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技術士 二次試験対策 令和7年度予想問題 と 論文投稿 「都市緑地」

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【 技術士 二次試験対策 】

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またまた予想問題の投稿です!

「Society5.0×国土強靭化」に引き続き、今回も投稿者による 予想問題 & 論文 をお届けします。お寄せいただいた問題は、建設部門都市及び地方計画の選択科目Ⅲになります。テーマは、「都市緑地」が設定されています。

都市緑地に関しては、令和6年度に都市緑地法が改正されています。この時点でもうきな臭いのですが、さらに同年12月には、「都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針」(緑の基本方針)も策定されています。

技術士 二次試験対策 緑の基本方針
緑の基本方針(https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000153.html

この基本方針を見てください!まず、示された意義「気候変動対策」、「生物多様性の確保」、「Well-beingの向上」、「都市における生産機能、循環型社会への寄与」、「都市のレジリエンスの向上」、「歴史や文化の形成、美しい景観の創出、環境教育・生涯学習の場としての活用」、「ESG投資の拡大、気候関連・自然関連情報開示への対応」どれも必須科目のテーマになりそうなものばかりです。

さらに、個別目標に目を向けるこれらの意義が収れんされ、3つに絞られています。端的に言うと「カーボンニュートラル」、「ネイチャーポジティブ」、「well-being」です。はい、もうこれは建設部門の必須科目で用意すべきものと言ってよいでしょう。

このような背景を持つ都市緑地ですが、とんでもない記述がポツンと書いてあります。その記述とは、「市街地については緑被率が3割以上を目指す」です。最新の全国の市街化区域等全体における緑被率は23.2%ですよ。本気ですかね・・・

おそらく、もっと上流の背景を考えてみると、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」いわゆる「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」を睨んでのものと考えます。

30by30は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。カーボンニュートラル目標にせよ、30by30にせよ、みんな2030年が目標年次です。つまり、あと5年しかないんですよ。短っ!

緑地は保全するだけでも至難の技なのに、7%もどうやって増やすんですかね!?この法改正に増やす手立ても当然あるんだろうと期待して読み進めると・・・機能維持増進事業、民間投資を呼び込むための認定制度!?こりゃ、ヤバイ!

そんな疑問を持ちつつ、投稿された問題は、どストレートに緑豊かな都市を形成するための緑地の保全や創出になっています。いかに、難攻不落のこの社会問題をどのように解決へと導くのか、興味深いですね。ネイチャーポジティブは、必須科目で出題されてもおかしくありません。全員必読です。

「都市緑地」

9 建設部門(都市及び地方計画)【選択科目Ⅲ】

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び回答せよ。(解答問題番号を明記し、
答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度(Well-being)の向上等の課題解決に向けて、都市において緑地の質・量両面での確保等を推し進めるための「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が閣議決定された。我が国では、緑地の持つ機能への期待が高まっている一方で、世界と比較して都市における緑地の充実度が低く、また減少傾向にあるとの課題がある。
こうした状況の中、国全体として都市計画区域を有する都市の緑地を郊外部も含め保全・創出し、そのうち市街地については緑被率が3割以上となることを目指すとともに、環境への負荷が小さく、Well-beingが実感できる都市を構築する必要がある。このような都市を構築するにあたり、以下の問いに答えよ。

(1)緑豊かな都市を形成するために緑地の保全や創出に取り組むにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

(3)前門(2)で示した解決策に関連して新たに浮かびあがってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ

論文

1.多面的な課題
(1) いかにグリーンインフラをビルトインするか
 気候変動対策等の喫緊の課題に対し、都市緑地の重要性は流域治水への貢献等、より一層高まっている。一方、我が国の都市緑地の充実度は世界主要都市と比較して低い水準に留まっている。そのため、都市機能の中で自然やその機能を積極的に導入・活用していくことが重要である。よって、都市環境の観点から、グリーンインフラのビルトインが課題である。


① 「喫緊の課題に対し」とすでに言っているので、この例示は不要ではないでしょうか。
② ここは逆接ではないでしょうか。→「しかし」
③ 都市機能の中で導入とはどういうことでしょう。「都市の中に」、「既成市街地に」などが言いたいことですかね。分かりやすい表現を心掛けましょう。また、気候変動の緩和や都市緑地が少ないといった背景しか書かれておらず、なぜ自然が持つ機能を生かすグリーンインフラが重要なのか論理だてた説明になっていません。緑地は多面的機能がある(現状)→緑地少ない(問題点)→多面的機能を生かす(必要性)→結論 このような順序で説明したら、分かりやすくなると思います。
→「都市緑地は、水源涵養、温室効果ガスの吸収源といった多面的な機能を有している。しかし、我が国の都市緑地の充実度は、世界主要都市と比較して低い水準に留まっている。防災、温暖化防止など喫緊の課題に対し、都市緑地の持つ機能を活用することが求められている。」


(2)いかに地域のニーズに適合するか
 これまでに、緑の機能は人口や経済の成長と共に、環境面での役割が重視されてきた。しかし、人口減少が深刻化する中、地域コミュニティ等の活力を維持向上させる役割が求められてきている。そのため、都市の実情等を踏まえつつ、柔軟に緑の機能を取り入れることが重要である。そのため、よって、持続性の観点から、地域のニーズに合った整備が課題である。


④ 環境面での役割が抽象的で分かりません。
⑤ 人口減るとなぜコミュニティの活力を維持向上させる役割が求められるのですか。説明不足で、なぜそのような考えに至るのか理解できません。核家族化、地縁的つながりの希薄化、共働きが増え地域活動の参加が困難といった影響もあるのではないでしょうか。
⑥ 前段の背景は、緑の役割が変わってきているということが述べられています。この変化と都市の実情がどのように関係しているのですか。文前後の関係が希薄で、支離滅裂に見えます。前段を受けた論述展開が望まれます。
⑦ 削除。
⑧ 背景自体がよく分からないので、なぜ持続性なのかも分かりません。
⑨ 何の整備ですか。


(3)いかに民間投資を呼び込むか
 緑豊かな都市環境の形成には、民間事業者による再開発等と併せた緑地の創出が重要である。しかし、緑地の創出にあたっては、収益が出しづらいという認識から取り組みが限定的である。そのため、民間投資の誘導や融資を受けやすい体制を構築し、導入へのハードルを下げることが求められる。よって、仕組み面の観点から、民間投資の呼び込みが課題である。


⑩ 都市環境の観点は、最初に述べているので違うアプローチにしましょう。例えば、問題文にある「市街地の緑被率を3割以上にする」などどうでしょうか。
⑪ 「緑地の創出に当たって」は収益にかかるのであれば(限定的も同様)、違和感があります。→「緑地の創出は収益を出しづらい」
⑫ →「事業者の取り組み」
⑬ 何の導入か明確にしましょう。おそらく緑地だと思いますが、この場合は前述のとおり創出にすべきでしょう。そうなるとハードルがおかしいので、緑の創出を促す必要があるといった具合になると思います。


2.最も重要な課題と解決策
 他分野との相乗効果が期待できるため、「いかにグリーンインフラをビルトインするか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。

(1) 都市空間の活用
①建築物の緑化
 屋上・壁面の緑化を促進することで、遮熱効果による空調の省エネ化を図る。また、屋内外の空間において連続的に緑を配置するバイオフィリックデザインを導入することで、温室効果ガスの吸収とウェルビーイング向上の相乗効果を生み出す。


⑭ どうやって促進するのかを書かなないと一般論を脱することができません。都市及び地方計画の専門家としての知見をお披露目する必要があります。例えば、「都市緑地法第34条や地区計画に基づき緑化率を条例で定める」、「建築物の屋上や空地など敷地内を緑化する計画(緑化施設整備計画)を認定する」、「屋上緑化を行うことで建物の容積率を緩和・割増する」などが考えられます。選択科目Ⅲは、どれだけ専門科目の知識をアピールできるかがポイントです。
⑮ ⑭と同様。


空間地の緑化
 空き家や開発で発生した空閑地をクラインガルテンとして活用する。さらに、グリーンインフラの機能を説明する看板や地表面温度の測定器を設置し効果を見える化することで住民の環境意識の醸成を図る


⑯ →「空閑地」
⑰ 行動の目的がほしいところです。
⑱ 見出しの内容と関係ないように見えます。また、このパラグラフも、文脈はともかく述べている内容は技術的といえますが、専門分野に特化していません(必須科目ⅠならOK)。もっと、都市及び地方計画に偏重した知識(既存の制度、仕組み、取り組みなど)に基づいた解決策としましょう。空閑地の活用であれば、市民緑地認定制度、立地誘導促進施設協定などが思い浮かびます。


(2) 流域治水との連動
 緑地が有する雨水の貯留・浸透機能を活用するため、都市公園の整備を推進する。整備にあたり、芝生等によりオープンスペースを確保し、地下空間には雨水貯留施設を設置する。これにより、避難スペースと雨水貯留機能を兼ねた空間が創出される。さらに、公園内の水がたまりやすい低い箇所に、レインガーデンを設置する。周辺に降った水を集めてゆっくりと地下に浸透させることで、下水道への負荷軽減や地下水涵養に貢献する。治水と環境が両立した都市公園の整備により、生物多様性の保全・創出への貢献も期待できる。


⑲ このパラグラフもこれまでと同様、専門分野に特化していません。流域治水でアプローチするなら、「緑の基本計画と立地適正化計画の連携の強化」→「貴重な樹林地を居住調整地域に指定」・「河川上流にある緑地を特別緑地保全地区に指定」などが考えられます。


(3)里山林のフットパス整備
 少子高齢化に伴う農林家の減少により管理不足となる里山林を、フットパスとして整備する。整備にあたっては、地域の保全団体や小学校等と協働して実施する。これにより、地域イベント等を通じて定期的に管理・改善できる体制を構築する。このような農林地の適正管理により、スプロール化の防止も期待できる。


⑳ これも同じですね。間違ってはいないのですが専門性に欠けます。農林値なので市街化区域なのか不明ですが、「ウォーカブルなまちなかづくりとしてのフットパスにする」、新しいところで言えば「機能維持増進事業を活用する」といったことも良い提案になるのではないでしょうか。
※  解決策は、総じて専門性が欠如しています。専門的知見に立った解決策を検討し、修正した方が良いでしょう。


3.新たなリスクと対応策
 上記の解決策の実行により、都市全体の緑被率が向上する。また、緑の蒸発散機能によるヒートアイランド現象の緩和といった効果も期待できる㉑。他方で、自然は有機的に変化するため適正管理がされない場合には、機能不全や荒廃化のリスクが生じる
解決策として、都市公園の整備にあたっては、P-PFI制度を導入する。民間ノウハウを活用した効率的な管理体制により、ランニングコストの削減等を図る。また、樹木は3D都市モデルとアプリを併用した管理を行う。アプリによる樹木腐朽判定を行い、その情報を3D都市モデルに落とし込むことで、俯瞰的な樹木管理が可能となる。活用にあたっては、住民参加型とし地域のまちづくり団体等によって樹木情報の収集・更新を行う。継続的な市民参加を推進することで、地域住民の環境意識の向上にも寄与する。㉗ 以上


㉑ 波及効果は聞かれていないので不要。
㉒ 有機的に変化とは何が言いたいのでしょう。成長、枯損といった変化が言いたいことですかね(有機質?一団であること?)。分かりづらいです。
㉓ もともと存在するリスクであり、「新たな」という条件を満たしていません。緑地の増加に伴い、管理労力の不足が顕在するといった側面からアプローチしないと条件を満たせません。
㉔ なぜ公園に限定するのでしょうか。樹林地や自然林はどうするのですか。片手落ちです。
㉕ 俯瞰的な樹木管理とはどのような管理ですか。
㉖ 何を活用するのですか。
㉗ 難しいのですが、新たなリスクへの対応も専門的知見を示す必要があります。公園の統廃合、緑法人の活用、市民緑地契約制度などなど

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