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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度 必須科目Ⅰ 予想問題 「流域治水プロジェクト2.0」チェックバック

論文添削
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【 技術士 二次試験対策 】

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流域マネジメント

ここ最近のトピックとしてご紹介しているが、白書シリーズです。6月に入り様々な白書が公表されており、国の考え方を把握するのに役立つことをご案内したところです。今回は、論文のテーマが流域治水プロジェクトなので、「水循環白書」について見ていきたいと思います(水循環白書はコチラ)。

水循環白書は、内閣官房がとりまとめを行っています。その内容は、上下水に関することが中心であり、上下水道部門の人たちは必携の資料ということになります。しかし、建設部門はあまりなじみがなく、そんな白書があったんだぁくらいの認識です。

しかし、建設部門にも役立つ情報がありました。それは、「第1章 流域連携の推進等-流域の総合的かつ一体的な管理の枠組み-」です。この中には、流域治水と同じような考えが、示されています。「水循環基本計画(令和2年6月16日閣議決定、令和4年6月21日一部変更)」においては、流域の総合的かつ一体的な管理の理念を体現化する「流域マネジメント」の考え方が明確化されています。

この流域マネジメントは、「流域の総合的かつ一体的な管理は、一つの管理者が存在して、流域全体を管理するのではなく、森林、河川、農地、都市、湖沼、沿岸域、地下水盆等において、人の営みと水量、水と関わる自然環境を適正で良好な状態に保つ又は改善するため、流域において関係する行政などの公的機関、有識者、事業者、団体、住民などの様々な主体がそれぞれ連携して活動すること」と定められています(水循環基本計画)。

技術士 二次試験対策 流域マネジメント

白書には、それほど詳しく記載がありませんが、令和6年1月に「流域マネジメントの手引き」の改訂版が公表されていますので、興味のある方はチェックして見てください(内閣官房のページはコチラ)。

論文

本日の論文は、令和6年度 必須科目Ⅰ 予想問題 「流域治水プロジェクト2.0」チェックバックになります(前回の論文はコチラ)。流域治水の取組みは、防災関係に通じていますので、建設部門は要チェックです。また、河川、砂防及び海岸・海洋を受験する人は、絶対に抑えておきたい知識です。それでは、どのような説明がなされているのか早速見ていきましょう。

課題

1.多面的な課題とその観点

(1)水害対策に精通した担い手の確保(人材面)
 現在建設業就業者数は500万人弱でピーク時から約30%減少している。また、若者の建設離れや生産年齢の高齢化と共に業務は複雑・高度化となっているさらに、今後は流域全体における水害対策の知識が必要となる。よって、人材面の観点から水害対策に精通した担い手の確保が課題である。


① 生産年齢とは、15歳から64歳のことです。年齢の範囲を表す言葉に対して、高齢化するとの表現は違和感があります。「生産年齢人口の減少」または「建設就業者の高齢化」のどちらかではないでしょうか。ただし、前者の場合、最初の内容と重複するので、言うべきは後者ですかね。

② →「高度化している」

③ 「さらに」と別の話題のように表現していますが、流域全体の知識が必要なのは、複雑・高度化しているからではありませんか。

④ 問題が求めている課題は、総合的かつ多層的な水害対策です。知識を持っている人を確保するとの主張は間違いではないのですが、一般論に見えてしまいます。


(2)インフラメンテナンスの財政支援(費用面)
 インフラ施設は高度成長期以降に集中的に建設されたため、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加する。施設の老朽化対策や流域全体での水害対策には多額の費用が必要となるが、費用の確保が困難な自治体もある。費用面の観点から、インフラメンテナンスの財政支援が課題である。


⑤ 流域全体の対策にはお金がかかるとありますが、インフラメンテナンスの話に見えます。これも④の指摘と同様、流域治水対策に特化しておらず、対策にお金がかかるは都市基盤整備に関する施策においては何にでも当てはまってしまいます。
例えば、次のように特化させた課題が考えられます。課題設定を見直しましょう。
・あらゆる関係者の協働による対策(これは、次の分野横断で記述できています)
・あらゆる場所における対策(河川区域や氾濫域のみならず、集水域含めた流域全体で対策)
・将来の気候変動を踏まえた計画に見直し
・社会全体で洪水に備える、水防災意識社会の再構築


(3)分野横断的な取組み(体制面)
 近年、水災害が激甚化・頻発化している。2040年頃には、洪水発生頻度は2倍になると予想されている。しかし、各分野での水害対策では激甚化する災害を未然に防ぐことは困難であり、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を取り入れて、広域・多分野による総合的かつ多層的な視点から戦略的に地域のインフラをマネジメントする必要がある。よって、体制面の観点から、分野横断的な取組みが課題である。


⑥ この内容は、問題文の内容とほぼ同じになっています。分野横断の取組みが求められる背景を書きましょう。現状(管理者主体のハード対策)→問題点(気候変動の影響で対応できない)→必要性(あらゆる関係者が参画するための仕組み作りが必要)→結論

解決策

2.最も重要な課題と解決策
 公衆の安全確保に直結するため、「分野横断的な取組み」を最も重要な課題に選定し、解決策を示す。

(1)氾濫を防ぐ、減らす対策(ハード対策)
①粘り強い構造、多重防護
 近年の線状降水帯の発生に伴う豪雨により河川堤防が決壊する事例があるため、減災効果が発揮できる多重防御に取組む。具体例として、堤防整備では、被覆ブロックや天端のアスファルト保護を行うと共に、洗堀防止対策等の堤防の補強を行う。また、関係業界団体や大学等との連携を図り、堤防決壊メカニズムの分析やデータの蓄積を行う。パイロット施工や検証を行い、粘り強い構造、多重防御の技術開発を行う


⑦ 横断的な取り組みなっていないと思います。

⑧ これは多重防御の事例ですか?多重防御で最初に思い浮かぶのは二線堤です。これは、粘り強い堤防の例ではないでしょうか。

⑨ 抽象的です。どうやって、データを蓄積するのですか(災害が起こらないと地区生起できないのでは?)。

⑩ 横断的取り組みなので、どのように連携していくのかといった視点をフィーチャーすべきではありませんか。


②ハイブリッドダムの取組の推進
 近年の水災害対策として、治水・水力発電を擁立させるハイブリッドダムの取組みを推進する。具体的には、AIで気象を予測し、洪水時には洪水調整のために活用し、平常時には最大限発電のために活用する。このように、天候に応じてダムを活用できる。また、水力発電は発電時にCO2が発生しないため、「再生可能エネルギー」として「カーボンニュートラル」の実現への貢献も期待できる


⑪ これも、横断的取り組みなのか一見して分からないです。「エネルギー分野と治水分野の連携を図るため、ハイブリッドダムを導入する」といった具合に分野横断であることを明記すべきと考えます。

⑫ 前段の具体例でも理解できますし、ハイブリッドダムと言っているので不要。

⑬ 波及効果のように表現されていますが、これも環境分野との連携と考えられるので、分野横断的な取り組みとして説明してはいかがでしょうか。


(2)被害対象を減少させる対策(ソフト対策)
①立地適正化計画の強化
 現在の土地利用は災害リスクが適正に評価されていないものが多い。人口の約7割が災害リスクのある土地に居住しており、災害規模が甚大になる危険性があるため、立地適正化計画を強化する。具体的には、浸水被害防止区域を創設し、災害ハザードエリア内の住宅の他、病院等の要配慮者利用施設の安全性を事前確認する。また、防災集団移転促進事業により危険エリアからの移転を促進する。


⑭ 現状は課題で書くべきでし、後述の内容があれば十分だと思います。直してもらったのですが、不要です。

⑮ 都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の強化に関する具体例を書くべきです。この区域は、特定都市河川浸水被害対策法に基づく制度で流域水害対策計画において床上浸水が想定される区域のことではありませんか。

⑯ これも立地適正化計画の強化に関する事柄ではないですね。「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律」に基づき実施される事業です。


(3)被害の軽減のための対策(ソフト対策)
①マイ・タイムラインの作成
 流域住民の防災意識を高めるため、マイ・タイムラインを作成し、自分自身の防災行動計画を確認してもらう具体的には、住民一人ひとりの家族構成や生活環境に合わせて、「いつ、何をするのか」をあらかじめ時系列で整理した自分自身の防災行動を把握する


⑰ 誰がタイムラインを作成し、誰が確認してもらうのですか。主語を明確にしましょう。

⑱ 具体例というより、重複しているように見えます。これは、マイ・タイムラインの作成が具体例で、解決策の前段は、迅速な避難行動を促進するといった具合になるのではないでしょうか。また、これらを修正した場合においても、治水対策と言えるか疑義があります。

リスク

3.新たに生じうるリスクと対応策
 上記の対策を行うと、ハード面、ソフト面の整備の進捗に伴い、ハザードの場所が変化する。そのため、ハザードマップや地域防災計画が有効に機能しないリスクが発生する。対応策は、整備の進捗に応じて、マップや計画を適宜見直す。見直しには3D都市モデルを活用し、災害の影響をシミュレーションする。

要点・留意点

4.業務遂行上必要となる要件
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。 -以上-

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