添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
これからの論文作成
もう2月も中旬に差し掛かりました。私も使っていた「2024年版 技術士 第二次試験建設部門 合格指南」も2/1に発売され、いよいよ2024年度の試験準備が本格化しています。この本でも、予想問題(テーマ)が記載されていますが、ここからは問題を予想し解答論文を作るという勉強方法をお勧めします。
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私が受験する際に用意した論文は、すべて予想問題です。過去問を見ながら、こんな感じの問題が出されるのではないかと想像しながら、問題を作成しました(選択科目も同様)。私の場合は、近くに 技術士 の先輩がいたので、これは出る、出ないなどといった議論もできましたので、恵まれていました。
もちろん、本サイトでも予想問題を提示していく予定です。近日中に、もう一つリアル予想問題を提供しようと思っていますので、ご期待いただければと思います。また、リアル予想問題のほかにも、過去問から紐解く出題傾向や、テーマランキングなども行っていきたいと考えています。
参考書や本サイトを活用して問題を予想することは合理的ではありますが、みなさんも予想問題の作成を自ら行ってみると良いです。予想問題の作成は、国の施策の動向を把握しないとなかなかできません。逆を返せば、国の動向を把握する機会と捉えることもできます。
ぜひ、予想問題作成にチャレンジしてください!
偏りをなくせ
また、私の受験時の話を少々させてください。私が、勉強を始めたのは、GWからです(遅い!)。実質3か月くらいしかありあせん。準備が遅いですよね…それでも勉強に着手してからは、毎日論文を書いていました(本当に一日も欠かすことなく)。GWは、1日中論文を書き続けていました。
この時に用意した論文は、予想問題であることは前述のとおりです。さらに、論文は必ず1セット用意し、次の論文へという具合に進めていきました。つまり、必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱー1、Ⅱー2、Ⅲという論文をセットで作成したということです。試験までに、これを8セット用意しました。
選択科目は、一部B評価でも合格の可能性がありますが、だからといって必須科目ばかりやっていたのでは、合格の可能性はどうしても低下します。私の場合は、AだBだと評価を意識したことは一度もありません。やるからには、圧倒的な合格(ギリギリ合格ではダメで100点取ってやる)を目指すことしか考えていませんでした。
そのためには、必須科目に力を入れて取り組むといった戦略はとりません。まんべんなく、必須科目であろうが、選択科目であろうが美しい論文を評価者に見せつけてやりましょう。60点を目指す人に60点はとれないものです。
まあ、意気込みはこれくらいにして、どれか一つでも全く書けないという状況に陥った場合、他がどんなにうまく書けても確実に不合格です。準備は、偏りなくすべての問題に対し、多様な論文を用意しましょう。そうなると、選択科目の予想問題もどんどん作らないといけません。
私は、建設部門の都市及び地方計画の 技術士 なので、そこらへんはお手伝いできますが、他の分野の選択科目の予想問題を作成することは難しいと思います。ここは、やはり自分の力で選択科目(特にⅡ)は予想するしかありません。論文作成の前に問題だけを考える1週間があっても良いと思います。
また私の話で恐縮ですが、8セット用意したと申し上げましたが、8パターン×4科目=32問は論文を書き始める前の段階で用意しました。この問題作成には、白書や審議会・委員会の資料を読みまくり、何が注目されているのかひたすらに考え抜きました。実は、この初動(問題の予想)が最も合否に影響するのではと考えています。
また、当日の試験を疑似体験するうえでも、問題を作成したら必須科目Ⅰから選択科目Ⅲまで1サイクルとして作成しましょう。途中で、必須科目をもう一個作っちゃおうという浮気心は封印です。偏りのないバランスの取れた勉強を心掛けてください。
論文
今回の投稿論文は、電気電子部門のEVに関する論文のチェックバック2回目となります。EVが到来した社会インフラは給電問題などを抱えています。しかし、再生可能エネルギーの余剰電力受け入れ先としての可能性も持っており、大きな社会変革をもたらすものと期待されます。投稿者は、どのような視点で展開しているのか早速見てみましょう。
課題
1.EVが普及した社会におけるインフラ技術の課題
1.1充電インフラ環境のイノベーションの推進
EVの普及にあたって、充電インフラは重要である。また①、充電インフラが整備・維持管理されていないと、EVは電欠となり、交通事故や大渋滞を発生させる可能性がある。よって、充電インフラの安定稼働を維持する必要がある。
そのため、技術面の観点から充電インフラ環境のイノベーション推進②が課題である。
① 「また」前後の関係は並列ではなく、主張→理由の関係にあります。→「これは、・・・発生させるからである。」
② 経産省のHPを見た感じですと、充電インフラとは電力供給設備(この論文でいう充電スタンド)を指していませんか?解決策には、電池の話があるのでこの課題の表現を工夫する必要があります。この工夫として、充電インフラに「環境」を補記しているのですかね。「環境」ですと色々な意味合いが出てくるので、単純に「関連」とした方がわかりやすいのではないでしょうか。
1.2充電インフラ設備の電源供給安定化
EV用充電インフラ設備において、安定な③電源供給は必須である。しかし、自然災害や変電所停電により充電インフラ設備への電源供給が困難になるリスクがある。
そのため、電源供給④の観点から停電時においても継続運転可能な充電インフラ設備を構築することが課題である。
③ 「安定な」→「安定した」
④ 電源供給の観点は広すぎます(最初の課題にも当てはまってしまいます)。背景を踏まえると、「防災面」、「強靭性」とかですかね。
1.33Rに基づいたLIBの活用
EVの普及に伴い、LIBは大量生産されている。LIBの推定寿命は10〜15年であり短いサイクルで廃棄される。これは、限りある資源を有効活用できておらず、持続可能な社会を実現するには改善が必要である。
そのため、地球環境の観点⑤から3R(リデュース、リユース、リサイクル)に基づいた廃棄LIBの活用が課題である。
⑤ 主張を踏まえると、地球環境の観点→持続性の観点の方がしっくりきます(好みかなぁ)。
解決策
2.最も重要と考える課題と理由
「充電インフラ環境のイノベーションの推進」が、最も重要な課題と考える。なぜなら、充電インフラ環境のイノベーションの推進により⑥、電欠を防ぎEVが普及したモビリティ社会を継続できるから⑦である。
⑥ 課題で述べているので不要。
⑦ これでは、ほぼ題意であり選定理由と言えないと思います。例えば、「課題解決のインパクト(または効果)が他に比べ高いから」(←迷ったらコレ)といった相対評価が良いと思います。
2.1全個体電池による航続距離の延伸
LIBには発火リスクが伴っているため、冷却装置を積載している。この冷却装置は、重量があるため燃費を悪化させ、航続距離を短くする理由の一つとなっている。
そのため、EV用二次電池を全個体電池とすることで冷却装置を無くし、車体の軽量化を実現できる⑧。そして、軽量化に伴う航続距離延伸により、充電スタンド数を最小化できる。これにより、充電スタンドが適正な保守整備数になるため、点検の省力化や維持管理コストの低減に寄与できる⑨。
⑧ 解決策は、できることを書くのではなく、やることを書きます。→「車体を軽量化する」
⑨ ⑧と同じ理由。→「も図る。」
2.2走行中ワイヤレス電力伝送の導入
現状、EVの電源供給は充電スタンドを利用している。そのため、充電スタンド故障時はEVに電源供給できず電欠となるリスクがある。
そこで、走行中ワイヤレス電力伝送を提案する。道路の下に送電コイルを埋設し、その上を、受電コイルを乗せたEVを通過させることで、電力をEVに送ることができる⑩。
このように、走行中に常時充電可能となることで、安定的な電源供給に寄与できる⑪。また、充電作業そのものが不要となるため充電スタンド削減にも貢献できる⑫。
⑩ ⑧と同じ理由。→「電力供給を行う」
⑪ これは、課題なので当然の結果です。不要。
⑫ ここに示されている効果が実益ですよね。⑪を削除する代わりに、ワイヤレスのメリットをもっと書くと良いと思います。例えば、「ドライバーの給電手間がなくなる」、「航行距離を気にせず利用可能」、「バッテリーが小さくなる(不要になる?)」など素人考えですが、たくさんあると思いますよ。
2.3強靭な5G網の構築⑬
EVの普及に伴い、充電スタンドの充電混雑状況の見える化、充電予約サービス、EV蓄電池を活用したVPPの構築、等が行われる⑭。その結果、IoTセンサ数は増加しデータ通信量も莫大になる。
そのため、5G網構築により大容量・高速・多数同時接続可能な通信環境を提供する。また、5Gが繋がりにくい地域はローカル5Gにより常時通信可能とする。
⑬ 解決策の記載順序を変えた方が良いですね。5Gの強靭化は、コストを度外視すればすぐにできそうですし、そもそも提案のワイヤレス充電ができてしまえば見える化はいらないです。イノベーションの難易度順に、5G(短期)→LIB(中期)→ワイヤレス(長期)とすると論理だった説明になると思います。
⑭ 読点不要。また、誰かがやってくれることを書くのではなく、やることを書きます。よって、受け身ではなく能動ですね。→「等を行う。」
3.新たに生じうるリスクとそれへの対策
3.1 新たに生じうるリスク
新規機器(走行中ワイヤレス電力伝送機器、5G網、等)が導入されるため、保守管理をしっかり行なっておかないと⑮設備故障が発生するリスクがある⑯。
⑮ ここで解決策まで書く必要はありません(重複します)。不要。
⑯ ⑮で発生条件を削除してしまうので、断定表現を避けます。→設備故障の発生リスクが高まる。
3.2それへの対策
新規機器に対する保守方法、保守体制、更新周期、等を明確に定め設備管理会社内で確実に共有しておく⑰。
⑰ 社内共有ではなく、関係者すべてが理解すべきと考えます。→「関係者間で共有する。」
文量が不足する場合は、さらに踏み込んで、「これらの情報をオープンデータ化し、誰でも容易に保守できる環境を整える」といった対策もあると良いと思います。
4.業務遂行における必要な要件
4.1技術者としての倫理
公共の安全を最優先する。人命をおびやかす危険な設備を構築しないように配慮する。
4.2社会の持続可能性
解決策に用いる機器は3RやLCCに配慮し、SDGs「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献する。 以上