予算の概算はキーワードの宝庫
【 技術士 二次試験対策 】
トレンドは引き続き防災・減災
8月27日に令和7年度の予算要求の内容が明らかになりました。予算は、国の動向を表す鏡です。どんなことに国が力を入れているのか一目瞭然となっています。つまり、国の予算資料は、キーワードを整理する上で大変役に立ちます。要チェックです(予算の概要はコチラ)。
国土交通大臣は、記者会見で「今回力を入れた点、防災・減災、国土強靱化等です。」と明確に解答しています。令和7年度も引き続き、防災・減災対策を理解することは必要不可欠と言えそうです。南海トラフ地震や能登半島地震と震災、今も台風10号の風水害が危惧されており、その対策が急務であることは誰の目から見ても明らかです。
さらに、大臣は「具体的には、「流域治水」の加速化・深化として、前年度比1.31倍の8311億円、南海トラフ巨大地震などの大規模地震対策の推進として、前年度比1.34倍の2771億円などを要求し、気候変動により激甚化・頻発化する水災害や切迫する南海トラフ巨大地震等への対策を進めてまいります。」と述べており、風水害、地震対策共に1.3倍を超える要求額になっています。
3本柱
予算要求は、当然ですが防災・減災だけに注力するわけではありません。防災・減災以外にも、持続的な経済成長に向けて、成長分野における国内投資を持続的に拡大し、賃上げにつながる人への投資、生産性の向上に寄与する戦略的な社会資本整備、DX・GX の推進が基本方針として示されています。
さらに、デジタル田園都市国家構想の実現に資する地域活性化の推進、「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開等に取り組む必要があるとしています。このように、防災・減災に加え、経済成長、地方創生と言ったねらいが示されており、これらを3本の柱として以下のとおり方針がまとめられています。
・国民の安全・安心の確保
・持続的な経済成長の実現
・個性をいかした地域づくりと分散型国づくり
では、このような3本の柱を実現するためにどのような公共事業が推進されるのでしょうか。国は、ストック効果の最大化に取り組むとともに、物価高騰対応や労務費も含め適切な価格転嫁が進むよう公共事業を推進するとしています。また、適正な工期設定、新技術の導入や iConstruction2.0 の推進などにも力をいれており、建設産業における処遇改善や働き方改革の推進も図っています。
コラムが面白い
予算なので、何にいくらといった情報が中心となるのですが、技術士 筆記試験に係るキーワード整理する上では、金額の多寡はあまり関係ありません(重要度を推しはかる意味では有効ですが・・・)。そこで、知識を蓄える側面から有効になるのが、予算要求の概要の後半部分に記載されているコラムです。
コラムは、次の項目立てを行い、取り組み概要を説明しています。
【コラム1】事前防災対策の重要性
【コラム2】防災・減災、国土強靱化の推進
【コラム3】流域治水プロジェクト2.0推進に向けた施策のベストミックスと流域総合水管理の推進
【コラム4】上下水道一体の機能強化(耐震化、DX)
【コラム5】線状降水帯・台風等の予測精度向上等に向けた取組の強化
【コラム6】高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化や4車線化による災害時の効果
【コラム7】能登半島地震におけるTEC-FORCEの対応
【コラム8】「待ったなし」のインフラ老朽化対策
【コラム9】海上保安能力の強化等の推進
【コラム10】ストック効果を重視した社会資本整備の戦略的かつ計画的な推進
【コラム11】交通分野におけるグリーントランスフォーメーション(GX)の推進
【コラム12】国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
【コラム13】持続可能な観光立国の実現
【コラム14】空港受入環境整備等の推進
【コラム15】物流の革新や持続的な成長に向けた中長期計画を踏まえた取組の推進
【コラム16】担い手の確保・育成や生産性向上による持続可能な建設業の実現
【コラム17】国土交通分野のバリアフリー化
【コラム18】空き家対策・所有者不明土地等対策の充実強化
【コラム19】「民族共生象徴空間(ウポポイ)」~アイヌ文化の復興・創造等の拠点~
【コラム20】地方への人の流れの創出・拡大に向けた二地域居住等の促進
【コラム21】持続可能な都市の実現に向けたまちづくりの深化・発展
【コラム22】「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開
【コラム23】社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の事業別交付決定額
こうやって並べると、やはり防災・減災が抜きん出て目立ちます。ついで、交通分野のトピックが多くなっていますね。ご自身の興味のある分野から、読み込んでいくと良いでしょう。これらの施策を理解するとともに、体系的な整理を自分自身で行うとより理解が深まるのでお勧めです。
予算概算要求概要を用いた学習
コラムを読み込んだら、次にやることは施策の理解です。予算概算要求概要に示されている施策は、以下のように、リード文+施策(箇条書き)といった構成になっています。リード文で、概略を理解した上で、施策を一つ一つ丁寧に調べていくことで、試験に必要な知識を蓄積していくと良いでしょう。
仮に、必須科目が選択式となった場合は、知識の蓄積にどれだけ時間がかけられるかが勝負となります。もちろん、論文形式であってもこれらの知識が無駄になることはありません。来年度の受験を考えている人は、今から少しずつ取り組むことをお勧めします。
また、口頭試験対策においても、国の最新動向を把握しておくことは有益です。筆記、口頭試験ともにこれらの内容を理解しておきましょう。試験に臨む姿勢は、「人事を尽くして天命を待つ」が基本です!