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技術士 二次試験対策 建設部門 制度改正対策 旧制度 選択科目Ⅲ 居住誘導区域の考え方

論文添削
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【 技術士 二次試験対策 】

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会計検査院の指摘…

2024年10月25日の国土交通大臣会見に気になるやり取りがありました。これは、会計検査院が、緊急輸送道路にある一部の橋の耐震工事について、進め方に問題があるとの指摘について質問回答が行われたものです。

会計検査というと、行政の人々はあまり良い思い出にはならないイベントです。また、コンサルや施工会社の皆様も多かれ、少なかれ関係する人も多いのではないでしょうか。一昔前の会計検査というと構造物そのものの欠陥を指摘する(される)ことに注力していた印象があります(もちろん、今も指摘されます…)。

しかし、最近の会見検査の視点は、今回の会見にあるように抜本的な問題を指摘することが多くなっているように感じます。今回の案件は、優先的に耐震対策を実施すべき橋梁(落橋等防止性能がないもの)があるにも関わらず、優先度の劣る橋梁を優先していたといった指摘でした。

会検砲炸裂といったところでしょうか。問題点だけ見れば、会計検査院の言うことは、至極真っ当な意見です。しかし、詳しい事情は分かりませんが、会見でも述べられていたように他の工事と一緒にやった方が合理的、地域の要望の強弱など様々な事情があり、着手順位を決めていたのではないでしょうか。

では、このように多様かつ複雑な事情があった場合、どのように判断することが正解なのでしょうか。会計検査院が他の事情を加味しても、今回指摘したのはなぜなのでしょうか。これらの疑問の一つの答えは、 技術士 倫理綱領にあると思います。

すなわち、 技術士 倫理綱領のド頭にある「安全・健康・福利の優先」がそれに当たります。まあ、どんな事情があるにせよ、災害時に人命が損なわれる可能性があるのであれば、何よりも優先すべきだということです。判断に迷ったら、シンプルにコレにつきます。

(安全・健康・福利の優先)
1.技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先する。
(1)技術士は、業務において、公衆の安全、健康及び福利を守ることを最優先に対処する。
(2)技術士は、業務の履行が公衆の安全、健康や福利を損なう可能性がある場合には、適切にリスクを評価し、履行の妥当性を客観的に検証する。
(3)技術士は、業務の履行により公衆の安全、健康や福利が損なわれると判断した場合には、関係者に代替案を提案し、適切な解決を図る。

この考えを身に染み込ませることは、今後の口頭試験にも役立つことはもちろん、誤った判断を回避してくれることでしょう。技術士に限らず、みんな心に刻み込みましょう。

論文

今回お届けするのは、建設部門 制度改正対策 旧制度の問題をバンバン解いていこうということで、旧制度の選択科目Ⅲ「居住誘導区域の考え方」(H27)をお届けします。令和7年度は制度改正があるのか、あるのであればどのような形式なるのか、気になることは多いですが、今からあれこれ考えてもい方ありません。今は、あらゆる問題に対処できるよう、技術的知識、文章力の向上などやれることを少しずつ行っていけば良いと思います。それでは、早速論文を見ていきましょう。


問題:人口減少・⾼齢化が進む地⽅都市において、あなたが担当責任者の⽴場で都市再⽣特別措置法に基づく⽴地適正化計画の策定を⾏うものとして、以下の問いに答えよ。
(1)居住誘導区域の設定において、区域の規模やその広がりを検討する際に、検討すべき項⽬とその内容を述べよ。
(2)⾏政における⼈的・財政的な制約の⾼まりを踏まえ、居住誘導区域外の地域からの効果的な居住誘導を進めるための⽅策について複数提案せよ。
(3)上述の⽅策の実施に伴い、居住誘導区域外の地域への対応として、考慮すべ事項と対応⽅策について述べよ


1 検討すべき項目とその内容
(1)人口動態の見通し
 人口の将来見通しは、立地適正化計画の内容に大きな影響を及ぼすため、国立社会保障・人口問題研究所が公表している将来推計人口の値を採用する


① ここで書くことは、検討すべき項目と内容です。どのような情報を把握するのかではありませんよ。題意をしっかり把握(何を聞かれているのかという理解)したうえで解答を作成しましょう。


(2)土地利用(都市基盤等の状況)
 将来的に大きく変化しない道路網や公園、下水道等の整備状況や整備見込み等を分析し、将来の都市基盤を把握する。また新たな開発予定地や工業系用途、深刻な空き家・空き地化が進行している地域は居住誘導区域として設定しない


② 将来的に大きく変化しないと言っていますが、その変化しないものを分析するとしており、矛盾を感じます(変化しないのだから見込みを立てる必要性を感じない)。

③ これは検討内容ではなく、検討結果ですね。人口も同じですが、土地利用状況という情報を用いて何を検討するのかを書くべきと考えます。また、工業系用途、空き家等が進行しているエリアに誘導区域を設定しないという考えは理解できますが、居住の需要がある新たな開発予定地をなぜ区域設定しないのか考えが分かりません。説明不足です。


(3)土地利用(中心市街地の状況)
 中心市街地における空き家空き地の低未利用土地の発生状況や中心市街地における地価の減少傾向、事業者数の変化を把握する


④ 中心市街地というと、まず考えるのは都市機能誘導区域の設定ではないでしょうか。問題は「居住誘導区域の設定において」とありますので、中心市街地の土地利用状況をなぜ検討するのか説明すべきです。

⑤ これも検討項目になっていません。調査で終わっています。これまでと同様、この調査結果を使って何を検討すべきなのかを書くべきです。


(4)現在及び将来の災害リスクの把握
 将来、相当数の人口がハザード地域に居住することが懸念されるため、ハザードマップ等により災害リスクの高い地域を抽出する。
 特に高齢人口の増加が顕著な地域や住居や重要施設が位置する地域に留意する


⑥ 並列表記の仕方がおかしいですね。→「・・・顕著な地域、並びに居住及び重要施設が位置する地域・・・」
また、これも題意に即していないですね。留意事項ではなく検討内容を書きましょう。


(5)公共交通との連携の検討
 居住誘導区域の設定には、将来の主要な移動手段なる公共交通(鉄道・バス)との連携が欠かせないことから、公共交通計画との連携を検討する。


⑦ 将来の主要な移動手段となると結果として説明していますが、主要な移動手段とするため(行動の目的)ではありませんか。
※この項目は、きちんと検討事項の説明になっていますね(他も同様に検討内容にしましょう)。


2 居住誘導区域外からの居住誘導⽅策
(1)都市機能(医療・福祉・商業等)の集約化
 中心拠点には、都市機能誘導区域を定め、都市機能を誘導し、市街地開発事業を実施して、多様な都市機能を集約する
 市街地中心部の市街地開発事業等で、民間活力を活用するため民間事業への補助などのインセンティブを与えて、都市更新を進め、資産価値の維持・向上による居住誘導を図る
 都市機能・居住誘導のため税財政・金融等の支援措置を行う。


⑧ 居住誘導について聞いているのに、都市機能の誘導について説明しているので、論点がズレているように見えます。都市機能を集約するとなぜ居住を誘導できるのかを説明しないと、対策として適切化分からないです。

⑨ すべての説明において、脈絡が無いように感じます。民間活力をなぜ活用する必要があるのか、開発すればなんでも補助するのか、そもそも地域に魅力がないのに開発事業者に補助して居住者がその地域を選択するのでしょうか、様々な疑問が生じます。説明不足です。

⑩ 誰が誰に対して行うのでしょうか。金融とは何か、税財政との表現も気になります。


(2)将来ビジョンの共有
 地域の将来ビジョンを住民・行政・企業などが共有しながら協働でまちづくりを進めることで地域の魅力向上を図り居住を誘導する。


⑪ 協働するとなぜ地域の魅力が向上するのか、そのロジックを説明すべきです。また、方法論を説明すべきパートなので、どうやって将来ビジョンを共有するのかも書くべきです。


(3)土地利用制限による居住誘導
 可住地面積を縮小させるため逆線引き(市街化区域から市街化調整区域への編入)による市街地拡大の抑制を行い、市街地中心部への居住誘導を図る
 居住誘導区域の外側で、住宅地化を抑制するため、居住調整地域を設定する。
 居住誘導区域外への民間施設の立地を規制するため,準工業地域への大規模施設等の立地を規制する特別用途地区の指定を検討する


⑫ いきなり逆線引きは、強引な印象を受けます。立地適正化策定の手引きでは、居住環境の向上、公共交通の確保、居住者への財政上、金融上、税制上の支援などが示されています。この誘導がある程度進んだのちに逆線引きといった具合に、都市計画による制限は段階を踏む必要があると思います。

⑬ 市街地中心部は、都市機能を誘導すべきではありませんか。

⑭ ⑫で逆線引きを先に提案しているので、居住調整地域を設定することにあまり意味を見出せません(逆線引きより、こちらの施策が優先すべきだ思います)。

⑮ ⑭と同様。また、なぜ準工業地域のみなのでしょうか。また、なぜ規制の対象が大規模施設なのでしょうか。小規模であれば、商業や居住の立地は許容するのでしょうか。制限の対象を規模とした理由を書きましょう。


(4)公共交通への支援 
 行政が主体となり鉄道会社やバス会社と連携し地域全体を見渡した公共交通体系の再編を行い、誘導区域内の公共交通の利便性を向上する。
 LRT等の新交通システムを導入し都市機能誘導区域から居住誘導区域、都市機能誘導区域間を直結し公共交通の利便性の向上を図る


⑯ 連携にどちらが主体とかあるのでしょうか。ここで言いたいのは、行政が主体となって調整を図り、連携体制を構築することではありませんか。表現に違和感があります。

⑰ 公共交通の再編で利便性を高めるのではないのですか、どちらがやりたいことなのか分からず、混乱します。両方書くのであれば、手法の使い分けなどを書くべきだと思います。


3 居住誘導区域外の考慮すべき事項と対応⽅策
(1)住民との合意形成
 考慮すべき事項は、住民との合意形成である。立地適正化計画の策定段階では、居住誘導区域から外れた土地の地権者や利害関係人からの反対が想定される。 
 対応方策としては、ワークショップ,地元説明会及び公聴会等の市民参加の機会を出来るだけ多く設け、立地適正化計画策定の背景や実情(財政状況及び将来都市像等)等のコンパクトシティ政策全般について説明責任を果たした上で合意形成を図る


⑱ 反対の原因によって対策は変わりますので、なぜ反対されるのかを書くべきです。

⑲ 反対の原因が明確ではありませんが、想像するに所有地の価値が下がり資産が減少すること、住み慣れた土地を離れなければならないことなどが想定されます。そうであるなら、コンパクトシティの意義を説明したところで合意形成を図ることができるのか疑義があります(総論賛成・各論反対)。意義の説明に加え、もっと移住の支援策を提示する、居住先の利便性・快適性を説明することが必要ではないでしょうか。


(2)郊外の空き家・空き地への対応
 考慮すべき事項は、居住が居住誘導区域内へ進むことにより、都市郊外の住宅団地や既存集落内で、空き家・空き地も増加し居住環境の悪化が見込まれる。
 対応方策としては、立地適正化計画に跡地等管理等区域を設定し、跡地等の管理や地域住民の利用に必要な施設の整備についての指針を定めることにより、空き地等の適切な利用・管理を促進し、良好な居住環境の確保を図る。             以上


⑳ 居住が進むとの表現に違和感があります。→「居住誘導区域内に居住地が移転するにより」

㉑ とても良い提案です。

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