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技術士 二次試験対策 因果を設計せよ! 「食糧安全保障」 チェックバック

論文添削
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【 技術士 二次試験対策 】

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原因が分かれば対策は簡単!

技術士第二次試験では、与えられたテーマに対し、現状・問題点・課題・解決策を論理的に構成する力が求められます。しかし、複数の答案を添削していると、内容自体は正しい方向性を持ちながらも、論理のつながりや観点の整理が不十分なために説得力を損ねてしまうケースが繰り返し見られます。

本記事では、以前お届けした令和7年度農業部門必須科目Ⅰ「食糧安全保障」 チェックバックをまとめてご紹介します(初稿はコチラ)。二つの添削結果に共通して現れた“答案の弱点”を一般化し、改善のための視点を体系的に整理します。

■ 1. 現状と問題点の境界が曖昧になる

多くの答案で、現状説明が長くなる一方、問題点が十分に示されず、課題設定の根拠が弱くなる傾向があります。特に、背景で示した事象と問題点が同義反復になり、論旨が前に進まない構造が散見されます。

●改善の視点

  • 現状 → 問題点 → 必要性 → 課題
    という因果の一本道を明確にする。
  • 現状と問題点を同じ語で繰り返さない。
  • 問題点は「何が・なぜ・どのように困るのか」を具体化する。

これにより、課題設定が背景の延長線上に位置づき、文章全体の一貫性が高まります。

■ 2. 観点と結論の不整合

背景で示した問題点と、最後に示す課題の観点が一致していないケースも多く見られます。
例えば、省力化が進まないという問題を示しながら、課題の観点が省力化そのものになってしまうなど、因果が循環してしまう構造が典型例です。

●改善の視点

  • 観点は「問題点の上位概念」に置く。
  • 同義反復を避け、観点を変えることで論旨を前進させる。
  • 「〜ため、〜が課題である」という構文で因果を明示する。

観点の整理は、答案の説得力を大きく左右します。

■ 3. 用語の重複・概念の多用による冗長化

複数の答案で、同じ概念を繰り返し用いることで、読み手に「同じことを言い換えているだけ」という印象を与えてしまう例が多く見られました。
特に、収益性・省力化・持続可能性など、中心語ほど多用されがちです。

●改善の視点

  • 同義語の連発を避ける。
  • 観点を変えて表現する。
  • 必要な箇所だけに絞って使う。

語の整理だけで文章の密度が大きく向上します。

■ 4. 必要性だけが述べられ、問題点が示されない

「〜が必要である」という表現のみが続き、なぜ必要なのか、何が問題なのかが書かれていない答案も散見されました。必要性は“問題点を踏まえた結果”であり、単独で書くと説得力が弱くなります。

●改善の視点

  • 必要性は任意であり、必須ではない。
  • 問題点 → 課題 の流れを優先する。
  • 必要性を書く場合は、必ず根拠を添える。

■ 5. 解決策の構成が不十分

解決策の段落では、目的・実施内容・効果を整理して書くことが求められますが、
・現状説明が混ざる
・例示が論点とずれる
・機器紹介に終始する
といった問題が複数の答案で確認されました。

●改善の視点

  • 目的 → やること → 具体例 (→効果) の構成を徹底する。
  • 例示は「なぜその技術が必要なのか」という技術的根拠とセットで示す。
  • 作業の軽減だけでなく、ボトルネックの解消や精度向上など“技術的理由”を明示する。

技術士試験では、単なる紹介ではなく、技術的因果の説明が求められます。

■ 6. リスク・環境影響の記述が抽象的

リスクや環境影響を扱う設問では、抽象語が並び、因果の筋道が示されない答案が多く見られました。
また、影響の主体や範囲が曖昧なまま書かれるケースもあります。

●改善の視点

  • リスクは「技術特性に基づく発生要因」で書く。
  • 影響は「現場で起こる具体的な結果」で書く。
  • 抽象語ではなく、因果の順序を明確にする。

■ 7. 解決策が後追い対応に偏る

リスク対策で、マニュアル化や訓練などの後追い対応だけを書くと、根本対策が欠けてしまいます。

●改善の視点

  • 予防(脆弱性対策、基準整備、インフラ強化)
  • 検知(異常検知、監視)
  • 対応(手順整備、訓練)
    の三層構造で書くと、技術士らしい答案になります。

■ 8. 業務遂行要件が一般論に終始する

倫理・社会性の設問では、一般論だけを書き、テーマへの適用が不足するケースが多く見られました。

●改善の視点

  • 与えられたテーマに即して書く。
  • 「持続可能な成果の達成」という視点を軸にする。
  • 関係者との合意形成を明確に示す。

■ まとめ

二つの添削結果を通じて明らかになったのは、内容そのものよりも、論理のつながり・観点の整理・因果の明示・表現の精度が答案の評価を大きく左右するという点です。技術士試験では、専門知識だけでなく、課題を構造化し、筋道立てて説明する力が問われます。今回整理した注意点を意識することで、答案の説得力は大きく向上します。

「食糧安全保障」 チェックバック①

1 食料安全保障を実現するために必要な課題整理
1.1 スマート農業技術の導入
 現在、出生率が低下し、若年層が減少している。その中でも農業は気象条件に起因する所得の不安定さや過酷な労働環境などで新規就農者が減少している
 一方、近年、デジタル技術が進展し、農業分野でもデジタル技術の活用が期待されている。しかし、その遅れが持続的食料システム構築の支障となっている
 このため、人材面の観点からは、スマート農業技術の導入が重要な課題である。


① この場合、若年層ではなく、生産年齢人口の方が適切ではないでしょうか(若年層だと対象範囲が狭い)。さらに、減少しているという説明が続いており、重複的表現に見えます。よって、「現在、生産年齢人口が減少する中、農業分野では気象条件に起因する所得の不安定さや過酷な労働環境などを背景に、新規就農者が減少している。」といった具合に端的にまとめると良いでしょう。

② デジタル技術という用語が多用されており、冗長的に感じます。また、何の遅れ(デジタル技術の開発の遅れ、農業分野での導入の遅れ、農業者のリテラシーの遅れ)なのか分からないとともに、なぜシステムの支障になっているのかも説明がないので分かりません。論理の橋渡しができていないですね。おそらく、論理の構造は、デジタル化が進む→技術の導入が遅れ→生産性向上や省力化が進まない→持続的な食料システム構築の支障 の順ですかね。真ん中2つの説明が抜けています。それでも、論述の構成はとても良くなっています。

③ 人材面という観点にするなら、提起した人手不足と接続させてあげる必要があります。例えば、「人材面の観点から、スマート農業技術の導入による生産性の向上が課題」、スマート農業技術の導入を課題とするなら、人材面の観点というより生産性向上(あるいは省力化)の観点といった具合になります。前段の背景に即した課題や観点となるよう意識しましょう。


1.2  農産物輸出体制の強化
 国内の人口減少に伴う農産物需要の縮小により農業生産者の収益力の低下が見込まれる。このため、国産農産物の輸出促進による収益力の向上が必要となる
 しかし、国産農産物は、安全性や品質面で海外での評価が高い一方、植物防疫、残留農薬での管理体制や流通網の整備が不十分であり、需要に応じた供給ができていない。
 このため、収益力の観点からは、農産物輸出体制の強化が課題である。


④ また人口減少の話になっており、視点が狭いという印象を与えてしまいます。内需縮小の要因をもう少し多角的に(食生活の多様化、輸入農産物との競合など)説明したいところです。また、内需が低下したから、輸出というのもイマイチ説得力に欠けます。この接続をもう少し強化(成長が見込まれる海外市場、外需の取り込みによる収益機会の拡大)した方が良いと思います。

⑤ この表現は違和感があります。日本は植物防疫・残留農薬基準が世界でも厳格な国の一つではないでしょうか。「不十分」という表現は誤解を招きます。不十分というより、輸出先国ごとの基準に対応した体制整備や情報共有が問題点ではないでしょうか。同様に流通網についても、日本は相対的に高度に整備されているのではありませんか。不十分なのは「輸出向けのコールドチェーン」「輸出拠点」「国際物流の最適化」など、輸出特有の流通インフラあるいは制度としないと国内流通まで不十分に見えてしまいます。

⑥ さすがに収益力が頻出しすぎです。「収益力の低下」「収益力の向上が必要」「収益力の観点から」と同じ概念(収益力)を3回も使っているため、読み手には「同じことを言い換えているだけ」に見えてしまいます。ちょっと長ったらしいですが、「海外需要の取り込みの観点」「安定的な経営の観点」「外需拡大の観点から」といった形で重複を避けると良いでしょう。


1.3  環境保全型農業の推進
 持続的な農産物生産システム構築には、「みどりの食料システム戦略」に基づき、環境保全と両立した形とすることが必要である。このためには、化学肥料や化学農薬の使用量削減や家畜ふん等有機物の利用拡大など、環境保全型農業に関する取り組みが必要となる
 このため、環境負荷低減の観点からは、環境保全型農業の推進が課題である。


⑦ なぜ必要と考えたのか説明がないため唐突に見えます。必要と考えた理由を書きましょう。

⑧ ⑦も含め、必要性のみが記述されており何が問題点なのか、判然としません。さらに、これもなぜ必要なのかについて説明がなされておらず、すべての原因と結果の関係が示されておらず、説明に飛躍が見られます。

⑨ 環境保全型農業が必要→環境保全型農業の推進が課題 という構成も同じことの繰り返しといった印象を受け、適切な論述展開になっていません。脈絡がなく、説得力に欠けます。課題のパラグラフは、現状→問題点→必要性(任意)→結論(観点と課題)といった順で構成すると分かりやすい文章になります。


2 【最重要課題の選定とその解決策】
 食料安全保障では、年間を通じて定常的な品質、量の農産物の生産・供給が求められる。このため、最重要課題は、生産性に直接に寄与するスマート農業技術の導入である。その解決策は以下のとおりである。


⑩ ちょっと長いですね。ここではスペースを節約したいので、理由は端的に書くことをお勧めしています(問われてもいなので)。例えば、「生産基盤を直接強化できるため、スマート農業技術の導入を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。」といった具合に、「・・・ため、・・・を最重要課題に選定」といった構文で整理すると良いでしょう。


2.1  スマート機器による農作業の省力化・軽労化
 収穫物の運搬や除草作業、農薬・肥料の散布など、農作業は、非常に重労働なものが多い。このような作業の省力化・軽労化のため、スマート機器を導入する
 例えば、ドローンによる肥料散布では、作業の省力化が可能だが、同時にセンシングしたデータを⽤いることで⾃動で施肥量を調整することも可能となる


⑪ 解決策のパラグラフは、目的→やること→具体例→特筆すべき効果(または波及効果)(任意)で構成すると良いです。基本的には、その構成になっていますが、最初の一文は現状なので不要です。ここを込みで目的として書いてしまうと良いでしょう。例えば、「重労働となる作業を省力化するため、スマート機器を導入する。」といった表現が考えられます。

⑫ 「スマート機器の導入」という解決策なのに、例示が“データ活用”に軸足を置いた記述になっています。このため、論点がズレて不整合が生じています。このデータ活用は、副次的効果、波及効果といった内容になるので、具体例とは別に書くべきでしょう。


2.2  スマート機器による熟練農業者技術の継承
 農作業では、熟練者の技術を継承することが重要だが、後継者が無く、うまく継承できない場合が多い。
 このため、熟練者の技術情報を基に利用した初心者が同様な作業が可能となるシステムを構築・導入する

 具体的には、熟練者がどのタイミングで、どの環境条件を見て、どんな操作をしたかをデータとして収集し、AI等で解析・可視化し、システムを構築する


⑬ ⑪と同様。また、見出しは「スマート機器による熟練農業者技術の継承」となっていますが、内容は熟練者の情報を活用したシステム構築になっています。不整合です。加えて、見出しがすべて「スマート機器による」となっており、この場合1つの解決策しか示していないように見えます。不整合の問題もあるので、見出しを見直しましょう。

⑭ 「具体的には」と言っておきながら、「AI等で解析・可視化し」では具体性に欠けています。環境条件とは具体的に何か、どんな操作なのかといったことを例示すべきではありませんか。しかも、可視化した結果システムを構築するのではなく、システムを構築した結果可視化されるのではありませんか。因果が逆転しており、技術的にも論述構造としても不自然になっています。


2.3  スマート機器による遠隔監視・制御の実施
 水田の水管理や温室の環境制御では、度々、現地での確認作業が生じる。この作業の省力化のため、計測機器をネット環境で結び、遠隔地でもデータ確認や制御が可能な管理・制御システムを導入する
 例えば、養液土耕管理システムでは、作物成長に合わせ施肥を⾃動実⾏できるシステムが開発されている。


⑮ ⑬と同様。

⑯ 原文は 「遠隔管理のためのシステム導入」 を説明したいはずなのに、例示が 「自動施肥システムの紹介」 にすり替わっており、論点がズレています。さらに、例示が「自分が提案する具体的なやること」ではなく「既存事例の紹介」になっています。解決策なので、やることとして例示しましょう。


3 【新たに生じうるリスクとその対策】
3.1 新たに生じうるリスク
 水田の水管理や温室の環境制御システムなどのスマート機器は、関連情報を収集し、ネット環境を介して稼働している。このような機器では、サイバー攻撃などで機器が誤動作して作物生育へ被害を与えることがリスクとして想定される。


⑰ ネットにつながっている=危険」という短絡的な説明に見えます。ネット接続そのものというより、外部接続の脆弱性(記載の攻撃や不正アクセスなど)、認証の甘さ、更新管理の不備などに起因するのではないでしょうか。

⑱ サイバー攻撃を否定はしませんが、通信障害、センサー故障、電源喪失などの方が、起こりうる可能性が高くリスクとしてより良いと思います。誤作動の被害を農業部門の視点で、具体化(水門が開閉しない、温室温度が異常上昇、過剰施肥・過剰灌水など)するとより良いと考えます。


3.2 新たに生じうるリスクへの対策
 誤動作が生じた際の対応をマニュアル化する。また、平常時には、定期的な点検等メンテナンス作業を十分に実施するとともに非常時想定の訓練を実施する


⑲ 書いてはダメというわけではないですが、「誤動作したらマニュアルで対応」という“アナログ的な後追い対応(一般論)”しか書かれておらず、 根本原因(攻撃・侵入・改ざん)への対策がゼロです。


4 【業務遂行において必要な要件】
 技術者としての倫理の観点からは、社会全体への公益性に配慮して事業を進めることが要件である。
 また、社会持続可能性の観点からは、当該技術の効果と環境負荷の面、コスト面など多面的に長期的影響を検討し、生産者や地域農協等の関係者と合意形成を図った上で進めることが要件となるこれらは、業務の各段階で、常に意識することに留意する。  以上


⑳ その通りですが、今回のケースに当てはめた形で書くともっと良くなると思います。

㉑ 良くコンピテンシーを研究しており、それを表現できていると思います。しかし、改訂したコンピテンシーでは、「持続可能な成果の達成を目指し」とありますので、ここを表現できると加点が期待できます。例えば、冒頭に「持続可能な成果の達成を目指し、」と記述し、要件の軸にするといった表現が考えられます。

㉒ 留意点は、問題にないので不要です。

「食糧安全保障」 チェックバック②

1 食料安全保障を実現するために必要な課題整理
1.1 スマート農業技術の導入
 現在、生産年齢人口が減少する中、農業は所得の不安定さ、重労働等の理由から、就農者が減少している。
 一方、近年、デジタル技術が進展し、その活用が期待されている。しかし、農業への適用や導入が遅れていることから、生産性向上や省力化が進まず、持続的食料システム構築の支障となっている。
 このため、省力化の観点からは
、スマート農業技術の導入が重要な課題である。


① 省力化が進まない→省力化の観点では、同じことを述べているように見えます(同義反復)。量緑化が生み出す効果は生産性向上なので、進まないものを「省力化」、観点を「生産性向上」にすると、結論に向かって的が絞られていく構成になると思います。


1.2  農産物輸出体制の強化
 国内の人口減少、食生活の多様化、輸入農産物との競合などにより国産農産物需要の縮小が見込まれる。 
 一方、国産農産物は、安全性や品質面で海外での評価が高いため、生産者の収益拡大には、輸出による成長が見込まれる海外需要の取り込みが必要である
 しかし、制度面では、輸出先国ごとの基準(残留農薬、植物防疫等)に対応した体制整備、流通面では、輸出拠点等、輸出特有のインフラ整備が不十分である
 このため、安定的な経営の観点からは、農産物輸出体制の強化が課題である。


② 内容は良いのですが、構文に少し違和感が残ります。これは、輸出と海外需要の取り込みが重複しているからでしょう。輸出は課題に出てくるので、ここは海外需要の取り込みにしておきましょう。→「成長が見込まれる海外需要の取り込みが効果的と考える」

③ 「制度面」と「流通面」という並列構造があるのに、述語の位置や情報の置き方が不均衡です。また、修飾語を整理し読みやすくした方が良いでしょう。→「制度面では輸出先国ごとの基準(残留農薬・植物防疫等)に対応する体制が不十分であり、流通面でも輸出拠点の不足など輸出特有のインフラ整備が遅れている」


1.3  適正施肥の推進
 農産物生産では、施肥量の不足で生育不良となることを懸念し、必要以上の施肥が行われる場合が多い
 この場合、過剰な窒素やリン酸成分は地下水や下流水域に流出し、地下水汚染、湖沼・海域の富栄養化等の環境影響を生じ、農業生産の持続性が損なわれる
 このため、環境負荷低減の観点からは、適正施肥の推進が課題である。


④ 表現が冗長的です。また懸念しているのは誰かという点が曖昧です。→「農産物生産では、生育不良を避けるために施肥量が過剰となる傾向がある。」

⑤ →「富栄養化を引き起こすことで、地域の環境保全や農業の持続性に影響を及ぼす。」

⑥ 施肥料が過剰→施肥料の適正化って結局同じことを言っていませんか。どのように適正化するのかまで書かないと同義反復になってしまいます。


2 【最重要課題の選定とその解決策】
 生産基盤を直接強化できるため、スマート農業技術の導入を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。
2.1  スマート機器による農作業の省力化・軽労化
 重労働となる農作業を省力化・軽労化するため、スマート機器を導入する
 例えば、除草作業では、除草ロボットの利用による自動化を行うことで省力化が可能である。また、収穫作業などでは、アシストスーツを利用することで作業の軽労化が可能である。その他、肥料・農薬をドローンで散布することで、作業の省力化が可能となる


⑦ 添削の表現をそのまま使っていただいていますが、もう少し踏み込んだ表現が良いですね。これでは、スマート農業技術をスマート機器に置き換えているだけに見えてしまいます。具体例を踏まえると、「負荷の大きい作業の自動化や機械補助を推進する」といった具合に、スマート農業をもう一歩掘り下げると良いでしょう。

⑧ まず解決策なのに可能性を示す文末になっているのが気になります。さらに、例示は、スマート機器の紹介に見えます。これは、“なぜその機器が必要なのか”という技術的視点が示されていないからです。例えば、除草ロボット → なぜ除草がボトルネックなのか、アシストスーツ → どの作業負荷を軽減するのか、ドローン散布 → 精密散布や安全性向上の効果と合わせて紹介など技術力を示唆する表現も必要です。例示はすべて、作業が軽減できる、省略化できるといったものばかりで、それを目的に機器導入しているのですから、当然の帰結です。主体性(・・・する)・技術的根拠(ボトルネックの明示)・改善行為(活用シーンなど)を明確にした形に再構成する必要があります。


2.2  熟練者の技術情報を活用したシステム構築
 農作業では、熟練者の技術を継承することが重要だが、後継者が無く、うまく継承できない場合が多い
 このため、熟練者の技術情報を基に利用した初心者が同様な作業が可能となるシステムを構築・導入する
 具体的には、剪定や摘果、芽掻きなどの作業や潅水のタイミングなど、熟練者が勘で行っている作業のデータ(作業者の動作、温度、土壌水分等環境条件、植物生育等)を収集する。その後、AI等でそれぞれの関係性を解析し、熟練者の技術情報を可視化する。


⑨ ここは解決策を書くところなので、現状はかかなくてOKです。まとめて、解決策を導入する目的として書いてしまえばいいと思います。

⑩ これは、技術承継がうまくできないという新たな課題に対する解決策です。解決策のパラグラフで問題提起することは題意に即していないですし、この課題自体も省力化の観点としたスマート農業技術の導入になっていません。論点がズレています。設定した課題の解決策を書きましょう。

⑪ 作業ではなく、判断ではありませんか。さらに、動作データだけで再現きるのでしょうか。様々な要素が絡み合って勘が働くわけで、その要素の洗い出しだけでも大変な作業です。AIは学習し判断しますが、学習データは人が入力することを踏まえると実現性に乏しいように感じます。加えて、「潅水のタイミング」も“勘”ではなく、既にセンサーで管理可能ですから、既存技術で解決済みの領域を“熟練者の勘”として扱っている点も気になります。

⑫ ⑪でずれているので、具体例でも当然ズレてしまうわけですが、データ収集 → AI解析 → 可視化では“省力化”につながっていないですね。


2.3  施設の遠隔監視・制御のためのシステム導入
 水田の水管理や温室の環境制御では、度々、現地での確認作業が生じるこの作業の省力化のため、計測機器をネット環境で結び、遠隔地でもデータ確認や制御が可能な管理・制御システムを導入する
 例えば、温室では、温度、湿度、炭酸ガス濃度など環境情報や作物の状態を監視し、天窓開閉や潅水等の制御を遠隔で行うことで管理作業の省力化が図られる。


⑬ ⑨と同様。

⑭ 省力化のためという目的は、課題そのものですから不適切です。この解決策固有の目的を示しましょう。計測機器をネット環境で結びというのもスマート農業の導入という課題設定なのですから、前提とすべきものではありませんか。さらに後述の「遠隔地でもデータ確認や制御が可能な管理・制御システムを導入」というのも重複表現に見えます。

⑮ この情報があれば、人による操作は不要なので、自動化まで行けるのではないでしょうか。遠隔で監視操作というと効果が小さい気がします。また、この内容であれば「スマート機器による農作業の省力化」という最初の解決策と重複しているように見えます。さらに、これらは既に一般的な技術であるように感じるとともに、「省力化」より「環境制御の高度化」に寄った解答になってしまっています。


3 【新たに生じうるリスクとその対策】
3.1 新たに生じうるリスク
 スマート機器の通信障害やセンサー故障など機器不良による誤動作(温室温度の異常上昇、過剰潅水等)による作物生育への被害がリスクとして想定される。

3.2 新たに生じうるリスクへの対策
 異常時の早急な復旧のため、更新用の機器、バックアップデータの準備非常時の対応マニュアルの作成、対応可能な技術者の育成などを行う。


⑯ 通信障害との記載もあるので、誤動作だけではないと思います。制御不能、監視不能というリスクも記載すべきではありませんか。また、リスクの例が温室中心で偏っていますので、水田の水管理など、スマート農業全体を想定すべきと考えます。

⑰ データだけですと不十分に感じます。通信機器、電源、センサー、制御装置など、システム全体の冗長化が必要です。

⑱ まず「対応可能な技術者の育成」では抽象的です。また、対策が“運用面”に偏っています。フェールセーフ、自動停止、ローカル制御、冗長通信などの“技術的安全設計”の視点も必要だと考えます。


4 【業務遂行において必要な要件】
 技術者としての倫理の観点からは、食料供給、環境保全、地域コミュニティの保全など、社会全体への公益性に配慮して事業を進めることが要件である。
 社会持続可能性の観点からは、持続可能な成果の達成を目指し当該業務の効果と環境負荷、コスト面等、多面的に長期的影響を検討し、生産者や農協等の関係者と合意形成の上で進めることが要件である。 以上


⑲ 「・・・し、・・・し、・・・」と繰り返されるので、ここは「目指すため」ですかね。

⑳ 多面的、長期的と修飾語が続いていますので読みにくいです。→「事業の効果・環境負荷・コスト等を多面的に評価するとともに、長期的影響を検討し、・・・」

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