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技術士 二次試験対策 農業部門 必須科目Ⅰ & 選択科目Ⅱー2 二本立て & 気になった点③

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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技術力は具体例

キーワード集は、みなさん完成しましたかね。50個以上の用意があれば安心ですかね。そんなキーワードだちですが、単に名称を記憶しても 技術士 試験では、役に立ちません。論文の中で、適切に使用できて初めて、その効果を発揮します。

つまり、適切に使用できなかったら、マイナス評価につながる諸刃の剣です。選択しているキーワードが技術力を示唆する素晴らしいものであっても、使用場面を間違えれば「この人分かってないな!?」となってしまいます。このように、上っ面だけの知識、漠然とした理解は危険と言えます。

国の資料をしっかり読み込み、きちんと理解することが大切です。また、キーワードの意味を知ることに加え、具体的な手段や事例と言った部分もしっかり押さえておきましょう。以前より何度も申し上げていますが、技術力は具体例の説明にかかっていると考えて良いです。特に選択科目Ⅲでは、きらりと光るキーワードを具体例を持って示す力が必要です。抽象的な表現は、一般論になりやすく、説得力に欠けてしまいます。

また、キーワードたちは、それぞれ相関関係にあるものが多いです。例えば、昨年度に作成したキーワード相関図を見てみましょう。以下のように、キーワードはいくつかのグループに分けられたり、関係性があったりします。これらをテーマごとにまとめると考えが整理され、応用力が高まります。これまでに作ったキーワードを分類図化するのも、良いのではないでしょうか。

技術士 二次試験対策 キーワード相関図

このように考えが整理されれば、どんなことを書けばいいのか悩むことは少なくなります。逆に書きたいことが溢れてしまうことになるでしょう。選択できるカードが増えれば、対応できるパターンも増えるということです。読み返しや写経の合間に作業してみるとよいでしょう。

論文

本日の添削LIVEは、農業部門 令和4年度 必須科目Ⅰ「農業の持続的な発展と農村の振興」と令和5年度農業農村工学 選択科目Ⅱー2「農地整備の計画策定業務」の2本立てになります。農業部門は、土木と非常に親和性があるので、楽しく取り組めました。パイプラインや土壌改良は、そのまま土木ですからね。そういう意味では、人手不足の解消やICT技術の活用など、課題は部門問わず似通っていると感じました。それでは、早速論文を見てみましょう。

「農業の持続的な発展と農村の振興」

課題

1 . 農業の持続的な発展と農村の振興に必要な対策
1 . 1 優良農地の確保
 基幹的農業従事者数はこの2 0年で半減し、6 5歳以上の割合は7割と高齢化が進行している。このような中、農地の荒廃や農地転用により、農地面積が減少している。このため、農業生産に適した農地の整備を行い、食料の安定供給や農業の持続的な発展を図ることが必要である。以上より、農業生産基盤整備の観点から、優良農地の確保が課題である。


① これは題意です。農業の持続的な発展を図るために必要なことを書きましょう。

② 前段で書いてあるのは、農業従事者と農地面積の減少であり、優良農地がないことや、それに伴う問題点などの記述がありません。このため、いきなり優良農地と言われても腑に落ちません。課題を導く背景としましょう。


1 . 2 農村定住者の確保
 農村における高齢化等により、地域コミュニティ機能が衰退し、地域で行っていた施設の維持管理が困難となっている。一方、近年では都市住民の田園回帰や、農村への定住志向が見られているこれら多様な人材の定住を促進し地域一体となって維持管理を進め、多面的機能を発揮させることが必要である。以上より、維持管理の観点から、農村定住者の確保が課題である。


③ 地域コミュニティの機能とは何ですか。単にコミュニティが担っていた維持管理ができなくなったで良いのではありませんか。意味があるのならば、具体的に示すべきです。

④ 文の前後で同じようなことを述べているように見えます。

⑤ 人材が多様であるかは分からないのではありませんか。言いたいことは、「これらの機運を契機に農業の担い手を確保し」ではないでしょうか。

⑥ 多面的機能を発揮とは、何が持つ機能ですか。また、多面的機能にいきなり言及しており、脈絡がありません。必要性は、地域が再び適正な維持管理を行うことでは無いのですか。

⑦ 農村定住者ではなく、担い手の確保ではありませんか。ただの定住者(リモートワークなどによる移住者)では、維持管理機能は維持されないと思います。


1 . 3 農業水利施設の保全管理
 基幹的農業水利施設は約5万2千k m 、基幹的な点的施設は約7千7百か所に及ぶ。これら農業水利施設は戦後から高度経済成長期にかけて整備されたものが多く、老朽化が進行しており、突発事故が増えている。農地や農村の強靭化を図るため、これら農業水利施設の適切な保全管理が必要である。以上より、強靭化の観点から、農業水利施設の保全管理が課題である。


⑧ 強靭化というと防災対策に見えます。これも、結局のところ維持管理の話ですね。前述の課題にある施設が何か分かりませんが、視点としては同じに見え、多様な観点という問題の条件を満たしていないように感じます。前述の課題の背景は維持管理にフィーチャーすることは避けた方が良いですね。

⑨ ⑧のとおり防災対策のような視点になってしまうと思います。そこで、ここで維持管理の観点を用い、前段はもっと担い手確保にフィーチャーし、人材面や体制面といった観点に修正してはどうでしょうか。また、維持管理の観点とした場合、課題は「老朽化対策」にすると筋道が通ると思います。課題全般において、再整理が必要と考えます。

解決策

2 . 最も重要と考える課題と解決策
 農業生産基盤整備は、農業生産性の向上や農村の振興に直結するため、「優良農地の確保」を最も重要な課題と考え、以下にその解決策を述べる。

2 . 1 農地の大区画化
 狭小な農地では、農業機械の旋回や農地間の移動に時間を要する。このため、農地の大区画化を行い、作業効率の向上、生産コストの削減に寄与する優良農地を確保する。大区画化の際は耕区短辺が地形条件の制約を受けるため、現地調査等により地域の地形を確認する。平坦地の場合、地形条件に制約を受けないため、大区画かつ耕区長短辺比が大きくなるよう耕区規模を設定する。傾斜地の場合、耕区長辺を等高線に沿わせるように設定し、土工量や潰れ地を縮減する。


⑩ ここら辺の内容は、題意であったり、課題の内容であったりと重複しているので不要と考えます。よって、前文をまとめてしまいましょう。→「狭小な農地では、農業機械の旋回や農地間の移動に時間を要するため、農地の大区画化を行う」

⑪ 少し分かりづらいです。また、規模というより形状ではないでしょうか。→「耕区長辺長をできるだけ長く取るよう区画する」

⑫ 大区画化するのであれば、農地の集積・集約化についても触れた方が良いと考えます。


2 . 2 自動走行農機の導入に対応した農地整備
 デジタル技術の発展により、自動走行農機の導入が進められており、これに対応した農地整備を行い、優良農地を確保する。具体的には、耕区間移動通路の確保やターン農道、末端用排水路の管路化等が挙げられる。ほ区の短辺長は用排水操作や自動走行農機の作業可能延長を考慮し1 0 0 ~ 1 5 0 m とする。耕区間移動通路では、自動走行農機が設定された経路に基づき同じ軌道を走行するため、わだち掘れ対策としてコンクリート舗装等を設ける。また、傾斜地ではターン農道が長くなり、潰れ地が大きくなることから、登坂部を設置し、耕区間移動通路を低く設ける。


⑬ これは、課題ですから不要です。→「・・・農地整備を行う」

⑭ 内容については良く書けていると思います。しかし、一つ気になるのが、自動走行農機の導入に限定しているところです。問題にも、デジタル技術の進展を踏まえとあるので、スマート農業として説明した方が良いのではないでしょうか。さらに、解決策全体の話になりますが、解決策2つは少ないと思います。必須科目は幅広い知識が求められるので、畑地化などもう一つ視点(解決策)が欲しいところです。

リスク

3 . 新たに生じうるリスクと対策
3 . 1 新たに生じうるリスク
 上記解決策によりスマート農業が今後普及することが予測される。これにより作業効率が向上する一方、自動走行農機と人、一般車両の接触といった、事故やトラブルの発生が増加するリスクが生じる。

3 . 2 対策
 対人、対物センサーの精度向上や、遠隔監視等により安全性を確保する。また、耕区間移動通路において、一般車両等が介在しない閉鎖区域を設定する。更に、万一事故が発生した場合に備えたマニュアルや緊急対応時の体制を整備する。


⑮ →「の進入を防止するための」

⑯ →「備えて」

要点・留意点

4 . 業務遂行に必要な要件
4 . 1 技術者としての倫理の観点
 公衆の安全、健康及び福利に配慮することが要件となる。農業生産基盤整備は公共性が高く、農業者だけでなく、非農業者も関係する。このため、地域全体を通した合意形成を図り、公益の確保に努める。また、安全に配慮した設計を行う


⑯ →「にも影響が及ぶ」

⑰ 問われているのは、要点・留意点です。文末を「に留意する」といった形にするなど、的確に解答しましょう。


4 . 2 社会の持続可能性の観点
 地球環境の保全に配慮することが要件となる。農村は様々な生物の生息地であるため、十分な現況調査とリスク管理を行い、環境に配慮した設計を行うことに留意する。- 以上-__


⑱ 何のリスク管理なのか良く分かりません。

「農地整備の計画策定業務」

1.調査、検討すべき事項
 経営規模の拡大や生産コストの削減を図るため、農地の大区画化を検討する。また、スマート農業の導入を視野に入れるため、耕区短辺、長辺長等の検討に加え、末端用排水路の管路化や耕区間移動通路等の整備についても検討する。これら検討のために必要な調査について以下に述べる。

1.1 自然条件:観測データや既存資料により、気象や海象、地形、表層地質についての調査を行う。

1.2 社会経済条件:地区の特性等に応じて地域の社会経済の概況、地域農業の概要について調査する。

1.3 地域環境: 地域の生態系等、環境の構成要素についての調査を行う。

1.4 営農栽培状況: 土地利用状況や作付状況、経営規模、農業機械の利用状況等について調査する。

1.5 ほ場条件: 整備内容検討のため、地区の土壌や地下水位等について調査する。

1.6 地域の整備意向: 整備に関する都道府県、市町村、土地改良区等の団体等の意向を調査する。

2.業務を進める手順と留意・工夫すべき点
 ① 概査、② 基本構想の策定、③ 精査、④ 営農基本計画及び土地利用計画の策定、⑤ 非農用地区域の設定、⑥ 基幹施設配置計画、⑦ 区画計画、⑧ 環境との調和への配慮、⑨ 換地計画の順に業務を進める。


① それぞれ業務を進める流れは分かりますが、さすがに各項目どのようなことを行うのか書くべきだと思います。例えば、概査であれば次のようになります。また、留意点、工夫点についても各ステップに溶け込ませてはいかがでしょうか。そうなると、スペース的に厳しくなるので、調査や調整方策をダイエットする必要があります。
(1)概査
 地域のおおまかな現況把握と、都道府県及び市町村の開発計画や普及指導計画並びに農家意向を踏まえて将来予測を行い、この結果に基づき事業の必要性を判断する。


2.1 留意すべき点: スマート農業の導入を視野に入れるため、自動走行機械や自動給水栓の導入等、地域としての今後の営農形態を十分に情報共有するよう留意する。また、自動走行農機の機能を十分に発揮するため、人・農地プランを基に農地の集積・集約化を合わせて進めることに留意する。


② 誰と情報共有するのでしょうか。

③ 調査検討項目や手順に説明がなく、どのステップで何を検討する際の留意点なのか良く分かりません。

④ 検討事項において大区画化を検討とあります。検討した結果として集積・集約が進められると思いますが、ここでは進めることが前提となっているので不整合に感じます。

⑤ 土地改良事業計画設計基準 計画 「ほ場整備(水田)」(平成25年4月制定)では、次のような留意点が示されているので、参考にしてはいかがでしょうか。
1.3 計画上の留意点 計画の策定は、以下の点に留意し行うものとする。
 (1) 地域の開発構想や営農条件、農業技術の進歩 ほ場整備は、土地の権利移動まで含めてほ場条件を総合 的に整備するものであるため、計画の策定に当たっては長 期的な展望の下に、地域の開発構想や営農条件、農業技術 の進歩等に的確に対応し得るよう慎重な検討が必要である。その際には、ほ場整備に係る施設の耐用年数や関係農 家の負担金償還等を考慮する必要がある。 (2) 良好な農村環境の整備 農地は、農業生産の場であるとともに、周辺地域の生活 や自然環境とも密接に関連し、農村環境を構成する主要な 要素となっており、その整備計画の策定に当たっては、当 該地域の開発計画との整合性に留意するとともに、良好な農村環境の整備にも資するものとする必要がある。
(3) 施工後のほ場条件の変化への対応 ほ場整備において農地の全面を根本的に改良する場合 は、その扱う対象は主として土である。ほ場が作物生産の 場として安定した機能を発揮し得るためには、施工後一定 の時間経過を必要とするので、計画の策定に当たっては、 各工種の施工順序や施工後のほ場条件の変化過程についても十分検討し、その対策を立てておく必要がある。


2.2 工夫すべき点: 農地は広大であるため、地形の調査はドローンによる空撮や写真測量を行うなど、作業時間を短縮するよう工夫する。農地の集積・集約化を推進する際は、農地中間管理機構と連携を図り、円滑な連坦化を進めるよう工夫する。また、低平に広がった地域であるため、大区画化の際は畔抜工法を採用する等コスト縮減を図るよう工夫する。


⑥ 実行の際の工夫ではなく、計画策定における工夫点を書くべきです。

⑦ ⑥と同じです。また、コスト削減は留意点であるように感じます。


3.関係者との調整方策
 農業者1人1人が異なる整備水準を要望する可能性があるため、地域全体として統一された水準となるよう、利害関係の調整を行う。このため、公平性、公益性を考慮した考え方に配慮する。その際、客観的な指標や図表等を用いて分かりやすく説明する。また、スマート農業の導入に向けた整備を実施した地域への視察を行い、整備後のイメージを認識してもらう。土地改良区職員にも、新たな維持管理の手法を現地でわかりやすく説明する。また、関係者を集めた協議会を設け、共通認識を醸成する以上のように進めることで、手戻りなく今後の詳細設計や施工が円滑となるよう合意形成を図ることができる。- 以上-__


⑧ →「イメージを共有する」

⑨ 関係者とは誰ですか。具体的な例示があると良いと思います。

⑩ 共通認識は醸成するものでしょうか。→「進め方、将来像などを共有する」

⑪ 効率的、効果的に進める手段を書けと問題にあるので、これらは当然の帰結です。不要。

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