少しの意識が合格を引き寄せ
【 技術士 二次試験対策 】
準備を怠ることは失敗への準備である
この人はすごい優秀な人だなぁと感じる人の特徴は、行き当たりばったりではなく、勝つべくして勝つという状況を作りだすことと感じています。十分な準備をしない人は当然、一か八かの大博打になります。筆記試験に準備が必要なことは、みなさん理解していますが、口頭試験の準備は怠りがちですので、要注意です。
口頭試験は“会話形式”になります。多少言い回しが雑でも、熱意や現場感が伝わればOKです。自分の言葉で、臨機応変に補足できるので、心理的ハードルが下がるんです。このため、何とかなるだろうという無根拠の自信を生み、十分に準備しないで試験に臨むという隙が生まれます。
私は、書くことより、話すことの方が難しいと考えています。後者の方が、考える時間が圧倒的に少ないからです。そうなると、回答が緩慢になり、補足、補足となってしまいますので、結局何がいいたいのか不明確になります。
特に、説明が長いと言われる人、良く考えず答えてしまう人、答えが主観のみの人、こういった傾向が少しでも自分にあると感じている人は、要注意です。このような自分のクセを早々に取り除くことが、口頭試験合格に向けた第一歩といえます。
この一歩を踏み間違え、あらぬ方向へ走り出してしまう人は結構多いです。トンネル工事のダボ点と同じで、最初の一歩が少しでもずれると、とんでもない方向に行ってしまいますので、勉強の方向性を見極めることが非常に重要です。
前回の記事の予告通り、今回は口頭試験が不合格となる人は共通する特徴を改善するためのメソッドをお届けします(前回記事はコチラ)。クセ抜きは、結構時間がかかりますので、早めのデトックスをお勧めします。
説明が長いと言われる人
説明が長くなりがちな人が口頭試験で得点するためには、「説明責任」と「端的な言い回し」の両立を意識する必要があります。まず、長くなる原因の多くは「結論が後回し」「背景説明が過剰」「抽象語が多い」の3点。
これを修正するには、話す前に「結論→理由→具体例」の順で話すと決めておくことが有効です。筆記試験の時と同様に、いわば“話すテンプレ”を頭に入れておくイメージです。これを習慣化すれば、速攻で周囲の目も変わりますよ。
例えば、「○○すべきです。理由は△△だからです。具体的には□□のような対応が考えられます」といった構成を意識するだけで、話の流れが整理され、聞き手の理解度が格段に上がります。さらに、根拠を示すことで「この人、ちゃんと考えてるな」と信頼される効果もあります。
また、話す前に「この話は何分で終わらせるか」「何を伝えたいか」を自問する習慣をつけると、無駄な脱線を防げます。言い回しも「抽象語→具体語」「長文→短文」に置き換える癖をつけると、スパッと切れ味のある話し方になります。
口頭試験は“技術の面接”。モゴモゴ話すより、スパッと伝える方が圧倒的に好印象です。論理と簡潔さを武器に、信頼を勝ち取りましょう!
良く考えず答えてしまう人
「良く考えずに答えてしまう人」の多くは、質問を聞いた瞬間に“反射的に”話し始めてしまう傾向があります。これは、頭の中で論理構成ができていないまま、思いついたことを順不同で話してしまう状態。結果として、話が散漫になり、聞き手に「何が言いたいのか」が伝わりづらくなります。
これを修正するためには、「話す前に10秒だけ、頭の中で“目的・手段・成果”の三層構造を組み立てる」習慣を意識づけることが効果的です。この順番を守るだけで、話の筋道が通り、説得力が格段に上がります。
まず、「目的=なぜそれをやるのか」を一言で言えるようにする。次に「手段=どうやるのか」は、制度名・技術名・具体的な方法を交えて、現場感を持って説明します。最後に「成果=何が得られるのか」で締めると合格まっしぐらです。
さらに、話し始める前に「この話は何を伝えるべきか」「聞き手は何を知りたいか」と自問することで、無駄な情報をそぎ落とすことができます。まるで料理番組のレシピのように、材料(目的)→調理法(手段)→完成品(成果)を順序立てて話すことが、技術士としての信頼感につながります。
焦らず、構造を意識して話すことで、口頭試験は“伝える技術”の見せ場になります。
答えが主観のみの人
「主観だけで説明してしまう人」の特徴は、経験談や感覚的な表現に偏りすぎて、制度的な根拠や技術的な裏付けが抜け落ちてしまう点です。「現場ではこうしてます」「自分はこう思います」といった語り口は、実務経験の豊富さを示す一方で、制度との整合性や汎用性が見えづらく、試験官にとっては「この人、技術士として制度設計まで考えてるかな?」という不安材料になります。
この傾向を修正するためには、「制度と技術のセットで語る」ことを意識づけるのが効果的です。具体的には、話す前に「この話、制度的な根拠は何か?」「技術的な実装はどう説明するか?」と自問する習慣をつけること。例えば「○○法に基づいて△△技術を活用すれば、□□現場での課題に対応できる」といった構文をテンプレ化しておくと、主観に偏らず、制度と技術の両輪で語れるようになります。
また、制度名・技術名・現場事例の3点セットを意識して話すことで、抽象的な語り口から脱却できます。主観は“味付け”程度にとどめ、必ず“制度的妥当性”と“現場実装可能性”を根拠として添えることで、技術士としての信頼感がグッと高まります。試験官が求めているのは「制度と現場をつなげられる人」。その視点を持つだけで、主観ベースの説明が“技術士らしい提案”に変わります。