添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
Ⅱー1の対策
本日の添削LIVEは、建設部門都市及び地方計画の選択科目Ⅱー1を3本まとまてお届けします。繰り返しになりますが、Ⅱー1はキーワードさえ分かってしまえばそんなに難しくありません。ただし、キーワードが分からないと全く解けません。
都市及び地方計画の場合は、そのほとんどが制度概要を説明するものになります。近年では、少しひねりがあり、措置、課題、効果といった具合に踏み込んで、あるいは限定して問われる傾向があります。また、概要を説明する場合においても条件が付いたりと一筋縄にいきません。
Ⅱー1は本当に対策が厄介です。問題をバッチリ当てることは非常に難しいです。よって、対策はより多くのキーワードについて理解し、体系的に整理することが大切です。キーワード学習を通じて国がどのような方向性を持って取り組んでいるのかという意図についても、理解が深まると思います。
最近では、○○の取組みを2つ挙げて答えろ、特徴を比較して答えろといった具合に、いくつかの施策について回答を求められるケースが散見されますので、キーワードの体系化、整理が重要になります。英単語のように、ただ暗記するだけでは対応できない場合が多くなっています。
Ⅱー1出題パターンを把握しよう
建設部門都市及び地方計画Ⅱー1の出題パターンは、大まかに以下の傾向があります。その他の部門、専門科目についても過去問を見て、パターンを把握しましょう。
パターン1 概要説明(背景、目的、メリット、条件、特徴、留意点など)
パターン2 ○○に触れて概要説明
パターン3 制度(施策)の違いに触れて概要説明
パターン4 ○○をするための 制度(施策) を複数(2つ程度)あげて説明
基本は、具体的な制度、専門用語が示され概要を解答することになります。みなさんがする予想キーワードにふさわしい、パターンに当てはめて問題を作ると良いと思います。ただし、すべてのキーワードを問題形式にして解答する必要はないと思います。
先にも述べましたが、バッチリ予想を立てるのは難しいので、こだわりすぎて時間をかけすぎるのも合理的ではありません。多くのキーワードについて、理解を深める方が効果的です。問題は、必須科目と同じ量だけ5~8問程度を用意すればよいでしょう。
その代わりに、キーワード集を作成するなどの対策を行い、これを何度も読み返し、疑問が生じれば調べ直すといった勉強方法が望まれます。
論文
立地適正化計画
問題:立地適正化計画の各誘導区域内外における市街化の適正化に資する制度を述べよ
各誘誘導区域内における市街地の適正化に資する制度を以下に述べる①
① 題意と同じなので、不要。
1 都市施設誘導区域内②
・特定用途誘導地区
誘導施設を有する建築物について容積率・用途制限等の緩和を行う③。例えば、老朽化した医療施設等の建替え、増築や新築の際に本制度を活用することが想定される④
② →都市機能誘導区域
③ 大事な適用条件である「特定用途誘導地区」の定めについて記述しましょう。
④ これも条件が書いていません。「誘導施設として病院を定めた場合」といった条件をしっかり書きましょう。
2 居住誘導区域内
・都市計画の提案制度⑤
⑥都市計画法や景観法に基づき、居住誘導区域内に20戸以上の住宅を整備しようとする者は、用途地域や地域地区など住宅地の良好な環境、景観を保全するための提案を行うことできる⑦。
⑤ 景観計画についても触れているので、「都市計画・景観計画の提案制度」または「都市計画等の提案制度」としてはどうでしょうか。
⑥ 都市計画の提案制度はすでに存在する制度であり、居住誘導区域になっていると提案できる者が追加されるといった主旨を表すため、「従来の提案制度に加え」を追記してはどうでしょうか。
⑦ →「行うことができる。」
3 居住誘導区域外
・居住調整区域⑧
今後工場等の誘導は否定しないものの⑨、居住を誘導しないこととする区域において住宅地化を抑制するために定める地域地区である。
・跡地管理区域⑩
空き地が増加しつつある既存集落や住宅団地等において、空き地における雑草の繁茂、樹木の枯損等を防止し、良好な生活環境等を維持するため、跡地等の適正な管理を必要とする区域及び跡地等の管理に係る指針を定めることができる。 以上
⑧ →「居住調整地域」
⑨ なぜ工場の話が出てくるのですか?
⑩ →「跡地等管理区域」
敷地整序型土地区画整理事業
問題:敷地整序型土地区画整理事業が必要な背景及び概要、特徴とメリットを述べよ。
1 敷地整序型土地区画整理事業が必要な背景
人口減少社会における多くの既成市街地では、空き地などの低未利用土地が、小さな敷地単位で時間的・空間的にランダムに発生する都市のスポンジ化が進行している。それぞれの空き地は、「面積が小さい」、「バラバラに存在している」、「土地の形状が不整形」など使い勝手が悪いことが多く、単独で利用することが難しい状況となっている。
この対応として、散在する空き地の集約再編が可能な市街地整備手法として集約換地を活用した敷地整除型区画整理事業があげられる①
① 問われているのは、「市街地整備手法を挙げよ」ではありません。書くべきことは、当該事業が必要となった背景です。よって、「市街地整備手法が求められていた」としてはいかがでしょうか。また。「敷地整序型」です(以下同様)。
2 敷地整除型土地区画整理事業の概要
一定の基盤整備がなされている既成市街地内の地域で駐車場や空き地など小規模かつ不整形で散在した低未利用土地等を対象として土地の集約・入れ替えを行うことにより敷地の整序を図る小規模な土地区画整理事業である。②
② 記載の内容でも間違いではありません。しかし、小規模、不整形で散在したといった内容は、背景で記載済みであることから、重複気味にみえます。また、「小規模で柔軟な区画整理 活用ガイドライン ~都市のスポンジ化地区における誘導施設整備のための集約換地等の市街地整備手法~」のP8に「一定の基盤整備がなされている既成市街地内の地域で、早急に土地の有効活用を図ることが必要な地区において、相互に入り込んだ少数の敷地を対象として、換地手法によりこれら敷地の整序を図る敷地レベルの土地区画整理事業」と記載されています。重複を避ける意味と、早急に活用、換地手法といった内容が記述されているガイドラインの内容を採用してはいかがでしょうか。
3 敷地整除型土地区画整理事業の特徴・メリット
敷地整除型土地区画整理事業は、敷地レベルの小規模事業が特徴なので、メリットは、迅速な事業展開である③。
また当事業は、小規模な公共施設整備が特徴であるので、メリットは、一般的な土地区整理事業より減歩率が低くなる④。さらに、柔軟な区域設定が可能であるので早期に事業着手することができる⑤。 以上
③ 最初の主語は「事業」、その後「メリット」に変わっています。主語が変わるところで、一回切るか、主語を「事業」に統一するかどちらかにしましょう。また。「・・・なので」は口語調なので、「・・・であるため」の方が良いと思います。まとめると、「敷地整序型土地区画整理事業は、敷地レベルの小規模事業が特徴であるため、迅速な事業展開といったメリットがある。」としてはいかがでしょうか。
④ ③と同様。
⑤ ③と同様。文末は、「事業着手が可能といったメリットもある。」としてはいかがでしょうか。
※「柔らかい区画整理の手引き ~小規模な区画の再編・活用のすすめ~」より抜粋
以下の表は、特徴とメリットが簡潔にまとめられているので、参考にしてください。
防災街区整備事業
問題:防災街区整備事業の概要と市街地再開発事業、土地区画整理事業との関係を述べよ。
1 防災街区整備事業の概要
防災街区整備事業は、老朽化した建築物を除却し防災性を備えた建築物及び公共施設の整備を行う事業である。
事業手法は、建築物への権利変換による土地・建物の共同化①を基本としつつ、例外的に個別の土地への権利変換を認める柔軟かつ強力な事業である②。
① 何から建築物へ権利変換するのか不明です。共同化するのは建築物ではありませんか。→「土地・建物から建築物への権利変換による共同化」
② この主語は、「事業手法は」です。「事業手法は、事業である」になっています。→「権利変換も可能である」
2 市街地再開発事業との関係
市街地再開発事業は、高度利用が前提だが、防災街区整備事業は、必ずしも高度利用を要さず、狭隘道路が多い住宅密集地での施行が可能である③。
③ 高度利用を必要としないことで、なぜ狭隘道路の多い住宅密集地での施工が可能になるのか分かりません。高度利用の話と道路の話は別だと思いますので、分けて説明しましょう。
3 土地区画整理事業著の関係
土地区画整理事業は、避難所や避難路となる公園や道路を整備し、地区の防災性を高める他、地権者の共同化④による自主的な建て替えにより、地区の不燃化を促進することができる⑤。
しかし、これらは土地区画整理法に基づく街区ではない⑥ため、街区内の底地の地権者や借地権者の合意が必要である。
そのため権利調整に時間を要し、事業成立まで見通しが成り立たなくなる可能性がある⑦。 防災街区整備事業は、権利者全員の合意を必要としないで事業実施が可能⑧であり、更に個別利用が可能となる街区設定もできるため合意形成の円滑に進み⑨、確実な事業実施が期待できる。 以上
④ 地権者は人ですよ。「地権者の共同化」とはどのような状況なのか分かりません。
⑤ 自主的な建て替えと言っていますが、促進することができるとあります。個別の判断により建て替えする状態であるにもかかわらず、何を促すのですか。
⑥ これらとは何を指しているのか判然としません。また、土地区画整理事業について説明しているのに土地区画整理法に基づかないとはどういうことでしょうか。
⑦ 見通しは『立つ』ですね。→「事業成立の見通しが立たない」または「事業が成立しない可能性がある」
⑧ 土地区画整理事業も直接施工が可能ではありませんか。
⑨ →「合意形成が円滑に進み」