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技術士 二次試験対策 【 添削LIVE 】上下水道部門 令和5年度必須科目Ⅰ 維持管理情報

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

本日の添削LIVE(過去の添削論文はコチラ)は、初ジャンル上下水道部門からの投稿です。上下水道部門は、建設部門に近いので全くの門外漢という訳ではありません。また、管路下水道は、仕事でも扱った経験があるので何とかなるでしょうと安易に考えております。

論文のテーマも維持管理関係なので、インフラメンテナンスと類似しているので安心です。ん、ちょっと待てよ!?維持管理情報・・・情報がついてる。問題の範囲が狭っ!!!これは、課題や解決策のネタを探すのが大変です。とても、限定的なので、難しい問題ですね。

しかも、課題設定では、費用面の観点は除かれています(まだ、絞るのか…)。でも、情報といえばICT関係でゴリ押しできそうです。令和5年度の国土交通白書もDXが大々的に取り上げられていますので、ICT関連の施策はどの分野でも理解しておいて損はないでしょう。

おじさん土木技師は、ICTに関しては拒否反応が出てしまいますが、これからは避けて通ることはできません。i-Construction、CIM、生成AI、PLATEAUなどなど(横文字ばっかり)、使いこなすと人と使えない人では、はっきりとした差が付くと思います。我々の業務を楽にしてくれるICT技術は、しっかりと身に着けたいですね。

これらの技術は、我々を助けてくれるだけでなく、生産性を高め、人手不足のソリューションとなるでしょう。来年は、2024年問題(働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称)も勃発しますので待ったなしです。来年度の試験においても注目度満点です。みなさんも、是非チェックしてみてください。

それでは、投稿いただいた論文をみてみましょう。


(1)維持管理情報等の取得、蓄積、活用に関する課題
1)維持管理業務の省人化(ヒトの観点)
 水道事業の職員数は40年前の7割(厚生労働省)、下水道事業の職員数はピーク時であった平成9年の6割(国土交通省)まで減少している。我が国の人口は今後も減少することが予測されていることから、上下水道の職員数を増加させることは困難である。少ない職員数で維持管理情報等を取得するため、維持管理業務の省人化が課題である。

① 観点を小見出しに入れるスタイルですね。課題を文中に記述しているのと同様に、文中にも観点の記載があると良いと思います。
② 維持管理情報の取得に関する部分も前段の背景に記されているとより良いと思います。例えば、「老朽化が進んでおり、調査すべき施設が急増している」という部分に触れ、職員数が減っているにもかかわらず、調査対象は増加しているという構造を説明すべきと考えます。前段の背景は、定量的ではあるものの、言っていることは職員の減少のみなのでバランスを欠いるように見えます。

2)維持管理情報等のデータベース化(情報の観点)
 施設台帳、維持管理情報等を紙で管理している自治体が存在する。紙での管理は、管理が煩雑になる。また、紙は破ける、濡れることにより文字が判別できないといったリスクがある維持管理情報等を蓄積し活用するため、維持管理情報等のデータベース化が課題である

③ この論文は、すべて情報に関する記述なので、情報の観点はふさわしくありません。この内容からするに、「管理手法の観点」、「効率性の観点」、「仕組み面の観点」などがあげられます。
④ 「紙での管理は、管理が煩雑になる」→「紙での管理は、業務を煩雑にする」
⑤ 端的な表現が望まれます。例えば、「紙での管理は、破損、紛失等のリスクがある」とかいかがでしょうか。また、③と主語が一緒なので、「紙での管理は、業務を煩雑にするとともに、破損・紛失等のリスクもある」のように合体もありですね。
⑥ 維持管理情報等が連発していますね。後半の部分は不要です。よって、「維持管理情報等を蓄積するためのデータベース化が課題である。」となります。また、データベース化の目的が蓄積になっていることに違和感があります。蓄積するためだけなら、紙でもOKとなってしまいます。前段の記述との整合性を考えると、目的は保存性や業務の効率化ではないでしょうか。さらに、指摘している問題点は一般論を脱しておらず、技術力の示唆が弱いように感じます。最近の国のICT動向を踏まえ、データ化でもオープンデータ化、デジタルツイン、CIMへの展開、リモートセンシング、ドローン・ロボットの活用、AI技術など技術力をアピールする視点が望まれます。これらの例示は解決策になるので、ここでは必要とする背景にとどめる必要があります。例えば、オープンデータ化の背景としては、下水道は行政区単位ではなく、流域で考える必要があるのでデータベース化を図りつつ誰でも閲覧・活用ができる環境を整える必要があるといった論調になります。

3)施設の更新(モノの観点)
 上水道では2万件/年の漏水事故(厚生労働省)、下水道では2700件/年の道路陥没事故(国土交通省)が発生している。これらの事故は施設の老朽化に起因するものである。現在、水道の総延長の19.1%(厚生労働省)、下水道の総延長の6%(国土交通省)が更新が必要である維持管理情報を活用した施設の更新が課題である

⑦ →「・・・が更新を必要としている」
⑧ 最初の課題でもそうでしたが、背景を述べるうえで定量的に記述することは大変良いことだと思います。一方で、一つの事柄を説明するのにちょっとスペースを使いすぎですね。言いたいことは、「老朽化施設がいっぱいあるから、更新が課題だ」であり、“いっぱい“の部分のみを細かく説明しているにすぎません。背景の視点が狭すぎます。大事な部分は、題意にあるとおり「維持管理情報を活用」の部分です。更新を進めるうえでの情報活用手法を必要とする背景としましょう。活用方法の例示としては、前述のデジタルツインやCIMが該当します。これらの手法がもたらす効果を必要とする背景を述べるとよいでしょう。

(2)最も重要と考える課題と複数の解決策
1)最も重要と考える課題
 最も重要と考える課題は「維持管理情報等のデータベース化」である。
理由:上下水道施設は重要なインフラであり、事業の継続性が求められる。地震や津波等の災害時においても、上下水道サービスを継続させる必要があるため、最も重要と考えた

⑨ 前半の「事業の継続性が求められる」と「災害時において、・・・サービスを継続させる必要がある」は同じことを言っていませんか。前半部分が、災害時を指していないのであれば、その違いを説明すべきです。また、データベース化が事業の継続性とどのように関連しているのか分かりません。さらに、他の二つの課題も事業継続性に寄与する取り組みだと思います。よって、理由になっていないと思います。最も重要と考えた理由は、3つの課題の相対評価です。データベース化がほかの2つにはない点や、効果が大きい点などを記述しましょう。例えば、データベース化は、他に比べ早急に対応が可能、すぐに効果が得られる、防災などの波及効果が高いなどがあげられます。

2)複数の解決策
①複数市町村でのデータベース化
 広域化・共同化を実施し、複数市町村でのデータベース化を実施する。複数市町村でデータベース化することにより、費用負担を均等化することができる。また、広域化・共同化の一部の都市が被災した場合、近隣市町村が、被災した都市に必要な情報を提供することが可能となる。

⑩ 構文がおかしいです。広域化・共同化がデータベース化の手段に見えます。目的は、共同化なのか複数市町村での取り組みなのか分かりません。意味するところは、同じであり重複のようにも見えます。言いたいことは、「データベース化にあたっては、複数市町村でデータを共有する。」ですかね。
⑪ なぜ費用負担が均等化されるのか分かりません。因果関係を説明すべきです。
⑫ 近隣であるかは条件ではありません。よって、「データを共有した市町村」が正しいのではないでしょうか。

  • この解決策は、国の施策動向に合わせオープンデータ化を論じた方が評価されると思います。また、国は流域治水対策に力を入れていますので、流域単位での総合的かつ合理的な維持管理運営が可能といった視点も有効かと思います。

②共通プラットフォームの利用
 施設情報や維持管理情報等を保存できる共通プラットフォームを活用する。既存のシステムを活用するため、新たにサーバー等を立ち上げる必要がなく迅速に施設情報や維持管理情報等をデーベース化することが可能である。

⑬ 私の勉強不足で恐縮ですが、維持管理情報を保存できるプラットフォームがすでに存在しているのですかね。そうであれば、例示が必要と考えます(例:〇〇などの共通プラットフォームを活用)。
⑭ プラットフォームと同じ意味で使用していますか。同じなら統一すべきです(違うものなのかなと考えてしまいます)。
⑮ 例示がないので、サーバーの必要性がないといった真偽が判断できません。
⑯ プラットフォームの効果として、些末な印象を受けてしまいます。共通プラットフォームとありますが、どこと共通なのか不明ですが、例えば、前述のように近隣市町村であれば、プラットフォーム共通化により、使用料徴収の合理化や各計画の効率化・整合性の確保など下水道技術者として、もっと重要な点があるのではないでしょうか。全体として、既存のものを使って安く早くやりましょうも大切ですが、やはり技術力の示唆という観点で物足りなさを感じます。

③民間開発のシステムの導入
 民間が開発したシステムを導入する。民間の開発したシステムには、オンプレミス版、クラウド版、維持管理情報を管理するもの、GIS等様々なものがある。必要な機能を備えたシステムを導入し、データベース化を実施する。

⑰ 前述では、既存のシステムを使うとありましたが、矛盾していませんか。もし、既存のシステムが民間が開発したシステムと同じなら、(視点は違いますが)解決策も同じということになります。
⑱ これも一般論ですね。必要な機能を備えたシステムを導入するのは当たり前です。必要とする機能面に着目した方が良いと思います。例えば、GISならデータを可視化、クラウドならデータへのアクセス性が優位(現場で情報確認可能)などがあげられます。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対策
1)新たに生じうるリスク
 「想定外降雨による上下水道サービスの停止」が新たなリスクである。想定外降雨の発生により、下水道で雨水が排除できず、内水氾濫が発生し、上下水道施設の電気設備が浸水する。これにより、上水の送水停止や下水処理が不可能といったサービス停止が発生する可能性がある。

⑲ 解決策を講じてもなお発生するリスクを書く必要があります。このリスクは、データベース化との因果関係が希薄であり、対策の有無にかかわらず常に内在しているリスクです。本ケースのリスクは、サーバーダウンによるデータ消失リスクや、ハッキングによるデータ改ざんリスク、情報リテラシーの確保などが想定できます。

  • 以下の対策についても、上記の理由により論点がずれていると思います。

2)対策
 対策として、「貯留管の設置」を挙げる。雨水を一時的に貯留するための貯留管を設置する。雨水を貯留することで内水氾濫を防ぎ、浸水を防止する。

(4)技術者倫理、社会の持続可能性
1)技術者倫理
要件:必要な要件は、公益確保の優先である。
留意点:維持管理情報を取得、蓄積、活用することで、災害時であっても上下水道サービスを継続させるよう留意する。

⑳ データベース構築の業務プロセスでの留意点なのか疑義があります。

2)社会の持続可能性
要件:必要な要件は、SDGsへの貢献である。
留意点:将来にわたり上下水道サービスを継続させることにより、Goal11「住み続けられるまちづくりを」を達成する。 以上。

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