PR

技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度 選択科目Ⅲ 予想問題 「カーボンニュートラルの実現に向けた都市再生」

論文添削
PR
PR

添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

PR

令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書

前回の記事(コチラ)では、「水循環白書」、「首都圏白書」、「土地白書」、「観光白書」、「交通政策白書」の5つの白書が閣議決定されたことをお伝えしました。それらの白書が公開される一足先に、「環境白書」、「循環型社会白書」、「生物多様性白書」令和6年6月7日(金)に閣議決定され公表されています(環境省のページはコチラ)。

「また白書の読むの…」、「今論文作成に忙しい…」との声が聞こえてきそうです。しかし、みなさん「安心してください!要約されていますよ」と誰かのセリフみたいになってしまいましたが、これが短くて分かりやすいのです。GXの知識を補強するのに抜群の効果を発揮してくれます。

記者発表の一部を抜粋しましたので、内容を確認してみましょう。

  •  第1章では、第六次環境基本計画について、現在我々が直面する環境の危機、我が国の経済社会の構造的問題を踏まえ、環境・経済・社会の統合的向上など環境政策が全体として目指すべき大きなビジョンを示すとともに、今後の施策の方向性を示していることを紹介しています。
  •  第2章では、気候変動、生物多様性の損失及び汚染という相互に関係する3つの世界的危機に対し、最新の動向や施策を紹介するとともに、課題の相互依存性を認識して自然再興・炭素中立・循環経済等政策の統合、シナジーを図ることが重要であることを紹介しています。
  •  第3章では、自然再興・炭素中立・循環経済の同時達成のためには、環境をきっかけとして、地域やそこに住んでいる人々の暮らしを、豊かさやウェルビーイングへとつなげていくことが重要であり、そのための取組である「地域循環共生圏」やライフスタイルシフト等について紹介しています。
  •  第4章では、東日本大震災や原発事故の被災地の環境再生の取組の進捗や、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を紹介しています。

2章、3章あたりがもろにGX関連ですね。要約書では、これらが10ページ程度でまとめられており、ポイントを整理するのに大変役に立ちます。あやふやだった環境関連知識がスッと入ってきますよ。論文の解決策などを書く時に参考にしてみるのも良いと思います。ぜひ、ご活用ください。

論文

本日の投稿論文は、建設部門 都市及び地方計画 令和6年度 選択科目Ⅲ 予想問題 「カーボンニュートラルの実現に向けた都市再生」になります。GXの派生ともいえる論文です。幅広くみなさんの役に立つ内容になっています。選択科目Ⅲは専門科目の技術力アピールがポイントになるので、みなさんの専門科目だったらどう解答するかといった視点で読むと良いと思います。それでは、早速論文を見てみましょう。

問題文

気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化など、気候危機とも言える状況の中、2023年7月には、世界平均気温が観測史上最高記録を大幅に更新したことで、国連は「地球沸騰化」という表現を用いて警鐘を鳴らした。地球温暖化対策は待ったなしの課題であり、2050年カーボンニュートラルの実現、気候危機への対応など、グリーン社会の実現は、我が国にとっても重要な政策課題となっている。

脱炭素社会、気候変動適応社会、自然共生社会、循環型社会を広く包含するものとしてグリーン社会を捉え、その実現に向けて積極的に貢献していく必要がある。そのため、まちづくりやインフラ、交通・運輸など、地域のくらしや経済を支える地方自治体が果たす役割は重要であり、現場を持つ強み、技術力を活かし、国土・都市・地域空間におけるグリーン社会の実現に向けて、様々な分野・主体間の連携による取組にチャレンジしていく必要がある。

このような状況を考慮して、以下の問に答えよ。

(1)2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、都市行政分野において、さらに取組を充実・強化していくにあたり、技術者としての立場で多面的観点から取り組むべき課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に関連して、新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

課題

1.多面的な課題
(1)  いかにクリーンエネルギーに転換するか
 高度経済成長期を経て、モータリゼーションの進展等により都市は大きく成長してきた。一方で、地球温暖化による気候変動は深刻化し、温室効果ガスの多くを排出する都市活動においても対策が求められている。そのため、都市活動を維持したまま脱炭素社会を構築することが重要である。よって、仕組み面の観点から、クリーンエネルギーへの転換が課題である。


① 背景でクリーンエネルギーについて、何も説明されておらず唐突感があります。背景できちんと前振りをしましょう。そのためには、もっとエネルギーをフィーチャーする必要がありますので、現状(温室効果ガス排出の8割以上をエネルギー分野が占める)→問題(エネルギー供給のうち、再生可能エネルギーは全体の約2割と少ない)→必要性(エネルギーを化石から炭素中立型に要変革)→結論 といった具合に構成してみてはいかがでしょうか。


(2)いかに分野横断的な連携を行うか
 カーボンニュートラルの実現に向けて、まちづくりやインフラ、交通・運輸等といった地域のくらしを支える幅広い分野が持つ強みや技術力を活かすことが必要である。そのため、都市空間におけるグリーン社会実現に向けて、各分野や主体間が連携した取組みにより相乗効果を生み出すことが重要である。よって、体制面の観点から、分野横断的な連携が課題である。


② 強み、技術力が抽象的で、何を活かすのか良く分かりません。

③ 各分野の連携は理解できますが、主体間とは一体何を意味するでしょうか(各分野と何が違うのか)。また、各分野の強みを生かすこと、相乗効果を生み出すことといった内容は、(厳密には異なりますが)同じような内容を繰り返しているように見えます。

④ このパートの背景は、必要性や重要性のみが記述されており、これらがなぜ必要・重要なのか説明がありません。課題の基本構成は、現状→問題点→必要性→結論とすると良いと思います。順序立てて説明しないとどうしても唐突であったり、なぜそう考えたのかといった部分が不明確であったりと読み手の共感を得られないと考えます。


(3)いかにICTを活用するか
 地域における省エネの徹底や再エネを最大限に導入することは、カーボンニュートラルの達成に不可欠な要素である。そのため、電力ネットワークのデジタル制御やビッグデータを活用した道路交通流の円滑化等、デジタル分野を活かしたまちづくりを推進することが重要である。よって、効率化の観点から、ICTの活用が課題である。


⑤ なぜ地域に限定するのですか。

⑥ →「活用」

⑦ ①や④と同様、なぜデジタル分野を生かしたまちづくりが重要なのか説明がなく、釈然としません。きちんと、前段で説明しましょう。

⑧ これも同じです。なぜ効率化といった観点なのか、説明がないので釈然としません。前段で前振りをしましょう。

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 建設分野のイノベーションも同時に達成できるため「いかにクリーンエネルギーに転換するか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を示す。


⑨ 建設分野のイノベーションを達成できるとの理由は、解決策を読んでも良く分かりません。少しトーンを落として良い影響を与えるくらいの理由としてはいかがでしょうか。→「エネルギー転換は他分野の取組みにもシナジーをもたらすため」


(1)交通分野での取組み
①交通GXの推進
 マイカーから公共交通機関への乗り換えを促し、次世代車両を導入することでクリーンな移動を実現する。例えば、MaaSにより移動に伴うCo2排出量を可視化し、公共交通への乗り換えを促す。移動には、LRT等のEVモビリティに加えて、水素を使用する燃料電池バスやFCVタクシーを導入する。ラストワンマイルには、グリーンスローモビリティを導入し、過度なマイカー利用を抑制する。これらによって、クリーンな公共交通ネットワークを構築する。


⑩ 課題は、温室効果ガスの抑制ではなく、クリーンエネルギーの転換です。エネルギー転換を図る取り組みを述べる必要があります。例えば、「モビリティのエネルギー源を化石燃料から、電気、水素、アンモニアなどに転換する」が、課題に対する直接的な解決策ではありませんか。そのうえで、工夫点として相乗効果を得るために公共交通の利用促進があるのではないでしょうか。これらを踏まえ、次の例示も見直した方が良いでしょう。

⑪ 食品のカロリー表示みたいで面白いですね。ただし、この可視化で乗り換え促進になりますかね。促進というより、利用者がクリーンな移動を選択できるようにするといった切り口ではないでしょうか。

⑫ エネルギー転換なので、「・・・導入する」で良いと思います。


②CNPの形成
 港湾地域の面的なクリーンエネルギー化を図るため、CNP計画を策定し、脱炭素化の取組みを推進する。例えば、海上運輸にMCH運搬船を導入し、運搬された水素を水素ステーションに供給する。前述したような燃料電池バスやFCVタクシー等の公共交通機関に水素を充填することで、クリーンな移動を実現する。このように、CNPを通じた水素社会を実現することで、地域全体でクリーンエネルギーの転換を促す。


⑬ 主語がなく、誰の行動なのか分かりません。計画の策定をする人は港湾管理者ですよね。推進するのは国ですかね。いずれにせよ、異なる主体が混在しています。また、脱炭素化を図るためにクリーンエネルギー化するのではないでしょうか。目的と手段が逆になっているように見えます。さらに、繰り返しになりますが、課題はエネルギー転換です。よって、解決策は「CNP計画を策定する」で完結するべきです。しかし、この修正をした場合においても、例示が計画策定になっていません。解決策の内容を見ると、水素のサプライチェーンを構築することが解決策のように見えます。何を解決策にするのか再検討し、解決策の方向性をしっかり定めましょう。


(2)街区単位での取組み
 建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度を活用し、再エネを最大限活用したゼロエネルギー街区を形成する。例えば、再エネ利用促進区域の設定により、建築主に対して再エネ利用設備の設置を努力義務化する。区域の再エネ発電には、太陽光発電や再エネの余剰電気で製造・貯蔵した水素を活用した水素蓄電システム等を導入する。また、所有者不明の土地においては、地域福利増進事業を活用することで再エネ施設を設置する。これらにより、電力供給の多様化とともに、住宅・建築物の再エネ化への転換を促進させる


⑭ 最初の建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度は、具体例で述べると良いと思います(重複を避ける)。最初は、理由と大枠の解決策を述べてはいかがでしょうか。また、ゼロエネルギー街区については、少し分かりづらいですね。→「再エネを普及するとともに、電力供給が不安定である再エネを無駄なく利用するため、街区単位でのエネルギー・マネジメントを推進する」

⑮ →「電力」

⑯ 電源の多様化は、次の取組み結果ではありませんか。ここは街区単位の取組みなので、CEMSなどエネルギー・マネジメントを説明してはいかがでしょうか。


(3)エネルギー源の取組
 農漁村地域固有のバイオマス資源を活用した取り組みを推進する。例えば、未利用間伐材や稲わら、家畜排せつ物等を活用したバイオマス発電を行う。また、余剰電力を売電し、畜舎の維持管理に充当する。これらにより、農漁村地域の活性化といった効果も生み出すことができる。


⑰ →「において」

⑱ →「発電事業」

⑲ 何に対する余剰なのか分かりません。

⑳ なぜ畜舎に限定するのでしょうか。地域産業といった具合に幅広く受け入れた方が良いのではないでしょうか(電力の地産地消)。

㉑ 説明がないので、地域活性化につながる仕組みが良く分かりません。

リスク

3.新たなリスクと対応策
 多大な設備投資が必要となるため、投資過多となりキャッシュフローが悪化するリスクが生じる。対応策として、ESG投資の普及促進があげられる。ESG投資は環境という社会的インパクトが投資家に評価されるため、環境に寄与する設備投資に対して資金調達が容易となる。また地方自治体においては、事業実施に伴いESG債を積極的に活用する。以上


㉒ 解決策では、様々な主体が存在しています。何の設備投資なのか、誰のキャッシュフローが悪化するのかといった部分が分かりません。

タイトルとURLをコピーしました