そろそろ予想はじめませんか?
【 技術士 二次試験対策 】
予算は試験対策の写し鏡
よく試験対策のバイブルとして紹介されるのは、各省庁から公表される白書です。白書は、各省庁の取り組みが網羅的に整理されています。バイブルである所以ではあるものの、様々な情報が記載だれている白書から、その年の出題傾向を把握するのは結構大変です(昨年の国土交通白書の分析はコチラ)。
白書はボリュームがあり、通読するだけで結構な労力を必要とします(眠くなりますし…)。読めば読むほど、全部大事に見えてきます。もちろん、一度は読んだ方が良いのは言うまでもありませんが、時間がない人や、まずは素早く全体を把握したい人にとっては、最適な資料と言えません。
一方、国の予算書は、何に力をいれているのか一目瞭然です。力の入れ具合は、予算規模や昨年度予算の比率などから予想することができます。さらに、国交省の予算書には、重要なトピックがコラムとしてまとめられており、概要の理解ならこれで十分と言えます。
技術士 試験における必須科目Ⅰは、専門科目にとらわれない幅広知識が求められます。普段の仕事では、あまりなじみのない知識も備える必要があります。ただし、広く浅くといった知識で良いので、予算書は正に最適な資料と言えます。
白書を読む前に予算書を読めば、理解度も高まります。また、施策のつながりや国の方針なども簡単に把握できるので、全体像がすばやく頭の中に入ってきます。この予算書の項目などを用いて、予想問題を作成すれば、的中率も高まるのではないでしょうか。
予算の三本柱
令和7年度の予算書を早速みてみると、いきなり大事な考えが3本の柱として示されていました。
・国民の安全・安心の確保
・持続的な経済成長の実現
・個性をいかした地域づくりと分散型国づくり
一つ目の柱は、能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧・復興に全力を尽くすとともに、今回の地震等を踏まえた災害対応力の強化、防災・減災、国土強靱化の着実な推進、交通の安全・安心の確
保をはじめとした安全・安心です。
災害対策は、建設部門全体に関わる課題なので、問題にしやすいです。一昨年は巨大地震、昨年はDX復興と連続して出題されています。3連続はないと決めつけるには早計というものです。技術士倫理綱領にあるように、公衆の安全、健康及び福利を最優先しなければなりませんので、とても重要なトピックといえます。
二つ目の柱は、持続的な経済成長の実現です。成長分野への投資を持続的に拡大し、観光立国に向けた
取組の推進、賃上げにつながる人への投資、生産性の向上に寄与する戦略的な社会資本整備、DX・GX の推進などが列記されています。
昨年は2024年問題があったので、出題を確実視していたのですがよもやスルーとは驚愕の事態です。持続的な経済成長をキーワードに今年こそは、出題されるのではと予想しております。「今年こそは」で思い出されるGXなんかもきな臭いですね。昨年のDXの次は、GXですかね!?(毎年同じことを言っていますね…)
最後は、個性をいかした地域づくりと分散型国づくりです。最近は、リモートワークの普及などによりライフスタイルが多様化し、二地域居住などにより地方への人の流れの創出・拡大を通じて地域の活性化を図る取り組みが活発化しています。これらの取組みを推進するために「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」が、令和6年11月1日から施行されました。
これに加え、地方創生 2.0 に資する地域活性化の推進、「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開等に取り組む必要性が示されています。交通関係は道路よりなので、必須科目Ⅰでは素直に「地域活性化」が問われるのでしょうか。
3本柱で必須科目の予想問題を作成することは、もはや必須のタスクと言えるでしょう。
3本柱の細目
3本柱がそのまま、問題になってもおかしくないのですが、最近はDX&復興といった具合に複雑化しているので、トピックがMIXされて出題される可能性もあります。そこで、3本柱の細目を確認し、組み合わせる可能性も検討する必要があります。3本の柱の中にある細目同士は、当然ですが親和性がありますので組み合わせるのには最適です。よって、細目を確認するとともに出題の可能性を予想していきましょう。
国民の安全・安心の確保
(1)東日本大震災や令和6年能登半島地震をはじめとする大規模自然災害からの復旧・復興
→復興は去年出ましたからねぇ…
(2)災害に屈しない強靱な国土づくりのための防災・減災、国土強靱化の強力な推進
→R5、R6では出題されていない「国土強靭化」は注目です
(3)インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現
→インフラメンテナンスは災害と双璧をなす重要テーマです
(4)地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金)
→これは補助金なので無視です
(5)交通の安全・安心の確保
→交通は道路よりなので、一部の専門科目に偏重することは考えづらいですね
(6)海上保安能力の強化等
→防衛なので無視です
(7)国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備
→防衛なので無視です
持続的な経済成長の実現
(1)ストック効果を重視した社会資本整備の戦略的かつ計画的な推進
→ストック効果はキーワードとして重要です
(2)脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進
→毎年お勧めしているGX今年こそ出題なるか
(3)国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)や技術開発等の推進
→DXは去年出てますからねぇ…キーワードとしては依然として重要です
(4)持続可能な観光立国の実現
→観光は昨年の都市及び地方計画で出題されていますね
(5)国土交通分野における働き方改革等を通じた担い手の確保・育成や生産性の向上
→大本命です
(6)民間投資やビジネス機会の拡大
→PPP・PFIはキーワードとして注目です
(7)2025 年大阪・関西万博に向けた対応
→リード文で紹介される程度ですかね
(8)2027 年国際園芸博覧会に向けた対応
→リード文で紹介される程度ですかね
個性をいかした地域づくりと分散型国づくり
(1)共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成と活力ある地方創り
→バリアフリーは今さら感がありますので、キーワードといった程度ですね
(2)分散型国づくりや持続可能な地域活性化
→これは超重要です(二地域居住やコンパクトシティ※が大注目)
(3)「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開
→交通だけでは道路寄りすぎますが、組み合わせネタかキーワード程度ですかね
(4)「こどもまんなかまちづくり」等こども・子育て政策の推進
→子ども家庭庁もできているので重要なのですがキーワードといった程度ですね
(5)多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化
→建設というよりちょっと福祉っぽいですね
(6)豊かな暮らしを支える社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金)
→これは補助金なので無視です
※2014年の都市再生特別措置法によって新たに創設された立地適正化計画制度は2024年で10年目を迎えています
さあ、予想問題を作成し、論文を書きまくろう!