添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
デジタル田園都市国家構想(デジ田)とは
一言でいえば、「デジタルの力で地方を元気にし、持続可能な国土をつくる」という国家戦略です(内閣府の紹介ページはコチラ)。主な柱は次の3つです。
①デジタル基盤の全国整備
光ファイバ、5G、クラウド、データ連携基盤など、地域DXの“基礎体力”をつくる取り組みです。
②地方への人・投資の循環
テレワーク、地方移住、地域産業の高度化など、地方に活力を戻す施策です。
③持続可能な国土構造の再構築
コンパクト+ネットワーク、広域連携、災害に強い国土づくりなど、建設技術者が深く関わる領域です。
「デジタルの話かな?」と思いきや、実は建設技術者の出番が非常に多い構想なんです。
技術士試験で問われる視点
デジ田は、建設部門の必須科目で出題されても不思議ではありません。特に次の3点が狙われやすいポイントです。
(1)背景を構造的に説明できるか
背景を“ただ並べるだけ”では弱く、因果関係を意識した構造化が必要です。
【背景の整理例】
- 人口減少・少子高齢化
- 地方の衰退と都市への過度な集中
- 気候変動による災害リスクの増大
- インフラ老朽化と維持管理費の増大
- デジタル化の遅れ
- 地域間のサービス格差
このあたりを押さえておくと、答案の“地盤”がしっかりします。
(2)建設技術者としての課題認識
デジ田は、建設技術者の課題そのものです。
【押さえるべき課題】
- 地方インフラの維持管理負担
- 公共交通の衰退
- 災害時の孤立リスク
- データ基盤の不足
- 担い手不足
- 低密度な都市構造の非効率性
「デジタルで全部解決!」と書くと減点されるので注意が必要です。
(3)建設部門としての貢献を示せるか
構想を“説明するだけ”では不合格ラインです。
建設技術者として何をするのかを明確に示す必要があります。
【貢献の例】
- コンパクト+ネットワークの都市構造再編
- スマートインフラ(IoT・センサー・デジタルツイン)の導入
- 維持管理DX(BIM/CIM、点検ロボット等)
- 災害に強い広域ネットワーク整備
- MaaSやオンデマンド交通による地域交通再編
- グリーンインフラの活用
「デジタル」と「土木」の接点を語れると強いです。
答案で使えるキーワード
試験官が“おっ、この受験者は政策を理解しているな”と思うキーワードをまとめます。
【国土政策系】
- コンパクト+ネットワーク
- 多極分散型国土
- 広域連携
- 国土強靱化
- レジリエンス
- 地方創生
【デジタル系】
- デジタルツイン
- BIM/CIM
- データ連携基盤
- スマートインフラ
- MaaS
- スマート農業・スマート物流
【建設技術者の視点】
- インフラ老朽化対策
- 維持管理の効率化
- 合意形成
- 地域特性の考慮
- 災害リスク評価
論述での留意点
デジ田を答案に書く際の注意点です。
(1)デジタル化を“目的化”しない
デジタルはあくまで手段です。
目的は「地域課題の解決」と「持続可能な国土構造」です。
(2)地方の現実を踏まえる
人口減少、財政制約、担い手不足など、地方の“現実”を無視した理想論はNGです。
(3)建設技術者の視点を必ず入れる
政策説明だけでは行政論文になってしまいます。
技術試験は“技術的視点”が必須です。
デジタル田園都市国家構想
本日の添削LIVEは、建設部門の必須科目Ⅰを想定したデジタル田園都市国家を背景とした地方都市のデジタル化といった問題です(問題は大人の事情で掲載できません)。前述のデジタル田園都市国家構想をご自身ならどうやって生かすかといった視点でご覧いただくと、得るものが多いと思います。それでは早速論文を見ていきましょう。
(1) デジタル実装を通じた地域①活性化の課題
1)暮らしに必要なサービス提供(技術面の観点)
近年の人口減少、東京圏一極集中に影響により②、地域の暮らしを支える生活サービス提供機能が低下・喪失する恐れがある。このような状況を解決するには、デジタル技術を活用し、生活サービス提供の効率化・自動化等を図る必要がある③。よって、デジタル技術を駆使した地域の生活サービス機能向上が課題④である。
① 問題文は「地域」ではなく「地方」です。※以下同様。
② このような状況は問題に書いてある内容であり、これらの影響で何が変わり生活サービス提供機能が低下するのかを書くべきです。
③ ②の通り、なぜサービス提供機能が低下したのかといった仕組みが説明されていないため、なぜデジタル技術の活用が必要なのか、なぜ効率化・自動化を図る必要があるのかといったことが分かりません。さらに、生活サービスも幅が広すぎて、問題点も必要性もイメージできません。説明不足です。
④ 文中にも観点の記述がほしいです(以下同様)。また、技術面の観点からデジタル技術を駆使したサービス機能向上では、観点と課題が重複しているように見えます。さらに、デジタル実装を通じて地方の課題を解決するための課題を書けと言われているのに、その解決策がデジタル技術の活用では、回答になっていないと思います。これは、「おいしい料理を作るための課題は」と聞かれているのに「おいしく作ることが課題」と答えているようなものです。デジタルの実装は条件なのですから、どんなデジタル技術なのかといったところまで踏み込む回答が求められます。
2)デジタル環境の整備(担い手確保の観点)
地方の活性化を図るため、「まち・ひと・しごと創生総合戦力⑤」が施行されてきた⑥が、人口減少⑦や東京圏一極集中の流れを変えるには至っていない。地方の担い手不足⑧を解消するには、関係人口の創出・拡大や二地域居住等を図る必要がある⑨。よって、遠方からも地域の経済活動に関われるような、デジタル環境の整備⑩が課題である。
⑤ →「まち・ひと・しごと創生総合戦略」
⑥ →「進められてきた」
⑦ 同戦略は、人口減少を目的としているのですか。内閣府のHPでは、「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することを目指します。」人口減少は課題の一つであり、目指すしていることは、下線部の通りです。
⑧ 地方の担い手とは何ですか。
⑨ ここは課題を書くところです。解決策の記述に見えます。
⑩ 観点については、⑧と同様です。また、課題については、担い手不足という問題点がよく分からないので、何とも言いいにくのですが、少なくとも経済活動云々は何の説明もなく唐突です。「地域の経済活動に関われるような、デジタル環境の整備」これも何を言いたいのかよく分かりません。例えば、⑨の必要性は、関係人口の拡大にとどめ、二地域居住に必要な環境整備を課題にするといった構成であれば分かりやすい課題提起になると思います。
3)デジタルサービスのカタログ化(コストの観点)
地方の人口減少の影響で、生活に必要なサービスを提供する自治体や企業が財源不足に陥りつつある。デジタル技術を駆使することで、効率的なサービス提供に繋がるが、初期投資に多大なコストがかかる⑪。以上から、デジタル実装の優良事例のサービス、システムをカタログ化することで、発注コストを低減することが課題⑫である。⑬
(次頁へ続く)⑭
⑪ サービスが何なのか、デジタル技術が何のか分からない中で、効率的なサービスにつながるといった説明は説得力に欠けます。同様に、何も示されていない中でコストがかかると言われても理解できません。
⑫ なぜカタログ化するとコストが下がるのですか。また、発注コストとは何を指しているのですか(初期投資のことですかね)。説明不足です。
⑬ 課題すべてに言えることですが、すべてが抽象的で一般論に見えます。問題にある「技術者としての立ち場で」という条件を満たしていないと思います。
⑭ 不要。
(2) 最重要課題と解決策
「暮らしに必要なサービス提供」が最も重要な課題と考える。なぜなら、生活サービスが行き渡るか否かは、地域の存続に関わる根幹的な問題⑮だからである。
⑮ まず、これは問題ではなく課題です。また、本課題は、サービスの存続ではなく、「生活サービス機能向上が課題」としています。課題の主旨が変わっています。不整合です。
1)建設・都市分野のDX
建物内外からエリアレベルのスケールまでシームレスに再現したデジタルツインを構築する。具体的には、建築BIM、PLATEAU、不動産IDを一体的に推進することで実現させる。構築した高繊細なデジタルインフラを、まちづくりや防災等のシミュレーションに活用⑯することで、生活サービスの質的向上を図る。
⑯ シミュレーションに活用することと、生活サービスの質的向上が図られることとどう関係しているのか全く分かりません。技術を列挙するだけでなく、生活サービスの質的向上が図られる仕組みを説明しないと読み手は理解できません。
2)交通分野のDX
デジタル技術を活用することで、地方で衰退しつつある公共交通の利便性・生産性を高める。具体的には、AIを活用した効率的な配車を行うAIオンデマンド交通を導入する⑰。また、複数の交通手段をシームレスに結びつけるMaaSを導入する。さらに、道の駅等を拠点とした自動運転サービス展開を推し進める⑱。
⑰ 何の配車をするのですか、バスですかタクシーですか。また、なぜ利便性が上がるのか、なぜ生産性が上がるのか、これも仕組みが書いてありません。「具体的には」とありますが、具体的な説明になっていません。
⑱ ⑯、⑰と同様。
3)物流分野のDX
過疎地域におけるラストワンマイル配送の持続性を確保⑲する。具体的には、離島や山間部等、厳しい環境におけるトラックや船舶の代替配送手段として、ドローン物流の社会実装を進める⑳。さらに、自動運転トラックの社会実装を推し進め、過疎地域のドライバー不足を補う㉑。これにより、各地域に配送を行き渡らせる。
⑲ ラストワンマイル配送とは、物流における最終拠点からエンドユーザーの手元に荷物が届くまでの配送区間のことですよね。区間の持続性とは一体どういうことでしょうか。
⑳ 分かりづらい表現です。端的な表現に努めましょう。→「ラストワンマイル配送が離島や山間部などである場合、トラックや船舶の代替としてドローンを活用する。」
㉑ 「さらに」とあるので、この解決策は「ラストワンマイル配送の持続性を確保」の例示に見えます。
(3) 解決策を実行しても生じうるリスクとその対策
1)新たに生じうるリスク
デジタル技術を活用した生活サービスの提供には、多数のIoTデバイスや多様なデータが取り扱われるため、サイバー攻撃等によるセキュリティ上のリスクが懸念される。
2)リスクへの対応策
暗号化やアクセス制限等のセキュリティ対策の徹底や、従業員等へのデジタルリテラシー教育をする。これにより、業界全体でセキュリティの脆弱性を除去する。
また、重大なインシデント発生時の対応体制を構築する。デジタル技術の活用においては多数の事業主体が連携する中で、インシデント対応の責任を明確化しておく㉒。これにより、インシデントへの迅速な対応が可能となる。
㉒ 考え方はその通りなのですが、対応策ですから、どうやって明確化するのかまで書きましょう。
(4) 技術者倫理と社会の持続性に関する留意点
技術者倫理に関しては、公衆の安全と健康及び福利を最優先に考慮する㉔。サービスの利便性を求めるがあまり、安全性や品質を損なわないよう留意する㉕。
社会の持続性に関しては、環境や生態系への影響を最小限に抑えることに配慮し、将来世代にわたって持続可能な技術選択をする。具体的には、DXと並行してGXの取組を推進する㉖。
以上
㉔ 聞かれていることは考慮事項ではなく、要件です。聞かれていることに明確に答えましょう。→「・・・最優先にすることが要件である」
㉕ この問題では、留意点は問われていません。
㉖ 文末表現については、㉔のとおり。DXと並行してGXを推進することが、技術を選択することの事例として挙げられていることに違和感があります。

