度上の観点から、グリーンボンドの促進が課題といったことが考えられます。そのほかの観点も、「観光」、「製造業の国内回帰」、「DX・GX」のジャンルを考えれば、比較的容易に思いつくのではないでしょうか。

(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から述べよ。

あとの設問は、「持続可能な建設業」と同じですね。注意事項は、前回記事と同様です(過去記事はコチラ)。おそらく、「持続可能な建設業」を選択した人が多いと思いますが、こちらも難易度は低めです。令和7年度は、合格率高めでしょう。みなさんも、結果を信じて口頭試験の準備をゆるり行いましょう。

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