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技術士 二次試験対策 森林部門 令和5年度 必須科目Ⅰ「流木災害軽減対策」

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【 技術士 二次試験対策 】

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Eco-DRR

今回の投稿は、森林部門の「流木災害軽減対策」です。NbS(Nature-based Solutions:自然に基づく解決策)は、建設部門でも注目される取組みです。なじみのある取り組みとしては、グリーンインフラや流域治水対策などがありますよね。さらに、防災・減災といった視点に特化した取り組みとして、Eco-DRRも押さえておきたいキーワードです。

Eco-DRRは、生態系を活用して「暴露の回避」と「脆弱性の低減」により、防災・減災を図るものです。ちょっと分かりづらいですよね。一般に、災害の大きさは、ハザード(災害の影響力:例えば超巨大台風はハザード大)、暴露(人口や財産の集中具合:密集市街地は暴露大)、脆弱性(防災に資するインフラの整備状況:護岸未整備は脆弱性大)で決まります。

よって、この3つの構成要因のうち2つについて、自然の力を使ってそのリスクを排除・低減しようと試みるものと言えます。具体的にEco-DRRは、自然を保護して危険なエリアに居住させない行動をとることや、海岸林を増やして津波被害を小さくするといった取り組みになります。

環境省では、Eco-DRRの適地を見える化したポテンシャルマップの作成・活用が推進されています。立地適正化計画の策定プロセスにある都市機能のレイヤー化に似ていますよね。ポテンシャルマップは、様々な計画で活用できそうです。つまり、試験の解決策としても使えそうです。

技術士 二次試験対策 環境省 Eco-DRR資料
「環境省における流域治水に関連する取組状況について」より抜粋

30by30

Eco-DRRと合わせて、何だか良く分からんキーワード「30by30」も見てみましょう。これは、下図にあるように、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」で示された目標のことです。2030までに陸・海の30%以上を保全するという内容になります。この目標年次と目標値を組み合わせて、30by30と呼んでいるようです。

まあ、いわゆるネイチャーポジティブを実現するための取組みの一つになります。具体的な行動としては、OECM認定やアライアンスの発足といったものが挙げられます。また、環境省では、自然共生サイト(認定を目指しているサイトも含む)と、それらの管理・活用の支援を希望する者とのマッチングも行っています。自然共生サイトには、里山で有名な埼玉にある「トトロの森」が認定されていますね。

技術士 二次試験対策 環境省 30by30資料
「環境省における流域治水に関連する取組状況について」より抜粋

まちづくりGXが注目される中、NbS、ネイチャーポジティブ関連の知識も備えておくと対応力が向上すると思います。

論文

投稿いただいた論文は、Eco-DRRにも言及しています。論文の構成や表現方法を確認するとともに、キーワードの使い方も参考にしましょう。それでは、早速論文を見てみましょう。

問題文

技術士 二次試験 森林部門 必須科目 流木災害軽減対策

課題

( 1 ) 流木災害軽減対策の課題
1 ) 所有者不明森林への対応
 流木災害の発生元である山地において、斜面崩壊に伴い立木を含んだ土石流の発生が多発している。原因として、山地における人工林の荒廃が考えられる。皆伐後に再造林されずに放置されることで土壌の流出が発生する。そのため、皆伐後に再造林を進めて土壌流出を進めることが考えられるが、所有者不明森林数多く存在し、施業が停滞している課題がある


① この背景は、問題文の内容と重複するので不要。

② 流出を進めるのではなく、抑制するのではありませんか。また、発生のメカニズムが細かく書かれていますが、書くべきは所有者不明土地がもたらす悪影響です。説明の力点がズレています。

③ 付加や繰り返しになっていませんので、「も」→「が」。

④ 観点がありません。施業が停滞しているのは、問題点であり課題ではありません。課題とは、問題を解決するための行動です。


2 ) 針広混交林化における天然更新
 流下区域において、針葉樹人工林から針広混交林化への転換が対策の1 つとしてあるが、進んでいない。原因として、針広混交林化の技術が確立できていないことがあるが、特に天然更新の難しさがある。スギやヒノキの針葉樹人工林は林床が暗く、前生稚樹や埋土種子の存在が期待できない。そのため、どのように天然更新を行うかが課題である


⑤ 針広混交林化への転換がなぜ流木対策になるのか説明を添えましょう。

⑥ 表現が重複気味です。端的に、「これは、針広混交林化の技術が確立していないことが要因である。」としてはどうでしょうか。

⑦ 観点がありません。


3 ) 流木の木質バイオマスへの利用
 堆積区域において、堆積した流木によって橋梁等の閉塞が発生するため早急に撤去する必要がある。しかし、流木の撤去について費用を要する問題がある。そのため、流木を木質バイオマス等に利用することが考えられる。しかし、土砂や泥が含まれていることが多く、そのまま使用することができない。そのため、どのように流木を利用するかが課題である。


⑧ 「橋梁等の閉塞」とはどのような状況なのか分かりづらいです。橋梁が閉塞というと交通が遮断されている状況とも読めますし、橋脚の間に流木が堆積し河川の閉塞とも読めます。

⑨ 付加や繰り返しになっていませんので、「も」→「は」。癖になっていますね。気をつけましょう。

⑩ これも、観点がありません。また、タイトルはバイオマスへの利用と手段が明確になっているにもかかわらず、ここでの課題はどのように利用するかに変わっています。不整合です。

解決策

( 2 ) 最重要課題とその解決策
 私は、所有者不明森林への対応が最重要課題と考えた。理由として、流木災害の発生元である山地での発生の軽減が流木災害軽減につながるからである。


⑪ 一人称は不要。

⑫ 流木災害対策として課題を書いているのですから、課題のすべては流木災害の軽減につながります。選定の理由になっていません。


1 ) 森林経営管理制度による施業の推進
 ソフト面における解決策として、森林経営管理制度による対応を提案する。この法律では、所有者不明森林に対して登記簿や共同の森林所有者から森林所有者を探し出すことを推進している。それでも森林所有者が不明な場合は、市町村の方で経営管理権集積計画を定め、他の森林施業に意欲のある林業経営体に施業を担ってもらうことができる。これにより、再造林を進めることで皆伐後の放置を防ぎ、斜面崩壊を減少させて流木災害を軽減することができると考えられる


⑬ どの法律ですか。法律の記載がありません。

⑭ 法律で推進しているのですか。法律は、特例措置を定めているのではないでしょうか。

⑮ 「他の」とは、どのような意味なのでしょうか。もう一方が何なのか不明です。

⑯ 不明な場合の対応についての説明が不足しています。計画策定→探索→広告→裁定→計画同意とみなす→計画施行→市町村が経営管理→市町村が林業経営体に委託の流れです。また、担うとの表現も違和感があります。「担ってもらうことができる」→「委託することができる」

⑰ 表現が冗長的で読みにくいです。自信を持って言い切りましょう。「軽減することができると考えられる」→「軽減できる」


2 ) エリートツリーを用いた再造林の推進
 ハード面における解決策として、エリートツリーを用いた再造林の推進を提案する。E c o - D R Rの考え方として、森林の貯留機能を活かすことがある。これは、森林には水の流量を調節して災害を防ぐ公益的機能がある。エリートツリーは従来造林されてきたスギやヒノキと比べて成長が早いため、早く公益的機能を発揮することができる。また、水源涵養機能だけではなく根の成長による土壌の崩壊を防ぐことができるため、より流木災害の軽減につながる。


⑱ ここで書くべき解決策は、「所有者不明森林への対応」です。課題に対応した解決策になっていません。

⑲ 前段と後段は同じことを言っています。

波及効果と懸念事項

( 3 ) 波及効果と懸念事項、及び解決策
1 ) 波及効果
 皆伐後の再造林が解決策の実行により進むことにより、C O 2 吸収源の確保も併せてできる。これは、C O 2吸収源として認められるのは皆伐後の再造林や間伐が行われたものであるためである。C O 2 吸収源確保によって気候変動緩和にもつながるといえる


⑳ 「実行により、進むことにより」となっています。

㉑ 文末が冗長的で読みづらいです。文の構成がおかしいので、おかしな文末になっています。→「皆伐後の再造林や間伐が行われたものが、C O 2吸収源として認められるからである。」

㉒ 波及効果とは何かと問われているので、「気候変動緩和といった波及効果が生じる」と明確に表現しましょう。


2 ) 懸念事項及び対応策
 解決策の実行により間伐や皆伐等の施業が進んだ場合に、風雪害による被害の増加が懸念される。これは、間伐等により一時的に風雪害に対しての抵抗力が低下するためである。そのため、極力強度間伐を避け、弱度間伐を繰り返すことで風雪害による被害を防ぐことができる


㉓ 重複表現です。「頭痛が痛い」と同じです。→「風雪害の増加」または「風雪による被害の増加」

㉔ 対応策なので、やることで終わらせましょう。→「防ぐ」

要件・留意点

( 4 ) 技術者としての倫理、社会の持続可能性
1 ) 技術者としての倫理
 業務遂行に当たって、法令等を遵守することが大事である。間伐や主伐等の伐採を行う前には伐採届を提出する必要がある。これは、無許可による伐採は森林の荒廃による公益的機能の喪失につながる可能性が高いためである。


㉓ これも重複表現です。「頭痛が痛い」と同じです。→「間伐や主伐等を行う」


2 ) 社会の持続可能性
 S D G s 目標1 5 である持続可能な森林経営は災害軽減につながる。そのため、林業経営の指導原則である環境保全原則にある国土保全、水源涵養等の機能を活かす施業を進めるべきである。 以上

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