添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
初! 令和8年度 選択科目Ⅲ 予想問題
人口減少時代の都市づくりに挑む受験生のみなさん、今回は、選択科目Ⅲの予想問題を大公開します。しかも、単なる予想ではなく、出題意図の核心を突いた解説と、合格答案へ一直線の解き方のコツまで徹底的に紹介します。都市計画の本質をつかみ、他の受験生に一歩差をつける絶好のチャンスです。この記事で、あなたの答案が劇的に進化しますよ!?
令和7年度技術士第二次試験問題〔建設部門]
9-3 都市及び地方計画 【選択科目Ⅲ】
人口減少が進行する中、多くの地方都市では地域経済の縮小、都市機能の低下、公共交通の衰退など、都市の持続性を脅かす問題が顕在化している。国は立地適正化計画やデジタル田園都市国家構想を通じて、都市構造の再編と地域経済の再構築を一体的に進めるよう取り組んでいる。
このような状況を踏まえ、人口減少社会において地域経済の再構築を図る都市づくりにについて、以下の問いに答えよ。
(1) 人口減少社会における地域経済の再構築を図る都市づくりを進めるに当たり、多面的な観点から3つの課題を抽出し、観点と内容を明記して述べよ。
(2) 前問で挙げた課題のうち、最も重要と考える課題を1つ選び、複数の解決策を述べよ。
(3) その解決策を実行した場合に新たに生じうるリスクと、その低減策を述べよ。
この予想問題が問う「本質」
問題文の冒頭には、次のようなキーワードが並びます。
- 人口減少の急進
- 若者の地方離れ
- 生活サービス機能の維持困難
- 地方都市の衰退
これらは単なる背景ではなく、都市構造の再編を避けて通れない“構造問題”を示しています。つまり、この問題が本当に問いたいのは、人口減少社会において、都市構造をどう再編し、地域経済をどう再構築するかという“都市計画の王道テーマ”です。
解法のポイント(技術士としての視点)
(1)課題抽出のポイント
課題は「多面的に3つ」。ここで重要なのは、都市計画の3層構造に沿って課題を設定することです。
① 都市構造の問題(空間の問題)
- 都市機能の分散
- スポンジ化・低密度化
- 公共交通の維持困難
→ 都市構造の非効率化
② 都市サービスの問題(生活の問題)
- 生活サービスの担い手不足
- 医療・福祉・商業の縮退
→ 日常生活圏の維持困難
③ 地域経済の問題(産業の問題)
- 若者流出
- 地域内経済循環の弱体化
→ 地域の稼ぐ力の低下
この3つは、問題文の背景と完全に整合し、かつ都市計画としての“観点の多様性”を満たすでしょう。
(2)最重要課題の選定
最重要課題は、
「都市構造の再編(都市機能の再配置)」
を選ぶのが最も論理的です。
理由は次の通りです。
- 都市構造の非効率化が、生活サービス縮退や地域経済衰退の“根因”
- 立地適正化計画など国の政策も「都市構造の再編」を最重要視
- 都市構造が整わない限り、他の施策(交通・産業・福祉)は機能しない
技術士試験では、“根因を押さえた課題選定”が高く評価されます。
(3)解決策の方向性
解決策は、都市計画の基本原則に沿って構成します。
① 拠点形成(コンパクト)
- 都市機能誘導区域の設定
- 医療・福祉・商業の集約
- 公共公益施設の再配置
② 公共交通の再編(ネットワーク)
- 拠点間を結ぶ基幹交通の整備
- バス路線の再編
- MaaS・需要予測の高度化
③ 土地利用の最適化
- 空き地・空き家の集約
- 公共交通沿線への誘導
- 都市基盤維持コストの縮減
これらはすべて、都市構造の再編 → 地域経済の再構築という因果に沿っています。
(4)リスクと低減策
解決策を実行すると、必ず副作用が生じます。
例:
- 拠点集約 → 地価上昇 → スプロール誘発
- 公共交通再編 → 不採算地域の交通空白
- 機能集約 → 既存商店街の衰退
これらに対して、
- 居住調整区域の設定
- 開発許可制度の強化
- 交通空白地のデマンド交通
などを組み合わせて論じると、技術士としての“リスクマネジメント能力”が示せます。
必須科目や選択科目Ⅲはこのように、論文を書き始める前に骨子を考えることが重要です。いきなり書き始めても、論点がズレつのがオチです。この骨子における熟慮こそが、技術士試験に対する能力を底上げしてくれます。
この予想問題が優れている点
この問題は、技術士試験の本質を非常によく捉えています。
✔ 都市計画の3大テーマをすべて含む
- 都市構造
- 公共交通
- 地域経済
✔ 国の政策(立地適正化計画・デジタル田園都市構想)と完全に整合
実務と試験の両方で重要なテーマ。
✔ 「課題 → 解決策 → リスク」の三段論法が明確
技術士試験の典型的な構造。
✔ 受験生の“論理構成力”が如実に表れる
課題設定の甘さ、因果の飛躍、キーワード羅列など、典型的な失点ポイントが浮き彫りになる。
まさに、令和8年度の本試験で出題されてもおかしくない完成度!みんなも解いてみてね。
「地域経済の再構築」
ということで、今回の添削LIVEは、この「地域経済の再構築」をお届けします。諸事情により、この問題を一足先に解いてくれた受験生がおりますので、その論文をご紹介します。この論文は、論点の方向性は正しく、背景理解も深いですが、因果関係の説明が弱いため、課題と解決策の対応が曖昧になっています。都市構造を軸に“なぜそれが必要なのか”を一段深く掘り下げると、技術士としての説得力が大きく高まると思います。それでは早速、論文を見ていきましょう!
1.多面的な課題
(1) いかに都市機能の配置を最適化するか
地方部では人口減少が急速に進みつつあり、仕事やまちなかの魅力が不足し都市の活力が低下している①。都市の活力を維持するためには、まちなかに生活サービス施設や集客施設を誘導していき、仕事や雇用を創出する等、地域経済を循環させる都市を再構築していく必要がある②。よって、都市構造の観点③から、都市機能の配置の最適化が課題である。
① これでは、問題文にある背景とさほど違いがありません。類似の内容になるのは仕方ないですが、「都市機能の配置の最適化」という課題に関係する現状を特筆すべきです。つまり、都市機能の分散が地域経済にどう影響するかを指摘すべきです。
② 地域経済の再構築を図る都市づくりを進めるに当たっての課題を書けと言われているのに、これでは課題そのものではありませんか。これでは、おいしく料理を作るための課題に対して、「おいしく作ることが必要です」と答えているようなものです。また、内容は解決策に踏み込んでいるような内容であり、しかも何を問題視しているのかも分からないままです。「何が問題なのか」を明らかにしたうえで必要性を書きましょう。都市機能の配置最適化という課題につながる“現状の問題”などたくさんあるのではありませんか。例えば、「都市機能が郊外に拡散し、中心市街地の空洞化が進んでいる」「人口減少により生活サービスが維持できず、日常生活圏が縮小している」「都市機能の分散により人流が減少し、地域経済の循環が弱体化している」など。
③ 前段では都市構造の話をしていないです(都市の活力の低下とその対策になっています)。それにも関わらず、都市構造の観点と言われても、なぜその観点なのか誰も理解できません。前段の背景で、都市機能の分散、中心市街地の空洞化、都市構造の非効率化、インフラ維持コストの増大といった都市構造に関する問題に触れる必要があります。
(2)いかに民間投資の偏在化を解消するか
東京一極集中化により、人口密度が高く収益性が高いエリアへの企業立地や民間投資が進んでいる。一方で、人口減少下にある郊外や地方都市では投資による回収が見込めず民間投資が入りにくい状況にあり、地方の活力が相対的に低下している③。よって、都市再生の観点④から民間投資の偏在化の解消が課題である
③ これは、地方と東京という視点を変えただけで、結局のところ同じ現状を繰り返し述べているだけではありませんか(東京→投資が集まる、地方→投資が来ない)。しかも、投資回収もどんな投資だか分からないので主張の根拠も曖昧です。また、どんな投資か分からないので、なぜ活力が低下するのかもさっぱり分かりません。つまり、抽象化された説明しかないので、説得力に欠けます。どんな投資?なぜ回収できない?どのような構造的要因がある?市場規模?購買力?交通アクセス?人材?といった部分が示されていないため、論理が成立していません。投資回収が困難な理由を構造的に示す必要があります。
④ この観点は、地域経済の再構築を図る都市づくりにあたっての課題なのですから、なんにでも当てはまってしまいませんか。これでは、この課題固有の観点と言えるか疑義があります。キーワードから推測すると言いたいことは、人口減少により地方の市場規模が縮小(現状)→地方では新規投資が進まず産業更新が停滞(問題)→地域産業の再生の観点から民間投資の偏在化の解消が課題(結論)といった流れですかね。そうだとしても、都市づくりという視点が弱く、選択科目Ⅲの解答としては評価されづらいです。民間投資の偏在が“都市空間の問題”として語る必要があります。民間投資が都市部に集中する要因として、都市基盤の老朽化・維持困難、公共交通の衰退、空き地・空き家の増加、拠点の弱体化、都市構造の非効率化といった地方における都市空間の問題を書くべきでしょう。ここまで整理したうえで、観点は背景を踏まえ、拠点形成の観点、公共交通の観点、企業立地環境の観点など都市づくりの切り口で記述しましょう。
(3)いかに都市の空洞化に対応するか
人口減少の急速な進行により、多くの都市で空き屋・空き地の未利用地がランダムに発生する都市のスポンジ化が顕在化しつつある。これらは、市街地活性化のボトルネックとなり更なる都市の低密度化をもたらす⑤。このため、低未利用土地の利用促進や発生の抑制等により⑥、土地利用を最適化⑦していくことが求められる。よって、土地利観点から都市の空洞化への対応が課題⑧である。
⑤ なぜ空き地が低密度化につながるのか?どのようなメカニズムで活性化を阻害するのか?因果の説明がないため、論理が飛躍しています。空き地が増える→ 生活サービスが成立しない→ 人流が減る→ 公共交通が維持できない→ 都市基盤の維持コストが増大→ さらに空洞化が進むといった悪循環を説明すべきでしょう。
⑥ 課題のパラグラフで、解決策を書くのは得策ではありません(問われていないですし、解決策で書くことがなくなります)。
⑦ スポンジ化 → 低密度化 → 土地利用最適化が必要という流れになっていますが、なぜ土地利用最適化につながるのかが説明されていません。
⑧ スポンジ化・低密度化・空洞化の使い分けが曖昧なまま使っているように見えます。 スポンジ化=空間の穴あき、低密度化=人口・建物密度の低下、空洞化=中心市街地の衰退これらを同義で使うと、構造が整理できていないと判断されてしまいます。都市計画として正しい因果は、人口減少→ スポンジ化→ 都市基盤の維持効率低下→ 低密度化の加速→ 空洞化の流れです。この悪循環を断ち切るために土地利用最適化(空き地の集約、拠点への誘導、公共交通沿線への集約、都市基盤の維持効率向上等)が必要といった論調が良いのではないでしょうか。
2.最も重要な課題と解決策
地域経済の循環は、持続的な都市経営に直結するため⑨、「いかに都市機能の配置を最適化するか」を、最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。
⑨ なぜ突然都市経営の話が出てくるのか、なぜ地域経済の循環が主語になっているのか(課題は都市機能の配置)不明であり、都市づくりとの関係が説明されていません。最重要課題の選定理由は、影響範囲が最も広い、他の課題の原因になっている、解決しないと他の施策が機能しない、都市構造の根幹に関わるといった視点です。しかし、これは、地域経済の循環は重要だからという“当たり前の一般論”であり、課題固有の理由になっていません。都市機能の分散は、根本的な原因であり他の課題の根因となるため最重要なのではありませんか。
(1)地域特性に応じた都市機能誘導区域の設定
都市機能の相互利活用を促進するため、立地適正化計画を策定した上で、都市機能誘導区域を設定する⑩。設定にあっては、都市機能増進施設に加え、民間オフィス等の業務施設やインキュベーション施設等の業務支援施設を区域内に誘導する⑪。立地適正化計画を推進する上では、ビッグデータ等から人流分析を行い、PDCAサイクルを回すことで誘導施策を評価・最適化していく⑫。このようなイノベーションの創発や施設の集積⑬により生産性を向上させるとともに、来訪者を増加させ⑭地域の稼ぐ力と賑わいを創出していく。⑮
⑩ 何を相互に利用するのか、なぜ相互利用が必要なのか、相互利用と立地適正化の関係は何かが一切説明されていません。
⑪ なぜ必要なのか、どんな効果があるのか、都市機能配置最適化とどう関係するのかが一切説明されていません。
⑫ これでは論理的に破綻しています。人流分析は“チェック”にすぎない、PDCAの「P(計画)」「D(実行)」が存在しない、そもそも誘導施策の評価と最適化の因果が書かれていないので、説明不足ですし、PDCAを誤用しているように感じます。
⑬ なぜイノベーションが起きるのか、都市機能誘導とどう関係するのか一切説明がありません。にもかかわらず、「このような」といわれてもどれですかとなってしまいます。同様に、どんな施設を誘導するのかは書いてあっても、集積の話もほとんどありません。
⑭ 生産性の向上や、来訪者が増加する仕組みも一切書いておらず、全く分かりません。
⑮ 全体として“都市機能配置最適化”の解決策になっていません。都市機能配置とは関係のない話が大量に混入しており、課題と解決策が対応していないように見えます。さらに、全体として“理由のない行動の羅列”になっており、やることだけ並べた浅薄な文章と評価されると思います。
(2)地域公共交通のリ・デザイン
都市機能の集積に対応した効率的な輸送を実現させるため、立地適正化計画と連動した地域公共交通計画を策定した上で、地域公共交通を再編する。例えば、業務拠点等を繋ぐ基幹公共交通としてLRTを導入し、専用軌道により渋滞の影響を受けず輸送する⑯。既存のバス路線については、関係事業者間で独禁法特例法に基づく共同経営計画を策定し、事業者間で路線やダイヤ、運賃の設定を行う⑰。これにより効率的かつ利便性の高い公共交通ネットワークを構築⑱する。
⑯ 「軌道だから渋滞の影響を受けない」は当たり前で、説明になっていません。なぜLRTが都市機能配置最適化に寄与するのかという因果関係の説明が必要です。
⑰ 立地適正化計画、LRT導入、そしてこのバス共同経営を並べていますが、これらがどう連動するのか、なぜ必要なのかといった説明がゼロです。立地適正化計画と公共交通再編の関係が不明、ただ言葉を並べただけで論理がありません。本来必要なのは、立地適正化計画で拠点を設定、拠点間を公共交通で結節、交通と土地利用を一体で最適化という“都市計画の王道の因果関係”です。
⑱ 何がどう効率的になるのか、どのように利便性が向上するのか、立地適正化とどう関係するのかが一切説明されていません。これも前述同様、全体として“理由のない行動の羅列”になっています。このパラグラフは、何をするか→大量に書いてある、なぜするか→書いていない、どう効果が出るか→書いていない、課題との対応→不明となっており、やることだけ並べた浅薄な文章と評価されると思います。キーワードをならべて安心してはいけません。大切なのは、キーワードを使って、誰もが納得できる論理を展開することです。
(3)市街地の再編
未利用ストックが集積し都市の拠点となるべき潜在的な土地利用ニーズが高いエリアにおいて市街地の再編を行う⑲。例えば、立地適正化計画に誘導施設整備区を設定し、空間再編賑わい創出事業を活用する⑳。照応の原則に捉われず、例外的に従前の宅地の位置に関わらず区域内に換地を定めることができる㉑ため、地域に不可欠な医療・福祉施設等の誘致施設の敷地が確保できる㉒。権利関係が複雑に入り込む既成市街地で早急な再編が可能㉓となるため、立地適正化計画の実現にも寄与する㉔。また地権者においても、事業に参画せずに未利用地への誘導施設整備による有効活用が図れるといったメリットがある㉕。
⑲ 何をしたいのか全く理解できません。「未利用ストックが集積」=空き地が多い、「土地利用ニーズが高い」=需要が高いという整理になります。このため、空き地が多いのに需要が高い?といった理論になっており矛盾しています。これでは、都市計画の基礎概念を理解していないと判断されてしまいます。
⑳ 何の例示なのか不明。前段とつながっていません。何を説明するための例示なのか、なぜその施策が必要なのか、どの課題に対応しているのかが一切書かれていません。
㉑ 「照応の原則に捉われず」「従前の宅地の位置に関わらず換地」は同じ意味の繰り返しです。
㉒ なぜ医療?なぜ福祉?なぜ敷地が確保できる?どの施策がどう作用して確保できる?何一つ分かりません。
㉓ 空間再編賑わい創出事業の仕組みを説明しないまま、可能と言われても説得力がありません。 どの仕組みで、どのように権利調整を簡略化するのかを書きましょう。
㉔ 立地適正化計画に定めているんだから当然です。
㉕ 事業に参画しないのに未利用地に誘導施設が整備され、それが地権者の有効活用になる?仕組みの説明なしに理解しろというのは、技術士のコンピテンシーにある「明確かつ包摂的な意思疎通 を図り」ができていないと言えます。
3.新たなリスクと対応策
都市の利便性が向上することにより地価が上昇し、都市郊外地への開発圧力が高まる。その結果、近接・隣接する非線引き都市計画区域における住宅地化による人口のにじみ出し等、スプロール化現象が発生し、自然生態系への悪影響のリスクが生じる㉖。
対応策として、立地適正化計画に居住調整区域を設定する。自然生態系を保護すべき区域に一定規模以上の住宅開発等を開発許可の対象とする。これにより、市街地が無秩序に拡散されることを防止する。また、将来のインフラ投資の抑制といった波及効果も期待できる。 以上
㉖ 自然生態系の前に、そもそも集約型の都市構造が破綻すること(都市構造の再分散)の方を指摘すべきではありませんか。自然生態系はその“副次的な影響”にすぎません。しかも、都市機能の話をしているのに、なぜ住宅の話になっているのか、これも課題と解決策にマッチしていないですね。論点がズレています。

