【2026年版】技術士二次試験・建設部門必須科目Ⅰを予想
【 技術士 二次試験対策 】
第6次計画とインフラマネジメント
今年もやってきました、技術士二次試験・建設部門の“予想問題”公開の季節です。例年は4月頃に出すのですが、今年は少し早めに公開します。なぜかというと、3連休を「本気の勉強モード」に使ってほしいからです。
「早く言ってくれれば準備できたのに…」という声が聞こえてきそうですが、そこはご容赦ください。試験委員の“クセ”を読み解くのは、結構時間がかかってしまいます。あの方々は、国交省の政策文書の“行間”を突いてくるのが本当にお好きで、こちらも毎年、資料を読み込みながら「今年はここを出してくるだろうな…」と頭を抱えつつ予想問題を作っています。
とはいえ、今年の予想問題は例年以上に“リアル”に仕上げています。というのも、2024年度から技術士試験のコンピテンシー(能力要件)が改定され、試験の方向性がより明確に「実務能力重視」へと舵を切ったからです。
つまり、
「知識を並べるだけでは通用しない」
「政策を理解し、課題を構造化し、技術者として判断できるか」が問われる
ということです。
そのため、今回の予想問題は、国交省の最新政策、社会資本の現状、自治体の課題、DXの潮流などを踏まえ、本番さながらの“難易度高め”に仕上げてあります。「ちょっと難しすぎない?」と思われるかもしれませんが、本番はもっと難しいこともあります。むしろ、難しい問題に慣れておくことが最大の対策です。
さて、今年の本命テーマはこれです。
デジタル技術を活用してストック効果を最大化せよ
令和8年度技術士第二次試験問題 [建設部門]
9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び回答せよ。(解答問題番号を明記し、答案用紙3枚を用いてまとめよ。)
Ⅰ-1 我が国の社会資本は老朽化が進む一方、地方公共団体では技術系職員の減少や財政制約が深刻化しており、従来の維持管理手法では安全性と持続性の両立が困難になっている。第6次社会資本整備重点計画では、「インフラマネジメントをインフラ政策の核心に据える」ことが明記され、デジタル技術を活用した点検・診断の高度化、予防保全への転換、データに基づく戦略的な維持管理が求められている。
国はインフラDXの推進により、限られた資源でインフラの価値を最大限に引き出す「ストック効果の最大化」を進めている。しかし、令和7年の八潮市における道路陥没事故のように、老朽化に起因する事故は依然として発生しており、国民の信頼確保が課題となっている。また、自治体間で維持管理能力に大きな格差が生じており、公共事業評価もストック効果を十分に反映できていないとの指摘がある。
こうした状況を踏まえ、デジタル技術を活用してストック効果を最大化しつつ、インフラの信頼性・安全性を確保することが求められている。技術者としての立場から、以下の問いに答えよ。
(1)デジタル技術を活用してストック効果を最大化するに当たり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
今年最初の必須科目Ⅰは「インフラマネジメント × デジタル技術」になります。第1弾が、なぜこのテーマなのか。その理由を、国交省資料や近年の出題傾向を踏まえて徹底解説していきます。
なぜこの問題が出やすいのかを考えてみましょう
① 第6次社会資本整備重点計画の“核心ワード”が強すぎる
第6次計画には、次のような強烈な一文があります。
「インフラマネジメントをインフラ政策の核心に据える」
これは、試験委員が「ここを出題しますよ」と言っているようなものです。技術士試験は、国の政策を“技術者の視点でどう実装するか”を問う試験ですから、この文言は避けて通れません。
さらに、第6次計画では次のキーワードが並びます。
- インフラDX
- 点検・診断の高度化(AI・ドローン・BIM/CIM)
- 予防保全への転換
- データ連携基盤の整備
- 自治体間の維持管理能力格差の是正
- ストック効果の最大化
これらは、技術士試験の出題者が大好きなテーマです。「好き」というより、「受験者に必ず書かせたいテーマ」と言ったほうが正確でしょう。
② 近年の事故・社会的関心が“予防保全”に集中している
令和7年の八潮市の道路陥没事故のように、老朽化インフラに起因する事故は依然として発生しています。国交省は事故のたびに「予防保全の徹底」を強調します。
つまり、社会的関心が高い=出題されやすいということです。
③ 自治体の維持管理能力格差が深刻化している
地方公共団体では、技術系職員の減少が止まりません。国交省の資料でも、自治体の維持管理能力格差は繰り返し問題視されています。試験委員は「社会的課題 × 技術者の役割」を問うのが大好きです。このテーマはまさにその典型です。
④ 公共事業評価の“ストック効果”が国交省の最重要テーマに
国交省は近年、公共事業評価において「ストック効果」を強調しています。
- 事業の効果を“完成後の価値”だけでなく
- “維持管理を含めた長期的価値”で評価する
という考え方です。
つまり、インフラを「作る」から「活かす」へという転換。これも試験委員が絶対に触れたいテーマです。
チェックすべきポイント
ここからは、実際に答案を書くときに必ず押さえておくべきポイントを整理します。
① 「観点」を明確に書くこと
問題文には、わざわざこう書かれています。観点(例:デジタル技術、制度、管理、データ、人材、財政 等)
これは、観点を書かない受験者が毎年多いからです。観点を書かないと、採点者は「この人は問題文を読んでいない」と判断します。
観点は必ず明記しましょう。
② 技術課題は“多面的”に書くこと
「デジタル技術の課題」だけを書くと不合格になります。
必ず、
- 技術
- 制度
- 人材
- データ
- 財政
- 管理体制
など、複数の視点から課題を抽出する必要があります。
③ 解決策は“複数”かつ“実装レベル”で書くこと
「AIを活用する」「DXを推進する」では抽象的すぎます。技術士試験では、実務で実装できるレベルの具体性が求められます。
例:
- AI診断モデルの精度検証プロセスの標準化
- 点検データの属性統一とIFC形式での連携
- 自治体向けの広域連携型維持管理センターの構築
- ライフサイクルコスト(LCC)に基づく予防保全計画の策定
このレベルまで落とし込むと、答案の説得力が一気に上がります。
④ リスクは“副作用”を書くこと
解決策を実行した場合のリスクは、「やらなかった場合のリスク」ではありません。解決策を実行したからこそ生じる新たなリスクを書く必要があります。
例:
- デジタル化によるサイバー攻撃リスク
- AI診断のブラックボックス化
- データ依存による現場判断力の低下
- 外部委託依存による自治体の技術力低下
このあたりは、試験委員が非常に重視するポイントです。
⑤ 倫理・サステナビリティは“抽象論NG”
最後の設問では、技術者倫理とサステナビリティが問われます。
ここでやりがちなのが、
- 「法令遵守する」
- 「社会に貢献する」
- 「環境に配慮する」
といった抽象論。
これでは点が入りません。
技術者倫理なら、
- データの正確性・透明性の確保
- AI診断結果の過信を避け、技術者としての説明責任を果たす
- 公平性を確保し、自治体間格差を助長しない
サステナビリティなら、
- LCC視点での維持管理計画
- 地域の技術力を維持する人材育成
- 将来世代に負担を先送りしない予防保全
など、インフラマネジメントに即した倫理観を書く必要があります。
関連する国交省資料(答案に引用しやすいもの)
以下は、答案に書くと説得力が増す“鉄板資料”です。
● 第6次社会資本整備重点計画(資料はコチラ)
インフラマネジメントの核心化、DX、予防保全、ストック効果など、
今年の試験のキーワードがすべて詰まっています。
● インフラ分野のDXアクションプラン(第2版)(資料はコチラ)
AI・ドローン・BIM/CIM・デジタルツインなど、
技術的な裏付けを書くときに非常に使いやすい資料です。
● 道路メンテナンス年報(資料はコチラ)
事故例や点検データの課題を書くときに便利です。
この問題は“技術士らしさ”が最も出るテーマ
今回の予想問題は、単なる知識問題ではありません。
技術士としての総合力が問われます。
- 技術
- 制度
- 人材
- 財政
- 管理体制
- 倫理
- サステナビリティ
これらを総合的に整理し、「技術者としてどう判断し、どう行動するか」を示す必要があります。つまり、
技術士試験の本質が最もよく表れるテーマなのです。
今年の受験生のみなさんには、ぜひこの3連休を使って、このテーマを深掘りしてみてください。「インフラマネジメントをインフラ政策の核心に据える」この一文をどう読み解くかが、合否を分けると言っても過言ではありません。
それでは、今年も一緒に頑張っていきましょう。

