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技術士 二次試験対策 建設部門 令和5年度 選択科目Ⅱー2「防災指針」

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【 技術士 二次試験対策 】

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能登半島地震

能登半島地震が発生してから、3週間が過ぎようとしています。一日も早い復興を願ってやみません。支援に向かった人の話を聞くと、金沢までは新幹線で移動可能だそうですが、金沢から被災地までの移動は半日以上かかるようです。

半島という立地特性から、道路の冗長性が乏しいのでしょう。各機関において道路の啓開作業に取り組んでおりますが、被災地へ流入する一般車両が一部の道路に集中することにより、各地で渋滞が発生し、支援物資運搬や復旧作業の支障となっている状況です。

国では、この状況を踏まえ、「石川県災害時交通マネジメント会議(能登半島地震) 」を開催し、関係機関との情報共有のもと、周辺地区における円滑な人流・物流を確保するための交通マネジメントの検討を行う場を設けることとしています。

技術者は、このような時こそ技術力を発揮すべきです。私たちも、日ごろから災害を低減・回避につながる取り組みに留意しましょう。

防災指針

近年、地震災害が頻発しており、再度どこかで地震が発生するのではと心配です。また、気候変動に伴う風水害も深刻さを増しています。そこで重要になるのが、災害への備えです。災害への備えは、地域防災計画の策定や、強靭な都市基盤整備などがあります。これらに加え重要な備えとして、「防災指針」があります。

防災指針は、立地適正化計画に定める方針の一つです。都市構造の観点から、災害リスクの回避や低減を図るもので、防災まちづくりを推進することに役立ちます。立地適正化計画は、集約型都市構造を目指すものですが、防災指針はどの自治体にも必要不可欠と言えます。

災害の被害を回避・低減できる立地の誘導は、立地適正化計画が効果的です(「立地適正化計画作成の手引き」参照)。もちろん、ハザードマップなどでリスクを見える化し、施設立地のリスクを示すことはできますが、開発圧力を抑制することは難しいです。人口密度が高い都市部では、集約型都市構造を目指す必要性が低い自治体もありますが、防災指針が必要ないと考える自治体は少ないでしょう。

このような状況から、立地誘導という手段は同じですが、目的が異なるので立地適正化計画と防災指針を切り離す議論も必要なのではないでしょうか。

論文

今回投稿いただいた論文は。この「防災指針」です。令和5年度には「巨大地震」や「防災指針」など災害に関連した出題がされましたが、令和6年度も引き続き注目すべき事項であることは間違いありません。それでは、早速論文を見てみましょう。

問題文

技術士 二次試験 令和5年度 選択科目Ⅱー2 防災指針

調査・検討事項

 (1) あらかじめ調査、検討すべき事項
①地区の状況:人口、公共施設の状況、災害ハザードエリア、交通状況、地域地区の設定状況を既存の立地適正化計画策定時点との変化を含めて調査する。
②目標値の達成状況:既存の立地適正化計画の目標値の達成状況、理由を調査する。
③上位計画等の更新時期、状況:市町村マスタープランが更新時期の場合、一体的な更新も検討できる。故に上位計画等の更新時期や状況により一体的な変更を検討する。


① ここに示されている調査・検討事項は、立地適正化計画の変更に必要な情報のみです。問われているのは、防災指針案を作成するために必要となる調査・検討事項です。論点がズレています。防災指針の調査・検討事項としては、1)災害ハザード情報等の収集・整理、2)災害リスクの高い地域等の抽出、3)地区ごとの防災上の課題の整理などがあります(立地適正化計画作成の手引きより)。

業務手順

(2) 業務手順及び留意点、工夫を要する点
①検討体制の構築
他部局と調整し検討体制を構築する。既存の計画策定時の体制を基本としつつ、防災部局の強化等の工夫をする


② 「防災部局の強化」は、表現として適切ではありません。言いたいことは、次のような内容ではないでしょうか。→「防災担当部局を新たに加えるなど、防災の視点を強化することに留意する。


②まちの将来像の検討
防災指針の追加に伴う変更点を検討する


③ 防災指針の策定の手順を解答するのですよ。「防災指針の追加に伴う」と言ってしまっては、もはや防災指針の策定手順でなくなっています。「まちの将来像」→「防災まちづくりの将来像」ですね。加えて、「立地適正化計画作成の手引き」では、将来像と合わせて取り組み方針の検討もあります。両方記載した方が良いです。さらに、同手引きを踏まえると工夫点は、「地区ごとの課題を踏まえて取り組み方針を検討する」といった具合ですかね。


③防災指針の内容の検討
 具体の事業、施設の内容を検討する市街地外の居住者の防災減災対策に留意する。例えば、避難路や避難施設の検討において、市街地外からの避難が可能となるよう工夫する。


④ 取り組みを検討するでは、一般論を脱していません。もっとどのように検討するのか書くべきです。例えば、リスクの低減と回避に分けて取り組みを整理する、ハードやソフト施策を区分するなどの検討手法が考えられます。

⑤ 一番技術力が示せる絶好の項目であるにも関わらず、留意事項が限定的です。工夫点は、地域住民等との合意形成の状況や取組の実施状況等を踏まえて適宜に追加、取り組みを地図に示すなど住民に分かりやすく周知する等が考えられます。


④目標値、スケジュールの検討
 防災指針の内容を踏まえて検討する既存の計画から変更する場合は市民や庁内で説明が可能なよう、客観的な情報に基づくように留意する。


⑥ 何を検討するのですか。

⑦ これも立地適正化計画の変更の話になっています。書くことは、防災指針の策定です。

⑧ 目標やスケジュールに関する手法や留意点等の記述がなく、タイトルと齟齬があります。


⑤ 住民意向の聴取
 公聴会、説明会及びw e b によるパブリックコメントにより住民意向を聴取する。G I S データ、イラスト、新旧対照表を用いて分かりやすい資料の工夫をする。


⑨ 問題は「手順を書け」なので、行動する順番にタスクを書いていく必要があります。これらの意見聴取の段階は、施策検討段階や素案作成段階など時期がバラバラです。それぞれのタイミングで、工夫点などとして記載する方が良いと思います。


⑥ 計画案の取りまとめ

必要に応じて計画を修正し、案として取りまとめる。


⑩ 紙面のスペース次第というところですが、これもどのように取りまとめるのか書いた方が良いですね。例えば、「素案作成」→「検討組織に諮る」→「原案作成」→「パブコメ」→「修正」→「策定」といった流れがあると分かりやすいです。

関係者との連携

( 3 ) 関係者及び連携・調整方策
① 庁内他部局との連携
 立地適正化計画は街全体の計画のため多くの部署が関わる。特に福祉、医療部局の災害弱者施設における対策の確認のため、検討初期段階から情報共有及び意見交換を行う。
② 都道府県、他の市町村との連携
 流域治水の観点から都道府県や他の市町村との連携を行う。特に都道府県とは災害時の救援要請の円滑化のため、必要に応じて協定により役割分担を明確化する。
③ 河川管理者、施設運営者との調整
 河川管理者及び福祉施設、病院等の運営者と素案時点で意見交換を行い、細かな点を含めて実効性のある計画とする。 以上


⑪ 「① 庁内他部局との連携」と対象者が重複しています。

⑫ 細かな点、実効性ある計画を具体的に書きましょう。

⑬ すべての項目に言えることですが、効果的、効率的である理由がありません。また、解答用紙は最後の行まで書きましょう。これは、合格の最低条件と心得てください。

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