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技術士 二次試験対策 農業部門 必須科目Ⅰ~選択科目Ⅲ フルセット

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【 技術士 二次試験対策 】

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農業部門必見 フルセット投稿

本日の添削LIVEは、農業部門の必須科目Ⅰ~選択科目Ⅲまでをすべてお届けします。

必須科目Ⅰ 農業農村工学 令和5年度 I-2 「食料の安定供給」

選択科目Ⅱー1 農業農村工学 令和3年度 Ⅱ-1-3「大区画整備」

選択科目Ⅱー2 農業農村工学 令和3年度 Ⅱ-2-2「パイプライン機能保全」

選択科目Ⅲ 農業農村工学 令和5年度 Ⅲ-1「農業水利施設の継承」

※問題は、技術士会ホームページからご確認ください(過去問はコチラ)。

令和5年度 I-2 食料の安定供給

課題

1.食料の安定供給・持続的な農業の発展への対策
1.1農作物の生産の場面
 農業者の減少・高齢化が著しく進展しており、国内における食料供給体制の維持が困難となっている。また、維持管理が行き届かなくなった農地が荒廃農地となり、耕地面積の減少も招いている。農業生産を向上させ、農業の持続的発展を図るためには、生産基盤整備により条件の良い農地の整備が必要である。以上より、技術の観点から、優良農地の確保が課題である。


① 前段で持続的発展と述べているので、ここは「持続性の観点」としてはいかがでしょうか。


1.2農産物の加工・流通・消費の場面
 人口減少等により小売業や物流の採算がとれない地域が発生しており、食品を簡単に購入できない消費者が増加している。また、2 0 2 4年4月からトラック運転手の時間外労働に上限が適用され、物流が停滞するリスクも生じている。このため、今後さらに買い物困難者が増加すると予測されている。以上より、物流の観点から、円滑な食品アクセスの確保が課題である。


② 停滞は少し言い過ぎのような気がします。→「物流サービスが低下するリスク」

③ 局所的な問題点に言及するより共通した問題点にした方が良いと思います。→「脆弱な供給体制になることが懸念されている」

④ 課題が分かりづらいです。また、前項の修正で体制に難ありと前振りしているので「体制面の観点から、サプライチェーンの確保が課題」としてはいかがでしょうか。


1.3農業の経営の場面
 基幹的農業従事者の65歳以上の割合は約7割を占め、年々高齢化している。また、生産年齢人口の減少により後継者不足が深刻となっている。しかし、約7割の経営体が今後5年以内の後継者を確保していない状況であり、大半の経営体において、経営継承が困難と見込まれる。以上より、人材の観点から、後継者の確保が課題である。


⑤ 「後継者不足の深刻化」と「7割が後継者を確保していない状況」は同じことを説明していませんか(「しかし」とありますが逆接になっていませんね)。また、その結果である「経営継承が困難」も同様の意味合いであり、同じことが何度も説明されているように見えます。前述している課題と同じように、現状→問題点→必要性→結論の構成で整理すると良いと思います。

⑥ この課題設定は適切ではあるものの、⑤のようにすべて後継者不足(確保)に終始していますので、もう少し踏み込んだ課題設定とした方がより良いと思います。⑤の指摘を含め、整理すると以下のような例が考えられます(課題は例ですので、参考程度に)。
→「基幹的農業従事者の65歳以上の割合は約7割を占め、年々高齢化している。このため、約7割の経営体が5年以内に経営承継ができない状況であり、後継者不足が深刻化している。このような状況の中、少ない人員で農業生産能力を維持するとともに、担い手が魅力を感じる安定した営農が求められている。以上より、人材面の観点から、生産性の向上が課題である。」

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 農業生産基盤の整備は、食料の安定供給・持続的な農業の発展に直結するため、「優良農地の確保」を最も重要な課題と考え、解決策を以下に述べる。

2.1農地の大区画化
 日本の水田面積は2 3 5万h a であり、その内5 0a 以上の大区画ほ場は2 8万h a(約12%)と少ない。また、水田面積の約3 2% は3 0aにも満たない狭小なほ場である。狭小な農地では、農業機械の旋回回数や、農地間の移動に時間がかかる。このため、農地の大区画化を行い、作業時間の短縮と生産コストの削減を図る大区画化後、大型機械を導入することにより作業効率の大幅な向上が可能となる。区画規模検討の際は、水口から耕区反対側への用水到達時間、地表水の排除時間に配慮する。以上のように、農地の大区画化を行い、優良農地の確保を図る。


⑦ ここは解決策を書くところです。大区画が必要な背景などは、書いてはダメという訳ではありませんが、この場合は量が多すぎます。もっと端的にまとめ、どのように大区画化を進めるのかといった手法に力点を置きましょう。

⑧ これも同じです。効果や配慮事項の前にどうやって大区画化を進めるのかといった手法がありません。この方法論が解決策では重要になります。

・自動走行農機の導入に対応した区画規模、長辺長・短辺長の考え方

・作業性向上のための農道、耕区間移動通路の考え方

・ターン農道、管水路形式の末端用排水路等の考え方

・畔抜き工法による大区画化など整備手法

などなど、具体例≒技術力と理解してください。一般論を脱しないと評価を得ることはできません。


2.2 水田の汎用化
 より高収益な作物を導入するため、水田の汎用化を推進する。水田面積の内、汎用化されていない水田は約5 3%である。食料安定供給や農家所得向上のためには、水田への畑作物の導入が重要であるが、畑作物は湿害に弱い。このため、暗渠排水や排水路の整備により排水性を確保する。また、排水性向上による農作物の品質向上、収量増加が見込まれる。地耐力の向上により大型機械の導入も可能となる。以上のように、水田の汎用化を推進することにより、優良農地の確保が可能となる。


⑨ これも同じですね。やることを中心に書きましょう。

⑩ ここも排水路整備で終わらせるのではなく、どのような整備を行うのか。どういった手順で行うのか、手法とその適用判断などここが技術力アピールになります。背景や効果も書いていいですが、最も重要なのはやること(解決策)です。ここを細かく説明しないと一般論になってしまいます。

⑪ 課題は、優良農地の確保ですから、この結果は当然ということになります。不要。

リスク

3.波及効果と懸念事項への対応策
3.1 波及効果: 農地の大区画化や水田の汎用化・畑地化を契機とした農地の集積・集約化が推進される。これにより、農家の大規模経営化や法人化の推進を図ることができる


⑫ 解決策の内容を改めて書く必要はありません(スペースがもったいない)。→「上記解決策により、」

⑬ 的確な解答とするために、文末は「・・・といった波及効果がある。」とした方が良いでしょう。また、推進ではなく、効果なので「促進される」ですかね。

要点・留意点

4.業務遂行において必要な要件
4.1 技術者としての倫理の観点: 技術者として公益の確保や、公衆の安全、健康及び福利を守ることが要件となる。特に、周辺施設と一体的な整備を行う区画整理は特に公共性が高い。非農業者を含めた地域住民との十分な合意形成や、安全に配慮した設計を行うことに留意する。


⑯ なぜ、いきなり区画整理の話をするのでしょうか。違和感があります。


4.2 社会の持続可能性の観点: 地球環境の保全に努めることが要件となる。農村は様々な生物の住処であるため、生態系の十分な調査や環境に配慮した設計を行うことに留意する。- 以上-

令和3年度 Ⅱ-1-3 大区画整備

1.地形条件に即した基本的な考え方
 水田のほ場整備においては、現地の地形に合わせた経済的な工法となるよう区画計画を検討することを基本とする


① 『土地改良事業計画設計基準 計画 「ほ場整備(水田)」』において、区画計画の基本として次のような記述があります(事務次官通知)。「区画計画は、区画の形状・規模等を決めるもので、生産性向上において重要な要素である。そのため、ほ区及び耕区の形状や規模の決定に当たっては、将来の地域農業の姿を想定し決定する必要がある。また、区画計画は、地域の営農状況、用排水路及び農道の配置計画や傾斜等の地形条件と相互に密接に関連しあっているため、これらの全体的な関係に配慮して定めなければならない。 」このうち、地形条件に関する記述は、下線部となります。記述の考えは間違いではありませんが、選択科目Ⅱ―1は知識を問う問題です。よって、これを記述してはいかがでしょうか。


①平坦地:平坦地では区画短辺に平行な方向の田差が小さいことが一般的である。このため、区画長辺の畦畔を除去し、既存の用排水施設を利用する畔抜き工法を基本とする。本工法では区画短辺に平行な方向に区画を拡大する。


② 『土地改良事業計画設計基準 計画 「ほ場整備(水田)」』において、区画計画の基本(平坦地)として次のような記述があります(農村振興局長通知)。「平坦地の整備に当たっては、大区画化を考えるものとする。そのためほ区は可能な限り同一標高で均平とし、ほ区内に随時畦畔を設置して耕区を設ける。」 ①同様、間違いではないのですが、区画計画の基本を忠実にした方が良いのではないでしょうか。


② 傾斜地:傾斜地では区画短辺に平行な方向の田差が大きいことが一般的である。このため、区画短辺の排水や道路を除去し、区画長辺方向に平行な方向に区画を拡大する道路抜き工法を基本とする。本工法では、排水路や道路等の施設を再配置する必要がある。


③ 『土地改良事業計画設計基準 計画 「ほ場整備(水田)」』において、区画計画の基本(傾斜地)として次のような記述があります(農村振興局長通知)。「傾斜地では、傾斜や地形の湾曲が、区画の形状・規模・配置、つぶれ地、土工量、工事費に影響するとともに、農作業の安全性や維持管理にも大きく影響する。このため、画一的に長方形区画を適用するのではなく、地域の地形条件や営農条件に応じて等高線区画の導入を検討する等、最適な区画形状・規模・配置、道路及び用排水路の配置となるよう検討する。 」①同様、間違いではないのですが、区画計画の基本を忠実にした方が良いのではないでしょうか。


2.大区画整備計画時の留意点
①田植機の苗補給量:区画長辺方向延長については、田植機への苗補給量を考慮することに留意する。長辺延長に対し、1回当たりの苗補給量が少ない場合、走行中にほ場内で苗が切れてしまう。このためほ場内で苗補給を行う必要があり、作業効率が大きく低下する。
②農業機械の重量:ほ場はより大区画であるほど作業効率の向上を図ることができるが、農業機械の規模も大きくなる。農業機械の重量に対し、走行性を確保することに留意する。暗渠排水等により排水性を改善し、地耐力の向上を図る。- 以上-


④ これも、おそらく『土地改良事業計画設計基準 計画 「ほ場整備(水田)」』からの引用を求められているのではないでしょうか。よって、以下の大区画整備の基準及び運用の解説を再構築(スペースに収まるように要約)してはいかがでしょうか。

(2) 農業機械の作業効率

ア. 農業機械の作業性

農業機械の作業性は、単なる区画の規模のみならず長短辺比、農業機械の種類・特徴(資材等の積み込み・積み下ろしの所要時間・走行可能距離)、農道の配置(旋回方法)等により変わるが、傾向としては耕区の規模が大きいほど(長短辺比が大きいほど)作業効率は向上する傾向にある。ただし、同一の機械では区画が大きくなるにつれて作業効率の向上は頭打ちとなる。

したがって、将来の農業機械の性能向上等も考慮すると耕区はできる限り大きくとることが望ましいが、資材の供給や収穫物の搬出が必要な機種(田植機、播種機、コンバイン等)については1回当たり走行可能距離に制約(田植機であれば、一度に積める苗箱の数量に上限があり、苗を補給する必要があること)があるため、将来の営農形態を想定し、利用が想定される機械の計画時点での能力に留意する必要がある。

イ. 農業機械の作業能力

1日を作業単位として同一耕区内の作業をやり終えてしまわなければならない農作業がある。この場合、農業機械1台当たりの1日の作業可能面積が耕区の規模の制約となる。例えば代かき、田植、播種作業等がこれに当たる。これらの作業では、導入機種の1日当たりの作業能力から耕区の規模を検討する必要がある。

令和3年度 Ⅱ-2-2 パイプライン機能保全

1.調査、検討すべき事項
1-1 既存資料の調査
 施設の諸元、パイプラインの管種や管径、埋設条件及び機能診断結果等について、既存資料の調査を行う


① 『農業水利施設の機能保全の手引き「パイプライン」』では、計画策定に必要な情報として、日常点検情報、事前調査情報、現地調査情報に区分されています。これらを引用し記載してはいかがでしょうか(P55フロー図参照)。


1-2 機能保全方式の検討
 パイプラインは管種や埋設条件などが施設毎に様々であり、それぞれの条件による対策実績データが少ないため、劣化予測を行うことが困難である。以上より、調査結果を踏まえ、施設条件に合わせた保全方式を選択する。検討すべき主な保全方式を後述する
①状態監視保全:管内面調査が可能であり、性能低下要因が明瞭である場合に選択する。
②時間計画保全:管内面調査が困難であり、性能低下要因が不明な場合に選択する。
③通常事後保全:事故の影響が軽微であり、施設管理者によって速やかな機能回復が可能である場合に選択する。


② 問いは、項目と内容です。書いてはダメではありませんが、方式選択とする背景はなくても良いと考えます。

③ 「調査結果を踏まえ」と「施設条件に合わせた」が重複しているように見えます。また。端的に「以下の基準に従い保全方式を選択」で良いと思います。さらに、組み合わせるという選択肢も手引きには記載されていますので、追記してはいかがでしょうか。加えて、聞かれていることは、調査・検討事項ですので文末を「検討する」といった表現にすると良いでしょう。→「調査結果を踏まえ、以下の基準に従い保全方式の選択または組み合わせを検討する。」


2.業務を進める手順と留意、工夫点


④ 手引きを参照に手順をまとめると次のようになるのではないでしょうか。
1)既存資料調査★
2)保全方式の選定★
3)対象施設のグルーピング★
4)対策実施時期の設定
5)管理水準の設定
6)対策工法の選定
7)対策実施シナリオの作成
8)コストの算定・比較
9)関係機関との合意形成★
10)施設監視計画の策定★
11)機能保全計画の策定★
※1 星印が付いているものが不足しています。
※2 4)と5)の手順が逆です。
※3 不足項目を追記するにあたっては、スペースを確保するため1-2の箇条書き部を削除してはいかがでしょうか。


①管理水準の設定:管理水準は、使用限界水準を下回らないことに留意する。また、リスク管理の観点から、施設が機能停止した場合の農業、及び農業以外への影響度を考慮するよう工夫する。


⑤ 当たり前な事柄のように見えます。手引きに記載されている考慮事項は、以下の通りとなりますので、参考にして修正してはいかがでしょうか。
・ リスクを効率的に抑制する観点から、パイプラインの重要度評価等を踏まえた潜在的リスクの大きさを考慮した上で、施設管理者や関係機関等の意向も踏まえ、管理水準を適切に設定する。
・ 性能指標による管理水準を設定する場合、施設の重要度評価等を踏まえた潜在的リスクの大きさを考慮して、管理水準をそれよりも上げる対応が考えられる。


②対策時期の検討:施設管理者の財政状況を勘案し、コストの平準化を念頭に決定することに留意する。また、対策要否や対策工法の比較検討を効率的に行うため、同一の対策検討をする施設群毎にグルーピングを行うよう工夫する


⑥ これは、工夫点ではなく必要なタスクではありませんか。前述の通り、項目立てをしたうえで手順として記述すべきです。


③対策工法の検討:一般的に、劣化が進行していない時期程対策工法の選択肢は多いが、劣化初期段階で対策した場合が最も経済的とは限らないことに留意する。また、環境や低コストに配慮された新技術を積極的に導入し、従来工法に捕らわれないよう工夫する。


⑦ 記述内容を否定する意図は全くありませんが、選択科目Ⅱ―2はマニュアルを引用するが基本戦略です。よって、マニュアルに記載されている留意点を以下に示します(P63)。

・対策工法は、水利施設全体が一つのシステムとして要求性能を確保する必要があることに留意して検討する。
・工法の検討の際には、グルーピングされた施設群毎に性能低下予測の結果を踏まえ、対策の適否、対策工法とその実施時期の組み合せを検討する。


④対策実施シナリオの作成:対策実施後の健全性や劣化速度については、十分なデータが無い。このため、対策工法を施した後は、便宜上、健全度はS-5まで回復すると考えることに留意する。また、管理水準以上の異なる時点の健全度で対策を行う場合等、シナリオは可能な限り複数作成するよう工夫する。


⑧ 他と比べ留意点が細かい印象を受けます(留意点というより作業の前提条件に見えます)。また、設定理由なども記載されており、ちょっと長いですかね(要スペース確保)。スペース次第でなくても良いのですが、残す場合はダイエットしましょう。→「対策実施後の健全度は、十分なデータがないことを踏まえS-5とすることに留意する。」


⑤機能保全コストの算定・比較:経済性を考慮することを基本とするが、環境への配慮等を踏まえ、必要に応じて総合的な判断を行うことに留意する。また、機能保全コストの比較チャートを作成し、シナリオ毎に分かりやすく整理するよう工夫をする。


⑨ これも手順を増やすことを考えた場合、少々長いですね。手順には、「経済性による対策の検討は、機能保全コストの比較により行う。」とありますので、ダイエットの際にはこれを丸パクリでも良いかもしれません。


3.関係者との調整方策
 施設管理者、施設造成者:施設管理者や施設造成者と適時協議の場を設け、関係者間で密な情報共有を行う。施設管理者が行う日常点検、施設管理時の問題点等を共有することで、発生するリスクについて共通認識を図る。また、事業化した際、関係者間の調整が円滑となる。- 以上-__

令和5年度 Ⅲ-1 農業水利施設の継承

課題

1. 農業水利施設の次世代への継承における課題
1.1 維持管理の省力化
 基幹的農業従事者数は年々減少しており、農業水利施設の維持管理に必要な人材の確保が困難となっている。維持管理が行き届かない場合、老朽化した施設の機能回復や点検作業がなされず、次世代への適切な継承が困難となる。このため維持管理にかかる労力の削減が必要である。以上より、人材の観点から、維持管理の省力化が課題である。

1.2 保全対策コストの縮減
 農業水利施設の内、基幹的水路は約5万2千k mあり、その4 6%は耐用年数を超過している。これら施設を次世代へ継承するため、機能回復が求められているが、対策の必要な施設数は膨大である。このため、補修や更新にかかる費用が多大であることから、対策費を抑えることが必要である。以上より、費用の観点から、保全対策コストの縮減が課題である。


① →「対策を必要とする施設数」

② 前述されているのは、「機能回復」ですね。保全には機能回復の意味も含まれているので大丈夫なのですが、文脈を意識した分かりやすさという視点で「機能保全」としてはどうでしょうか。または、前段の「機能回復」を「機能保全」にした方が分かりやすいですね(前項でも機能回復と言っているので、こっちですかね)。


1.3 ストックの適正化
 農業水利施設のストック量は膨大であり、基幹的な点的施設は約7千7百か所である。中には造成年が古く、現在の水利用状況や気象条件の変化に対応していない施設が多い。次世代への適切な継承を行うため、施設受益地の状況を把握し、施設の統合や廃止等を進める必要がある。以上より、施設数の観点から、ストックの適正化が課題である。


③ これまでの背景はどれも類似しています(施設が多い、老朽化といった背景)。アプローチの仕方を工夫する必要があります。

④ 題意そのものなので、記載は不要だと思います。

⑤ 施設数の観点が分かりづらいですね。適正化は課題ではなく観点としてはどうでしょうか。そうした場合、課題はもう少し踏み込んだ内容にすると良いと思います。→「適正化の観点から、施設の集約化に向けた再編が課題」


2. 最も重要と考える課題と解決策
 農業水利施設を適切に次世代に継承していくためには、人口減少下でも持続可能な維持管理体制の構築が重要と考える。このため、「維持管理の省力化」を最も重要な課題と考え、その解決策を以下に述べる。


⑥ ④と同様。

解決策

2.1 開水路のパイプライン化
 農業用用水路が開水路の場合、土砂上げやごみ上げ等の維持管理作業が必要となる。開水路のパイプライン化を行うことで、これら作業が無くなり維持管理作業が省力化される。パイプライン化にあたり、周辺地形等の自然条件に加え、現状及び今後の土地利用状況等の社会条件を調査する。各水路末端における余裕水頭の確保や、地域の転作状況の十分な把握により各ほ場への通水量を確保するまた、パイプライン化に合わせて、需要主導型水管理方式を導入することにより、水利用の効率化や無効放流の防止を図る。更に、管路上を管理用道路に設定し、維持管理に必要な車両等の通行が可能なようにする以上のようにパイプライン化を行うことにより、維持管理の省力化を図る


⑦ 解決策なので、やることとして記述しましょう。→「これらの作業を無くし維持管理作業を省力化するため、開水路をパイプライン化する。」

⑧ パイプラインの構造(余裕水頭)と調査項目(転作状況)が混在していることが気になります。調査事項は前段に書いてあるので、ここは構造に特化した記述にすると良いと思います。→「各水路末端における余裕水頭、及び地域の転作状況に応じた管断面を設定し通水量を確保する」

⑨ 需要主導型水管理方式は、パイプライン化に合わせて行うことであって、パイプライン化そのものではなりません。解決策の項目が2つと少ないことからも、新たに項目立て(需要主導型水管理方式)した方が良いと思います。

⑩ 制御方法などを詳細に述べた方が良いと思います。

⑪ 抽象的なので、なぜ効率化が図られるのかといった仕組みや効果をしっかりと書いた方が良いと思います。

⑫ 文末がおかしいですね。後半の部分は効果として書くと良いと思います。→「暗渠化により創出された空間は、維持管理に必要な車両等の通行機能を確保するため、管理用道路として活用する。」
※これはパイプライン化と直接的な関連があるので、この項目で記載した方が良いと思います。

⑬ 省力化のための解決策なので、当然の帰結です。不要。


2.2 ICT技術の活用
 ICT技術やロボットを活用することにより、維持管理の省力化を図る。水路システム内の取水口や調整池、水路本体等に水位計、流量計を設置し、データ取得やカメラによる遠方監視を行う。また、揚水機場や分水ゲートについて、通水量の遠方操作、自動操作を行う。水路末端であるほ場では、水田に水位計、分水バルブに自動給水栓を導入することで、水位の遠方監視や取水の自動化を行う日常点検、機能診断においてはドローン、無人調査ロボットの導入や、遠方監視により取得・蓄積したデータの活用により調査の効率化を図る。更に、これらICT技術の制御に必要なソフトウェアの開発、GNSS基地局の整備を進める。以上により見回り労力、操作労力等を軽減し、維持管理の省力化を図る


⑭ 内容の一部(遠方操作、自動操作)は施設の維持管理というより、水管理(運用)のように見えます。解決策になっているか疑義があります。

⑮ 「具体的には」を追記。

⑯ このデータ取得の目的も書いた方が良いと思います(これだけではなぜデータ取得するのか良く分かりません)。

⑰ ⑯の問題があるので、「取得したデータに基づき」を追記してはどうでしょうか。

⑱ 私の理解不足かもしれませんが、水路末端であるほ場に限定するのでしょうか。

⑲ ここから、調査の話題になっているので、これも新たに項目立て(点検・診断)した方が良いと思います。

⑳ 前後に密接な関係がないので、一回文を切ると読みやすいと思います。

㉑ 抽象的で、なぜ調査の効率化が図られるのか良く分かりません。どのように活用し、どのような結果が得られるのか具体的に書きましょう。

㉒ 説明が総花的です。単語を並べるのではなく、一つ一つ丁寧に説明しないと技術力の示せないと思います。

㉓ ⑬と同様。

リスク

3. 新たに生じうるリスクと対策
3.1 新たに生じうるリスク
 地下かんがいや自動走行農機の普及により、今後更なる水需要の変化が生じ、必要水量の時間変動が大きくなる可能性がある。これにより、水路システムの圧力変動が大きくなるため、吐水量不足や、水路システム自体の破損等のリスクが生じる。


㉔ 解決策にありません。

㉕ 地下かんがいや自動走行農機の普及が、なぜ水需要に影響与えるのか良く分かりません。

㉖ 圧力変動が増加しても、許容圧力を超えることが想定されるのでしょうか。破損する理屈が理解できません。


3.2 対策
 分水槽やファームポンド等の調整施設を導入し、水需要の時間的な変化に対応する。調整施設を幹線水路下流側等に設置することで、供給量と需要量の間に生じる差分の水量を貯留しておくことが可能となる。このため、水路内で水需要の急激な増加が生じた場合においても余裕分の水量にて即時水の供給が可能となる。また、水路システムで生じる圧力変動を吸収し、パイプラインの破損を防止することができる。- 以上-


㉗ これはさすがに書かなくても理解できると思います。書く場合においても、前文の中で書けばよいと思います。「調整施設を幹線水路下流側等に設置し、供給量と需要量の間に生じる差分の水量を貯留することで、変化する水需要に柔軟に対応する。」

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