添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
兎に角、論文を投稿しまくります
ラストスパートに向けて、私のできることは、みなさんからお預かりした論文をバンバン公開していくことに尽きると思います(これまでの論文はコチラ)。たくさんの論文を見て、自分なりの傾向と対策をイメージしましょう。今は、作成した論文を読み返す、推敲するが得策です。投稿した論文を参考にし、推敲に役立ててはいかがでしょうか。
そのような状況の中、今回はすべて完成論文です。みなさんの参考になると思います。お届けする論文は、建設部門 令和6年度 都市及び地方計画 選択科目Ⅲ 予想問題 「カーボンニュートラルの実現に向けた都市再生」&「こどもまんなかまちづくり」になります。専門外でも、文章の構成、文脈などは参考になると思います。
それでは、早速見てみましょう。
カーボンニュートラルの実現に向けた都市再生
1.多面的な課題
(1) いかにクリーンエネルギーに転換するか
我が国が排出する温室効果ガスの約9割がCO2であり、排出量の約6割が産業や運輸等の都市活動を支える部門である。都市活動に要するエネルギー供給の大半は、化石燃料に依存している。カーボンニュートラルの実現には、都市活動に要するエネルギーを炭素中立型に変革する必要がある。よって、都市づくりの観点から、クリーンエネルギーへの転換が課題である。
(2)いかに温室効果ガスを除去するか
脱炭素化に向けて、CO2を削減する対策が推進されている。しかし、都市活動を維持する上では、排出を避けられない分野も存在する。そのため、削減対策に併せてNETs技術の推進により、Co2を回収・吸収・貯留・固定化することが重要である。よって、技術面の観点から、温室効果ガスの除去が課題である。
(3)いかにICTを活用するか
カーンボンニュートラルの達成に向け、各分野において省エネ活動に積極的に取り組んでいる。しかし、都市活動を維持しつつ、手動でエネルギー消費を最小化することには限界がある。そのため、AIを活用したスマート制御による管理システムの自立化等、都市活動におけるエネルギーの最適化が重要である。よって、効率化の観点から、ICTの活用が課題である。
2.最も重要な課題と解決策
エネルギー転換は他分野の取組みにもシナジーをもたらすため、「いかにクリーンエネルギーに転換するか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を示す。
(1)交通分野での取組み
①交通GXの推進
モビリティのエネルギー源を化石燃料から電気や水素等に転換し、クリーンな公共交通ネットワークを形成する。例えば、MaaSにより移動に伴うCo2排出量を可視化し、クリーンな交通モードを選択できるようにする。基幹交通には、LRT等のEVモビリティや水素を使用する燃料電池バスやFCVタクシーを導入する。ラストワンマイル交通には、グリーンスローモビリティを導入する。これらにより、マイカーから公共交通への乗り換えを促すといった効果も得られる。
②水素サプライチェーンの構築
地域全体で水素サプライチェーンを構築し、水素エネルギーへの転換を促す。例えば、港湾管理者がCNP計画を策定し、水素の受け入れ環境を整備する。運搬された水素を水素ステーションに供給した上で、前述したような燃料電池バスやFCVタクシー等の公共交通機関に水素を充填する。また、市街地にも水素ステーションを整備し、水素エネルギー利用の利便性を高め、家庭、物流などへの普及促進を図る。
(2)街区単位での取組み
再エネを普及するとともに、電力供給が不安定である再エネを無駄なく利用するため、街区単位でのエネルギー・マネジメントを推進する。例えば、再エネ利用促進区域の設定により、建築主に対して再エネ利用設備の設置を努力義務化する。区域の再エネ発電には、太陽光発電や再エネの余剰電力で製造・貯蔵した水素を活用した水素蓄電システム等を導入する。さらに、CEMSにより地域全体のエネルギー管理システムを構築し、電力需給の管理を行う。
(3)エネルギー源の取組
農漁村地域において、固有のバイオマス資源を活用した発電事業を推進することで、化石燃料からの転換を図る。例えば、木質系の残材や家畜排せつ物等を活用したバイオマス発電を行う。発電施設は、地域福利増進事業を活用し、所有者不明の土地に設置する。当該発電に余剰電力が生じた場合には、地域産業に充当できる仕組みを構築する。これらにより、再エネの転換に加え、電力の地産地消といった波及効果も生じる。
3.新たなリスクと対応策
事業者においては、多大な設備投資が必要となるため、キャッシュフローが悪化するリスクが生じる。対応策として、ESG投資の普及促進があげられる。ESG投資は、環境保全という社会的インパクトが投資家に評価されるため、環境に寄与する設備投資に対して資金調達が容易となる。また地方自治体においては、事業実施に伴いESG債を積極的に活用する。以上
こどもまんなかまちづくり
1.多面的な課題
(1) いかに子育てしやすい都市環境を整備するか
近年、遊ぶこどもの声への苦情やベビーカーの移動時に肩身の狭い思いをする等子育てしづらい状況にある。これらは、こどもの遊び場の減少や安心して子育てができる生活空間の欠如が要因と考えられる。快適な子育てには、こどもや子育て世帯の目線に立った都市空間の形成が必要である。よって、都市づくりの観点から、子育てしやすい都市環境の整備が課題である。
(2)いかに地域交流を生み出す空間を創出するか
女性の社会進出が推進され、共働き世帯は年々増加している。他方で、共働き世帯の増加によって、親同士・地域住民との交流機会が減少し、子育て世代が地域から孤立することが懸念される。そのため、地域コミュニティを再構築し地域全体で子育てを支えていくことが求められる。よって、体制面の観点から、地域交流を生み出す空間の創出が課題である。
(3)いかに仕事と両立できる市街地を形成するか
新しい生活様式の定着に伴い、多様な働き方が実現している。しかし、育児は多くの時間を要するため、フルタイムでの就労やキャリアを築くには困難が多い。このような時間的制約を小さくするため、都市機能の集約を進め、就労と子育て機能を近接させることが重要である。よって、ダイバーシティの観点から、子育てと仕事が両立できる市街地の形成が課題である。
2.最も重要な課題と解決策
都市環境の改善は、社会意識の変化も促すことが期待できるため「いかに子育てしやすい都市環境を整備するか」を最重要課題に選定し、以下に解決策を示す。
(1)都市構造
こどもをベビーカー等に乗せて移動する際、目的地が離れていると身体的・心理的な負担がかかる。そのため、コンパクト+ネットワークを形成し快適な子育てを実現する。具体的には、立地適正化計画を策定し、都市機能誘導区域を設定する。これにより、医療や商業、子育て支援施設を集約し歩いて暮らせる街を形成する。併せて、地域公共交通計画を策定し、拠点間を結ぶように公共交通網を再構築する。このような都市構造により、子育てしやすい生活空間を形成する。
(2)公園づくり
①こどもの遊び場の確保
公園内にこどもの遊び場を確保するため、公園の画一的な利用ルールを見直し、公園を柔軟に管理運営する。例えば、公園協議会を設立し、公園管理者と地域住民によるパークマネジメントを推進する。ボール遊びに関するルールの策定等、公園毎の実情に応じたルールの弾力化により、こどもの遊び場を確保する。
②P-PFI
都市公園の子育て環境を向上させるため、P-PFIを導入する。例えば、公園内に保育所等の子育て支援施設を設置する。併せて、授乳スペースやおむつ交換が可能なトイレ等を具備し、こどもを連れて訪れやすい公園とする。加えて、事業者にカフェ等の収益施設を併設させることで、公園サービスの質を向上させるとともに、収益の一部を公園整備に還元させ、公的負担の軽減も図る。これらにより、公園の魅力向上と子育て機能の充実を図り相乗効果を生み出す。
(3)道づくり
こどもを連れて安全に移動できる歩道を整備する。例えば、歩行者利便増進道路制度を活用し、歩行者と自転車を分離させた上で、幅員3m以上の歩道を整備する。歩行者利便増進施設には、ベンチや上屋等の休憩機能を具備するとともに、道路占用許可を活用し、沿道事業者によるテラス営業を可能とする。さらに、滞在快適性等向上区域の併用により、区域内の道路について駐車場出入口の設置を制限し、歩行者と車の輻輳を抑制する。これらにより、こどもやこども連れにとって、居心地がよく歩きやすい空間を形成する。
3.新たなリスクと対応策
コンパクトシティ化により、都市の利便性が高まることで地価が向上する。その結果、郊外地への人口のにじみ出しやスプロール化誘発のリスクがある。対応策として、居住調整区域の設定により市街地の拡散を防止する。これにより、自然生態系の保全といった波及効果も生じる。以上