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技術士 二次試験対策 国土交通省DXビジョンを読み解け!論文は「Society5.0の推進による国土強靭化の高度化」

論文添削
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コンピテンシーに追加された情報通信技術が熱い

【 技術士 二次試験対策 】

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DXビジョン

国土交通省が公表した「DXビジョン」(国交省のページはコチラ)は、行政のデジタル化を単なるIT導入ではなく、国土交通行政そのものをデータ中心に再設計する壮大なプロジェクトとして位置づけています。人口減少や災害の激甚化、インフラ老朽化、さらにはサイバー攻撃の増加など、技術士試験の必須科目をそのまま並べたような課題が目白押しです。

これらの課題が山積する中、従来の紙文化に依存した行政運営ではもはや対応しきれません。そこで国交省は、データを基軸とした価値創出を目指し、行政サービスのデジタル化、EBPMの推進、オープンイノベーションの強化という三つの柱を中心に、政策と業界のDXを一体的に進める方針を示しています。

行政サービスのデジタル化では、メール申請やPDF提出といった「デジタル風」の手続きから脱却し、最初から最後までデジタルで完結する仕組みを整えることが強調されています。紙と電子が併存する現状では、業務効率化は限定的で、データ活用も進みません。そこで、業務改革(BPR)とセットで手続きを見直し、二度手間を排除しながら、申請データを政策立案や業界支援に活かせる形へと再構築していく姿勢が示されています。技術士試験で問われる「デジタル化の本質」を理解するうえで、この視点は非常に重要です。

EBPMの推進では、国交省が保有する膨大な行政情報を「宝の持ち腐れ」にしないための取り組みが進められています。Project LINKSにより、紙やPDFで眠っていた情報を構造化データとして再整備し、BIツールで分析できる環境を整えることで、政策立案を経験と勘に頼る時代から、データと分析に基づく時代へと移行させようとしています。技術士二次試験で頻出の「EBPMとは何か」を説明する際、このビジョンは格好の参考資料になります。

さらに、オープンデータとイノベーションの領域では、データの更新性や秘匿化ルールの未整備といった課題を踏まえつつ、ガイドラインの整備やハッカソンの開催など、民間との連携を強化する方針が示されています。単にデータを公開するだけでなく、「使われるデータ」を目指す点が特徴的です。

基盤強化としては、データ、人材、セキュリティの三つが挙げられています。紙情報のデータ化や仕様標準化、ユースケースと連動したデータ整備に加え、職員のITリテラシー向上やDXリーダー育成、そして高度化するサイバー攻撃への対応強化が求められています。これらは技術士試験で問われる「DX推進の阻害要因」や「必要な体制整備」の答えそのものと言えるでしょう。

国土交通省DXビジョンは、行政のデジタル化を単なる効率化ではなく、国民の安全・安心、持続的な経済成長、地域の個性を生かした国づくりへとつなげるための大きな転換点として描かれています。紙文化のラスボスとも言われた行政が本気で変わろうとしている今、技術士を目指す私たちも、この流れを理解し、自らの専門分野でDXを語れる力を身につけておきたいところです。

Society5.0の推進による国土強靭化の高度化

もうご存じだと思いますがSociety5.0は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を図るものです。まさに、情報技術活用の最終形態と言えますよね。そんなシステムをどうやって建設分野に生かしていくのかといった整理も必要になります。そんな視点を国土強靭化に当てはめた場合、どうなるのかといった意欲的な論文になっています。早速、論文を見ていきましょう(問題文はコチラ)。


1.多面的な観点と課題
(1)技術面の観点:インフラの情報化・デジタル化の遅れ
 Society5.0を支えるには、建設インフラの維持管理や災害対応において、IoTやAI、デジタルツインなどの先進技術を活用することが求められる。しかし、現場では老朽インフラの台帳未整備やデータのアナログ管理が残存しており、リアルタイムな情報共有や予測的保全が実現できていない。また、BIM/CIMの普及率にも地域格差が存在するため、全体的な情報化レベルの底上げが課題である。


① 見出しが長すぎます。見出しは、パッと見て何が書いてあるかわかるように端的に表現する必要があります。最低でも偉業以内に収めましょう。※以下、同様。
また、見出しには課題を書きましょう。これは、問題点です。
② Society5.0とは、国が目指している未来社会の姿です。それを支えるとの表現は違和感があります。「実現するためには」といった表現ではないでしょうか。
③ デジタル技術を脈絡なく並べいるだけで、国土強靭化の高度化するための課題である情報化レベルの引き上げへと導く背景になっていません。また、情報化レベルの引き上げとは何なのでしょうか。また、問題点と思しきものが、ぽつぽつと述べられていますが、支離滅裂でなぜそのような問題が発生したのかといった背景がなく、主張が主観的と言わざるを得ません。とにかく、何を言いたいのか全く分かりません。まずは、パラグラフの構成を身につけましょう。課題のパラグラフは、次のように構成します。
現状→問題点→必要性→結論(観点・課題)
※ 言いたいことを想像して、以下に例を書きますので、書き方の参考にしてください。
<参考例> ※【】内の表現は、構成要素を示していますので、実際の記載には不要です。
 近年、デジタル技術の進展は目覚ましく、激甚化する災害への対応においてもその活用が徐々に進んでいる【現況】。しかし、建設業界においては、技術者の高齢化や旧態依然の習慣が常態化し、デジタル技術の普及促進の障害となっている【問題点】。このため、建設技術者のリスキリングが急務である【必要性】。よって、人材面の観点から、いかに建設技術者にデジタル技術を習得させるかが課題である【結論】。


(2)人的・組織面の観点:DX人材と業務体制の未整備
 デジタル技術を駆使して国土強靭化を推進するには、AI解析、データ利活用、システム設計などのスキルを持つ人材が必要である。しかし、地方自治体や中小建設業者ではそのような人材が慢性的に不足しており、技術導入が進まない原因となっている。加えて、行政や企業におけるDX推進体制や横断的な連携組織の不在も課題である。


④ 具体例を示すことは、とても大切なのですが、課題パートで解決策めいた事柄を書いてしまうと、解決策パートで記述が重複してしまいます。課題パートは、一般化された用語にとどめた方が良いと思います。また、表現は異なりますが、要約すると「デジタル技術を使って国土強靭化するには、デジタル技術を持つ人材が必要だ」となっています。当たり前です。目的と手段は同じにならないように表現しましょう。→「国土強靭化を高度化するためには、デジタル人材の確保が必要である」
⑤ これは、課題ではなく問題です。問題と課題の違いを正しく理解することから始めましょう。課題とは、目標と現状とのギャップである問題を解決するための行動を含みます。
連携組織の不在→問題
連携を図る組織づくり→課題


(3)制度・社会面の観点:データ連携の不十分さと社会的受容の遅れ
 防災・減災の効率化には、異なる組織間でのデータ連携が不可欠であるが、現状では省庁間や自治体、民間事業者の間で共有基盤が整っておらず、災害時に必要なデータが迅速に活用できない。また、住民側でも監視・記録に関わるプライバシー意識が高く、センサー設置やデータ活用に対する理解が進んでいないという社会的課題もある。


⑥ 述べている内容は「データ共有できていない」といったものです。これだけをいうのに4行を費やすのはさすがに冗長的です。もっと端的な表現を徹底しましょう。長い文章は、文法的な間違いも湯初しますので、文は短くが基本です。また、防災減災の効率化とは何ですか、なぜ効率化にデータ連携が不可欠なのですか、データ連携とは何と何を連携させるのですか、共有基盤とはなんですか、説明不足です。これでは、何も相手に伝えることはできません。
⑦ 「も」という助詞は、追加。並列の意味を持ちます。この場合、何に追加しているのですか。
⑧ データ連携の話をしていたのに、急に住民のデータ活用への理解に話が飛んでいます。これらの二つがどのように結びついて結論に持っていくのかと思いきや、社会課題の説明で終わっています。これでは、好きなことを脈絡なく説明しているように見え、技術士のコンピテンシーにあるコミュニケーション能力に欠けていると言わざるを得ません。さらに、問題が聞いているのは、社会課題ではなく、国土強靭化の高度化を実現するにあたっての課題です。


2.最も重要な課題とその解決策
 情報基盤の整備が進んでいない状況では、Society5.0が前提とする高度な情報化に対応するのが難しい。よって、「インフラの情報化・デジタル化の遅れ」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。


⑨ 「インフラの情報化・デジタル化の遅れ」は、情報基盤の整備を進めることなのですか。課題がよく分からないので、その理由も適切か否か判断できないですね。そもそも、①のとおり、これは課題ではありません。加えて、問われていることは国土強靭化の高度化であって、Society5.0の実現ではありません。Society5.0は、国土強靭化の高度化を図る手段です。


解決策1:インフラ台帳・維持管理情報のデジタルアーカイブ化
①全ての棟梁、道路、上下水道、堤防などについて、設計図・点検記録・劣化履歴などを電子データとして統合し、クラウド上で管理する
②特に老朽インフラについては、点群データや3Dスキャンにより現況モデルを作成し、デジタルツインによって現実と仮想の状態比較を行う


⑩ 電子データで統合管理した先の話が重要なのではないですか。このような管理で、国土強靭化の高度化にどのような効果をもたらすのかを書くべきです。
⑪ 解決策は、アーカイブ化なんですよね。なぜ、状態比較の話をしているのですか。また、国土強靭化の高度化の解決策であるべきなのに、維持管理の話になっています。


解決策2:IoT・センサーによるモニタリングシステムの導入
①ダム・トンネル・棟梁などの重要インフラに振動、傾斜、水位などを常時監視するセンサーを設置し、AIが異常値を検出して自動通知する体制を整備する。
②通信ネットワークにはLPWAN等を活用し、遠隔地でも低コストで運用可能なインフラを構築する。


⑫ これらもすべてデジタル技術を紹介しているだけで、国土強靭化の高度化にどのような効果をもたらすのかを書くべきです。以下、すべて同じです。論点がずれています。


解決策3:BIM/CIM、3D都市モデルの活用
①工事段階からBIM/CIMを導入し、維持管理段階でもそのデータを活用可能な構造にすることで、ライフ細工全体での最適化を図る。
②PLATEAU等の3D都市モデルと連携し、都市全体での雛経路シミュレーションや被害想定を可視化する。

解決策4:情報基盤の標準化と共有化
①地方公共団体や民間事業者間で共通のデータ仕様(IFCやLandXML等)を導入し、連携しやすい情報基盤を構築する。
②オープンデータ化により防災アプリや民間サービスとの連携を図り、地域住民にも情報提供ができる仕組みとする。

3.新たなリスクと対応策
 上記のような高度情報化により、サイバー攻撃による機能停止や誤作動が新たなリスクとなる。対応策としては、サイバーセキュリティ専門人材の育成、重要システムの二重化、AIによる異常検知システムの導入などにより、情報インフラの冗長性と安全性を確保する必要がある


⑬ システムの二重化とは、異常とは何か、サイバー攻撃に対する冗長性とは、説明不足であり、ただ用語を並べているだけで、内容が浅薄です。方法は1つでもいいので、しっかりと説明しましょう。


4.必要な要件と留意点
 Society5.0に向けた業務遂行では、技術の公平な提供と社会的受容を意識しつつ、持続可能性・透明性・倫理性を確保する姿勢が求められる。特に幸神情報・地域特性への配慮と、住民理解を得る丁寧な情報提供が重要である。


⑭ この問題ですべき業務は、繰り返しになりますが国土強靭化の高度化です。
⑮ 技術の公平な提供とはどのようなことを意識するのでしょうか。単に公平性と表現した方が分かりやすいのではありませんか。また、同様に社会需要を意識ということも、何を意識すればいいのか理解できません。
⑯ 聞かれていることは要件なので、問いに対して明確に答えましょう。→「・・・が要件である」
⑰ 要件、留意点では、技術士のコンピテンシーまたは技術士倫理綱領に記載している事項を書きましょう。また、最後には、「以上」を書きましょう。

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