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技術士 二次試験対策 環境部門 都市及び地方計画 自然環境保全 一式!

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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環境部門をお届け

環境部門は本サイトにおいてレアな論文なのですが、私自身はとても興味深い分野で楽しく勉強させてもらいました。私は建設部門の技術士ですが、環境部門は数多建設部門と通じることがあります。私の予想もかなり環境寄りであったことが判明しました。

環境部門の必須科目は、ネイチャーポジティブと地域脱炭素でした。環境部門は、出題範囲が建設に比べると狭いので、予想しやすい分野と言えます。そうなると論文の質の高さを求められるのでしょうね。環境は社会的な注目度は高く、一般論に限れば多くの人間がある程度の論理を展開することは可能です。

そのようなテーマである以上、技術者としての知見と考え方を論文の中で示す必要があるということです。この一般論を脱するということは、どの部門でも言えることですが、こと環境部門ではより顕著な専門性が求められるのではないでしょうか。

話は変わりますが、ネイチャーポジティブや地域脱炭素といった取り組みは、今後の社会テーマになりそうですから、今回の添削LIVEは必見と言えると思います。さらに、大盤振る舞いで必須科目&すべての選択科目を一挙にお届けしますので、ぜひご覧ください。今回は大量に論文がありますので、早速みていきましょう。

論文

必須科目Ⅰ ネイチャーポジティブ

(1)観点と課題
 2030年のネイチャーポジティブの実現に向けて定められた5つの基本戦略のうち、自然を活用した社会課題の解決(NbS)の課題を以下に記す。
1) NbS主流化の観点:定義・体系化と周知
 ビオトープやEco-DRR、グリーンインフラなどNbSと類似の概念や定義を持つ用語が乱立し、一般の人にはNbSが何たるかよく分からないNbSを主流化する観点から、その定義を明確・体系化し、一般に周知することが課題である。


① 類似の概念が乱立していることとと、NbSそのものの分かりづらさはあまり関係ないように感じます。乱立していることが原因と考えられる問題点は、混乱、複雑化、理解促進の障壁といったところではないでしょうか。

② 主流にするという観点についても、概念が乱立していること、NbSが良く分からないことといった背景から導き出される視点なのか疑義があります。なぜ主流化する必要性があるのかといった部分の説明がないので、脈絡が無いような印象を受けます。

③ なぜ一般に周知する必要があると考えたのかが、①②のとおり前述の背景から読み取れないです。この原因は、背景での説明不足が要因と考えます。例えば、NbSは自然を活用するため取り組みの範囲が広い(現況)→多様な関係者が一体となって推進する必要がある(必要性)→分かりにくいため取り組みが限定的(問題点)→普及の観点→周知が課題 といった流れを作ってみてはいかがでしょうか。


2)NbS 評価の観点:効果測定
 NbSには、効果が不明で定量的に評価できないという弱点がある。だが最近は急速にデジタル技術が発展している。AI、デジタルツインによるシミュレーションや3D解析等を駆使し、NbSの効果を測定することが課題である


④ 効果は不明ではないと思います。後述にあるように効果の定量化が難しいだけだと考えます。→「効果を」

⑤ 逆説の接続詞になっていますが、前述と反対の意見を述べているわけではなく、話題を変えているにすぎません。よって、接続詞は「他方」ですかね。

⑥ 観点の記載がありません。また、背景では定量的に評価できないと言っているのに、デジタル技術を活用すれば効果を測定できる(評価できる)との主張は、一見して矛盾しているように感じます。よって、課題は「測定手法の確立」といった形になるのではないでしょうか。


(2)最重要課題・解決策
1)最重要課題
 最も重要な課題は、3)NbSの社会実装と考える。WMOやIPCCによると、今後、気候変動の影響で、自然災害がより激甚化、頻発化していくと警告している。日本の防減災はコンクリート構造物によるグレーインフラが主流であるが、従来のインフラでは、激甚化・頻発化する自然災害に対応できなくなる可能性がある


⑨ この理由は、自然を活用した社会課題の解決(NbS)の必要性であり、選択の理由になっていないように感じます。


2)解決策
①グレーインフラとのハイブリッド
 グリーンインフラやEco-DRRなどのNbSでは、生態系機能を改善させたとしても、災害リスクを完璧に防ぐことはできない。そこで、従来のグレーインフラとのハイブリッドにし、相互に補完し合うことで、災害リスクに対応する


⑩ 解決策が2つは、少ないと思います。解決策は、もっとも技術力がアピールできセクションなので、ここのボリュームがもっと必要です。

⑪ NbSの限界を示すのではなく、グレーインフラだけでは十分でないという論調の方が良いのではないでしょうか(NbSを否定的に捉えるのはNG)。

⑫ NbSを促進することが課題(目的)なんですよね。これでは、防災減災対策が目的に見えます。NbSと都市基盤整備の両側面から防災対策を講じることで、自然の活用を定着させるといった具合に普及促進に軸足をおいた説明にした方が良いと思います。


②流域治水への導入
 国は激甚化・頻発化する自然災害に対応するために、流域治水への転換を図るとしている。流域治水は現在、フェーズ2に入っている。流域の森林から上・中・下流域に至る流域の自治体が連携し、NbSを導入する。防減災や気候変動の緩和、適応だけでなく、少子高齢化対策や地域振興など社会課題の解決にも活用し流域単位でネイチャーポジティブを目指す


⑬ 流域の森林から上・中・下流域に至る流域の自治体が連携とはいったいどのような行動なのでしょうか。また、NbSを導入するだけでは、何をするのか良く分かりません。森林の涵養効果による雨水流出抑制など自然の持つ機能を説明すべきだと思います。また、これも⑫同様、論点がズレているように感じます。NbSを促進する行動を述べないと課題との関係性が不明確です。

⑭ ここは見出しにあるように、流域治水の話をするのではありませんか。いきなり、少子高齢化対策、地域振興などといわれても脈絡がなく唐突です。また、総花的で抽象的と感じ、一般論を並べているだけに見えます。

⑮ なぜ流域単位でネイチャーポジティブを目指すのですか。必要性や促進との因果関係が不明です。


(3)新たなリスクと対策
1)新たなリスク
 前述のようにグリーンインフラやEco-DRRなどNbSは定量的に効果測定をすることができない流域自治体の人口が減少し、活力が低下すると、維持管理のための予算割り当てや人手の拠出について合意形成ができなくなるリスクがある。さらに、都道府県をまたがると、抱えている社会課題や方針が変わり、NbSの社会実装に支障をきたす可能性がある。


⑯ 定量的な測定は後述にあるリスクとどのような関係にあるのでしょうか。また、定量的な効果測定についての問題点は、先の課題提起の中ですでに述べています。記述の意図が理解できません。

⑰ なぜ流域に限定するのでしょうか。治水は、問題解決策の一つにすぎません。また、人口減少は解決策の実施に起因したものではなく、もともとあるリスクに思えます。問題にある「新たに生じる」という条件を満たしていないと考えます。また、主語が明確でなく、予算の割り当ては誰がやって、合意形成とは誰と誰の合意なのかも判然としません。

⑱ これも同じですね。新たに発生する問題ではなく、もともとある問題ですね。また、地域を跨っても社会課題が変わることはないと思います。ここで言いたいことは地域課題ですかね。


2)解決策
 流域の自治体や関係機関を構成員とする協議会を設立し、定期的にミーティングを行い合意形成を図る。また、流域の住民が参加できるワークショップなどを開催し、流域が抱える社会課題や解決のためのアイデアを住民から引き出し、住民参加でNbSに取り組んでいくといいEco-DRRの維持管理だけでなく地域課題の解決についても、住民参加でNbSの社会実装促進を目指す


⑲ 先に示されているリスクは、3つあります。1つは効果測定できないこと、2つ目は合意形成ができないこと、3つ目は地域間調整だと読み取れます。この対策がこれら3つのうちのどれに対応しているのか書く必要があります。

⑳ ⑲と同様、何に対する対策なのか分かりません。さらに、対策を述べよなので、この場合の文末は「取り組む」とした方が良いでしょう。

㉑ 環境省のHPには、「Eco-DRRとは、自然を効果的に利用して、近年激甚化・頻発化する自然災害の防災や減災の役に立てようという考え方のこと」と示されています。つまり、Eco-DRRとは考え方ですから、Eco-DRRの維持管理という表現は違和感があります。

㉒ 住民参加という対策はすでに述べており、重複しています。


(4)用件・留意点
1)倫理
 技術者として、ネイチャーポジティブの実現に向け、公益、住民の安全を最優先とする。また、現代世代だけでなく、将来世代の福利や利益も考える。その際、流域内の地域間で格差が起きないよう公平性の確保に留意する。
2)持続可能性
 IPCCなどによると、今すぐカーボンニュートラルを実現したとしても、気候変動の影響は数百年から数千年続くとしている。技術者として、NbSを社会実装する際に、効果が持続するシステムを提案する。 以上


㉓ →「要件」

㉔ 提案ではなく、要件または留意点を書きましょう。

選択科目Ⅱー1 生物多様性

 昆明・モントリオール生物多様性枠組の2030年グローバルターゲットのうち、数値目標が設定されている目標の1つは30by30である。30by30は、陸域と海域それぞれ30%を保護区として保全することを目標としている。この目標は科学的根拠に基づき設定され、G7コンウォールサミットの成果文書である自然協約で掲げられた。日本では陸域20%、海域18%が保護区に設定されている。


① 目標の内容としては、「2030年までに」もあると良かったと思います。また、環境省のHPでは、次のように定義されています。「いわゆる「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」とは、2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。」とあります、この定義を正とした場合、下線部に乖離が見られます。特に、「保護区として」が気になります。環境省では、「30by30目標は、国立公園などの保護地域の拡張と管理の質の向上だけでなく、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)の設定・管理を通して達成していくことになります。」と示されており、保護区としてのみでなく後述にもありますが(おそらく理解されてると思いますが)、OECMとしての保全も含まれます。

② この数値がいつ時点なのかも記載すると良かったと思います。


30by30目標を2030年までに達成するために、以下の取組や活動が行われている
・自然公園(国立公園、国定公園など)の拡充
・自然共生サイト(OECM):自治体や民間企業などが所有する土地を国が自然共生サイトとして認定し、自然公園など保護区と重複する部分を除いた区域をOECM国際データベースに登録する。自然共生サイトは、里地里山や寺社林などが想定されている。民間が所有する土地は、経済的な事情で土地利用の転用されるケースが多いので、自然共生サイト登録がなんだかの歯止めになるといい。そのためのインセンティブの付与や登録支援をおこなう。そして、自然公園区域をコアエリアに、自然共生サイトをバッファーやコリドーにする。
・生物多様性情報整備:自然公園の拡充や自然共生サイトの登録を促進するために、生物多様性情報を整備し、その効果を見える化する。       以上


③ 問われていることは、活動の内容ではなく「考え方」です。生物多様性国家戦略2023-2030には行動目標が掲げられており、このうち30by30に直結する行動目標は次の内容だと思います。
行動目標1-1 陸域及び海域の 30%以上を保護地域及び OECM により保全するととも に、それら地域の管理の有効性を強化する
行動目標1-2 土地利用及び海域利用による生物多様性への負荷を軽減することで生 態系の劣化を防ぐとともに、既に劣化した生態系の 30%以上の再生を進め、 生態系ネットワーク形成に資する施策を実施する
具体的な行動内容は記述の通りなのですが、この行動目標を考え方として記述した方が良かったと思います。

④ →「なんらかの」

⑤ 文末は「思い」ではなく、効果として断定しましょう。→「・・・登録により転用を抑制する」

⑥ 自然公園の拡充は行政主体なので、見える化の目的になじまないように感じます。

選択科目Ⅱー2 水循環

(1)対象地域課題及び調査・検討事項
1)課題
 本答案で想定する地方都市は※※の○○市と想定する。○○市を流れる△△川流域の上流部、●●△△市と××市にまたがる里地里山を対象地とする。以下の課題を抱えている。対象地では、①人口減少による人手不足、②獣害、③メガソーラー転用圧力の課題を抱えている


① →「の」

② 対象地域は、抽象的ではありますが問題文中で設定されています。

③ 解答者が想定する地域の課題ではなく、問題において設定されている現況から課題を想定すべきです。②や③の例は、問題文の現況からは読み取れないと思います。また、これらは、問題点であり課題(問題を解決するための行動)になっていません。例えば、「里山の涵養機能が損なわれているため、雨水流出抑制が課題」といった具合の回答スタイルが望まれます。


2)調査・検討事項
①自然状況調査
 里地里山の荒廃度合い、植生、野生動物の生息状況と獣害、地形地質、水系について調査し、目指すべき里地里山の姿を検討する。
②社会調査
 里地里山周辺の住人、集落の調査を行う。具体的には、集落の分布、人口、生業などを調査し、里地里山の保全にどれくらい参加できるのかを検討する。


④ 課題設定が適切に行われていないので、なんとも言いにくいのですが、問われているのは課題解決に向けた調査・検討事項です。これらの調査は里地里山の再生に必要な一般的なものであり、①人口減少による人手不足、②獣害、③メガソーラー転用圧力といった課題を解決するために必要な調査なのか疑義があります。

⑤ 示されている項目を把握しても、抽出した対象が保全に参加する意思があるかないか不明なので、どれくらい参加するか検討するのは難しいのではないでしょうか。住民への意向調査や、地域住民を含めた検討組織の設置などが必要と考えます。


(2) 業務手順・留意点・工夫点
1)自然状況調査
 現地調査に先立ち、文献や住民への聞き取りなど事前調査を行い、ある程度状況を把握しておくよう工夫する現場踏査の際は安全面に留意する。なぜなら、里山にはハゼやウルシなど人体の皮膚にトラブルをもたらす植物やカイセン、ツツガムシなどの寄生虫が生息しているからである。さらに、夏場になるとマムシが出るので、万が一の場合に備え近隣の医療機関を把握するなど工夫する


⑥ →①

⑦ 事前調査の必要性について言及がなく、なぜこれが工夫と言えるのか理解できません(一般的な行動に見えます)。また、状況を把握とありますが、何を把握するのかも良く分かりません。

⑧ この留意点を否定するつもりはありませんが、計画策定に関する本質的な留意点・工夫点を書くべきです。例えば、写真撮影及び白図にプロットするなど植生分布図・水系図の作成に留意、特徴的な自然資源は地域資源カードなどに詳細を記載するなどの工夫といった計画策定にフィーチャーすべきと考えます。一般論に見えますし、書くにしてももっと短くすべきです。


②社会調査
 上述の社会調査を実施する。その際、住人の親族や在勤在学で○○市などと行き来する2地域居住者も、里地里山の担い手としての可能性があることに留意する。


⑨ 留意点としては理解できますが、2地域居住者をどうやって把握するのですか。調査方法も述べましょう。


③計画策定
 上述の調査結果を踏まえ、計画を策定・実行する。PDCAサイクルで見直しを行い、適宜計画をアップデートする。


⑩ 計画策定の手順が問われているのですよ。調査結果をどのように計画に活かすのか、計画の項目も内容も全く分かりません。条件である公有地の活用についても触れられていません。このように書くべきことはたくさんあるにもかかわらず、「計画を策定・実行する」と一言で終わらせては説明不足と言わざるを得ません。


(3) 関係者との調整方策
 里地里山周辺の集落及び流域自治体が参画する協議会を設立する。定期的にミーティングを行い関係者の合意形成を図る。ミーティングは2地域居住者が参加できるようZoomとのハイブリッドで行えるようにする両自治体は江戸時代以前の世代から居住している世帯が多く、定期的に里地里山の草刈や泥出しを集落単位で行い、作業後になおらいという交流会をおこなう。周辺集落は閉鎖的でよそ者の出入りを好まない人がいるので、こういった伝統的な合意形成の場を活用するといい。対象地域はユネスコエコパーク登録地域であることもあって、海外の若者が農業や里地里山の保全に参加し始めている。英語で対応できる人材を配置し、新たな担い手を確保できるよう調整する。    以上


⑪ 具体性がなく、何を合意形成するミーティングなのか分かりません。

⑫ Zoomは手段ですので、構文がおかしいですね(Zoomもアプリ名なので一般化した名称を使用した方が良いです)。→「リモート環境を構築する」

⑬ ③と同様に、特定の地域を説明すべきでなく、問題の条件にあった解答をすべきです。具体的な事例をイメージすることは良いことですので、特定の事象として書くのではなく事例を一般化したうえで記述するとよいでしょう。

選択科目Ⅲ 種の保存

(1)検討と課題
 生息域外保全をしてきた野生動物の一種を野生復帰させる場合の課題を以下に挙げる


① これは、問題文に記載されている内容です。スペースがもったいないですので、不要。


1)復帰すべき環境があるかどうか(生息環境)
 最近、本州や北海道で問題になっているツキノワグマであるが、※※では1988年に○○山系近くで射殺されて以来目撃情報はなく、絶滅したとされている。△△県のクマ牧場などではツキノワグマが飼育されている。管轄する法律は違うがこのツキノワグマを野生復帰させると仮定した場合、絶滅から36年が経過し、自然条件が当時と違う今、生息できる環境があるかどうか、生息環境が課題である。


② 環境省のHPには、「国内希少野生動植物種に指定されている種のうち、その個体の繁殖の促進、生息地等の整備等の事業の推進をする必要がある場合は、保護増殖事業計画を策定して、保護増殖事業を実施しています。令和6年3月末現在、76種・亜種について57計画が策定されています。」とあり、ツキノワグマは国内希少野生動植物種に指定されていないのではないでしょうか。

③ 問題は種の保存法に関する記述を求められているのに、違う法律(しかも何の法律なのか不明)の記述をしては適切な解答といえません。

④ 題意は、復帰させるための課題を書くのですよ。仮定する必要はありませんし、問題と重複しているので記述の必要もないと思います。

⑤ まず、「生息環境があるかどうか、生息環境が・・・」とあり、表現が重複気味です。また、これは問題点であり、課題(問題を解決するための行動)になっていません。


2)住民の受け入れ(人的被害)
 本州や北海道ではクマとの人身事故が多発している。そのような状況で、ツキノワグマを野生復帰させようとした際に、安全面で懸念を示す住人が出てくる可能性が高い。また、土地利用状況もツキノワグマが生息していた頃とは違う。人的被害の観点から、対象地域住民からの合意取りつけが課題である。


⑥ ②と同様。

⑦ 問題には観点を書けとはありませんが、多面的な検討とあるので記載することはとても良いと思います。しかし、他の課題には観点の記述がないのが残念です。また、ツキノワグマに限定してしまっていることが原因となっているのですが、動物の対象を一般化したうえで、人的被害以外にも財産や農林水産業に関する被害等もあると良かったと思います。


3)生態系バランス(生物多様性)
 野生動物種が絶滅してからの年数が長いと、その種抜きで生態系が成立している可能性が高い。そこに、今になって絶滅種を野生復帰させると、生態系バランスを壊し、食物連鎖が崩壊、他の野生動植物に影響を与えるリスクがある。生態系バランスが課題である


⑧ 食物連鎖が崩壊、他の野生動植物に影響は、生態系バランスを崩すことと同義ではありませんか。重複表現に見えます。

⑨ 課題(問題を解決するための行動)になっていません。この場合は、既存の生態系を維持することが述べたい課題ではないでしょうか。


(2) 最重要課題と解決策
1)最重要課題
 最も重要な課題は、1)復帰できる環境があるかどうかである。なぜなら、例えば絶滅危惧にあるツシマヤマネコのように、生息していた頃と社会状況が異なるケースがある。また、ニホンオオカミのように絶滅してからの期間が長いと、生息していた頃の情報がないなどの問題がある。さらに、長い間、動物園で飼育されていた種が、スムーズに野生復帰先の環境に馴染むとは限らない


⑩ ツキノワグマのケースを述べていたのに、いきなり他の種の話になっているのことに違和感があります。また、具体例を示し問題点を述べていますが、三つの中で最も重要だと考えた理由を書くのですよ。これらは問題点であって選択の理由になっていません。さらに、理由だったとしても、長すぎます。文章のバランス(構成)としては、解決策にスペースを割きましょう。


2)解決策
①生息環境整備・復元  野生動物が生息していた頃の生息環境がどのようなものであったかを調査し整備する。土地転用などで、その環境が喪失してしまった場合は生態系復元をおこなう。絶滅から年数が経過し、情報がないときは、地元の住人に聞き取り調査をしたり、文献をあたる


⑪ 行動が抽象的です。どんな調査ですか、何を整備するのですかといったことが不明確であり、一般論しか述べていないように見えます。問題には、専門技術用語を交えよとあります。

⑫ これも⑪と同じですね。誰が、何を、どうやって復元するのですか。具体性に欠けています。

⑬ ⑪のとおりどのような調査を実施するのか不明なので、情報が不足しているときの対応として適切なのか判断できません。また、復元がどのようなものか分からないので、情報とは一体何かも分かりません。圧倒的に説明不足です。


②野生復帰訓練
 生息域外保全が成果をあげてきたとしても、長い間人に飼われた動物は人馴れし、なかなか野生復帰しようとしない。インドネシアやマレーシアのオランウータンのように、1日数時間、週1回からなどとステップバイステップで徐々に自然環境に慣れさせながら野生復帰させる。また、動物園と連携し、動物が自然界に定着まで係員が野生復帰の手助けをする。


⑭ 知性ある哺乳類なら分かりますが、爬虫類、魚類、昆虫類などには当てはまらないのではありませんか。これまでもそうですが、特定して述べるのではなく一般化(すべての生物に当てはまるように)すべきでしょう。以降の内容も、この理由により違和感があります。

⑮ →「定着する」

⑯ 係員とはどのような立場の人を指していますか。飼育員ですかね。正確な表現を意識しましょう。

⑰ このパートも前項同様、専門技術の視点が感じられません。環境省の「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」にある野生復帰の検討の進め方などを参照に記述すると良いと思います。


③PDCA
 ①②の取組みをPDCAサイクルで行い、野生復帰が進まないときは、適切な対応をおこなう


⑱ 生息環境整備・復元はPDCAを回せそうですが、一方で復帰訓練は、野生に返したら改善のしようがないですよね。訓練の仕方という意味でPDCAを行うのですかね。復帰訓練のプロセスを踏まえるとどのようにPDCAを回すのか良く分かりません。つまり、これも説明不足で一般論を脱していません。


(3) 懸念事項・対応策
1)懸念事項
 保護増殖事業に限らず、鳥獣保護管理法でも保護した種が増えすぎ、問題が生じるリスクがある。そもそも、トキやコウノトリは田畑を荒らすため駆除され、大正時代には見られなくなった歴史がある。現在、クマ類やカワウで同様の問題が生じ、手に負えない状態になっている


⑲ これを記述している意図が分かりません。「保護増殖事業により、将来的に保護した種が増えすぎるリスクがある」で良いのではないでしょうか。

⑳ 増えすぎることを問題視しているのか、獣害を問題視しているのか判然としません。

㉑ ②と同様。

㉒ 問題で聞いているのは将来の懸念事項であり、現在顕在化している問題ではありません。


2)対応策
 保護増殖事業及び野生復帰事業をおこなう際に、どこまで個体数や分布域を増やすのか、その目標をあらかじめ計画に盛り込んでおく。そして、順応的管理を行い、野生動物の状況を随時モニタリングする。個体数が増え目標値を超えたら、農業や人的被害が出ないかを注意し、被害が大きくならないうちに個体数を調整することを検討する。これは、野生復帰事業がうまく行かないときも同様に対応する。そのためには有識者や動物園と連携協力を続け、密に連絡を取り合う。  以上


㉓ 順応的管理とは、自然の環境変動により当初の計画では想定しなかった事態に陥ることや、歴史的な変化、地域的な特性や事業者の判断等により環境保全・再生の社会的背景が変動することをあらかじめ管理システムに組み込み、目標を設定し、計画がその目標を達成しているかをモニタリングにより検証しながら、その結果に合わせて、多様な主体との間の合意形成に基づいて柔軟に対応して行く手段です。前後の説明と重複しているように感じます。表現としては、「・・・モニタリングするなど順応的管理を行う」としてはいかがでしょうか。

㉔ 手段があると良いと思います。

㉕ これも具体性に欠けますね(うまくいかない時とは、対応とは)。また、上記のリスクを解決することとは何の関係もないです。不要。

㉖ 連絡を取り合う目的を書かないと、なぜこの行動が解決策なのか理解できません。

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