添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
口頭試験に関する質問
最近は、口頭試験に関するテーマばかりで恐縮です。しかし、合否が判明していないとはいえ、口頭試験は最大の関心ごとですよね。口頭試験の解説は種々行ってきましたが、本日は基本的な情報を確認していきたいと思います。
日本技術士会のホームページには、口頭試験に関する質問がまとめられています。あまりに基本的なことなのですが、万が一の勘違いを防ぐためにも要チェックです(日本技術士会のHPはコチラ)。以下に質問事項を転記しました。
口頭試験に関する質問
Q:試験の日時を変更できますか。
A:一切変更できません。試験日時は、筆記試験の成績通知と併せてお知らせします。(11月上旬発送予定)
Q:口頭試験の試験室で資料等を参照することはできますか。
A:試験中に資料等は参照できません。
Q:実務経験証明書の記載内容や口頭試験で受け答えた情報は守られるのですか。
A:技術士法第18条には「試験機関の役職員及び試験委員(現に試験委員である者又は、過去に試験委員を務めたことがある者)は試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない」と秘密保持義務が規定されており、関係者にはその内容を周知徹底しております。
これに違反した場合は、罰金に処されるとともに(技術士法第60条)、刑法その他の罰則が適用されます。(技術士法第18条第2項)
Q:口頭試験で不合格になった場合、翌年以降に筆記試験の免除はありますか。
A:免除はありません。
大事な点は、下の2つです。まず、秘密情報の取り扱いです。会社の秘密情報は、当然、第3者に漏らすことは許されません。しかし、上記の回答にあるように「試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない」と法的に担保されています。
すなわち、口頭試験においては、秘密情報扱いであってもバンバン回答してしまってOKということです。これ言っちゃって大丈夫かなという逡巡は不要です。心置きなく解答してください。これ知ってると知らないでは、大きな差が生まれます。ぜひご留意くださいませ。
次は、不合格になったら、筆記試験は免除されるのかという質問です。1級建築士は図面の試験がNGでも、もう一回チャンスを与えらえます。しかし、技術士試験は、口頭試験がNGだった場合、筆記試験からやり直しです。
この制度が口頭試験の重圧になるのです。口頭試験がNGで再受験は、相当の胆力を必要とします。是が非でも、口頭試験は合格したいものです。合格率は以前の記事のとおり、高めですので準備さえすれば、筆記試験ほど難しくありません。しかし、一定数不合格者がいることを肝に銘じ、油断せずに取り組むことが大切です。
論文
本日の添削LIVEは、お久しぶりの選択科目Ⅱー1祭りです。立地適正化に関する制度をテーマにした論文たちです。必須科目が平成30年度以前と同様に択一式問題になれば、本テーマは全員が必要となる知識なるでしょう。幅広い知識は、一朝一夕に身に付くものではありません。どのような問題形式になっても大丈夫なように今から少しずつ準備を重ねていきましょう。それでは、早速論文を見ていきましょう。
跡地等管理等区域
問題:跡地管理区域の背景、概要、特徴、メリットを述べよ
1.背景
立地適正化計画に基づき、居住誘導区域内に居住を誘導する一方で、居住誘導区域外の既存集落や住宅団地等に対して、引き続き良好な生活環境を確保することが求められている。
2.概要
跡地等管理等区域は、居住誘導区域外の既存集落や住宅団地等で発生する跡地等を適正に管理し、地域のコミュニティ形成や地域住民の余暇活動等の場として利活用する区域である①。当区域は、現存する跡地等に加え、今後発生のおそれのある空間的範囲の広がりを考慮②して定める。
また当区域は、跡地等の管理や利活用に必要な緑地等の整備に係る指針(跡地等管理等指針)を定め、跡地等の適正な管理を行う③。
① 「・・・区域は、・・・区域である」になっており、ねじれています。
② 空間的範囲の広がりとは何を指しているのでしょうか。言いたいことが何か分かりません。単純に「今後発生のおそれがある跡地を考慮」でよいのではありませんか。
③ 「区域は、・・・指針を定め、・・・管理を行う」との表現になっています。区域を主語にするなら、受身形にしましょう。
3 特徴とメリット
跡地等管理等区域は、公的な計画である立地適正化計画に位置付けられる区域であるため、行政の関与がある事が特徴④である。
そのため所有者等が、自ら適正な管理等を行うことが困難となった時、跡地等の適正な管理や整備が行うことができるよう、行政(市町村)から所有者等に対し、樹木の管理等の必要な情報の提供や支援を受けるできるメリット⑤がある。 以上
④ 行政の関与が区域の特徴と言えるのか疑義があります。
⑤ 跡地等管理指針を定めた場合、指導、助言、勧告ができるのではないでしょうか。また、区域のメリットという問題の意図も良く分からないのですが、この記述が区域のメリットなのでしょうか。
誘導施設整備区
問題:誘導施設整備区の背景、概要、特徴、メリットを述べよ
1.背景
土地区画整理事業の一般的な換地は、現位置換地であるため、小さく散在する空き地等の集約は、権利者の同意が必要であり、事務手続きに時間と手間を要していた。そのため都市機能を中心部に集約するための迅速な換地手法が求められていた。①
① スポンジ化対策が制度の背景ではないでしょうか。
2 概要
誘導施設整備区は、土地区画整理事業の事業計画に定め、空き地等の所有者の申出に基づいて当該空き地等の換地を誘導施設整備区内に集約する②。
結果、立地適正化計画に位置づけられた誘導施設を有する建築物の用に供すべき土地を確保③し、散在する空き地等の有効活用を図ることができる。
② 「誘導施設整備区は、・・・誘導施設整備区内に集約する」になっています。主語述語がおかしいです。
③ なぜ誘導施設を有する建築物の用に供する土地を確保できるのか分かりません。説明が必要です。
3 特徴・メリット
誘導施設整備区は、土地区画整理事業の街区であり、地区内の地権者の申し出により、集約換地ができることが特徴である④。そのため以下のメリットがある。
・地区内の損傷の激しい家屋の敷地や、低利用な青空駐車場も申し出が可能であり、土地利用の改変が迅速にでき⑤、賑わいを早期に生むことができる。
・関係権利者全員の同意を必要としないので、反対地権者や所在不明者がいても事業実施が可能である。
・申し出となる土地は、建築物を有さない更地が対象のため、申し出をする場合は、自己費用で解体となり、補償費等の支出が抑制できる。⑥ 以上
④ 文末は異なりますが、同じことが何度も説明されているように見えます。
⑤ 土地利用の改編は、地権者の意思次第でいるでもできるのではありませんか。
⑥ 全体として、誰のメリットなのか不明です。整理整頓が必要です。
立地誘導促進施設協定
問題:立地誘導促進施設協定制度の背景、概要、特徴、メリットを述べよ
1.背景
地域コミュニティが、公共性を発揮し、継続的に自分たちの活動拠点となる空間の確保と、地域活力の低下等を招く空き地、空き家等の低未利用土地の発生抑制を目的とした制度が求められていた①。
① 主語述語がおかしいです。「地域コミュニティが、・・・制度が求められていた」になっています。主語述語は、最初と最後を直接つなげるとおかしいか否かが判断できます。必ず、自分でチェックするようにしましょう。また、公共性を発揮することと、空間を確保することがつながっておらず、何が言いたいのか分かりません。
2.概要
都市機能誘導区域や居住誘導区域で空き地や空き家を活用し、交流広場、コミュニティ施設など地域コミュニティが共同で整備管理する空間・施設②について地権者全員の合意により協定を締結する。
市町村が協定を認可することにより、土地所有者に承継効が付与され、安定した利用ができる③。また活動を広げるため、市町村は、周辺地権者の参加を促すことができる④。
都市再生推進法人が管理する公共施設等は、固定資産税・都市計画税が軽減される。
② 協定の内容が良く分からないです。
③ 誰が何を利用できるのか明確にしましょう。
④ 市町村が能動的に動くのでしょうか。協定締結者が市町村長に要請できる仕組みではありませんか。
3.特徴・メリット
市町村長の認可を受け、承継効が生じることが特徴であるため⑤、相続による通路等の滅失を回避できるなど、地域住民(利用者)が立地誘導促進施設を安定的に使用できるメリットがある⑥。また協定の対象となる施設は法令で限定されていないため、幅広い施設に活用できる特徴があり、土地所有者(オーナー)にとって、まちづくりへの積極的な参加や貢献できるメリットがある。 以上
⑤ 前述の概要と重複しています。説明済みなので、「継承効によって、・・・メリットが生じる」で良いと思います。
⑥ 「地域住民が、・・・メリットがある」となっており、構文がおかしいです。⑤と合わせて修正すると「継承効によって、相続による通路等の滅失を回避できるなど施設の継続利用が担保され、地域住民にとってのメリットが生じる」