添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
白書、予算だけじゃない
試験対策を進めるうえで、どのような資料を参考にしていますか。白書は王道中の王道ではありますが、過去の取組みをまとめたものなので、どうしても最新情報を把握するにあたっては、少々役不足が否めません。
そこで、国が注力している施策・制度を把握するために、次年度予算を確認することを以前お勧めしたところです(過去の記事はコチラ)。これで、必須科目Ⅰの出題傾向をおおよそ予測できると思います。前回の記事ではクロス科目戦略をご紹介したので、選択科目Ⅲのネタとしても予算は有効です(前回の記事はコチラ)。
では、選択科目Ⅱの傾向と対策は、どのようにすればよいのでしょうか。正直、選択科目Ⅱの予想が一番難しいです。範囲が絞りづらいうえに、ピンポイントで出題されますのでなかなか的中させることは難しいです。よって、学習方法は論文作成に加え、キーワード集の作成が必要です。
つまり、総当たり戦、またはローリング作戦といったところでしょう。知らないことが出題されては、歯が立たないので、必要な知識を広げるしかありません。しかし、ローリング作戦を実行するにしても、出る可能性が高いものから取り組んでいった方が効果的であることは言うまでもないでしょう。
出る可能性が高いものを絞り込む方法について考えてみましょう。必須科目や選択科目Ⅲと同様に、時事的なテーマが選択科目Ⅱでも重要となります。「じゃあ、見る資料は一緒じゃん」という結論に至ってしまいますが、さすがに予算では広く浅い知識しか身に付きません。
歴史の問題で例えるなら予算は通史であり全体を把握するのには良いのですが、これだけで受験を突破できるはずもありません。選択科目Ⅱー1で出題されるのは、歴史の問題と同様にもっと深い細部の情報が求められます。
このことから、時事的なテーマから細部の情報を拾い集めることが、選択科目Ⅱにおける勉強方法ということになります。この情報収集は、国で開催されている審議会・委員会等の資料を見ると良いと考えています。
これらの資料は、近年の社会問題を解決するための議論が中心となており、時事的な背景を持っています。そうなると、ここにでてくるキーワードが問われる確率は高いと言えます。特に、とりまとめ、中間とりまとめなど一定程度考えがまとめられているものは、さらに重要資料と考えられます。
キーワード集を作成し、真に理解したうえで頭の中に叩き込むという作業は、思いのほか時間のかかるものです。試験前は特に焦りも出てきますので、今からじっくり知識を蓄えることが肝要です。さあ、自分オリジナルのキーワード集を作成しましょう。
論文
本日の添削LIVEは、令和6年度 建設部門 都市及び地方計画 選択科目Ⅱー1、Ⅱー2になります(以前の添削はコチラ)。幾度かの推敲を経て、今回、堂々の完成を迎えています。選択科目Ⅱは、文脈がどうのこうのというより、必要な情報が漏れなく適切に述べられているかが重要になります。そのため、勘違いした知識や、説明の不足はご法度です。正しい理解と重要な要素を端的に説明する力が必要です。今回は、それらの条件を満たした美しい仕上がりになっています。
PFI事業の特徴【完成】
(1)PFI事業と従来型の公共事業の比較と特徴
比較と特徴として、次の3点があげられる。
1点目は、財源である。従来型の公共事業の財源はすべて公的資金であるのに対し、PFI事業の財源は民間資金を活用する。
2点目は、運営である。従来型の事業では、安定して公共サービス提供ができる一方、PFI事業では民間のノウハウや、創意工夫による効率的・効果的な公共サービスの提供ができる。
3点目は、リスク負担である。従来型では、公共セクターが全リスクを負担するが、PFI事業ではリスクを最も効率よく管理することができる者が当該リスクを分担する。
(2)PFI事業により期待される効果
①コスト削減
民間事業者の資金とノウハウを活用することで、イニシャルコストや運営コストの削減が期待できる。
②効率性の向上
市場競争原理により、効率的な社会資本整備が可能である。また、設計から運営まで一元的に管理することで、事業全体のリスク管理も効率的に行える。
③公共サービス水準の向上
民間事業者のノウハウを活用することで、従来型と同じコストであっても、高品質の公共サービスの提供が期待できる。 以上
小規模な土地区画整理事業【完成】
1. 調査、検討すべき事項とその内容
(1)上位・関連計画の調査
自治体の総合計画等から、都市の目指す方針を把握する。また、立地適正化計画等の関連計画から都市機能の誘導方針を確認する。これらの計画に位置付けられている都市機能が本事業で誘導できるか検討する。
(2)区画整理手法の検討
都市計画基礎調査等から、既成市街地での宅地や低未利用地の位置を把握する。また、インフラ整備の必要性を把握するため、整備状況や都市計画情報を調査する。これらから、対象区域に適する集約換地や敷地整序型土地区画整備事業等の区画整理手法を検討する。
(3)権利関係の把握
事業対象となりうるエリアでの、空き家や空き地等の権利者を確認する。また、登記情報から土地所有者の数や所有権以外の権利等を確認する。加えて、これらの情報を基に、所有者不明土地の有無を確認する。
2.業務を進める手順と留意点、工夫点
①課題の整理
調査結果を基に、事業を進める上での課題を整理する。特に、地域固有の課題把握に留意する。
②施工区域及び誘導施設整備区の設定
事業の施行区域や誘導施設整備区を設定する。設定に際しては、移転補償物件は必要不可欠な物件のみを対象とする等、事業区域が最小限となるよう留意する。また、法定申出による手戻りの発生を抑制するため、申出基準を工夫することにより、認可前に申出量等を固め、換地設計の変更が生じないようにする。
③目指すべき都市の方針の検討及び施策の立案
課題や関連計画を踏まえ、土地利用・誘導施設の方針を検討するとともに、方針を実現するための施策を立案する。検討にあたっては、アンケート等を行い地元の意向に沿った方針となるよう工夫する。
④地元との合意形成
検討した方針や施策について、地元説明会を通じて合意形成を図る。整備ステップを模式化するなど見える化を行い、円滑に合意形成できるよう工夫する。
⑤事業手法及び主体の選定
方針を実現するための事業手法及び実施主体を決定する。民間開発の機運が高まっている場合は、一体的整備を検討する等、地域の実情に合った事業となるよう留意する。
⑥スケジュールの設定
事業完了までのスケジュールを設定する。
3.調整方策
関係者との調整は、客観的な情報に基づき実施する。
小規模な土地区画整理事業では、都市計画決定を必要としないことから、地元に対しては、一方的な情報提供ではなく、懇談会やワークショップを通じて双方向かつ具体的に調整する。 以上