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技術士 二次試験対策 令和6年度 建設部門 必須科目Ⅰ 「災害復旧におけるDX」 徹底分析

コラム
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令和6年度 建設部門 選択科目Ⅰ 解説

【 技術士 二次試験対策 】

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みなさんはどちらを選択?

先日、建設部門の必須科目Ⅰを速報でお届けしたところです(速報はコチラ)。私も、なんだか緊張しながら問題をタイピングし、慌てて気づいたことを思いつくままに書いてしまいました。一日たってようやく冷静に問題が見れるようになったところで、細かく問題を分析していきたいと思います。

必須科目Ⅰは、「シームレスな拠点連結型国土」と「災害復旧におけるDX」が出題されました。まさかの災害が2年連続で出題され、さらには都市及び地方計画で出題されると思っていた国土形成計画が登場です。正直、度肝を抜かれましたね。予想に関する反省は、別の機会を設けようと思いますので、今日は割愛です。

私は都市及び地方計画の技術士なのですが、この2つの問題の選択を迫られたら、何の迷いもなく「災害復旧におけるDX」を選択するでしょう。「シームレスな拠点連結型国土」は、国土形成計画を熟知していない場合、あまりにもリスキーだからです。漠然とは理解しつつも、絶対的な自信がない場合は、おそらく「災害復旧におけるDX」を選択するのではないでしょうか。

さらに、災害関係は一度は練習論文を作成するテーマであり、書きやすいと言えます。また、真意であろうDXにおいては、働き方改革やインフラメンテナンスなど様々なテーマの解決策として触れているのではないでしょうか。そうなると、DXという条件もそんなに苦しむことなく、クリアできると考えます。

よって、まずは「災害復旧におけるDX」について、解説していきましょう。

問題文

Ⅰー2 我が国では、年始に発生した令和6年能登半島地震を始め、近年、全国各地で大規模な地震災害や風水害等が数多く発生しており、今後も、南海トラフ自身及び首都直下型地震等の巨大地震災害や気候変動に伴い激甚化する風水害等の大規模災害の発生が懸念されているが、発災後の復旧・復興対応に対して投入できる人員や予算に限りがある。そのような中、災害対応におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)への期待は高まっており、すでに様々な取組が実施されている。
 今後、DXを活用することで、インフラや建築物等について、事前の防災・減災対策を効率的かつ効果的に進めていくことに加え、災害発生後に国民の日常生活等が一日も早く取り戻せるようにするため、復旧・復興を効率的かつ効果的に進めていくことが必要不可欠である。
 このような状況下において、将来発生しうる大規模災害の発生後の迅速かつ効率的な復旧・復興を念頭において、以下の問いに答えよ。

(1)大規模災害の発生後にインフラや建築物等の復旧・復興までの取組を迅速かつ効率的に進めていけるようにするため、DXを活用していくに当たり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

解説

リード文

我が国では、年始に発生した令和6年能登半島地震を始め、

土木・建築に携わる全員の使命と言える災害対応、不幸なことにこの災害が今年の初めに起こってしまったのですから、我々にとっては最大の関心ごとです。そういう意味で言うと、昨年に巨大地震という出題があったとて、出題は当然なのでしょう。

近年、全国各地で大規模な地震災害や風水害等が数多く発生しており、今後も、南海トラフ自身及び首都直下型地震等の巨大地震災害や気候変動に伴い激甚化する風水害等の大規模災害の発生が懸念されているが、

前文の能登半島地震は激甚化する災害の一例になっています。さらに、昨年度の問題が地震という災害が対象であったのに対し、今回の問題は地震・風水害といった自然災害全般が対象になっています。

発災後の復旧・復興対応に対して投入できる人員や予算に限りがある

はいココ、重要ポイントです。この「人員や予算に限りがある」という表現は、DXの前振りですね。つまり、人員や予算に限りがあるから、省人化、省力化、効率性生産性の向上といった取り組みが必要なんだよということを暗に示しています。

そのような中、災害対応におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)への期待は高まっており、すでに様々な取組が実施されている。

ここでは、もう隠さず手段としてDXの重要性を述べています。ただし、正しい理解としては、前述にある「人員や予算に限りがある」ことを踏まえたDXである必要があります。分かりやすく言うと、省人化、省力化、効率性・生産性の向上を実現するDXと理解することが大切です。

今後、DXを活用することで、インフラや建築物等について、事前の防災・減災対策を効率的かつ効果的に進めていくことに加え、災害発生後に国民の日常生活等が一日も早く取り戻せるようにするため、復旧・復興を効率的かつ効果的に進めていくことが必要不可欠である。

この一文では、「効率的かつ効果的」が繰り返し、しつこいくらい登場します。また、防災・減災対策を進めていくことについて述べられています。しかし、ここでの読み方は「防災・減災対策は当然やるとして、復旧・復興が大事なんだ」ということを主張しているものと考えられます。ここだけ見ると、防災・減災でもOKに見えてしまいますが、後述で絞られているようにあくまで論点は復旧・復興です。

このような状況下において、将来発生しうる大規模災害の発生後の迅速かつ効率的な復旧・復興を念頭において、以下の問いに答えよ。

この最後のリード文で、復旧・復興が題意であることが確定しています。加えて、新たな条件として「迅速」が登場します。これらの題意をまとまると、「デジタル技術使って迅速かつ効率的な復旧・復興するのにどうしたらいい?」といった内容になります。

問(1)

(1)大規模災害の発生後にインフラや建築物等の復旧・復興までの取組を迅速かつ効率的に進めていけるようにするため、DXを活用していくに当たり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ

前述のまとめのような問題になっています。注意するのは
① 「復旧・復興」の取組みであること 【必須】
② 「迅速かつ効率的」に進めること
③ DXを活用すること 【必須】
④ 人員や予算に限りがあること

この4つの条件を適切に観点及び課題に反映することが求められています。これは、チェック項目ともいえますので、復元論文を手元に用意して上記を満たす記述になっているのか確認してみると良いでしょう。

特に、復旧・復興になっていること、DXを活用することは必須条件です。これを外していると、大幅減点は避けられません。残りの2つは、DXを語れば必然として満たせるような条件です。みなさんの答案は、題意を外していませんか?ここが最初の山場です。

次に、注目する点は、(※)に示された注意事項です。電気・電子部門では、良く見る注意書きですが、建設部門でも明記されましたね。おそらく、観点を書かないで課題を書く解答者が多かったのでしょう。これは、出題者のやさしさと言えます。ま、まさか好意を無にしていないですよね…

本サイトをご活用いただいている方々であれば、「○○の観点から、××が課題である」は染みついていますよね。脊髄反射が発動していれば、全く問題ない条件と言えます。

あとは、いつも通りの形式になっています。注意点は、多面的であること(観点・課題が類似していないこと)、3つ書くこと(2つでも4つでもNG)くらいですかね。

問(2)

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

これは、いつも通りですね。重要と考えた理由を端的に添えるとGOODです(無くても可)。解決策については、具体策をたくさん書けましたかね?具体策が無い解決策は、一般論に見えてしまうケースが多いです。具体策=技術力なので、ここが充実しているかが合否の鍵といっても過言ではないと考えています。

みなさんの解決策には、具体例が書いてありますか?よくやってしまうのが、施策の説明を始めてしまうパターンです。解決策なので施策の説明というより、より具体的な行動を書く方が評価されると考えます。

また、解決策が重要であることから、その文量も1枚以上のスペースを用いて記載されていることが望まれます。もちろん、量よりも内容であることは言うまでもありません。しかし、質の高い解決策を書くということは、必然的に具体例がしっかりした内容、充実した内容ということになりますので、結果として1枚分は費やしてしまいます。

さらに、チェックポイントとしては、ご自身で提案した課題に即した解決策になっているかが重要です。課題と異なる解決策になっている場合、論点ズレということでこれまた減点対象となってしまいます。よって、課題に対する解決策になっているか要チェックです。

問(3)~(4)

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

はい、これもいつもと同じですね。ここでの注意点は、「解決策を実行して新たに生じうるリスク」という条件を満たすことです。最初からあるリスクや、解決策とあまり関係のないリスクは、適切とは言えません。ご自身の論文がどのような表現になっているのか要チェックです。

※先ほど「X」で教えてもらったのですが、Ⅰー2は「リスク&対策」なんですが、Ⅰー1では「波及効果+リスク&対策」になっています。リスク復活しています。あったり、なかったりと小賢しいです。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

これも、いつもどおりです。お決まりの文句でも書いておけばOKです。

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